プロフィール
企画名:「どこでも学べるん」
静岡大学 教育学部 2年
伊藤 栞 さん
※本記事は「[キャリアゲートウェイ powered by dodaキャンパス]ービジネスコンテスト2022」の受賞者インタビュー記事です。
本ビジネスコンテストは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(1組)の計17組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
目次
社会教育を広く周知し、
教育を受けられる機会を平等に
――「キャリアゲートウェイ ビジネスコンテスト2022(ビジコン)」に出場したきっかけを教えてください。
私は現在、大学で教育学を専攻し、教員免許の取得に向けて勉強に取り組んでいます。大学入学時から学校の先生になることを目指していたので、一般企業への就職はあまり視野に入れておらず、ビジネスについても少し遠い存在でした。それでもビジコンに参加しようと思ったのは、SDGsにもともと興味があったのと、「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」と呼ばれるような経験を積んでおきたいと思ったからです。軽い心持ちで参加したのですが、今までにない挑戦でとても刺激を受けました。
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
SDGsの中でも私が特に興味を持ったのは、現在学んでいる領域にも近い「質の高い教育をみんなに」という目標です。私は「社会教育」に焦点を当て、日本に住むみんなが生涯を通して学習し続けられるような機会と環境を平等に整備するためのアプリを企画しました。
社会教育とは、学校などの教育機関ではなく、地方自治体の公的機関や図書館など、公的に誰でも参加できる形で提供される学習の機会のことをいいます。私自身も子どものころに地域の公民館で開かれていた講座に参加したことがあり、ソース工場に行ったあとにソースを使ってお好み焼きをみんなでつくった記憶などが思い出されます。大学で学ぶ中でこの社会教育という概念についてしっかり学び、子どもからお年寄りまで、年齢に関係なく教育を得られる機会があるのはすばらしいと考えました。SDGsの考え方にも近い公的なサービスだと思ったのです。
しかし、ここには課題もあります。大学では社会教育について学ぶ一環として、実際に公民館へ実習に訪れることがありました。その際に感じたのは、公民館でどのような講座が開かれているのか、事前に情報を得る手段がほとんどないことです。インターネットで調べても、具体的な講座の内容が掲載されていませんでした。公民館では情報が記載されたチラシなども配布されていたのですが、もう少し住民に対して広く周知できるような機能があれば、もっと社会教育が広まると思いました。実際に公民館の職員さんに話を聞いた際にも、チラシや口コミ以外でどのように情報を広げればいいかわからないといった声もあったのです。
こうした現状に対して私は、どこの地域でどのような講座が開かれているのかをマップで可視化することで、社会教育への参加を促進するアプリを企画しました。
オンラインとオフライン両方で
“地域に特化”したアプリに
――このアプリを考える上で、特にこだわった点はありましたか?
社会教育の機会を広げる案のひとつとして、まずはオンライン講座に焦点を当て、どこにいても講座を受講できる環境の整備を考えました。時間に余裕がない人や気軽に家から受講したい人などに対して、オンラインの場を提供することでより参加しやすくする提案です。
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また、オンラインだけでなく実際に公民館などに足を運ぶオフラインの学びも充実させるために、自分の興味がある講座を見つけやすくする機能についても考えました。住んでいる地域やお気に入りに登録したジャンルに従って、自分に合った講座にアクセスしやすくするような機能です。
オフラインの案を考えたきっかけは、メンターとしてサポートしてもらった先輩からのあるアドバイスにありました。最近はYouTubeなどでも教育系や専門的な知識をレクチャーする動画が増えているので、そうしたコンテンツと差別化することが重要だと話してくれて……。そもそも社会教育には教育活動に加えて地域住民間の交流を促進するような意義もあるので、そうした利点も活かせるような地域に特化したアプリを企画しました。
――企業賞の本田技研工業(株)からはどのような点を評価してもらえましたか?
ビジコンということもあり、他の方の発表の中には「このアプリをどうビジネス化するか」といったマネタイズの方法についても検討しているものが多くありました。そんななか私は社会教育という公共サービスを軸にアプリを考えたので、「利益は追求しない」という結論に至ったんです。Hondaさんからは「人類の発展に“学び”は不可欠であり、社会人になっても『学び続けて生きる』という観点では『学生』。今回のテーマは、平等に教育機会が与えられていないという原体験を踏まえ、社会教育学を学び、実際に地方に出向き、現場の実態を把握したうえでの提案となっていることに大きな価値がある。また、自身の主体的な思考や行動力でここまでの提案ができたその『意欲と主体性』にHonda賞を贈呈させていただきたい」とのコメントをいただきました。社会教育という着眼点を含め、他の方とは違う方向性を示すことができたことを、企業の方からも評価してもらえてうれしかったです。
一方で、「ビジネスモデルや今後の更なる展開、例えば『学んだことを実践する場の提供もあわせて考える』など、まだまだ思考を拡げる余地・可能性は大いにあるね(笑)」とのコメントもいただきました。また、他の方の発表を聞くなかでマネタイズの視点や発表の際のスライドの見せ方などにも強く刺激を受けたので、今後こういう機会があれば活かしていきたいと思いました。
ビジコンに挑戦したことで
将来の選択肢が広がった
――ビジコンで学んだことを、今後どのように活かしていきたいですか。
大学3年次からはゼミに所属し、個人研究にも挑戦します。今回、社会教育について考えることができたので、この研究をさらに深め、論文の形でまとめることができればと思っています。特に子どもに対しての社会教育に焦点を絞り、学校と地域活動とのつながりについても調べていきたいです。
大学入学当初は学校の先生になることしか考えていなかったのですが、今回のビジコンへの参加を通して可能性の幅が広がったように感じました。教育についてのアプローチは学校教育だけではないことを学んだと同時に、自分で企画を考えることの面白さも知ることができました。現在は、教員免許の取得を目指しながら、教育関係の仕事ができる企業へ就職する道も視野に入れています。教育の可能性の広さにも気づくことができる有意義な体験でした。
――最後に、ビジコンに興味を持つ学生にメッセージをお願いします。
私自身、社会教育やSDGsについて考えていたことを、空想だけで終わらせるのではなく、アウトプットできる機会はとても貴重でした。大学での発表の日とビジコンの発表の日が重なっていたりするなどとても忙しい日々でしたが、それでも挑戦してよかったと胸を張って言えます。大学生活は長いようで時間は限られているので、目の前にあるチャンスに積極的に取り組んでみてほしいです。そうしたら、きっと自分のためになる経験になると思います。
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