就活で欠かせない業界研究。しかし、「なにから始めればいいかわからない 」と悩む人も多いはずです。
この記事では、業界研究が初めての人に向けて、リサーチ結果を反映するだけで完成する業界研究ノートのテンプレートを紹介します。
業界研究の進め方や、面接やESで生かすコツまで解説!まずは業界研究から一歩を踏み出してみましょう。業界研究が必要な理由と活かし方がわかります。
目次
業界研究とは?「興味がある業界を理解し仕事をイメージすること」
やみくもに情報を集めても、業界研究は進みません。業界研究をはじめる前には、「なぜ就活で必要なのか?」「どんな場面で役立つのか?」について、考えを整理しておきましょう。
自分に合った業界・企業を見極めるため
自分の強みや価値観とマッチする業界や企業を選ぶには、自身の特徴や求められるスキルの理解が不可欠です。
例
- コミュニケーション力と挑戦心 → 商社、サービス業
- 安定性や社会貢献重視 → 官公庁、インフラ
面接・ESで説得力を持たせるため
仕事内容や働き方を理解すれば、「思っていた仕事と違う」という早期離職リスクを減らせます。
一見「キラキラした業界」に見えるIT業界やマスコミ業界も、実は地道な作業が多いものです。業界研究を通じて仕事内容や働き方がイメージできれば、現実とのギャップを防ぐこともでき、市場規模や他業界との違いを理解でしょう。

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業界のやり方がわからない人へ|調べ方がわかる6ステップ
「業界研究をやろう」と思っても、何から始めれば悩むのは自然なこと。そこで、今回は業界研究のやり方がわからない方向けに、順序通りに進めれば業界の全体像がつかめる6つのステップをご紹介します。
少しでも興味や関心がある業界から、リサーチをはじめてみましょう。
STEP1)気になる業界を選ぶ
下図にある5つのカテゴリから興味がひかれる業界を考えてみましょう。

STEP2)基本情報(ビジネスモデルや主要な業種)を集める
省庁の公式サイトや代表的な企業のHPから、興味がある業界の全体像をリサーチしてみましょう。公式情報を見れば、業界ごとの市場規模や成長率、ビジネスモデルなどがわかります。
参考までに、いくつかの代表的な業界と、公式サイト、そこで得られる情報を一覧表にまとめました。これらの情報を100%理解する必要はありません。「市場規模の動向」「業界の課題」「ビジネスモデル」など、自分が理解できる情報から整理してみましょう。
| 業界 | わかること | 各省庁の公式サイト |
|---|---|---|
| 商社(ものを売る) | 百貨店、スーパー、コンビニの販売額推移、業態別動向 | 経済産業省商業動態統計 |
| 金融(資金を動かす) | 業界課題、規制の方向性 | 金融庁金融レポート・監督指針 |
| 交通・運輸(社会基盤を整備する) | 鉄道、航空、物流の利用者数や輸送量 | 国土交通省運輸関係統計 |
| IT(ソフトウエア、通信) | 通信事業の市場規模、インターネット利用動向、最新トレンド DX、IT投資額の推移 |
総務省情報通信白書 経済産業省(IT関連統計) |
| サービス | 訪日外国人旅行者数、観光消費額、旅行業界の動向 | 観光庁観光白書 |
STEP3)業界の背景・課題を知る
新聞やニュース、業界に関する書籍を見れば、業界特有の社会的な背景や課題なども見えてきます。例えば、自動車業界では「環境に関する規制が強化され、電気自動車が普及した」、食品業界では「健康志向の高まりでヘルシー志向の新商品が次々登場している」といった流れも見えてくるでしょう。
また、「業界地図」などの本を見れば、主要企業の関係性や勢力図 が図でまとめられており、業界全体を立体的に把握するのに役立ちます。このような業界の背景をしっかりつかんでおけば、面接やESでも説得力のある説明ができるでしょう。
STEP4)最新動向をつかむ
業界の最新トレンドもリサーチしておきましょう。日経電子版やYahoo!ニュースの経済コーナーなどを詳しく見れば、最新の市場動向や新製品のニュースをキャッチできます。dodaキャンパス でも、最新の就活事情を配信しています。
直近の動きをリサーチしておけば、志望動機や面接の回答に最新の情報を反映できるでしょう。採用担当者からも、「業界のことを真剣に調べている」「志望度が高い」と高い評価も得られます。
STEP5)現場の声を聞く
紙やネットの情報だけでは、業界の実態はつかめないものです。会社説明会やインターンシップに積極的に参加し、社員が語る業界情報を収集しましょう。
インターンシップなどで質疑応答の時間があるなら、率直な疑問を投げかけてみましょう。企業でのリアルな体験は、業界の雰囲気や企業での働き方を肌で感じることができ、ミスマッチも防げます。
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STEP6)業界研究ノートに整理
集めた情報を、頭の中に入れておくだけでは比較できません。エクセルやワードに整理して、業界研究ノートに書き出してみましょう。
例えば、「代表的な業種」「主要企業」「成長性や将来度」といった項目ごとに情報をまとめ、比較できるようにしておくのがおすすめです。自分なりに点数をつけてもいいでしょう。さらに、自分の強みが活かせそうな点を一言メモしておくと、面接やESでそのまま活用できる“武器”になります。

業界や企業選びをしていると「就活の軸」がブレてしまうことも。「将来、自分が歩むべきキャリアが見えない」と悩むなら、dodaキャンパスの就活軸診断を試してみましょう。診断結果は、自分では視野を広げられていなかった業界や職種に目を向ける指針として役立ちます。
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業界研究ノートの作り方|テンプレート&押さえるべき10項目
自分の強みを生かせそうな業界や、企業選びに有効な「業界研究ノート」
今回は、必要事項を反映するだけで、すぐにできあがるテンプレート を用意しました。業界研究で特に押さえるべき10項目について、どのような観点で調べるべきなのかも解説します。業界や企業選びに必要な情報、そして面接やESでも生かすコツについて見ていきましょう。
まずはテンプレートをチェック!書き方の全体像を図解で紹介
今回は、リサーチした内容をそのまま当てはめるだけで、業界研究ノートが完成するテンプレートを用意しました。「成長性」「ビジネスモデル」「求められる人物像」などを一枚にまとめれば、自分の強みを生かせそうな業界が簡単に比較できます。
はじめに、下記テンプレートをエクセルやワードに貼り付けて、業界研究の準備をしましょう。
【業界研究ノートのテンプレート※一部の業界を抜粋】
| 業界名 | 例)金融 | 例)商社 | 例)製造業 |
|---|---|---|---|
| ❶代表的な業種 | 銀行、証券、保険、リース | 総合商社、専門商社 | 自動車、電機、機械、食品、化学 |
| ❷成長性、将来性 | フィンテックやキャッシュレス化で変革期。成熟産業だが新技術との融合に可能性あり | エネルギー、脱炭素分野に注力、海外事業が成長源 | 新興国市場で成長余地。AIやIoT導入で生産性改善の余地大 |
| ❸ビジネスモデル | 資金仲介(融資・預金)、手数料収入、投資収益 | 貿易仲介、投資事業、事業経営 | 製品開発・生産・販売、BtoB取引中心 |
| ❹他業界との比較 | 規制が強く安定志向。他業界より利益率は低いが規模は大きい | 幅広い産業に関わることができる。他業界に比べ収益源が多い | 技術力が競争力の源泉。他業界より研究開発投資比率が高い |
| ❺主要企業 | 三菱UFJ、みずほ銀行、野村HD、日本生命 | 三菱商事、伊藤忠商事、住友商事、丸紅 | トヨタ、ソニー、パナソニック、花王 |
| ❻法規制や政策の影響 | 金融庁の規制、金利政策の影響大 | 輸出入規制、国際情勢の影響を強く受ける | 環境規制(排ガス、プラスチック)、輸出入規制、為替の影響を受けやすい |
| ❼求められる人物像 | 誠実な人、リスク管理意識が高い、論理的思考力が高い | チャレンジ精神がある、柔軟性に富んでいる | 探究心がある、協調性が高い、課題解決力がある |
| ❽生かせそうな自分の強み | 分析力、課題分析力、コミュニケーション能力 | コミュニケーション能力、行動力、積極性 | 几帳面さ、課題解決力、継続力 |
| ❾興味をもったきっかけ | 投資に興味をもったから | グローバルに活躍したい、多様な分野に携わりたい | ものづくりが好き、技術や製品開発に関心 |
| ❿業界イメージ | 安定、保守的、責任が重い | 華やか、ダイナミック、忙しい | 堅実、安定、地道で変化がないイメージ |
下準備:最初に業界研究で比較すべき8大業界をリサーチ
就活でよく比較対象とされる「8大業界」とは、メーカー、商社、小売・流通、マスコミ、ソフトウェア・通信、官公庁・公共団体、金融、サービス・インフラです。
業界を細分化し12業界で分ける方法もありますが、まずは8大業界をざっと調べてみて、興味を持てそうな業界をリサーチしてみましょう。
項目1.「業界名と代表的な業種(調べ方+具体例付き)」
はじめに、業界研究ノートの「業界名」の欄に、8大業界の名前と代表的な業種を記載していきましょう。下記に代表的な例を挙げていますので、参考にしてください。
なお、「8大業界」とは、一般的な業界の分類であり、国や政府が正式に定めた分け方ではありません。8大業界以外の業界について詳しく見たい時は、統計局のホームページの「産業分類」のところから、さまざまな業界を調べてみてください。
| 業界名 | 代表的な業種 |
|---|---|
| メーカー | 素材メーカー、消費財メーカー、医薬品メーカー、食品メーカーなど |
| 商社 | 総合商社、専門商社(食品、化学、金属、機械、繊維)など |
| 小売、流通 | 卸売業、小売業(百貨店、スーパー、コンビニ、専門店)、EC事業など |
| マスコミ | 放送業(テレビ・ラジオ)、新聞業、出版業、広告業 |
| ソフトウェア、通信 | 通信業、情報サービス業(ソフトウェア開発)、インターネット関連サービス |
| 官公庁、公共団体 | 国家公務員、地方公務員、独立行政法人、公益法人 |
| 金融 | 銀行業、証券業、保険業、ノンバンク(リース・クレジット) |
| サービス、インフラ | 運輸業(鉄道・航空・物流)、宿泊業、飲食サービス業、教育サービス業、エネルギー供給業(電力・ガス・水道) |
項目2.「業界の成長性・将来性」
次に、その業界の成長性や将来性をリサーチしましょう。経済産業省商業動態統計などの公式データを調べ、市場規模の推移や販売額の動向を見れば、おおよそ成長している業界かどうかがわかります。代表的な企業の株価を調べ、直近5年のトレンドをリサーチしてみるのもいいでしょう。
また、政策や法令による影響を受けているかどうかも重要なポイントです。例えば、SDGsの動きや環境を取り巻く法令が厳格化していることを見ると、「再生可能エネルギーに関連するインフラ業界は、成長基調にある」と判断できるかもしれません。
項目3.「 主なビジネスモデル(収益の仕組みを理解)」
業界を比較する際は、業界ごとの「お金の流れ」、つまりビジネスモデルを理解する必要があります。ビジネスモデルを理解できれば、企業での仕事のイメージも想像しやすくなるでしょう。
例えば金融業界だと、業種別で下記のようなビジネスモデルがあります。
- 銀行:「預金を集めて貸し出し、その利息で収益を得る」
- 証券会社:「株式や投資信託の売買手数料で収益を得る」
- 保険会社:「保険料を運用して収益を確保する」
ビジネスモデルは、業界地図や代表的な企業の公式サイト(※事業内容のページなど)を見ればわかります。
項目4.「他業界との違いや特徴を比較」
業界を絞り込むうえでも、さまざまな視点で他業界と比較をしましょう。具体的には、下記のようなポイントで比較すると、違いがわかりやすくなります。
調べる際は、業界地図の比較ページや新聞、業界団体の公式サイトなどを利用するのがおすすめです。
- 安定性:景気の影響を受けやすい業界か?
- 成長性:市場が拡大しているか、新しい技術が投入されたり新たなニーズが生まれたりしているか?
- 外部要因の影響:政策や金利、社会情勢などに左右されやすい業界か?
- 収益構造:どこから利益を得ているのか(例:金利収入、広告収入、サービス利用料など)
業界比較をする際には、上記でまとめた比較ポイントをもとに、「自分が大切にしたい価値観」を軸に比較してみましょう。例えば、「安定性vs成長性」といった軸で比較すると、自分がどの業界に向いているのか判断しやすくなります。
項目5.「業界地図から主要企業をリストアップ」
次に、その業界に属する主要企業をリストアップしていきましょう。「業界地図」を見れば、主要企業の名前やシェア、相関図などが示されています。これを見ながら主要企業をノートにリストアップしておけば、企業研究も進めやすいでしょう。
項目6.「業界を取り巻く法規制や政策の影響」
業界によっては。法律や政策が大きく影響します。例えば、金融業界は規制が厳しく、建設業界は公共投資の影響を受けやすい特徴があります。
各省庁の白書や統計資料を見ると、業界を取り巻く法規制や政策がわかります。こうした外部要因を知っておけば、業界の安定性や将来性を考える視点も養われるでしょう。
項目7.「求められる人物像(選考で評価される傾向)」
業界ごとに、好まれる人材の特徴は違ってきます。例えば商社ならコミュニケーション能力や行動力、製造業や金融業界であれば、正確性や課題解決力などが重視されるでしょう。
どのような人材が好まれるかについては、代表的な企業公式サイトの「社員インタビュー」、または採用ページの「求める人物像」が参考になります。人物像を理解すれば、自分の強みにマッチしそうな業界が見えてくるかもしれません。
項目8.「自分の強みがどう生かせるかを考える」
業界研究の目的は、単に業界知識を増やすことではなく、「自分の強みを発揮できそうな業界はどこか?」を調べることにあります。そのためには、まず自己分析で自分の資質や強みを整理し、どの業界で生かせそうかをリサーチ していきましょう。
例えば「自分はコミュニケーション能力がある」と思うなら、人と接する機会の多いサービス業界や商社が適しているのかもしれません。「協調性がある」のであれば、チームでの連携が不可欠な製造業やインフラ、官公庁などでも力を発揮できるでしょう。
項目9.「興味を持ったきっかけを言語化しておく」
「なぜその業界に関心を持ったのか」を、自分の言葉で整理しておくことも大切です。なぜなら、面接やESでは「あなたはなぜこの業界を選んだのですか?」と聞かれることが多いからです。きっかけを一言で説明できるようにしておけば、面接やESでも自然に伝えられるでしょう。単なる憧れやイメージではなく、下記のような伝え方ができるかもしれません。
- アルバイトでお客様と接する楽しさを知り、サービス業界に興味を持った
- 大学でITスキルを学ぶ中で、その技術が社会を変える可能性を実感した
項目10.「業界のイメージ(ポジティブ/ネガティブ両面)」
最後に、その業界に対して一般的に語られるイメージや、自分自身が感じた印象も整理しておきましょう。
例えば「挑戦できる機会が多そう」といったポジティブなイメージはもちろん、「専門知識の習得が大変かも」といったネガティブなイメージも、両方書いておくのがポイントです。
ポジティブ、ネガティブ両方のイメージを書き出すことで、バランスよく業界比較ができます。

業界選びに迷った時の対処法
就活の軸を決めようとしても、最初から「これだ!」と決められる学生は多くありません。むしろ迷うのが自然です。
「どの業界が自分に合っているかわからない」と悩んだ際、どのように業界研究を進めればよいのか、いくつかのコツをご紹介します。
条件から探す
明確な夢や将来像がなくても問題ありません。まずは漠然とした条件から業界を見ていきましょう。やりたいことは、探していく中で自然に形になっていきます。
経験から探す
業界を絞り込めない時は、過去のアルバイトや学業、部活などで得た経験を振り返りましょう。例えば、接客で人と関わることが得意なら小売・サービス業、分析や研究が好きならメーカーやソフトウェア/通信など、自分の強みと結びつけて業界を見ると選びやすくなります。
比較して直感で選ぶ
一つに絞れないときは、まず複数の業界を並べて比較してみましょう。その中で「なぜか気になる」「もっと知りたい」と思った業界があれば、それが深堀りのサインです。直感も立派な判断材料になります。

業界研究をやる時によくある質問Q&A
業界研究でよくある質問にもお答えしていきたいと思います。疑問を解消しながら、就活を進めていきましょう。
Q.業界研究はいつから始めればいい?
A:3年生の夏以降はインターンや説明会が増えるため、それまでにいくつかの業界を絞っておくと、余裕を持って行動できます。
Q.業界研究ノートを使う意味はある?
A:業界比較をするには、業界研究ノートは欠かせません。エクセルやワードで簡単な表を作り、自分なりに評点を付けて比較するのもおすすめです。思ったことや業界イメージを書き出しておけば、面接やESでそのまま活用できる点もメリットです。
Q.業界や業種、企業との違いは?
A:業界は「金融」「IT」など大きな分類を。業種は細かな事業内容(例:銀行・証券)、企業は具体的な会社名を指します。
- 業界:大きな分類。例:「金融業界」「IT業界」
- 業種:業界の中での事業内容や分野。例:金融業界の中の「銀行」「証券」
- 企業:具体的な会社の名称。例:「三菱UFJ銀行」「野村證券」
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Q.周りと差をつけるための業界研究おすすめの本は?
A:「業界地図」や「会社四季報業界版」がおすすめです。特に業界地図は図解が豊富で理解しやすく、面接でも具体的に話せる知識が身につきます。
固定概念を捨てて浅く広く業界研究をはじめてみよう!
最初から完璧に業界研究を進める必要はありません。気になる業界を浅く広く調べ、少しずつ理解を深めていけば十分です。
固定概念や先入観を捨てて視野を広くもっておけば、自分に合った業界に出会えるチャンスは広がります。まずは、就活の一歩を踏み出すために、業界研究から動き出してみましょう。
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