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不動産業界とは?業界の仕組み、仕事内容、現状と今後の展望

  • 業界・企業研究
  • 2024.05.16
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不動産業界には、土地やマンションなどの不動産物件を取り扱う企業だけでなく、建物や住宅の建設・建築を行う企業や、都市の再開発などまちづくりを手掛ける企業もあります。

今回は、そんな不動産業界の仕組みや主な業種・仕事内容、向いている人の特徴についてご紹介していきます。

目次

    この記事の監修者

    株式会社ベネッセi-キャリア
    doda新卒事業本部
    キャリアアドバイザー

    岩佐 優花氏

    新卒で不動産会社へ入社。現在はキャリアアドバイザーとして、不動産領域だけでなく幅広い業界を担当。「こんなこと伝えて大丈夫かな?」と不安を持つ学生様に寄り添い、希望だけでなく不安についても丁寧にカウンセリングを実施。相互コミュニケーションを重視したキャリアアドバイスを行う。

    不動産業界の仕組み

    不動産業界は、土地やビル・商業施設・住宅などの建物の建設・利用に携わる業界を指します。広義の不動産産業という意味合いで、道路・ビルの建設などを行う建設業や都市の再開発などを行う業種も含まれますが、不動産業と建設業を分けて考えるケースもあります。

    不動産業界のビジネスは、「設計」「建設・施工」「流通(販売・賃貸)」「管理」などの分野に大別されます。主な業種としては、ゼネコン、デベロッパー、工務店、住宅メーカー、ビル・ マンション管理会社などが挙げられます。「扱う商材とプロジェクトの規模が大きい」という特徴があるため、業種によっては、企画・提案から受注までの間に数年を要することも珍しくないでしょう。

    不動産業界の主な業種とビジネス

    不動産業界の主な業種と役割について解説していきます。どのような業種・ビジネスがあるのか把握していきましょう。

    デベロッパー

    デベロッパー(Developer)とは、マンションやビルからまちづくりまで、幅広く不動産を「開発」する専門事業者を指します。

    代表的なビジネスとしては、都市の再開発事業、リゾート開発、大型商業ビルの開発、大規模な宅地造成、マンション開発などが挙げられます。企画・開発から用地の仕入れ、広告宣伝、販売まで一貫して行い、オフィスや商業施設のテナントの賃貸を手掛けるケースもあり、その売却益や利用料を事業利益としています。

    デベロッパーには、特定の領域に特化した専門デベロッパーと複数領域を幅広く扱う総合デベロッパーがあります。一般的にはデベロッパーが事業を主導する発注側で、ゼネコンが受注する側となりますが、大手企業の場合は共同で開発しているケースもあります。

    ゼネコン

    ゼネコン(General Contractor:ゼネラルコントラクター)は、デベロッパーなどの発注者から規模の大きな建築物の工事一式を請け負う総合建設会社のことをいいます。

    ゼネコンの中でも、年間の単体売上高が1兆円を超える企業は「スーパーゼネコン」と呼ばれています。ゼネコンの仕事は、基本的に「施工管理」であり、工事そのものは専門の業者に発注して、工事全体を取りまとめる役割を果たします。また、デベロッパーからの依頼で、建築予算の見積もり、建築工事の進行を担うケースもあります。

    ハウスメーカー

    一般的には、住宅の建築・販売を主に手掛け、広域なエリアで事業を展開している大手の住宅建設会社をハウスメーカーと呼びますが、明確な定義付けはされていません。

    ハウスメーカーは、自社で住宅の企画を行うだけでなく、建築資材の生産設備を持ち、工業化・規格化することで、注文住宅の大量生産を行います。また、土地の取得と宅地造成を行い、建売住宅を販売している会社や、リフォーム事業、賃貸事業などを展開している会社もあります。

    各地に営業拠点を置き、全国規模で展開している会社も少なくはありません。

    不動産仲介事業者

    不動産仲介事業者は、土地・建物・物件などの販売・賃貸を主な事業としています。「売主・買主」「貸主・借主」を仲介し、不動産の売買契約や賃貸契約を成立させ、契約締結の成功報酬として手数料を得るビジネスです。

    基本的には、売主・貸主となる不動産オーナーから委託を受け、買主・借主となる個人・法人に向けて広告を展開し、販売・営業活動を行って契約に導きます。販売または賃貸に特化している会社もあれば、どちらの事業を展開している会社もあります。

    また、大規模な新築物件の場合、デベロッパーが土地を仕入れ、ゼネコンやハウスメーカーと協力しながらマンションや一戸建て住宅、ビルなどを建て、それをデベロッパー自身、あるいはハウスメーカーが個人・法人に販売するケースもあります。

    不動産管理

    不動産オーナーからマンションやビルの保守・管理を請け負っているのが不動産管理会社です。

    マンションの管理組合の運営サポート、入居者の要望への対応、設備の故障などの修理手配など、管理会社の仕事は多岐にわたります。また、管理する物件は住まいに限らず、土地・駐車場などの管理を受託するケースもあります。

    販売・賃貸事業を展開している不動産仲介事業者が管理まで担っているケースもあり、魅力的な物件とするためのリフォーム企画や施工管理まで手掛ける会社もあります。

    不動産投資・運用会社

    不動産投資・運用会社は、投資目的の不動産の販売や運用を事業としています。投資家に向けた物件の企画・開発、販売を手掛け、投資物件の賃貸運用や売却サポートなども行います。

    個人投資家に向けたマンション物件に特化している会社もあれば、オフィスビルや商業施設などの収益不動産に対して、自社や自社が運営するファンドを通じ、投資や運営管理を行う会社もあります。

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    不動産業界の市場規模や課題

    不動産業界の市場規模

    国土交通省が発表した「国土交通白書2023(※1)では、「不動産業は、全産業の売上高の3.4%、法人数の12.8%(令和3年度)を占める重要な産業の1つである」と記載されています。

    不動産業界の市場規模は、財務省の調査(※2)によれば、2022年度の売上高は「46兆2,682億円」となりました。これを含め、直近5年の売上高を見ると、新型コロナウイルス流行による大きな影響を受けた2020年度は「44兆3,182億円」とさらにマイナスに転じましたが、その翌年の2021年度には「48兆5,822億円」と大きくプラスに推移しています。

    2022年度の売上高は「46兆2,682億円」と前年比マイナス4.8%となっていますが、不動産業界の市場はおおむね堅調といえるでしょう。

    (財務省のデータよりdodaキャンパス編集部にてグラフを作成)

    (※1)「国土交通白書2023」国土交通省
    https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004.html

    (※2)「年次別法人企業統計調査(令和4年度)」財務省
    ttps://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r4.pdf

    不動産業界の現状と課題

    不動産業界の市場規模は、少子高齢化と人口減少の影響から全体的には縮小傾向にあるといえますが、都市部においては不動産価格の高騰が続いています。

    コロナ禍の中でテレワークが浸透するなど、人々の働き方に変化が起こり、特にマンションや小規模オフィスの需要は伸びています。また、リノベーション需要も伸びている傾向にあります。

    ■ 新築住宅の着工数は増加傾向

    新築の住宅着工件数は増加傾向にあり、国土交通省が発表した「建築着工統計調査報告(令和4年計)」(※1)によれば、2022年の新設住宅着工戸数は 85万9,529戸で、前年比0.4%増となり、2年連続で増加しています。

    そのうち、持ち家は 25万3,287戸で前年比11.3%減となりましたが、貸家は 34万5,080戸で前年比7.4%増、分譲住宅は 25万5,487戸で前年比 4.7%増と、いずれも伸びています。

    (画像引用元:「建築着工統計調査報告(令和4年計)」国土交通省より)

    (※1)「建築着工統計調査報告(令和4年)」国土交通省
    https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha22.pdf

    ■ 少子高齢化と人口減少による市場縮小が課題

    不動産を購入する年代の中心は、稼働年齢層や若年層のため、今後さらに少子高齢化による人口減少が進むことで、市場が縮小していくことが予想されています。

    また、地方においては若い世代の人口減少が問題視されています。国土交通省が発表した「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」(※)」によれば、空き家の総数は2025年には420万戸、2030年には470万戸程度と推計されています。国土交通省では下図のグラフのように、2030年の空き家数を400万戸程度に抑えることを目標として掲げています。

    空き家を活用して都市部からの「移住」を促進するなどの動きも出ていますが、空き家問題にどう取り組むのかも課題となっています。

    (画像引用元:「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」国土交通省P6より)

    (※)「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」国土交通省
    https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001518774.pdf

    ■ 不動産業界のDX化

    不動産業界ではIT化の遅れなども指摘されており、AIを使った不動産査定やIoTや VRを利用したバーチャル内覧など、今後 本格化するDXによる生産性やサービス向上への期待が高まっています。

    不動産業界の今後の展望

    不動産業界の今後の展望として、直近の動向を解説していきます。

    リノベーション需要の増加

    不動産業界では、住宅のリノベーション需要が増加している傾向があります。

    新築マンションの建設を手がけていた大手不動産会社においても、リノベーションやリフォーム事業などに乗り出し、中古物件を改築・改装することで価値を向上させるビジネスをグループで展開しているケースが増えています。

    日本における住宅ストック数はすでに充足している状況にあるため、今後の少子高齢化などを踏まえると、今後はリノベーション市場がさらに拡大していくことが予想されます。

    投資型不動産

    不動産証券化(※1)というスキームを用いた不動産投資市場は、近年拡大傾向にあります。

    国土交通省が発表した「不動産証券化の実態調査」(※2)によれば、2022年度末時点において、不動産証券化の対象となった不動産または信託受益権(※3)の資産総額の推計は約53.3兆円となっており、直近8年の間に右肩上がり に伸びています。

    近年では若年層が不動産投資に意欲的になっている状況もあり、若年層向け投資不動産を中心に提供する企業なども登場しています。

    (国土交通省「不動産証券化の実態調査」のデータをもとに編集部にてグラフは作成)

    (※1)不動産証券化とは、「不動産の証券化という特別の目的のために設立された法人などが、不動産が生み出す賃料収入などの収益を裏付け資産にして証券を発行して、投資家から資金を調達する手法」を指す

    (※2)「不動産証券化の実態調査」国土交通省

    https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000209.html

    (※3)信託受益権とは、信託した財産(信託財産)から収益を得ることができる「受益者」が持つ権利のこと

    海外・国際展開

    不動産業界においても、国内需要の縮小を見込み、海外・国際展開の拡大は一つの課題とされています。海外における都市開発・不動産開発の展開を進めている企業もあれば、賃貸・売買の仲介を手掛ける企業が海外不動産ネットワークを築いているケースなどもあります。

    また、国内においても、訪日外国人によるインバウンド需要に向けて、商業施設やホテルなどの需要が回復し、かつ、海外投資家が日本の不動産に投資する「インバウンド投資」も拡大が期待されており、こうした点も不動産業界にとって追い風となることが予想されます。

    省エネ型住宅

    経済産業省では、省エネ住宅「ZEH(ゼッチ/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及を目指して各種政策に取り組んでおり、2020年のハウスメーカーが新築する注文一戸建て住宅においては、約56%がZEHとなったことを発表しています。

    「ZEH」とは Net Zero Energy Building の略で、家庭内の電力消費において、消費量を上回る自家発電の仕組みを取り入れることで、エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことを指します。

    カーボンニュートラルへの対応

    不動産業界においてもカーボンニュートラルへの対応は求められており、⼀般社団法⼈不動産協会によって、「不動産業環境実⾏計画」と「⻑期ビジョン」が策定されています。

    新築オフィスビルや分譲マンションにおける環境行動目標を定め、住宅やオフィスビルなどにおける省エネ改修、運⽤改善によるエネルギー性能向上、再⽣可能エネルギー設備導⼊などを目指しています。

    先に挙げた省エネ住宅「ZEH」とともに、オフィスビルなどにおいて、快適な室内環境を実現しながら消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物「ZEB(ゼブ/ Net Zero Energy Building:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の普及なども掲げています。

    ICT活用とDX推進

    職人の高齢化が進み、今後も建設業界の人材不足は続く見込みです。この課題を解決するため、 「ロボット」「ICT」「AI」などを活用する会社が増えています。例えば、工期短縮と省人化を一気に実現する建設ロボットが挙げられます。

    一方、DX化においては、国土交通省が「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を進めています。これは、建設現場における調査・測量・設計・施工・検査・維持管理・更新などに「ICTの全面的な活用(ICT土工)」を導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図る取り組みです。

    不動産業界の主な仕事内容

    不動産業界における主な仕事内容について把握していきましょう。

    営業

    賃貸・売買における不動産仲介の営業では、お客さまの要望をもとに物件の紹介・案内から契約締結までを担います。また、不動産開発の営業では、広大な土地の所有者に対し、マンションなどを建築して収益化する提案を行います。

    不動産業界の営業職は、販売成績や成果に応じて、インセンティブと呼ばれる歩合給が付くケースがほとんどでしょう。企業によっても待遇は異なり、ノルマが課せられることもありますが、頑張りに見合った報酬を得られる魅力があります。

    企画開発

    マンション、オフィスビル、商業施設、都市開発、建売住宅などの企画・開発を手掛ける仕事です。

    デベロッパーでは、マンションやオフィスビル、商業施設、都市開発などを手掛け、コンセプトを作り、ゼネコンなどの建設会社と協力して社会的な企画・開発計画を考えたり、土地の仕入れや地権者との交渉などを行ったりします。

    一方、ハウスメーカーでは、建売住宅の企画・開発を手掛けます。

    物件管理

    ビルやマンションなど、管理している物件に対し、維持管理やトラブルへの対応、修繕工事の企画などの業務を担当します。物件オーナーだけでなく、入居者や入居するテナントに対しての対応も手がけます。

    事務

    営業職をサポートする営業事務を手掛けるケースもあれば、経理・人事労務・総務・広報などの各種領域における事務を手がけるケースもあります。

    不動産業界の志望動機・自己PRの書き方ポイント

    不動産業界を目指す皆さんに向けて、志望動機と自己PRの書き方についてポイントを解説します。

    不動産業界の志望動機で意識したいポイント

    「身近だから」「衣食住の住に関わりたいから」など、ご自身にとっての身近さや興味関心を理由にご志望動機を伝えられる学生様が多くいらっしゃいます。

    ですが、その他の商材と比べて不動産というものが人にとってどのような存在か、どのような影響力を与えるものなのかを言葉にしてご自身の軸と重なるポイントを伝えましょう!

    不動産業界の自己PRで意識したいポイント

    不動産業界の選考を受ける際、「お客さまの気持ちに寄り添える強みを活かしたい」とおっしゃる学生様が多い傾向があります。

    もちろん、お客さまに寄り添うことも大切なお仕事です。しかし、同時に高額な商品を取り扱う仕事であり、売上目標に向けて努力をすることも求められる達成感も大きなお仕事です。

    お客さまの気持ちに寄り添えることとあわせて、そのような目標に向けて努力できる強みをアピール頂くと活躍できる印象を与えられるかと思います。

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