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【エネルギー業界とは?】業界動向や仕組み、押さえたい用語まで…徹底解説!

  • 業界・企業研究
  • 2024.04.23
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本コンテンツでは、エネルギー業界の識者にインタビューを行い、「エネルギー業界とは?」をはじめ、ビジネスモデルや仕組み、動向、押さえておきたい用語、関連業界…など、エネルギー業界について徹底解説しています。

時間のない方でもサクッと業界を理解することができますので、毎日少しずつ業界研究を進めましょう。

目次

    この記事の監修者

    株式会社ベネッセi-キャリア
    doda新卒エージェント事業部
    キャリアアドバイザー

    田中 愛友美さん

    大学卒業後、スポーツイベントの企画・運営会社へ入社を経て、ベネッセi-キャリアへ入社。
    IT領域や理系出身者のキャリアアドバイザーを得意とする。
    丁寧なカウンセリングを通して、ご自身では言語化が難しい強みを引き出し、可能性を広げるアドバイスを心がけている。

    エネルギー業界とは?

    エネルギー業界は、石油・天然ガスなどの天然資源を、人々が使えるエネルギーに変えて供給する最も重要なインフラ産業です。電力・石油・ガスの3業種がその筆頭となります(広義には太陽光、風力、バイオマス、地熱発電といった再生可能エネルギー、水素エネルギーなどを開発・提供する会社も含まれます)。

    資源のほとんどを海外からの輸入に頼らなくてはならない日本において、エネルギーを安定的に供給することは、エネルギー業界の絶対的な使命です。また、世界的に脱炭素化が求められる大きな流れの中、発展を遂げながら社会や人々の日常を支えています。業界分類としては、資源も含まれるといえるでしょう。

    エネルギー業界全体の業界規模は約45兆円(電力約20兆円、石油約20兆円、ガス約4兆円)と、国内最大級の業界規模となります。

    エネルギー業界の仕組みやビジネスモデル

    ここでは代表的な2業種について説明します。

    ガス

    都市ガス・LPガスなどを需要に応じて安定的に供給するのがガス会社です。そのために海外ガス田開発や、液化天然ガス(LNG)基地の建設、パイプライン敷設など、資源の調達から消費者に届くまでの流れの中で多様なビジネスを展開しています。とりわけ大手ガス会社は海外調達をする商社でもあり、生産設備を造るプラントエンジニアリング会社でもあり、都市開発会社でもあるという多彩な顔を持っています。

    電力

    発電所で発電した電気を送電し、供給するのがメイン事業です。従来は大手電力会社にしかできなかった事業ですが、2016年の電力の小売全面自由化により、一般企業でも電力供給ビジネスができるようになりました。

    電力小売り事業への参入者が増えることで競争が活性化し、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引や、ポイントサービス、さらには家庭の省エネ診断サービス、学校・病院・企業などへのCO2削減提案ビジネスも登場しています。

    エネルギー業界の動向

    現状として日本はエネルギーの87%を輸入に頼っています。今後の動向としては、日本国内におけるエネルギー開発に注目が集まっていくと考えられます。

    また、電力においては発電の方法(原子力や火力など)と、環境への配慮のバランスが重視されていきます。ガスについては、高齢化と人口減少が進む日本市場だけでは成長は難しく、ガスの小売全面自由化も始まっていることから、海外展開が今後の成長の柱となります。

    特に発展著しい東南アジアなどで、LNG基地の設立、販売が進められていくでしょう。

    エネルギー業界で働く魅力

    エネルギー業界は、国民生活と経済を支える社会貢献度の高い業界です。具体的な魅力ややりがいをご紹介しましょう。

    • 社会への貢献度が高い仕事ができる
    • グローバルを舞台に活躍できる
    • 大規模な仕事が多く達成感が得られる

    以下で詳しく見ていきましょう。

    社会への貢献度が高い仕事ができる

    エネルギー業界は、社会のインフラを支える重要な役割を担っています。そのため、私たちの暮らしや経済活動に不可欠な存在で、社会貢献度の高い仕事といえるでしょう。

    エネルギーは私たちの暮らしや経済活動のあらゆる側面に深く関わっています。電気やガスなどのエネルギーは、照明、冷暖房、調理など日常生活に欠かせません。安定供給することで人々の生活を支えます。また、交通、通信、機械、設備の運用にもエネルギーは必要不可欠です。

    さらに、持続可能なエネルギー利用やエネルギー効率の改善は、地球環境保護にも貢献しています。

    グローバルを舞台に活躍できる

    エネルギー業界では海外展開の事業も多く、グローバルに活躍できるチャンスがあります。

    エネルギー需要の増加に伴い、持続可能なエネルギー源と省エネルギー技術の開発と普及が必要です。そのため、世界各国で再生可能エネルギーの発掘や地球温暖化の問題解決を目的とした、さまざまな取り組みが行われています。

    海外を舞台にする仕事の一例

    • 海外におけるエネルギー資源の探査・開発
      世界各地における石油や天然ガスといった資源の探査・開発
    • 海外の発電所建設プロジェクト
      諸外国における発電所の建設プロジェクトへの参画
    • 国際的なエネルギー会議への参加
      会議への参加を通した最新の情報や技術を習得
    • 海外企業との合弁事業
      海外企業との合弁事業の立ち上げによる新たな市場開拓

    大規模な仕事が多く達成感が大きい

    エネルギー業界では大規模なプロジェクトが多く、発電所の建設や資源開発など責任ある役割を果たすことで、大きな達成感を得ることができます。

    大型発電所の建設プロジェクトや、太陽光発電、風力発電などの新エネルギー開発プロジェクトに携わる機会が多くあります。こうしたプロジェクトを成功に導いたときの達成感は、格別といえるでしょう。

    業界研究ファイル

    エネルギー業界にはどんな仕事があるの?

    先にも述べた通り、エネルギー業界は主に、電力、石油、ガスの3分野に分類されます。

    こちらでは、エネルギー業界全般に共通する営業、開発・研究、保守・メンテナンスの職種についてご紹介します。各職種の特徴と役割を把握して、エネルギー業界への理解を深めましょう。

    ・営業

    エネルギー業界の営業には「個人向け」と「法人向け」の2種類があります。どちらも顧客のニーズを理解し、商品やサービスを提案して購入や契約につなげる仕事です。具体的には、一般家庭や企業に対する電力やガス、石油など、エネルギーに関わるさまざまな商品の提案が挙げられます。

    営業職においては、市場動向やトレンドの把握、戦略立案、顧客との信頼関係の維持が、競争力を保つ上で欠かせない要素といえるでしょう。

    営業の仕事内容

    1. 商品提案:顧客が必要とするエネルギー商品(電力、ガス、石油など)の提案
    2. 契約の締結:商品購入希望者との契約締結
    3. アフターサービス:購入・契約終了後の顧客との関係維持、アフターサービスの提供
    4. 新規顧客の開拓:市場調査やプロモーション活動による新たな顧客開拓の実施

    ・開発・研究

    開発・研究職は、既存のエネルギー(水力、火力、原子力)や新エネルギー(太陽光、風力など)の研究・開発に取り組む仕事です。

    エネルギー分野の研究・技術者は、社会の発展に伴うエネルギー需要の増大や環境問題への対応といった課題に取り組んでいます。具体的には、以下のような業務を担当します。

    開発・研究の仕事内容

    1. 石油や天然ガスの探査
      地震探査やボーリング調査による石油や天然ガスの埋蔵量の調査
    2. 発電技術の研究
      太陽光発電や風力発電などの新エネルギーの発電技術の研究
    3. 省エネルギー技術の開発
      エネルギー効率を高めるための技術開発
    4. 新エネルギーの開発
      燃料電池や太陽光発電などの新たなエネルギー源の開発

    専門的な知識や技術が必要ですが、その成果は社会全体に大きな影響を与え、持続可能なエネルギーの供給と環境保護に貢献しています。

    ・保守・メンテナンス

    保守・メンテナンスは設備の安全性を最優先に考え、管理やメンテナンスを行う仕事です。

    安全で高品質な現場管理に努めることはもちろんですが、設備の点検や補修作業の設計立案・工程管理も含めた、幅広い業務にも携わります。具体的には、以下の業務を担当します。

    保守・メンテナンスの仕事内容

    1. 発電所の点検・整備
      故障を未然に防ぐために発電設備の定期点検
    2. 送電線の点検・整備
      送電ロスを減らすために送電線の定期点検
    3. 設備の修理
      故障設備の修理対応
    4. 安全管理
      作業員の安全を確保するための管理

    発電所や送電線などの設備は、定期的に点検・整備し緊急時には迅速かつ適切な対応を行い事故や障害を最小限に抑えます。

    エネルギー業界の志望動機・自己PR作成時に押さえておきたいキーワード

    2050年カーボンニュートラル

    政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)を目指すことを宣言しています。
    そうした大目標を前に、素材産業は(現在の技術では)製造工程で必ずCO2排出を伴うという問題を抱えています。現状では産業部門のCO2排出量のうち、鉄鋼と化学などの素材産業で約8割を占めています。

    今後はカーボンニュートラルに向けた生産プロセス転換が必要です。そのため、素材業界はよりピッチを上げて研究開発に取り組んでいかねばなりません。

    マテリアルズ・インフォマティクス(MI)

    従来の材料開発のプロセスは、技術者の知識・経験・能力に依存していました。これに対してマテリアルズ・インフォマティクスは、計算科学や情報科学の力で材料開発をスピードアップさせる取り組みです。ビッグデータ、AI、機械学習などといったデジタル技術によって、膨大な数の実験や論文を解析して材料の製造方法を予測するなど、材料開発の効率を向上させるものと期待されています。

    すでに大手メーカーでは「DX:デジタルトランスフォーメーション」の一環としてMIを強化しています。

    スイッチング

    エネルギー業界におけるスイッチングとは、一般家庭での電力・ガス契約先の切り替えを指す言葉です。顧客は料金、サービス内容を比較し、最適な電力会社やガス会社を自由に選ぶことができます。

    2016年以降、ガスや電力の小売[SC1] 全面自由化により、家庭や企業は自由に電力会社を選択できるようになりました。[2] スイッチングが可能になったことで、消費者は自分のライフスタイルや経済状況に、最も適したガスや電力会社を選ぶことが可能です。お得な料金や自分に合った契約先を選ぶことは、消費者にとってメリットが大きいといえるでしょう。

    デマンドレスポンス

    デマンドレスポンスは、電力需要の変動に合わせて電力供給を調整し電力の安定したバランスを維持する手法です。デマンドレスポンスには「電気料金型」と「インセンティブ型」の2種類があります。

    • 電気料金型デマンドレスポンス
      電気料金型では、需要がピークになる時間帯に料金を値上げするなどの設定を行います。料金が値上げされると消費者は、その時間帯の使用を避けるため、電力需要のひっ迫を解消できます。
    • インセンティブ型デマンドレスポンス
      インセンティブ型は消費者がインセンティブを受け取るために、電力会社の呼びかけに応じて使用量を制御する仕組みです。消費者にとって節電の効果が得やすい特徴があります。

    再生可能エネルギー(太陽光・風力)は、天候などの気象条件に左右されるため、供給の安定性を確保することが課題です。そのため、デマンドレスポンスを活用することで、電力の供給を安定させています。

    再生可能エネルギー

    政府は2030年までに再生可能エネルギーの割合を36〜38%に引き上げる方針を示しています。「地球温暖化対策」や「エネルギー安全保障」のため、再生可能エネルギーの導入拡大は急務です。

    再生可能エネルギーとは「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存する熱」「バイオマス」の7つの資源のことで、繰り返し利用可能なエネルギーを指します。

    今後、国が取り組みを加速させる施策は以下の通りです。ポイントを押さえておきましょう。

    • 太陽光発電の拡大
      太陽光発電などの自然エネルギーは、化石燃料や原子力に比べてクリーンで安全です。そのため、政府は太陽光発電の積極的な活用を検討しています。公共施設や住宅、工場、倉庫、空港、鉄道など適切な場所に太陽光パネルを設置して規模を拡大する予定です。
    • 地域と共存した再生可能エネルギー導入拡大
      地域に豊富に存在する自然エネルギーを最大限に活用して、取引や価格形成の仕組みを積極的に活用して市場の効率性を高めます。具体的には、風が強く吹くエリアには風力発電を導入し、そこから得られるクリーンなエネルギーを利用します。また、川や海が豊富な場所では、その自然の恵みを水力発電に活用します。
    • コスト低減と市場化
      再生可能エネルギーの導入を推進するためには、コストの低減が重要な課題です。そのため、持続可能なエネルギー供給の拡大を図ります。特にFIT/FIP制度(再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る制度)は、再生可能エネルギーの導入を促す重要な制度です。さらに、入札制度や長期契約などの手法も組み合わせることで、コストを抑えながらエネルギー市場の活性化を目指します。
    田中さん:ご自身の目指される業界の最新動向などを押さえておくことで、志望動機や逆質問の質も変わりライバルとの差別化を図ることができます。

    また、企業様によっては面接で最近の気になるニュースなどの質問をなされるケースもあるため、業界の最新情報をインプットしておくことが重要です。

    自己PR作成ワークシート

    エネルギー業界の関連業界

    エネルギー業界の関連業界として、素材業界が挙げられます。こちらについても押さえておきましょう。

    素材業界の「素材」にはさまざまな種類があり、化学、窯業(ようぎょう)、繊維、パルプ・紙、鉄鋼、非鉄金属、ゴムなど、それぞれが一つの業種を形成しています。「どの素材を商材にしているか」は違っても、素材を購入・加工して付加価値を高めた上で、他産業へ材料を供給する点は共通しています。

    ものづくりの流れにおいて素材業界は川上に位置し、川下にあるメーカーからの厳しい要求(品質・コスト)に応えることで、他産業の国際競争力をも支えています。

    食品、衣料品、生活雑貨、家電、自動車などの消費財メーカーと比べると製品が注目されることはあまりありませんが、どの製造分野も素材メーカーがなければ成り立たないといえるほど、重要で基本的な産業であることは間違いありません。

    素材業界は製造業GDPの約2割、110兆円以上を占める日本の基幹産業です。

    エネルギー業界にまつわるさまざまなQ&A

    Q. 仕事で海外に行くことはありますか?

    A. 業種によるが、海外と交渉するような職種もあり

    業種によっては海外に行く可能性もあります。2022年度の日本のエネルギー自給率は13%程度で、他のOECD諸国と比べても低い水準です。一般的に電力・石油・ガスの3つを指してエネルギー業界と呼びますが、特に石油は現状99.7%が国外生産です。石油開発事業では海外に行き、産油国政府と交渉をするような職種もあります。

    Q. エネルギー業界に向いている人はどんな人ですか?

    A. 適応力や規律順守、柔軟性を求められることが多い

    国内の大手電力・ガス会社では、ゼネラリストとしてジョブローテーションをすることが多いため適応力が求められます。また、国民全体の生活に大きく関わる業界だけに、規律を順守することも必要でしょう。一方で、石油や新エネルギーを扱う企業では世界経済の変化に大きく影響を受けるため、適応力の高さに加えて柔軟性を求められることが多いといえます。

    関連業界にまつわるさまざまなQ&A

    Q. 素材業界を志すにあたり、勉強しておくべきことはありますか?

    A. 会社の立ち位置を理解しておくとよい

    「川上」「川中」「川下」という分類は知っておく必要があります。会社がどの立ち位置にいるか理解する上で重要です。

    Q. 素材業界のやりがいはどんなものが挙げられますか?

    A. たくさんの人が利用する製品のベースを支えている点

    素材はあらゆる製品の基礎的で重要な材料です。そのため、多くの人が使っている製品のベースを支えているという点がやりがいになるでしょう。

    このようなエネルギー業界の関連業界に関する動向やビジネスモデルをはじめ、「配属先」や「入社前に必要な知識」など、現役大学生から挙がった鋭い質問に識者が回答!詳しくは、業界研究ファイルにてチェックしてみてください。

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