業界研究では、業界の特徴や将来性を調査し、自分らしさを生かすことができる職種を見つけ出す作業が必要になります。ただ「業界や業種が多すぎて、どこから手を付けていいのかわからない」と感じる学生も多いでしょう。
そこで今回は、業界研究の具体的なやり方やポイントを紹介します。業界研究で使える「業界研究ノート」もダウンロードできますので、さまざまな業界をリサーチして、自分の適性にあった企業を探してみましょう。
この記事で分かること
- 業界研究の具体的なやり方
- 業界研究を行う時のポイント
- 業界研究が必要な理由
この記事の監修者
doda新卒エージェント事業部
キャリアアドバイザー
内田 茉莉香さん
旅行会社で法人営業を経験した後、人材業界へ転職。
新卒採用担当として企業側、学生側双方のエージェントを経験。
現在は『doda新卒エージェント』サービスのキャリアアドバイザーを担当する。
営業職全般の提案、面接官の視点を踏まえたアドバイスなど、自身の経験を活かしたアドバイスが得意領域。
目次
業界研究とは?「興味がある業界を理解し仕事をイメージすること」
業界研究とは「興味がある業界を深く理解し、その業界で仕事をしている自分をイメージすること」です。
総務省公式サイトには、農業から公務まで「20の業界」が載っています。ただ、これを全て調査し、自分に合った業界や業種を選ぶのは、とても時間がかかる作業です。興味がある業界から順番にリサーチし、将来性や求められている人物像などを想像しながら、志望企業を絞り込むと良いでしょう。
各業界で求められる人物像の理解は時間がかかるため、dodaキャンパスの『業界研究ファイル』が役立ちます。 人気業界のビジネスモデルをはじめ、最新動向や押さえておきたいキーワードなど、効率的に理解しましょう。
業界研究が必要な理由
就活で業界研究が必要な理由は次の2つです。
- 自分に合った業界(志望の企業)を絞り込むため
- 業界の動向や成長性、将来性などを確認するため
業界研究を念入りに行うことで、効率的に就活を進めることができます。業界や主要企業についてあまり研究せずに会社説明会に参加した場合、内容の理解に時間がかかり、企業選びに苦戦することになりかねません。また、知識が不足したまま入社を決めることで、企業とのミスマッチに繋がる可能性も高くなります。
自分に合った業界(志望の企業会社)を絞り込むため
業界研究の一つ目の目的は、「自分に合った業界(志望企業)を絞り込むこと」です。
業界や業種を細かくリサーチしておかないと、次のような失敗をする可能性があります。
業界研究をしなかった場合の失敗例
- 将来性や安定性に欠ける業界を選んでしまい後悔する
- 自分の強みと求められるスキルがマッチせず、やりがいが感じられない
この他にも「目指す将来像と企業が求める役割が異なった」など、特定の業界にありがちなミスマッチにも注意しなければいけません。
詳細な業界研究によって「就職後に必要なスキル」も見えてきます。就職後に即戦力として活躍するために、在学中からインターンシップで経験を積んだり資格を取ったりすることもできるでしょう。
業界の動向や将来性を確認するため
業界研究の二つ目の目的は「業界の動向や将来性を確認するため」です。
企業の将来性は、市場の動きや業界動向に左右されるといっても過言ではありません。業界の状態を把握することは、企業研究の際に「その企業ならではの強み」や「今後の成長性」を見つける助けとなります。
また、業界の強みや成長性を知ることで、自分自身がどのように貢献していきたいのか?を考える際に役立つでしょう。
業界研究を行う際は、「興味がある職種」「自分が貢献したいこと」を分析し、業界の動向や将来性と照らし合わせることが大切です。
気になる業界はあるけれど「本当にこの業界が自分に合っているのかな…」と気になっている方は、5分でできるdodaキャンパスの「就活軸診断」で、あなたが企業を選ぶ就活軸を言語化してみましょう。
業界研究の具体的なやり方
ひと言で「業界研究」といっても、さまざまなやり方があります。
すべての業界を細かく調べると時間がかかるため、Webサイトなどで興味がある業界をいくつかピックアップし、セミナーやインターシップなどで詳しく調査していくのがおすすめです。
企業や業界団体のWebサイトをリサーチする
企業や業界団体のWebサイトは業界の概要を把握できる便利な方法です。業界団体のWebサイトを探し、業界全体の動向について調べてみましょう。インターネットでは最新の情報が公開されるので、定期的なチェックがおすすめです。
【例】※IT業界の動向を見る場合:総務省公式サイト「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」
本や新聞・ニュースをチェックする
新聞やニュースサイトからは、タイムリーな情報が入手できます。スマホで購読できる新聞も多く、一定の本数までは無料で見ることも可能です。時事ニュースをチェックし、興味を持てそうな業界や将来性が見込める業界を詳しく調べてみましょう。
就職情報誌や業界地図、会社四季報などの書籍も、業界全体の関係図がわかるため、ぜひ確認してみてください。
業界研究セミナーに参加する
大学や、合同企業説明会の会場で行われる「業界研究セミナー」に参加するのも一つの方法です。さまざまな業界で働いている人の話を直接聞くことができるため、自分が就職したあとのキャリア形成についてもイメージしやすくなるでしょう。
就職情報サイトを検索する
就職情報サイトでは、採用情報や業界の動向など、就活に必要な情報が網羅的に紹介されています。そのため、業界の全体像を理解したいときには最適のツールとなるでしょう。dodaキャンパスでも業界研究のオンラインイベントや、就活に役立つ情報の発信を行っていますので、確認してみてください。
インターンシップに参加する
業界の候補が絞れてきたら、興味を持った企業のインターシップに参加しましょう。長期のインターシップは、仕事の流れや企業風土を肌で感じることができるためおすすめです。
インターシップでは、先輩から、仕事のやりがいや厳しさなど、リアルな情報をたくさん聞くことができます。社員の方と交流する機会があれば、積極的に話しかけてみてください。
OB、OG訪問をする
現場で働く人から直接話を聞くことで、ネットや本では得られない「リアルな業界の姿」や「職場の雰囲気」の理解が深まります。
また、人脈を築き、アドバイスを得ることで、就活を進める上での心強いサポートにもなるでしょう。大学のキャリアセンターやSNS、友人の繋がりを活用し、積極的に行動を起こしてください。
業界研究のポイント
業界研究をどこから始めてよいのか分からない場合は、下記4つのステップを踏むと良いでしょう。
- 自己分析をする
- 興味がある業界や適性がありそうな業界をできるだけ多くピックアップする
- 業界への理解を深める
- 業種や職種を選定する
「業界が多すぎてわからない」「どこから選べばよいか迷う」など業界選定に困っている場合、興味がある業界をできるだけ多く書き出すことがおすすめです。逆に「自分が行きたくない業界」をリストアップして候補から外していく方法もあります。
1. 自己分析をする
自分に合った業界を探すには、「仕事に対する価値観」や「何にやりがいを感じるのか?」について自己分析を行うことが大切です。「ベンチャーで自分の可能性を試してみたい」と思う方がいれば、「挑戦より安定性を重視したい」と感じる方もいるでしょう。
自己分析は、自分史やモチベーショングラフといったさまざまなやり方があります。いずれも自分の幼少期からのたな卸しが必要となるため、時間を要する作業です。
時間をかけずに「自分の価値観を探りたい」、「自分に合った働き方を知りたい」という人は、dodaキャンパスのキャリアタイプ診断をやってみましょう。5分ほどで、あなたに合った働き方を言語化してくれます。
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2. 適性がありそうな業界をできるだけ多くピックアップする
どの業界を研究するか迷った時は、興味がある業界や適正がありそうな業界をできるだけ多くピックアップすることをおすすめします。
業界をリストアップする時は「先入観を持たないこと」が大切です。例えば「広告業界ではクリエイティブな仕事ができる」など、仕事内容まで限定してしまうと視野が狭くなってしまいます。
広く業界を見ていくと、意外な業種や職種に活躍の場が見つかる可能性もあるでしょう。さまざまな情報をもとに適性や興味がありそうな業界を書き出し、そこから2、3の業界に絞り込むことがおすすめです。
3. 業界への理解を深める
業界への理解を深めるには、次の2つのポイントを重点的にリサーチしましょう。
- 業界の全体像を把握する
- 業界の将来性や動向を把握する
例えば、金融業界に興味があれば、業界のビジネスモデルを調べ「銀行や証券会社がどのように関わり合っているか?」など、全体像をざっくりと把握しておくと良いでしょう。
業界全体の将来性や動向に関するリサーチも大切です。市場規模や成長の可能性、経済情勢や社会課題の影響度など、さまざまな視点を持って調べることで、将来有望な業界が見えてくるでしょう。
政策や世界的な経済動向に左右されやすい業界もあります。海外まで含めて業界における成長の可能性について調べておくことがおすすめです。
4. 適性がありそうな業種や職種を選定する
業界に関するリサーチが終わったら、自分の適性に合う業種や職種がないか調べていきましょう。
dodaキャンパスの「業界研究ファイル」では、IT業界やメーカー、建設や流通など、さまざまな業界の詳細がわかる資料をダウンロードできます。業界の動向や求められる人物像なども理解できますので、興味がありそうな業界から情報を整理してみると良いでしょう。
業界研究テンプレートとまとめるべき5つの視点
業界研究ノートでは、次の5つの視点で整理していくと良いでしょう。
比較検討する項目
- ビジネスモデル
- 業界動向や将来性
- 求められる人物像や向いている人
- ほかの業界との比較(魅力的なポイント)
- 業界研究を深めるための次のアクション
以下は業界研究ノートをExcelでまとめた一例です。
1)ビジネスモデル
業界全体や主要な企業が、どのように収益を生み出しているのか、基本的なビジネスモデルを整理しましょう。BtoB(法人向け)のビジネスなのか?BtoC(個人向け)のビジネスなのか?といった顧客セグメントの整理も大切です。
2)業界動向や将来性
業界を取り巻く市場の動向や技術革新の動き、今後の成長性についてもしっかり調べましょう。
経済産業省の公式サイトや、業界団体のWebサイトなどをチェックすると、概要がわかります。主要企業の公式サイトや株価のチェックもおすすめです。
3)求められる人物像や向いている人
業界で活躍している人の特徴などをもとに、求められている人物像を理解することも大切です。
例えば、金融業界は「責任感と分析力に長けた人が向いている」が、製造業なら「コツコツ取り組む実直な人が向いている」など向き不向きの傾向がわかるでしょう。
4)ほかの業界との比較(魅力的なポイント)
独自の視点で、業界ごとの魅力的なポイントを書き出してみると、業界を絞りやすくなります。業界を取り巻く外部環境や自己成長の可能性など、複数の視点で比較してみましょう。
5)業界研究を深めるための次のアクション
興味のある業界が絞れたら、業界研究を深めるために、どんなアクションを取るべきかメモをしましょう。
例えば「〇〇会社のウェビナーに登録してみる」「〇月のインターシップに参加する」など、具体的な予定を書き留めておくと応募機会を忘れずに済みます。
業界研究でよくある質問
業界研究をしていると、さまざまな疑問が出てきます。特に、調べる内容が多岐にわたるため「どこまでやればいいの?」と不安に思うこともあるでしょう。
ここでは、業界研究でよくある質問に回答します。
業界研究のゴールは?
インターンシップの開催時期までには、志望する業界や業種を、ある程度絞り込めていることが理想です。
まずは、下記の状態を「達成ゴール」と決めて取り組んでみましょう。
1. 自分の強みが生かせそうな業界を絞り込めている
2. 業界比較ができており「なぜその業界が良いのか?」明確に答えることができる
3.業界の将来性や成長性について自分なりの答えを見いだせている
4. 2、3つの業界を絞り込めており志望企業をリストアップできていることができる
業界研究はいつ頃から始めればいいですか?
業界研究を始める時期は早ければ早いほうが良く、遅くとも3年生の4月頃には始めることをおすすめします。
3年生の4月から始めるべき理由は、3年生の夏〜冬にかけてインターンシップの募集が始まるためです。このタイミングで業界を絞り込めていないと、選考機会を失ってしまう可能性があります。
業界研究で押さえておくべき8大業界とは?
業界研究で押さえておくべき8大業界とは、下記8つの業界のことを指します。
- メーカー/製造……商品や部品を作る
- 商社……商品やサービスを売る(対象範囲は国内・海外、BtoBやBtoCなど多岐にわたる)
- 小売……商品やサービスを売る(対象範囲は国内メイン、比較的BtoCが多い)
- 金融……融資や投資商品を売る
- サービス……かたちのないものを売る
- ソフトウェア/通信……ソフトウェアやシステムを売る。モバイルやインターネットサービスなどの提供
- マスコミ……情報を提供して利益を得る(サービスの販売や広告収入)
- 官公庁/公社/団体……国や公共団体で政策を実行する、サービスを提供する
それぞれの業界には多種多様な業種があり、職種もさまざまです。例えば「メーカーだから工場勤務」というわけではなく、マーケティングや営業などの職種に就ける場合もあります。業界研究をする際は、固定概念に囚われず「自分の強みが生かせる職種はあるか?」「興味が持てそうな業界か?」といった広い視野でリサーチすると良いでしょう。
自分に向いている業界が分からない時は
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