今回は、インフラ業界全体の概要や、具体的な業種・職種についてご紹介します。
「インフラ業界」と一言でいっても、電力や交通関連企業などさまざまな業種があります。
この記事では、インフラ業界への就職を検討している方はもちろん、まだ業界を絞り込めていない方に向けて、手掛かりとなる内容をまとめました。インフラ企業を深掘りしながら、業界研究を進めていきましょう。
目次
この記事の監修者
doda新卒エージェント事業部
キャリアアドバイザー
田中 愛友美さん
大学卒業後、スポーツイベントの企画・運営会社へ入社を経て、ベネッセi-キャリアへ入社。
IT領域や理系出身者のキャリアアドバイザーを得意とする。
丁寧なカウンセリングを通して、ご自身では言語化が難しい強みを引き出し、可能性を広げるアドバイスを心がけている。
インフラ業界とは?業界の特徴や代表的な業種
インフラ業界は、電力や交通・通信など、私たちの生活基盤の根幹を支えている企業で構成されています。
地域の電力会社や電話会社・鉄道会社などが、インフラ業界を代表する企業です。
インフラ業界の特徴
インフラ業界には、次のような特徴があります。
- 社会基盤を支える重要なサービスを提供している
- 高い安定性と公共性がある業種が多い
- 多様な職種があり、専門性が高い仕事に就けることも多い
- グローバルに活躍できる企業もある
ただし、インフラ業界の企業全てに上記のような特徴があるわけではありません。業界への漠然としたイメージだけで判断するのは危険です。
就活では、業種の特徴や事業内容・将来性などは必ずチェックするようにしましょう。
インフラ業界の代表的な業種
インフラ業界には、さまざまな業種が存在します。
インフラ業界の代表的な業種
- 電力・エネルギー
- 交通・運輸
- 通信
- 水道・ガス
それぞれ、業種ごとにどのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。
■ 電力・エネルギー
インフラ業界の代表的な業種の一つに「電力・エネルギー」があります。
電力・エネルギーの代表的な企業
- 地域電力会社(東京電力、関西電力など)
- 民間の発電事業者(火力、水力、原子力、風力、太陽光など)
- 再生可能エネルギー事業者
- 電力小売会社
地域の電力会社や発電事業者などは、電力・エネルギー関連の代表的な企業です。
最近ではSDGsの観点から再生可能エネルギーの利用にも注目が集まっています。地球環境の保護などに関われる点は、他業界にはない特徴といえるでしょう。
電力やエネルギーを扱う企業には、技術者はもちろん、営業やマーケティング担当など多種多様な職種があります。国や自治体と交渉する機会もあるため、配属部署によってはスケールの大きな仕事ができるのも、インフラ業界ならではのメリットです。
「社会基盤を支える仕事がしたい」「地球温暖化など社会問題の解決に少しでも関わりたい」と思うなら、ぜひインフラ業界の中身を詳しく調べてみるとよいでしょう。
【参考記事】
dodaキャンパス 【エネルギー業界とは?】業界動向や仕組み、押さえたい用語まで…徹底解説!
■ 交通・運輸
交通や運輸関連も、インフラ企業の一つです。鉄道会社など、人やモノの移動を支える企業で働けることは他業界にはない特徴といえます。
交通・運輸の代表的な企業
- 民間の鉄道会社(JR東日本、小田急電鉄など)
- 国内外の航空会社(JAL、ANAなど)
- バス運行会社(東急バス、阪急バスなど)
- 運輸会社(日本郵船、商船三井、日本郵便など)
交通や運輸企業にも、多種多様な職種があります。運行管理や保守などの仕事はもちろん、AIやGPS技術など、最新の技術に触れられる職種もあります。
ただし、交通や運輸企業で働く人全てが最新の技術に触れられるわけではありません。「地道な仕事によって支えられている業界」という点は覚えておきましょう。
■ 通信
固定電話やインターネットサービス事業者など「通信に関わる企業」も、代表的なインフラ企業の一つです。
通信に関わる代表的な企業
- 電話サービスを提供する会社(NTT、KDDIなど)
- 携帯電話事業者(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、MVNO*など)
- インターネットサービス事業者(NTT、KDDI、ソフトバンクなど)
通信分野は市場規模も大きく、5GやAIの進化・DX化の推進などにより注目度が高まっています。便利でスピードの速い通信サービスを提供するだけではなく、最近では「スマートシティ」や「遠隔医療」など、新たな社会インフラにも最新の通信サービスが活用されています。
「社会貢献に関われる」「最新技術に触れられる」ということから、注目度の高い業種の一つといえるでしょう。
通信関連の企業には、通信ネットワークの設計や運用管理など、技術分野での仕事だけではなく、マーケティングや営業・カスタマーサポートなど、さまざまな職種があります。
*MVNO:Mobile Virtual Network Operatorの略。携帯電話などの物理的な移動体回線網を自社で保有し、自社ブランドを持つ事業者から通信回線を借り、サービスを提供する事業者
■ 水道・ガス
水道やガスも重要なインフラの一つです。
代表的な業種としては、自治体が運営する水道局やガス供給会社などがあります。水道関連の団体やガス供給会社は、生活基盤を支える重要な役目を担っており、公共性の高い業種といえるでしょう。
水道・ガスに関わる代表的な団体
- 地方自治体が運営する水道局
- 民間のガス供給会社(大阪ガス、東京ガスなど)
- 水処理設備の設計や建設などを手掛ける企業
- 浄水や下水処理技術を提供する企業
地道で堅実なイメージがある業種ですが、「地域社会を支えている」という実感が得られるのも、水道・ガス関連団体ならではの特徴といえるでしょう。
インフラ業界の年収
インフラ業界の年収についても、詳しく見ていきましょう。
下記は、国税庁の調査データから引用した「業種別平均年収」のグラフです。
「運輸、通信、公益事業」など、インフラ企業の平均年収は約551万円で、国税庁の業種別年収の比較では3番目に高い結果となっています。
インフラ業界は公共性の高いサービスを提供することが多く、「景気の影響を受けにくい」という背景もあるのでしょう。
【国税庁公式サイトより 業種別平均年収】
(引用元:国税庁「平均給与│〔業種別の平均給与〕」)
インフラ業界の具体的な職種と仕事内容
さきほどご紹介した「インフラ業界の代表的な業種」でも触れた通り、インフラ業界には多種多様な職種が存在します。
技術職のイメージが強いインフラ業界ですが、マーケティングやカスタマーサポート、営業などの職種もありますので、自分の強みを生かせる仕事がないかチェックしてみましょう。
エンジニア
エンジニアは、インフラ業界の代表的な職種の一つです。インフラ業界のエンジニアは、主に電力や通信・交通などの設備設計、構築、保守を行うのが仕事です。
電力の送電網の管理や、設計保守はエンジニアの仕事です。通信企業のエンジニアなら、モバイルネットワークの構築や光ケーブルの設計や管理なども担当します。
インフラ業界のエンジニアには、高い技術力と安定したサービスを届けることが求められ、強い責任感も必要です。一方で「人々の生活や経済活動を支えている」など、大きなやりがいを感じられる仕事ともいえるでしょう。
マーケティング
マーケティング担当は、市場調査や分析を行い、顧客ニーズに合ったサービスを企画したりプロモーションを実施したりするのが仕事です。
最近は、電力や通信分野での競争が激しくなっています。市場や競合の状況を分析し、他社と差別化したサービスを提供するなど、戦略立案もマーケティング担当の仕事といえます。
マーケティングは、ユーザーニーズはもちろん、自社サービスの内容や競合他社の動向なども理解しておく必要があり、広い視野が求められる仕事です。社内では、営業やコールセンターなど他部署と連携することも多く、協調性と高いコミュニケーション能力が求められる仕事ともいえます。
カスタマーサポート
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに対応し、サービスの利用方法を説明したり、トラブル解決のサポートをしたりするのが仕事です。
インフラ業界が提供するサービスは、電力や通信に代表されるように、トラブルが起きると生活に大きな支障を来します。電話できめ細かなサポートができるカスタマーサポートは、今後ますます必要とされる仕事といえるでしょう。
施設管理者・技術管理者
施設管理者・技術管理者は、インフラ施設の運用や保守、安全管理を担当するのが仕事です。
技術管理者は、設備の定期点検やメンテナンスはもちろん、緊急時の対応なども行うため、高い技術力や問題解決能力が求められる仕事といえます。
財務・経理担当者
財務や経理の担当者は、インフラ企業で予算管理や財務管理などを行うのが仕事です。
ただし、新卒社員が入社直後から、財務や経理などの専門部署に配属されるケースは稀です。財務や経理の仕事に興味があるなら、入社後に数々の部署を経験し、キャリアを積み重ねてからチャレンジしてみるとよいでしょう。
操縦士・整備士
交通や運輸の業種で、操縦士*や整備士などの職種に就く場合もあります
操縦士は多くの乗客・乗員の命を預かります。そのため、的確な判断力や高い責任感、協調性が求められます。また、整備士は地道なイメージがありますが、公共交通機関や飛行機などでの事故を防ぐ大切な役割を担います。きちょうめんで強い責任感が求められる職種といえるでしょう。
*操縦士とは……輸送機(飛行機や船舶)、専門機械などの操作を行う人
営業
インフラ業界における営業職は、企業や個人に対してサービスを提案したり、契約を締結したりするのが仕事です。電力会社であれば一般家庭はもちろん、法人相手に営業をする場合もありますし、海外の取引先と交渉する場合もあります。
通信関連の企業は他社との競争も激しいため、強い営業力が求められます。一方、自治体などを相手に大規模なプロジェクトを担当することもあり、スケールの大きな仕事ができるのもインフラ営業の特徴といえます。
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インフラ業界の将来性や魅力
インフラ業界には「安定している」「高い技術が求められる」など、さまざまなイメージを持つ方も多いでしょう。
インフラ業界の将来性や働く魅力などについても、詳しく見ていきたいと思います。
インフラ業界の将来性
インフラ業界を構成する業種には、再生可能エネルギー、スマートシティなどに関係が深い企業が多いのが特徴です。地球温暖化など将来のリスクを考えると、再生可能エネルギーなどの需要は高く、インフラ業界の将来性も明るいといえるでしょう。
2023年6月に資源エネルギー庁が発行した資料「今後の再生可能エネルギー政策について」を見ても、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーの安定供給を目指す方針が打ち出されています。
交通関連の事業では、高齢者社会にも対応できる交通ネットワークの構築や、AIを活用したモビリティサービスなど、新時代の交通システムにも注目が集まっています。
(参考:首相官邸ホームページ「成長戦略ポータルサイト│モビリティ」)
インフラ業界で働く4つの魅力
インフラ業界には次の4つの魅力があります。
- 魅力1:社会貢献度が高い
- 魅力2:安定性が高い
- 魅力3:最新の技術に触れられる
- 魅力4:多様なキャリア形成ができる
人の生活に欠かせないインフラ業界での仕事は、「誰かの役に立ちたい」と考えるタイプの人に向いている仕事といえます。
■ 魅力1:社会貢献度が高い
社会貢献度が高い仕事ができる点は、まさにインフラ業界ならではの魅力といえるでしょう。
電気や通信など日々の生活を支える仕事に携われることはもちろん、再生可能エネルギーなど地球環境問題にも関われることは、業界特有の特徴といえます。
■ 魅力2:安定性が高い
電力や交通などのインフラサービスは、景気の状況にかかわらず常に必要とされるため、「業界そのものが比較的安定している」という点も魅力の一つです。
中には地方自治体が関係しているインフラ企業もあり、収益性や雇用面の安定度は高いといえるでしょう。
ただし、インフラ業界とはいえ民間企業も多く、企業が永遠に事業運営できる保証はありません。インフラ業界で企業選びをする場合は、事業内容や将来性を調べ、インターンシップでOBやOGの声を聞くなど、自分なりにリサーチしてみることをおすすめします。
■ 魅力3:最新の技術に触れられる
最新の技術に触れられる点も、インフラ業界で働く魅力の一つです。
特に交通や通信を取り巻く技術環境は、日々目まぐるしく変化しています。わかりやすいところでは、AIや高度通信技術を活用した自動運転などが顕著な例です。
ただし、インフラ業界に就職したからといって、必ず最新の技術を扱う職場で働けるとは限りません。配属される部署によっては地道な業務を担当するケースもあるため、ざっくりと「インフラ業界全体は技術革新が進んでいる」程度で捉えておくといいでしょう。
■ 魅力4:多様なキャリア形成ができる
インフラ業界の事業は広範囲にわたるため、多様なキャリア形成ができる点も魅力です。
職種は「技術、品質管理、マーケティング、営業」など多岐にわたるため、さまざまな経験が積めます。また、一部のインフラ企業では国際的なプロジェクトに携わる機会もあり、グローバルなキャリアを築くことも可能です。
しかし、インフラ企業には多彩な職種があるため、「自分に合う職種はどれなのかよくわからない」と迷うこともあるでしょう。
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インフラ業界に向いている人の3つの特徴
インフラ業界に向いている方の特徴についても見ていきましょう。
公共性の高い仕事が多いインフラ業界では、特に責任感と倫理観が大切です。
- 論理的思考にたけており分析力が高い
- 責任感と高い倫理観にあふれている
- 多様性を理解しグローバル社会で働ける耐性がある
担当する案件によっては、ステークスホルダーも多く、さまざまな交渉、調整などが発生します。
ガクチカや自己PRなどでも、板挟みになりながらもやり抜いたタフさ、集団をまとめ上げた経験、納期に間に合わせるために奔走したエピソードなどがあればアピールにもなりますし、そういった場面にやりがいを感じられる方がご活躍される業界でしょう。
1)論理的思考に長けており分析力が高い
論理的思考や分析力にたけている人は、インフラ業界に向いているといえるでしょう。
特に技術職として働く場合は、消費者の利用状況や設備運用に関するデータを分析し、安定したサービスを提供することが求められます。
論理的思考があれば、問題が発生したときでも素早く対応できますし、新サービスを開発するときには計画立案から参画できることも多いでしょう。
2)責任感と高い倫理観にあふれている
責任感と高い倫理観にあふれている方も、インフラ業界に向いています。
電力や通信サービスの提供においては、安全性と信頼性が何よりも優先されるため、一人ひとりの責任感が重視されます。
また、企業によっては公共インフラに携わることも多いため、常に倫理的な判断が求められるでしょう。
3)多様性を理解しグローバル社会で働ける耐性がある
インフラ業界では、海外企業を相手にサービスを提供することがあります。多様性を理解できる人であれば、異なる背景を持つメンバーとも協力できるでしょう。
海外・国内を問わず、多様性を理解し尊重することは、全ての企業で働く上で大切なことです。
インフラ業界に就職するために、いまからやるべきこと
インフラ業界への就職に興味があるなら、いまからでも下記4つのことを意識してみましょう。
- 自己分析で自分に適した業種や職種を見極める
- 最新の技術に興味を持つ
- 多言語の資格を取得する
- インターンシップや業界イベントに積極的に参加する
インフラ業界で活用できそうな資格取得もおすすめですが、資格取得が全てではありません。「目標に向かって努力すること」や「興味があることに積極的にチャレンジする姿勢」が大切です。
自己分析で自分に適した業種や職種を見極める
「インフラ業界に興味はあるけど、どんな業種がよいのかわからない」「自分の性格に合う職種は?」など目標が定まらないなら、自己分析から始めてみましょう。
興味があることや、これまで学生時代に頑張ったことなどを書き出していくと、自分の適性が見えてきます。
「dodaキャンパスの『自己分析ワークシート』」では、これまでの自分の活動を振り返ることで、自分の長所を分析できます。意外な自分に気付けることもあるため、ぜひ一度ダウンロードしてみましょう。
最新の技術に興味を持つ
インフラ業界を取り巻く、最新の技術に興味を持っておくことも大切です。
「再生可能エネルギー」「スマートシティ」「IoT」などの情報は、インターネットからでも閲覧できます。新聞やニュースなどで発信される関連記事を積極的に読んでおけば、入社後の研修でも理解しやすくなるでしょう。
【参考】経済産業省資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」
【参考】内閣府「スマートシティガイドブック第2版(2023年8月10日公開)」
多言語の資格を取得する
インフラ業界の企業によっては、外国にもサービスを提供しているケースがあり、多言語の勉強をしておくことは業務上プラスになります。
社内で外国人と一緒に働くこともあるため、語学知識はコミュニケーションを取る上でも必要なスキルといえるでしょう。
インターンシップや業界イベントに積極的に参加する
興味がある企業のインターンシップや、業界のイベントに参加するのもおすすめです。
インターンシップでは、企業のWebサイトなどだけではわからない情報も得られますし、なによりも実際の業務に携われるのは貴重な体験です。OBやOGの「生の声」が聞けるのも、インターンシップならではのメリットといえます。
資源エネルギー庁や地方自治体が開催しているイベントや、地方自治体が行うイベントに参加するのもおすすめです。いくつかの関連サイトもご紹介しますので、ぜひチェックしてみましょう。
【参考】資源エネルギー庁 イベント
※2024年3月現在、2024年度のイベントは公開されていません。
【参考】「未来を乗りにおいでよ。次世代モビリティのまち体験」(主催:東京都/Digital Innovation City協議会)
※2024年3月現在、このイベントは終了しています。
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