企業研究とは、興味のある企業についてさまざまな視点で調べることによって、その企業の立ち位置や競合優位性を知ることです。
本記事では「どのように企業研究シートを作ればいいのか」をはじめ、「書き込む項目や具体的な書き方」や「志望動機の作成方法」についても解説いたします。
目次
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この記事の監修者
doda新卒エージェント事業部
キャリアアドバイザー
若林 龍一郎氏
大学卒業後、機械工具商社で7年間の営業経験を積んだ後、パーソルキャリアへ入社。現在はキャリアアドバイザーとして年間500名を超える学生様と会い、就活のサポートを行う。主に理系学生様を担当。メーカー技術職からITまで、専門的な領域はもちろん、商社・営業職まで幅広いご相談に応じる。
企業研究のメリットは志望動機の明確化
企業研究はなぜ必要なのでしょうか?具体的なメリットをご紹介いたします。
志望動機の内容が具体的になる
企業研究を行うことで、対象企業のパンフレットやホームページだけではわからない情報を取得できます。
企業の歴史やビジョン、文化、製品、競合他社などの情報を収集して整理することで、「技術と伝統を大切にしている企業」なのか、「新規事業の開拓に力を入れている企業」なのか、といったこともわかるでしょう。また、同業他社との差別化を図るための戦略や独自の強み、業界が置かれている環境、将来の展望といった事柄についても理解できます。これらのプロセスを通して、自分自身が志望する企業の状態と希望条件が合致するかを見極めることができるでしょう。
このような企業研究に基づいたエピソードや情報を共有することで、志望動機が抽象的なものではなく、実際の事例に基づいていることが証明されます。これは、選考担当者に自身の熱意と真剣さを伝えるのにあたって役立ちます。
自分とのマッチ度を測ることができる
企業研究は、さまざまな情報を集めることで、その企業の特性を深く理解できます。社風や事業方針が自分の性格に合いそうか?自身の強みがいかせそうか?といった視点で、集めた内容を見ることで、事前にマッチ度を測ることができるでしょう。
このような企業の方向性と自分の性格や強みを照らし合わせて、「これだ」と納得できる企業へ応募することにより、就職後のミスマッチ軽減につながります。
自分に合った働き方を知りたいという方は、dodaキャンパスの『キャリアタイプ診断』がおすすめです。25問の質問に答えるだけで、あなたに合った働き方がわかります。
どんな情報が必要?企業研究シートの情報収集法
まずは企業研究を行うにあたり、どのような情報を集めればよいかご紹介します。
①Webサイト
情報収集のやり方として、まず挙げられるのは企業のホームページを見ることです。企業のホームページは、自社がアピールしたいポイントが目につくよう工夫されています。企業を感覚的に理解したい場合は、まずこれらのWebサイトを見てみましょう。
また、採用を目的としたホームページや求人サイトなども併せてチェックしましょう。先輩社員のキャリアステップや体験談など、より具体的に社員や職場の様子をうかがい知ることができるはずです。
②OBOG訪問
もし気になる先輩がいる場合は、その先輩に直接面会を申し込む先輩訪問も有効ですので、是非トライしてみましょう。ネットからの情報だけでなく、直接会って得る情報は文字や写真からは感じ取ることができない、感情や熱量といった情報も多分にあります。
③会社説明会
会社説明会を開催している場合はぜひ参加しましょう。企業によっては企業概要だけでなく、活躍する社員の方から実際に話を聞くことができる場合もあり、社風だけでなく実際に活躍する社員の雰囲気を理解する助けとなります。
④インターンシップ
昨今、インターンシップへの注目度が高まっており、参加する学生も年々増えています。時間に余裕がある場合は、インターンシップへ申し込んでぜひ参加しましょう!実際の仕事に近い体験をすることで、より具体的な働くイメージを持つことができるでしょう。
⑤書籍
業界や企業情報が掲載されている書籍も参考になります。「就職四季報」や「業界地図」なども併せて参考にすれば、全体を俯瞰して企業を理解することに役立つでしょう。
自分の考えを交えて伝えるためには、業界理解や企業理解が
欠かせません。ぜひ、ニュースとあわせてdodaキャンパスの業界研究ファイルも活用し、事前準備を進めておきましょう。
企業研究シートで押さえたい18項目や書き方
次に企業研究シートに記載すべき18の項目について解説します。
1.企業名 |
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企業名には、その企業が大切にしている思いや理想が込められていることも少なくありません。書類作成時や郵送時に間違えのないように、株式会社の位置が社名の前か、後かを確認し、英語のスペルや漢字表記のミスがないように記入しましょう。また、世間一般に浸透している略称を書いてしまわないよう、正式名称を調べておくことも大切です。 |
2.主業種・サブ業種 |
業種とは、その会社が展開する事業の種類を指します。例えば、人材業、サービス業といったものが該当します。主業種には、その会社が注力する事業を。サブ業種にはそれ以外の事業を記載しましょう。 |
3.代表者名 |
「代表取締役」、「CEO」として表記されている人名を記入します。面接で「当社の代表の名前は?」と聞かれる可能性もありますので、必ず把握しておきましょう。 |
4.創業年 |
創業年と会社設立が違う場合もあります。両方チェックしておきましょう。こちらも代表者名同様、面接で聞かれる可能性があります。答えられないと「事前に何かを調べる癖がない」と判断される恐れがあるので、細かな部分ではありますがチェックしておきましょう。 |
5.売上高 |
多角経営を行っている企業の場合は、年間の総売上高に加えて、可能であれば事業ごとの売上も追記しましょう。どの事業が売上のメインとなっているのかがわかります。 |
6.従業員数 |
従業員総数と正社員、パートの割合などを記載します。 |
7.上場区分 |
以前の東証一部、二部、マザーズといった区分から、現在はグロース、スタンダード、プライム市場といった3区分に変更されています。それぞれの区分は下記の通りです。各区分ごとに整理すると良いでしょう。 ・グロース市場:高い成長の可能性がある企業 ・スタンダード市場:一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としてのガバナンス水準を備えている企業 ・プライム市場:持続的かつ中長期的な企業価値の向上にコミットする企業 |
8.企業所在地 |
本社所在地のほか、自分の住む地域に最寄りの本支店があれば記入しましょう |
9.経営理念 |
企業の代表や創業者の考えを表した経営理念は、その企業の経営方針とも言い換えられます。短い言葉やキーワードになっていることもあります。経営理念に共感できる部分があれば、それを志望動機に盛り込むことで志望度の高さをアピールできます。 |
10.主力事業 |
企業が主力としている事業については、特に深く掘り下げましょう。 研究対象となる企業の主力事業がいつ始まり主力となっていったか、現在の主力事業が以前と変わってきていないか、急成長している事業なのか、緩やかに拡大しているか、経営理念に基づいているか、といった点にも注目しましょう。 |
11.主力商品 |
主力商品は、主力事業の中でコアとなっているものばかりとは限りません。その企業の顔となっている商品以外にも、売上の多くを担う商品や、近年販売数を大きく伸ばしている商品などがあるかもしれません。 複数の取扱商品を比較して、特徴や優れた点、開発時の苦労や主力以外の商品との関係性などについて書き出していきましょう。 |
12.ターゲット顧客 |
主力事業や主力商品のターゲットとなっている顧客について記入します。若い世代に向けているのか高齢者向けか、女性向けか男性向けか、一般向けか企業向けかなど、企業や商品のターゲットがどのカテゴリー層の顧客なのかを読み解くことが大切です。 企業がターゲットとしている層と、実際に購入している層に違いがないか、といった視点で見るのもいいでしょう。 |
13.強みと弱み |
強みはホームページなどでアピールされていることが多いので、すぐに把握できるかもしれません。しかし、弱みに関しては表立ってアピールしている企業は少ないので、リサーチが必要です。 たとえば、老舗の企業であれば時代を反映しているか、ベンチャー企業であれば売上が安定しているか、多角経営の企業であれば業績の悪い事業はないか、といった点などに注目します。 |
14.他社に負けない独自の強み |
同業他社と比較して「その企業にしかない」と言える点はどこかを探ります。独自の強みを見つけることができれば、「この企業でなければいけない理由」も見えてきます。志望動機を組み立てる際に役立つので、ぜひチェックしておきましょう。 ちなみに、独自の強みを見つけるポイントは、複数の企業と比較することです。この記事でも競合比較の表をダウンロードできますので、ぜひご活用ください。 |
15.業界の置かれた環境と将来の展望 |
業界全体の現状を見ながら、企業の主力商品や事業の変遷、吸収合併などの歴史や規模の縮小拡大などから将来の展望を分析します。 |
16.社風 |
自分が働こうとする企業の社風は、必ずチェックしておきましょう。フラットな職場か、風通しはいいか、忙しいがやりがいのある職場か、穏やかでのんびりとしているか、といった点に加えて、福利厚生なども確認しましょう。 |
17.求める人材像 |
求める人材像を公表している企業もあるので、採用ページなどを確認して記載しましょう。もし具体的に記載されていなくても、企業の社風と合わせて考えることで、企業が現在求めている人材像をある程度推測できます。 |
18.勤務条件 |
募集地域や就職後の勤務地、転勤の有無といった勤務条件を記載します。 |
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記入例付き!企業研究シートの書き方・作成手順
企業研究で集めた情報を「どのように企業研究シートにすれば良いの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、「企業研究シートで集めた情報の見方」にもあるdodaキャンパスの企業研究シートテンプレートを例に、具体的な書き方・作成手順をご紹介します。
<企業研究シートの作成手順・ステップ>
1.企業研究シートをダウンロードする
2.必要事項を企業ホームページなどで収集する
3.公開されている募集情報を記載する
4.あなた自身が気になるポイントを記載する
1.企業研究シートをダウンロードする
まずはdodaキャンパスの企業研究シートをお好きな形式でダウンロードしましょう。企業研究シートに必要な項目が網羅されているため、効率的に情報が整理できます。
2.必要事項を企業ホームページなどで収集する
該当項目の情報を企業ホームページやナビサイトで収集しましょう。業界や事業内容、企業理念などの基本情報をはじめ、他社と比較した際の強みなども記載しておきましょう。
3.公開されている募集情報を記載する
企業ホームページやナビサイトといったWeb上で公開されている募集情報も記載しておきましょう。どのような募集ポジションがあるのか、どのような人材を必要としているのかを理解するのに役立ちます。
4.あなた自身が気になるポイントを記載する
集めた情報について、もっと深掘りしたい項目や内容があればメモしておきましょう。インターンシップや企業説明会の質問時の確認項目として役立ちます。
企業研究シートをWORD・エクセル・PDFで活用してみよう!
なお、企業研究では、同業他社との比較も大切です。比較表を作成することで、業界内での状況がよりわかりやすくなります。dodaキャンパスでは、ダウンロードするだけですぐに使えるWord、エクセル、PDF形式のサンプルフォーマットをご用意しています。
以下よりダウンロードして、ぜひ活用してみてくださいね!
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企業研究シートで集めた情報の見方
企業研究とひと言で言っても、シートの空欄を埋めていくだけで、その意味を理解していなければ意味がありません。ここでは、企業研究から得られるデータの中でもとりわけ重要な5つの項目について、その見方を解説します。
1)業態
企業対企業の取引「BtoB(Business to Business)」を主な事業としているのか、一般の消費者を顧客とした取引「BtoC(Business to Customer)」なのかによって、仕事内容は大きく変わります。
また、専門商社のように取り扱う商品が専門領域のみか、総合商社のようにあらゆる領域の物品を取り扱うのかによっても、異なります。このように、いくつかの同業者を比較してみることによって、外形的なイメージとは違う一面が見えてくるでしょう。
業態を調査することで、企業がどの市場で競争しているかがわかり、自分が目指そうとしている方向と一致しているかの尺度となります。
2)取引先
どのような相手と取り引きしているかは、その企業の仕事内容を知る上で重要です。有名な大手企業の名前が並んでいれば、信頼性の高さを。また、取引先企業の数や種類が多ければ、取引先の多様性を示唆していると言えるでしょう。このように自分が就職した際、どのような相手が顧客や仕入れ先になるのかを知っておくことは心構えの一つとなります。
3)売上高
売上高は企業の収益規模を示しています。過去数年間の推移を確認することで、企業規模や成長率を把握できます。もちろん、売上高は企業規模を示す一つの尺度ではありますが、利益が出ているか(儲かっているのか)というのは公表されている決算書を見なくてはわかりません。
4)資本金
資本金は、会社を運営する際の手元のお金を意味します。株式会社の場合であれば、株主が出資したお金から自社の資本金の額を決定します。資本金の額を見ることで、単純に大企業なのか中小企業なのか?といった企業規模を把握できます。また、資本金の額が大きいほど社会的な信頼度も上がり、銀行からの融資も受けやすくなります。そのため、一般的に、企業体力がある会社は資本金が高いと言われています。
一方、ベンチャー企業などの場合は新たな事業を始めるための資金を集めている可能性を示唆しており、成長の可能性をうかがい知ることができるでしょう。
5)従業員数
従業員数は、正社員と非正規社員の数を合計した数です。売上高や資本金とは必ずしも比例しませんが、企業規模を確認する際の一つの指標となります。社員数と表記している際は、正社員数のみを指していると考えましょう。
なお、小売業や飲食業といった人手を必要とする業界の場合、売上高に対して従業員数が多くなる傾向にあります。
そのため、従業員数以外の情報とも結びつけながら、企業理解を深めるようにしましょう。このような適切な企業理解によって、的確な志望動機を構築し、自己PRや志望動機に対して自信を持つことができます。
企業研究をもとに志望動機を書く方法
最後に、集めた企業情報をもとに志望動機を作成する方法をご紹介します。
STEP1:一言で魅力に感じているポイントを述べる
まずは企業研究シートで整理した情報から、あなたがどのような点に魅力を感じているのか、その根拠を簡潔に述べます。
STEP2:なぜ、どのように思うのか根拠を交えて述べる
先に述べた志望理由に至った理由について、エピソードや想いを交えつつ述べましょう。ここでは具体的かつ、あなたの価値観が伝わるよう意識しましょう。
STEP3:どのよう活躍したいのかを述べる
最後に、どのように自分自身が活躍できるのか、どのような将来像を描いているのかを述べます。志望動機で大切なのは、根拠を持ってその企業でなければならない理由があるかどうかです。説得力のある内容とするためにも、全体の一貫性を意識しつつ、将来像を考えてみましょう。
企業研究シートで調べた情報を志望動機に落とし込んだ例
企業研究シートで調べた内容
・主業種:人材サービス
・サブ業種:広告、出版、コンサルタント
~~~
・他社と比較した際の強み:親会社がプライム市場上場で体力がある。人材メディアも新卒・転職・アルバイトなど幅広く展開し、顧客の幅広い課題解決に対応できる。人材領域に強みを持つため、必然的にHR領域の強みや知見も持っている
・募集情報:働く人の立場に立って、何が最善かを考え抜くことができる方
一人ひとりの働きたい姿を尊重し、一緒に伴走できる方
志望動機へ落とし込んだ例
私は、貴社の事業理念でもある「まなぶとはたらくをつなぐ」や、一緒に課題解決に取り組むことができる貴社のビジネス職に魅力を感じております。
私は大学1年生の頃から家庭教師のアルバイトで、約30名の生徒に寄り添ってきました。数学や国語といった教科を教えるだけでなく、生徒たちの日常の悩みを聞いたりする中で、信頼関係を構築し、受検合格という目標に向けて伴走する経験をいたしました。この経験を通して、人材の成長を支援する人材領域に興味を持ち、サービスづくりという領域でより多くの「はたらく」を解決したいと考えております。
貴社に入社したあかつきには、アルバイトでの伴走経験も生かし、ユーザーの話を積極的に聞きながら、本質的に求められるサービスづくりや貴社の成長に貢献したいと考えております。
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