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物流業界の仕事内容や今後の動向。就活生が知るべきビジネスモデル

  • 業界・企業研究
  • 2020.11.01

インターネットで物を買うのが当たり前になった昨今、ニーズが高まり続けているのが物流業界です。増加する物流量に対して人手不足が課題とされていますが、ITテクノロジーの活用や、新しいビジネスモデルである「3PL」の拡大によって、物流各社は課題解決への取り組みを進めています。

本記事では、物流業界を目指している就活生や物流業界が気になっている就活生向けに、業界の特徴やビジネスモデル、主な職種や仕事内容などを解説しています。国内物流企業の売上ランキングや今後の動向にも触れていますので、ぜひ就職活動の参考にしてください。

目次

    物流業界の特徴とビジネスモデル

    物流業界は、「荷物を運んで運送料をもらう」のが基本的なビジネスモデルですが、これだけでは物流業界を理解したことにはなりません。物流業界の業務内容は、「輸送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」「情報管理」の6つの工程に分類されるのが一般的です。まずは、一連の流れを押さえておきましょう。

    物流業務の工程

    ▼保管

    荷主(荷物の送り主)から預かった荷物を適切な条件で輸送するために、倉庫に保管する業務です。荷物によっては輸送時期の調整が必要になるものもあり、届ける日まで適切に保管しておく必要があります。冷蔵や冷凍など、適切な保管方法で品質を保つことが求められます。

    ▼荷役

    トラックや貨車、船舶や航空機などの輸送機関への貨物の積み込み・積み下ろし、また保管倉庫への入庫・出庫をおこなう作業を荷役(にえき/にやく)と言います。輸出入品などの場合は、通関手続きも荷役業務に含まれます。

    ▼流通加工

    荷主のニーズに合わせて、「ラベル貼り」「値札づけ」「箱詰め」「商品のセット組み」などの加工をおこなう業務です。

    ▼包装

    梱包材を使って荷物を包む業務です。近年は、環境保全のためにリサイクル・リユースが可能な梱包材が使われるケースが増えています。

    ▼輸送・配送

    出荷準備のできた荷物を、トラックや貨車、船舶や航空機などの輸送機関で運ぶ業務です。物流センターなどの拠点まで運ぶ工程を「輸送」と言い、拠点から最終目的地に運ぶ工程を「配送」と言うのが一般的です。

    ▼情報管理

    IT技術を活用して「輸送中の荷物がどこにあるのか」を追跡したり、輸送経路や温度・湿度・衝撃などの状況を記録・管理したりする業務です。輸送状況をビッグデータ化して分析することで、輸送ルートの最適化や輸送品質の向上につなげます。

    物流業務の効率化を実現する「3PL」

    近年、物流業界では「3PL(3rd Party Logistics)」というビジネスモデルが全盛になっています。3PLは、端的に言えば「物流一括受託」のこと。物流企業が荷主企業に対して物流業務の改善を提案し、企業活動にまつわる物流を一括して請け負うことを言います。

    従来の物流は、工場から倉庫までの輸送、保管、在庫管理、流通加工、配送などをそれぞれ別の業者に委託するのが一般的でした。3PLの場合は専門業者が全工程を一括して請け負うため、物流に要するコストや時間を大幅に削減できます。それだけでなく、荷主企業は物流にかかる様々な業務から解放されるため、商品開発や販売促進などの活動に専念でできるようになります。

    物流業界の職種と仕事内容

    法人営業

    法人顧客から物流に関する課題・要望をヒアリングして、3PLなど、自社の物流サービスを提案する職種です。「自社の物流サービスを利用することで、どんなメリットがあるのか」「他社の物流サービスと何が違うのか」といったポイントを訴求して契約獲得を目指します。

    管理・オペレーション

    荷物の入荷、保管、出荷など、物流業務の管理をおこなう職種です。荷主にとって最適な輸送ルートを選択し、輸送機関の貨物スペースを確保。配送スケジュールの調整や人員配置などもおこないます。

    ドライバー

    実際に荷物を運ぶ役割を果たす作業員のことで、陸運のトラックドライバーのことを指すのが一般的です。担当エリアのお客様に商品を宅配したり、集荷をおこなったりします。

    物流業界をとりまく課題と今後の動向

    物流業界はかねてから人手不足に悩まされていましたが、それに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスの流行でした。

    新型コロナウイルスの流行によってテレワークが拡大し、外出自粛が要請されました。これにより、いわゆる「巣ごもり需要」が生まれ、オンラインで買い物する人が急増。その結果、物流量が大幅に増加して、物流各社は既存の人員では手が回らない状況に陥りました。配送遅延やドライバーの負担増などのニュースを耳にした人も多いでしょう。

    今後、物流量はますますの増加が見込まれていますが、人員を増やすことだけが人手不足を解決する手段ではありません。物流業界では、IT技術の活用やオートメーション化による作業効率化など、人員不足を補う取り組みが活発になっています。

    IT技術の活用によるスマートロジスティクスの実現

    物流業界では、増大する物流量に対応するため、国と民間企業が力を合わせてITテクノロジーの利活用を模索しています。経済産業省の資料では、物流業界におけるIT利活用の例として、下記のような取り組みが掲載されています。

    ▼最適なサプライチェーンの構築、運用管理

    ・販売履歴や気象データなどを分析して、需要を予測
    ・IoT活用した在庫情報の共有による、生産計画の精度向上

    ▼新輸送モデルの構築、運用管理

    ・GPSやテレマティクス(※1)、ETC2.0(※2)などの活用による車両情報(位置情報、積載率、実車率など)の入手
    ・隊列走行、自動走行の実現による幹線高速道路物流システム
    ・ラストワンマイル配送システム(ドローン宅配、宅配ボックス、物流版ウーバーなど)

    ※1 カーナビのように自動車などの移動体に通信システムを搭載し、リアルタイムに情報サービスを提供する仕組み
    ※2 料金決済だけでなく、道路情報と連動して様々なサービスを受けられる次世代型ETC

    ▼物流拠点内作業の自動化と作業改善

    ・完全無人物流センターの実現
    ・ロボットによるピッキングや荷揃えの完全自動化
    ・ウェアラブル端末、パワースーツ、ロボット台車の活用

    ※ 参考:経済産業省「IT利活用分野について(物流分野)」

    このように、物流業界は今、IoTやAI、ビッグデータを活用することにより、人手不足の解消だけでなく、生産性の向上や新たな価値の創出を目指しています。

    「サプライチェーンマネジメント(SCM)」において物流が果たす役割

    メーカーは、調達した原材料や部品を使って商品を製造します。完成した商品は卸売業者や小売業者などを経て、消費者のもとに届きます。この一連の流れは、「サプライチェーン」と呼ばれます。

    サプライチェーンマネジメント(SCM/Supply Chain Management)とは、調達 → 製造 → 生産 → 流通 → 小売を経て消費者に届くまでのプロセスを1本のチェーン(鎖)と捉え、供給体制の全体最適化を図る手法のこと。今、サプライチェーンマネジメントを導入する企業が増えています。

    サプライチェーンマネジメントの目的は、サプライチェーン全体を通して一貫した戦略をおこなうことで供給体制における無駄を排除し、顧客満足度の向上や経営効率化を図ることです。企業がサプライチェーンマネジメントを導入するうえで、サプライチェーンの大部分を担っている物流業界が果たす役割は大きく、物流業界に大きな期待が寄せられています。

    物流業界の売上ランキング

    物流業界における売上高ランキング「上位3位」の企業をご紹介します。

    1位 日本通運

    日本通運は、物流業界の最大手。陸運・海運・空運のすべてをカバーし、自動車や鉄道、船や航空機などの重量・大型品輸送、美術品輸送、動物輸送、大規模事業所移転、国際輸送など、ありとあらゆる輸送に対応しており、「日通で運べない物はない」と言われるほど高い信頼性を誇っています。全国に1,000を超える支店・営業所を展開し、海外にも多くの拠点を持つ、日本を代表するグローバル企業です。

    2019年3月期の売上高(連結)は、2兆1,385億100万円です。

    2位 日本郵船

    日本郵船は、海運業界の大手企業。三菱財閥の源流の企業として130年以上の歴史を持ち、日本の経済成長に貢献してきました。日本初の株式会社としても有名です。総合物流企業として陸・海・空にまたがる物流網を提供。国際的な海上運送業を主とした総合物流事業および不定期船事業、一般貨物輸送事業、不動産業、客船事業などをおこなっています。

    2020年3月期の売上高(連結)は、1兆6,683億5,500万円です。

    3位 ヤマトホールディングス

    宅配便のシェアNo.1である「クロネコヤマトの宅急便(ヤマト運輸株式会社)」などを傘下に持つヤマトHD。物流業界を牽引するリーディングカンパニーです。宅急便のデリバリー事業以外にも、企業間の物流を扱うBIZ-ロジ事業や、生活空間に踏み込んだサービスを提供するホームコンビニエンス事業、情報システム開発をおこなうe-ビジネス事業など、幅広い事業を展開しています。

    2020年3月期の売上高(連結)は、1兆6,301億4,600万円です。

    物流業界に向いている人の特徴

    物流業界に向いている人の特徴としては、主に以下の点が挙げられます。

    ITなどの先進テクノロジーに興味のある人

    物流業界では、IoTを活用して荷物を追跡したり、AIやビッグデータを活用して在庫管理を最適化するなど、ITテクノロジーの導入が進んでいます。

    物流業界で働く人は、先進技術を取り入れ、時代の流れに対応していく必要があります。ITなどの先進テクノロジーに興味がある人や、柔軟に新しいものを取り入れられる人は、物流業界に向いていると言えるでしょう。

    「物の流れ」に興味がある人

    「身の回りの物が、どんなルートを辿って、どのように運ばれてくるのか」ということは、意外と消費者の目線からでは見えにくいものです。

    物流業界の仕事では、様々な物の輸送業務に携わります。企業によっては、輸出入品の通関業務をおこなう場合もあります。世の中の「物の流れ」が手にとるように分かるのは、物流業界で働く大きなメリットだと言えるでしょう。「物の流れ」に興味があり、物の流れを通して世の中を知りたいと考える人は、物流業界に向いています。

    「社会を支えたい」という使命感のある人

    食料品にせよ日用品にせよ、私たちが欲しい物を欲しいときに買えるのは、物流が機能しているおかげです。物流が止まってしまえば、私たちの生活も社会もたちまち混乱に陥ってしまいます。新型コロナウイルスの流行で、多くの人が「物流の大切さ」にあらためて気付かされたのではないでしょうか。

    エッセンシャルワーカー(社会で必要不可欠な仕事を担う人)として社会を支えたいという使命感のある人は、物流の仕事は適職と言えるでしょう。

    丁寧で几帳面な人

    物流の仕事では、会社や個人の「荷物」を預かります。業務効率化が課題とされる業界ですが、荷物を大切に扱う丁寧さが失われてしまってはいけません。また、誤配送などのトラブルも顧客の信頼を低下させてしまいます。

    現場で荷物を取り扱うときも、倉庫で整理整頓をするときも、オフィスで事務作業をするときも、細やかな配慮が必要です。性格的に丁寧で几帳面な人は、物流業界に向いていると言えるでしょう。

    まとめ

    物流業界と言うと、「ガテン系」のイメージを持つ人もいるかもしれません。ですが、そういったイメージは今の物流業界には当てはまりません。今、物流業界は「スマートロジスティクス」へと舵を切りはじめています。新しいテクノロジーを活用して社会のインフラを支えていきたいという人は、ぜひ物流業界にチャレンジしてみましょう。

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