IT業界は、十数年ほど前からぐんぐんと企業数を増えています。今やAIやIoT、VR/AR、ブロックチェーンなどの先端IT技術の進歩がめざましく、第4次産業革命とも呼ばれ、これからの時代を支えていく産業になるのは確実です。
「GAFA(ガーファ)」という言葉は聞いたことあるでしょうか? いま世界の経済を席巻している4大企業のことです。「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」のことを指し、4社で時価総額が3兆ドル超。“世界を支配している”とも形容される巨大企業です。
「GAFA」に代表されるようにIT企業からスタートし、いまやITの枠に収まらないビジネスを展開しています。
この記事では、日進月歩で進化するIT業界の市場規模や現状、今後の展開などについて説明していきます。ぜひIT業界に関する研究や企業研究の参考にしてみてください。
IT業界の市場規模・現状は?
IT業界における2019年度の市場規模は約10兆8,190億円。市場規模は年々大きくなっており、「IDC Japan」の市場規模予測によると、2019年~2024年の年間平均成長率は3.4%で推移すると予想されています。2020年度は新型コロナウイルスの影響により、企業のIT投資が抑制されるものの、テレワークやデジタルビジネスの強化によるクラウドを活用した投資が活性化するとも予測されています。
出典:IDC Japan
冒頭でも述べたように、IT業界は先端技術、イノベーションがめざましく、今後も大きな成長がのぞめます。2017年には日本で仮想通貨ブームが起こりましたが、仮想通貨はブロックチェーンという技術を活かしたひとつのシステムであり、ブロックチェーン業界はまだまだはじまったばかり。また、不動産とITを組み合わせた不動産テック、農業とITを組み合わせたアグリテックという分野など、多くの分野で現在研究や開発が進んでいます。
デジタルディスラプターとデジタルトランスフォーメーション
また近年、日本でもフリマアプリ「メルカリ」が流行しています。メルカリは商品を持っていませんが、ユーザーにプラットフォームを提供することで、価値を創出しています。またスポーツライブ中継で知られる「DAZN(ダゾーン)」もインターネットを通じて、既存の業界に枠組みを壊し、新しい価値を提供しています。同様の例に映像ストリーミングサービスの「Netflix」やサブスクリプション型の音楽サービス「Spotify」もこれまでのビジネスモデルをデジタルで破壊しました。
このようなデジタル・ITのイノベーションを駆使して、既存ビジネスモデルに大きな変革をもたらすサービスを「デジタルディスラプター」と呼びます。
先述のフィンテック(金融)、不動産テック(不動産)、アグリテック(農業)に加えて、エドテック(教育)、HRテック(人事・採用)など現在、あらゆる業界がデジタルに移行しています。このようなデジタル変革を「デジタルトランスフォーメーション」と言います。
このようにIT業界は、ある意味ではすべての業界に関連すると言えますし、業界は非常に細分化しているとも言えます。また常に新しいイノベーションやサービスが生まれ続けています。スタートアップ〜ベンチャー企業が多いのも特徴で、一躍大企業に成長するチャンスもありますが、その分だけ競争が激しいのも事実です。
IoTの普及拡大
IoTとは「Internet of Things」の略で、さまざまなものをインターネットにつなげ、遠隔での操作や情報伝達を可能にする技術のことです。IoTの技術を活用することで、従来ならインターネットとは縁がなかった分野でも、ビッグデータの分析などが行えるようになりました。このように、IoTで商品やサービスに付加価値を持たせる動きが広まってきているのです。
クラウド化の進行
クラウドとは、インターネットをはじめとしたネットワークを経由してソフトウェアやストレージなどのサービスを提供する形態のことです。従来は、各企業が自社でサーバーを管理しながらデータを扱っていました。
しかし、このやり方ではシステム更新などの対応も自社で行う必要があり、大きな手間やコストがかかります。そのため、クラウドを利用してネットワーク上でデータを管理するほうが合理的だと判断し、クラウドサービスを導入する企業が増えてきているのです。
AI・ビッグデータの活用
ビッグデータとは、IT技術の進歩によって容易に集められるようになった膨大な量の情報のことです。このビッグデータをAIに学習させ、マーケティングなどに活かす動きも活発化してきています。また、自社内でAIやビッグデータを利用するのではなく、サービスとして他社にAI技術を提供している企業も少なくありません。
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IT業界の魅力とは?
今後ますます発展していくことが予想されるIT業界には、さまざまな魅力があります。ここでは大きく3つの魅力についてご紹介します。
社会に新しい価値を提供できる
IT業界で扱うシステムは身近なものも多く、社会全体における利便性の向上を常に目指しています。社会にシステムを提供するだけではなく、働き方などのライフスタイルまで変えることがあるという点に魅力を感じる人も少なくないでしょう。
チームで働ける
IT業界ではプロジェクト単位で仕事を行うことが多いので、個人ではなくチームで働けるという点も魅力の1つだといえます。他の業界よりも一体感を感じる機会が多く、同僚や上司と切磋琢磨しながら働くことができるでしょう。さらに、他の企業のメンバーと協力してプロジェクトを進めることもあるため、限られた人と一緒に働くよりも刺激を感じる機会が多いはずです。
専門的な技術を身に付けられる
ITに関する技術力を着実に習得できるため、キャリアアップも狙いやすい業界だといえるでしょう。特に、プログラミング言語は世界共通で使われており、習得すれば日本を飛び出して働くという選択肢も生まれます。IT業界には将来性も期待できるため、ITに関する専門的な技術を身につけて損をすることはないはずです。
IT業界の中でも様々な業界に細分化できる?
前述したように、IT業界は多種多様に分かれており、業種や職種は数え切れないほどです。一概に〇〇業界といえないのがIT業界ですが、今回はソフトウェア業界、ハードウェア業界、インターネット業界、情報処理サービス業界(SI)という大きなカテゴリで紹介します。
・ソフトウェア業界
大規模なエンタープライズシステム(企業で使われる情報システム全般)を開発するソフトウェア会社、ハード・ソフト両面からシステム構築を行うSI(システムインテグレーター)企業、また得意分野のソフト開発を行う企業など、実に多様な企業が存在します。
・ハードウェア業界
いわゆる「メーカー」の業界。ソフト面での技術がどれだけ向上しようとも、それを出力するハードがなければ意味がありません。たとえば「Apple」はiTunesなどのソフトウェアも提供していますが、主にiPhoneやMacBookを発売しているハードウェア企業といえるでしょう。
・インターネット業界
インターネット業界は大きく、「BtoB型」と「BtoC型」に分けることができ、多様な仕事が存在します。BtoB型の企業では、主にネットワークの構築やホームページの制作といったサービスを提供しています。
一方、BtoC型の企業はポータルサイトの運営や通信インフラの整備などが主な業務です。このように、仕事の幅が広いのがインターネット業界の魅力だといえるでしょう。インターネットの普及によって一般の消費者が当たり前にインターネットを使うようになっており、今後はBtoC型がさらに発展していくと予想されています。インターネット業界の代表的な企業としては、ヤフーやグーグルなどが挙げられます。
・情報処理サービス業界(SI)
Webサイトで利用するサービスや企業向けのシステムを開発・運用しているのが情報処理サービス業界です。「システムインテグレーター」を略して「SI」とも呼ばれています。顧客の業務内容を把握したうえで、システム設計や開発、コンサルティングなど、課題解決のために必要なあらゆる業務を請け負っています。システムエンジニアを意味する「SE」とは異なるものなので注意してください。SIの代表的な企業としてはNTTデータや日本IBMなどが挙げられます。
IT業界の今後はどうなる?
IoTやビッグデータなどの先端IT技術の進歩が目覚ましく、それにともなって他業界におよぼす影響も大きいIT業界。「自分も働くことができるのか」「今後はどうなるのか」といった疑問を持つ方もいるでしょう。ここでは、そういった疑問に答えていきます。
・人手は足りているの?
前述のように、IT業界では人手が不足しています。経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、2015年時点で約17万人のIT人材が不足しているという結果に。IT人材不足は今後ますます深刻化し、2030年には、約59万人程度の人材不足へと拡大すると予測をしています。
逆にいえば、就職活動をおこなう学生側からすれば、入りやすい業界であるといえるのではないでしょうか。大手物流企業Amazonは2018年5月に、東京勤務のコーポレート職(経理・総務・人事・財務・法務など)および、技術職(エンジニアなど)で1000人を新規採用すると発表しました。
Amazon、東京のオフィスを拡張、コーポレート職および技術職で新たに1,000人を追加採用
・未経験でも大丈夫?
ITというと、「理系学部出身の人の仕事」という印象が強いかもしれませんが、文系でも活躍している人が数多くいます。営業職や事務職など、開発や研究を支える仕事もあるので、IT業界は文理関係なく働くことが可能です。プログラミング学習サービス「Progate」など、独学でプログラミングを学べる環境もあり、文系出身でも意欲がある方がどんどんチャレンジしていけるでしょう。
IT業界に求められている人材像とは?どんな職種があるの?
前述したように、IT業界といってもさまざまな分野や企業があるので、今回は職種別に求められている人材像を紹介します。あわせて必要なスキルも紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
・システムエンジニア、プログラマー
システムエンジニアは主にクライアントの依頼を受け、システムの設計を担当する職種。クライアントやユーザーの要望を的確にとらえてシステムを作れる人が向いています。具体的にはクライアントの意見をきちんと反映させることができる実行力、最後までシステムを完成させる遂行力などが必要とされています。
それ対してプログラマーは、主にシステムエンジニアがつくった設計書をもとにプログラミングをする仕事です。たとえるなら、システムエンジニアは建築家、プログラマーは大工です。プログラミングの知識があることはもちろん、頻繁に起こり、避けることはできないバグを修正する忍耐力・根気強さも必要になります。
・コンサルタント
ITコンサルタントはクライアントの経営課題に対して、「IT」を活用した解決策を提示する役割。IT技術職に対する知識はもちろんのこと、問題解決に必要な論理的思考力、多数の技術者をまとめることのできるコミュニケーション力やマネジメント力が求められます。
・営業
IT製品やITサービスを求めるクライアントのもとに出向き、商品の内容や特徴、導入メリットなどを説明して契約に結びつける役割です。
クライアントに対して自社商品の優れた点をアピールしたり、ニーズを満たすために、自社の商品をどのように生かせばいいのかを説明するプレゼンテーション能力が求められます。
Webデザイナー、インフラエンジニア、セキュリティエンジニアなど、IT業界ではこの他にもまだまだたくさん職種があります。ぜひ、自身でも調べてみてください。
IT業界に向いている人の特徴とは?
IT業界では、どんな人に向いている傾向があるのか。ここでは大きく3つの特徴について紹介します。
こつこつ努力できる
常に進化していく技術を身につける必要があるIT業界では、毎日の地道な努力が欠かせません。また、自分のモチベーションを保つためにも、プログラミングなどの専門的な技術を磨いていくことが大切です。
協調性がある
IT業界ではチーム単位で働くことが多いため、協調性があるというのも重要なポイントです。同時に、自分1人の功績だけでなく、チーム全員の功績を公平に評価できる寛容さが求められる業界だといえるでしょう。
論理的かつ長期的に物事を考えられる
プログラミングでは、パソコンに間違った指示を与えないために論理的にプログラムを組み立てる必要があります。プロジェクトを進めるうえでも、チームで理解を共有するために論理的思考力が必須となるでしょう。また、プロジェクトは半年以上という長いスパンで進めるものが多いため、長期的に見通しを立てられる人が適しています。
成長が見込めるIT業界で、自身の経験とスキルも伸ばそう
今回の記事ではIT業界のおおまかな枠組みを紹介しましたが、IT業界は細分化されており、分野も多岐に渡る、奥が深い業界です。テクノロジーの進化もはやく、数年前まで使われていた技術がいまではまったく使われていない、ということもあります。そういった成長スピードに惹かれる学生は、IT業界を目指してみてはいかがでしょうか。
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