本コンテンツでは、自動車業界の識者にインタビューを行い、「自動車業界とは?」をはじめ、ビジネスモデル、業界動向、関連業界…など、自動車業界について徹底解説しています。
時間のない方でもサクッと業界を理解することができますので、毎日少しずつ業界研究を進めましょう。
目次
自動車業界とは?
自動車業界は、日本の全製造業における売上高の20%近くを占める巨大産業です。国内には世界販売で首位のメーカーをはじめ、複数の自動車(完成車)メーカーがあります。
自動車メーカーは、部品や素材を供給する膨大な下請け会社や系列会社を抱え、大きな雇用を生み出しています(自動車関連の就業人口は全製造業の8%以上)。さらには自動車の販売・整備・輸送など広範な関連産業もあることから「すそ野が広い産業」といわれています。自動車業界の市場規模は約60兆億円、機械業界の市場規模は約30兆円。いずれも日本の大きな輸出産業であり基幹産業です。
自動車業界の仕組みやビジネスモデル
自動車やバイク、バス・トラックの製造に関わる、完成車メーカー、部品メーカー、さらには販売会社、修理やメンテナンス、レンタカーやカーシェアなど、自動車に関連した各種サービスを含めて自動車業界を広く捉える場合があります。
ここではメーカーとしての企業を紹介します。
自動車メーカー
完成車メーカーとも呼びます。ピラミッド型といわれる自動車産業の頂点に当たります。新車を開発し、自動車部品メーカーから納品された部品を組み立てて、完成車を系列ディーラーに販売(卸売り)します。
自動車部品メーカー
1台の自動車には、数万点以上の部品が使われています。こうした部品類の製造を手がけているのが自動車部品メーカーです。
自動車部品メーカーには階層があり、自動車メーカーに直接部品を供給している部品メーカーをティアワン(Tier1)、ティアワンのメーカーに部品を供給している部品メーカーをティアツー(Tier2)といいます(ティアとは階層になった「段」のこと)。
かつては、特定の自動車メーカーだけに部品を納める系列取引が主流でしたが、近年は複数の自動車メーカーに部品を納めるメーカーが増えています。なかでも、グローバルな規模で自動車部品の製造・供給を行なっているティアワンの部品メーカーは「メガサプライヤー」と呼ばれ、存在感を増しています。
自動車業界の動向
2020年以降、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、国内外で多くの工場が止まり、新車販売台数が減少しました。今後の需要回復が期待されますが、半導体不足や東南アジアでの部品供給問題で車両を減産しているため、2019年の市場規模まで回復するのは2024年頃となる見通しです。
現在、自動車業界は「100年に1度の大変革」と呼ばれる時期を迎えています。なかでも大きな潮流は世界的なEVシフトです。
地球温暖化を加速させる二酸化炭素や人体に有害な物質を排出しないEV(電気自動車)への転換はすさまじい勢いで進み、2030年前後にはEVはガソリン車と同等の販売比率になる可能性も予想されています。
(出典:国土交通省・経済産業省『EV/PHV普及の現状について』P2)
すそ野が広いとされる自動車産業ですが、EVは部品点数がガソリン車に比べて少なく、自動車部品メーカーの一部は大きく影響を受けるとみられます。一方で、CASE(Connected:コネクテッド、Autonomous:自動運転化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)というワードに代表されるような、未来の自動車を構成するIT、電動化、通信などのソリューションが求められるため、電池やモーターのメーカー、ソフトウェア企業、情報通信企業との協業は一気に広がっていきます。
近年は、車の所有よりも移動手段としての価値を見出す人が増え、カーシェアリングのように車を所有せずに移動する「モビリティサービス」にも注目が集まっています。技術が進歩して完全なる自動運転車が誕生すれば、AIやloTの技術と融合し、これまでにはなかったサービスが生まれてくることでしょう。自動車業界は激変の時を迎え、新たなビジネスモデルを模索しています。
自動車業界の志望動機・自己PR作成時に押さえておきたいキーワード
●CPS: Cyber Physical Systems
「労働の機械化から判断の機械化へ」といわれています。CPSとは、「フィジカルシステム」=現実世界で、センサーシステムが収集した情報をサイバー空間で解析し、あらゆる産業へ役立てようという取り組みです。
こうしたAI やセンサーなど、デジタル技術を積極活用することで、製造現場の生産性や品質の向上などを目指すスマートファクトリーも拡大していくものと予測されています。自動車のセンサーが現実世界のさまざまな情報を収集し、AI・IT技術が分析したうえで、駆動系を動かす自動運転もまたCPSの活用事例です。
これまでのように人間の経験や勘ではなく、定量的な分析で課題解決していくCPSの概念は、自動車産業に限らず、ロボットやドローンなどあらゆる分野で取り入れられています。
●製造業のサービス化
従来のようにモノをつくるだけでなく、モノ+コトや、モノが生み出すコトに価値を置くビジネスモデルを「製造業のサービス化」といいます。これまでの製造業にとって、サービスは補完的・補足的な役割でした。自動車業界でいえば、修理やメンテナンスがそれにあたります。
しかし、近年は、製品にサービスを付加することで顧客価値を高めることが、自動車業界も含む製造業全般で重要な戦略となってきています。製品データの活用で「コト」をつくることが、製造業における競争優位の決め手になると考えられているからです。
たとえばTPMS(Tire Pressure Monitoring System) は、タイヤの空気圧や温度を監視し、異常を感知したら、直ぐにメールを送信するというサービスです。単にタイヤのパンク事故を防止するだけでなく、空気圧低下による燃費悪化を防止することで、顧客に安全・省エネという価値をサービスとして提供できるのです。
こうした製品に関連するサービスのほか、製品製造のノウハウ自体をサービスとして提供するなど、製造業のサービス化には多様な形があります。競合他社との差別化を図るため、製造業のサービス化はますます拡大していくものと考えられます。
自動車業界に向いている人
A. 柔軟性や適応力、多角的視野を持った人
時代の変化に対し、柔軟に対応できる柔軟性や適応力の高い人材は活躍しやすいでしょう。グローバルなビジネスも多いため、広い視野で物事を考えられることも重要です。
自動車業界を志すにあたり勉強しておきたい事柄
A. 変化が大きい業界のため、動向は押さえておきたい
主要メーカーの名前はもちろん、技術面でも経済的な面でも変化が大きい業界のため、業界の動向は知っておく必要があります。現在はもちろん、過去、未来の動向も勉強しておくとよいでしょう。
自動車業界の関連業界
自動車も含め、建設や家電などあらゆるものづくり産業に関わっている業界、それは機械業界です。工作機械、建設機械、重機をはじめ、多種多様な分野の機械メーカーがあります。
自動車メーカーと同じく、世界に大きなシェアを有する大手機械メーカーが何社も存在しています。市場規模の大きな業界ですが、ほとんどの製造業が景気動向に応じて設備投資を控えたり増やしたりするため、機械業界は国内外の景気変動の影響を受けやすいと言えるでしょう。
このような関連業界の動向やビジネスモデル、動向といった事柄をはじめ、自動車業界について押さえておくべき事柄など、現役大学生から挙がったするどい質問に識者が回答しています!
この質問に回答して下さった方
doda新卒エージェント事業部
キャリアアドバイザー
若林 龍一郎氏
大学卒業後、機械工具商社で7年間の営業経験を積んだ後、パーソルキャリアへ入社。現在はキャリアアドバイザーとして年間500名を超える学生様と会い、就活のサポートを行う。主に理系学生様を担当。メーカー技術職からITまで、専門的な領域はもちろん、商社・営業職まで幅広いご相談に応じる。
※プロフィールは取材当時の内容です
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