プロフィール
企画名:「主体的に学びを進めるAIサポートアプリ」
慶應義塾大学総合政策学部2年
山上 和真 さん
※本記事は「[キャリアゲートウェイ powered by dodaキャンパス]ービジネスコンテスト2022」の受賞者インタビュー記事です。
本ビジネスコンテストは、「大学低学年のうちに実践的な経験を経て、さらに学びや経験を深めてほしい」という考えのもと、大学1,2年生を対象に腕試しと成長機会を提供するべく開催されました。
「SDGs課題をアプリで解決」をテーマに、興味のあるSDGs課題を選択し、解決策を提案。多くの素晴らしい企画の中から、最優秀賞(1組)、優秀賞(2組)、企業賞(14組)、審査員特別賞(1組)の計17組が表彰を受けました。
この記事では、受賞企画の内容から、ビジコン参加の理由や参加によって得られた経験まで、受賞者の声をお届けします。
目次
アイデアを発信できる機会を求め
ビジコンへの参加を決意
――「キャリアゲートウェイ ビジネスコンテスト2022(ビジコン)」に出場したきっかけは?
もともとSDGsを絡めた企業の経営戦略に関心があり、社会勉強と情報収集を兼ねて、1年次からインターンシップなどにも参加していました。同時に、自分には普段からニュースを見て気になったことや考えたことを残しておく習慣があって、アイデアの切れ端のようなものが800個ほど蓄積されていたんです。こうしたアイデアをひとつの形にまとめて発信できる機会がないかと探していたとき、大学の友人からビジコンの存在を教えてもらい、参加することを決めました。
――ビジコンで発表したアプリの内容について教えてください。
私が発表したのは「主体的に学びを進めるAIサポートアプリ」です。このアプリの目的は、AIがメンターとなって生徒の学習意欲を向上させることにより、学校の教員の負担や家庭内における教育費の負担を軽減することにあります。具体的には、学習の進捗を科目ごとに可視化する機能、他のユーザーと達成率を競うランキング機能、同じ単元を学んでいる人と話し合いができる機能などを内蔵。生徒は「自分が何を学んでいるのか」「どの科目の勉強が不足しているのか」といったことを直感的に理解するとともに、目標や比較対象を与えられることによって学習へのモチベーションを維持し続けることができます。
独自性の面でこだわったのは、アプリからの通知機能です。親や先生から「勉強しなさい」と言われると、かえってやる気を失ってしまうこともありますよね。しかし、インターネットの広告などでよくあるように、「この問題の答えは何でしょう?」という通知がくると、つい気になって考えてしまう。この機能をアプリにつけることによって、勉強に取り掛かるきっかけをつくりたいと思いました。AIを用いることのメリットとしては、ユーザーの勉強時間や苦手な単元を分析できる点にあります。AIが自動的に一人ひとりにあった学習プランを提示してくれるため、学生は効率的に勉強を進めていくことが可能となるのです。
アプリで解決したかったのは
「勉強=罰ゲーム」という意識
――このアプリを考えるうえで、解決したい社会的課題はありましたか?
日本は教育投資の割合が大きい国ですが、国内では有名な大学でも、世界的に見ると研究面であまり評価されていないのが実情です。その要因のひとつとして、「勉強が好きで大学に進む人」と「就職するために大学に進む人」の二極化があるのではないかと考えました。当然、勉強は楽しいものだという認識が浸透していなければ、国内の研究が発展することもありません。私が最初に解決したいと考えたのは、そうした課題でした。
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また、不登校になってしまう生徒の数が毎年増加しているというニュースを見たことも、大きなきっかけになりました。先生が教科書通りに勉強を教えてくれるだけでは、学校に行くモチベーションが下がってしまいます。また、「勉強=罰ゲーム」というイメージを持っている生徒も数多くいます。AIというメンターがつくことによって、学校に通っていてもいなくても、勉強自体が楽しいと思えるようなアプリをつくりたいと思いました。発表において、あえて「ティーチャー」ではなく「メンター」という言葉を使っているのもそのためです。
――アプリのユーザーとしては、中高生を想定しているのでしょうか?
もちろん、まずは生徒が利用することを想定しています。しかし、教員に対するサービスとして、生徒の学習状況を把握できる機能や、チャットで質問に答えられる機能も考案しました。学習塾などの教育費削減につながるという点では、保護者の方もステークホルダーだという認識ですね。さらに、資格試験の勉強や社員の自己啓発にも応用できるシステムだと思うので、もし実現すれば企業などでも幅広く利用してもらえる可能性があるのではないかと考えています。
企業からのアドバイスを受け
独自性と資金計画を見つめ直した
――ビジコンでは、予選の段階で企業からのフィードバックをもらうことができます。アドバイスを活かして改善した点はありましたか?
企業の方からは、「独自性」と「マネタイズ」の面で改善の余地があるというフィードバックをいただきました。独自性については、既存アプリとの差別化が課題だと感じていたので、あらゆる競合の価格や内容を調査しました。そして、知り合いに利用者がいれば、良い点と悪い点をヒアリングしてアイデアに反映するなどブラッシュアップを重ねました。
マネタイズについては、実際に試算をするなかで、広告だけではランニングコストを賄えないということがわかったので、国家予算から資金調達ができないかと検討。教育現場のICT促進に向けた「GIGAスクール構想」について多額の予算が組まれていることを知り、その情報を活用することによって、より現実的なビジネスモデルを作成することができました。
――ビジコンに出場した感想はいかがですか?
やはり、企業の方から直接フィードバックをいただけたのは貴重な機会でした。インターンに参加しても、数名の社員の方としかお話できませんよね。しかし、ビジコンでは14社の企業の担当者から、忌憚のないアドバイスをもらうことができます。そんな方々から企業賞をいただけたのはもちろんうれしかったですが、それ以上に自分がこだわったポイントをきちんと評価してもらえたのが感慨深かったです。また、周りのファイナリストのレベルも高く、次のアイデアを考えるうえで大きな刺激になりました。
企業の方からのフィードバックや他の参加者の発表といった周囲からの刺激は、ビジコンに出場しなければ決して得ることのできなかったものだと感じています。自分自身が見えていなかった思考のクセのようなものを客観的に示してくれました。問題解決の道筋についても理解を深めることができたので、今後は自分の意見や考えのなかにとらわれず、さまざまなアプローチから社会の課題に向き合っていきたいと考えています。
アイデアがある人もない人も
経験として気軽に参加してほしい
――ビジコンでの企業賞受賞を経て、今後の目標はありますか?
今回出場したことで、コンテストに参加することのおもしろさを知ることができました。そのため、今後もこうしたイベントには積極的に挑戦したいと考えています。次の目標として、海外のコンテストへの出場が決まっています。これは、AIを用いて飢餓に苦しむ子どもたちを救うアイデアを募集する大会で、今回の経験が活かせるのではないかと考えています。さまざまなコンテストでの発表を重ね、将来は経営コンサルタントとして企業の成長を支えたいと思います。最終的には、グローバルに活躍できる人材になりたいですね。
――ビジコンについて、こんな人に出てほしいという思いはありますか?
アイデアは溢れているけれど、それを周囲に伝えたことのない人にとっては、このうえない機会なのではないかと思います。また、社会貢献活動に関心があるけれど、手段がわからない人にとっても、他の人からアドバイスをもらいながら自分の思いを具体化するいいきっかけになるはずです。最初から優秀賞をめざす必要はありませんので、明確なアイデアがある人もない人も、とりあえず参加してみることをおすすめします。参加者は大学1、2年生に限定されているので、挑戦するハードルも決して高くありませんよ。
――最後に、ビジコンに興味を持つ学生にメッセージをお願いします。
ビジコンは、大学やインターンでは得られない刺激をもらえる場所だと思います。発表するプランについては、時間をかければかけるほど洗練されたものに仕上がり、努力した分だけ企業の方から評価していただくことができます。そして、その時間を通じて自分の考えを整理することもできます。参加は無料ですし、何なら賞金もありますので、人生経験のひとつとして気軽に参加してみてください!
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