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一つの場所に留まらずに世界を拡げ、デザインで課題を解決する-「まなぶ」と「はたらく」先輩インタビュー Vol.4

  • 大学1,2年生
  • 2021.04.01

プロフィール

黒田 愛美さん
美術学部卒業。在学中はデザインを専攻し校外のプロジェクト活動に数多く参加。
家電メーカーで商品企画やブランディングなどを担当。社会人4年目(取材当時)。
休みの日は美術館巡りや散歩をしている。

本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

「あなたがやりたいことは?」という質問に戸惑ったことはありませんか。
「やりたいことがない」と悩んでいる人や、このまま漠然と大学生活を過ごすことに焦りを感じている人もいるかもしれません。
そんな悩める大学生に集まってもらい、いきいきと働く先輩は学生時代をどのように過ごしたのか、そして今、どのような仕事をしているのか、学生時代から今に至るまでの流れをあれこれ聞いてもらいました。
先輩のキャリアストーリーを通じて、自分の学生生活とその先のキャリアについてヒントが得られるかもしれません。今回は黒田さんの取材内容をお届けます!

「楽しかった」からデザインの世界へ

学生レポーター:今日はよろしくお願いします。デザインの仕事ということですが、もともと絵を描くのが得意だったんですか。
黒田さん:得意というより好きでしたね。美術の授業ではチャイムが鳴っても描き続けてることもありました。ただ、高校はデザイン科に進学したのですが、周りには絵が上手い人ばかりで得意とは言えなかったです(笑)。



学生レポーター:高校の時からデザインを学んでいたんですね!何かきっかけがあったんですか。
黒田さん:きっかけは人の影響です。同じ習い事をしている1つ上の先輩がその高校に通っていて、話を聞いたら面白そうだなって。実際、体験に行ってみたら楽しくて、単純な理由なのですがそれで進路変更しました。急に進路を変えたので先生が驚いていましたね。



学生レポーター:実際に、高校のデザイン科ではどのような勉強をされたのですか。
黒田さん:そうですね。高校では並行に線をひく練習をしたり、色彩の勉強や編集ソフトの基礎を学んだりしていました。



学生レポーター:高校で学んだことが大学での勉強にもつながっていそうです。何か「これがやりたい」というものはあったんですか。
黒田さん:そうですね、音楽が好きなので、大学に進学する時はCDジャケットやアーティストグッズのデザインをやりたいと思ってました。



学生レポーター:大学では音楽に関係するデザイン等、より専門的なことを学ばれたんですか。
黒田さん:いえ、選択すれば色んなことができるところだったので、様々なジャンルのデザインを広く浅く学びました。 ポスター等いわゆるグラフィックデザインのようなことから、ちょっと立体的なセラミックや陶磁器の作品も作りました。とにかくできることは何でもやっていましたね。



学生レポーター:そうなんですね。色々な分野に挑戦していく中で、どうやって自分のやりたいことを考えたのですか。
黒田さん:まず、私が進学した学部では、大別すると商業的なデザインと、油絵や彫刻などファインアートと言われる系統に分かれていました。その中で、私は商業寄りの志向で勉強していました。



学生レポーター:商業寄りのデザインを学ぼうと思ったのはどうしてですか。
黒田さん:もともと音楽のデザインをやりたかったのも、好きな人やものを応援したい気持ちがあったからです。それは今でも変わっていません。商業寄りのデザインは、応援の気持ちを表現しやすいと考えています。



学外活動で変化したやりたいこと

学生レポーター:商業寄りのデザインを学ばれていると、実際に企業とコラボしてデザインをするチャンスもありそうですね。
黒田さん:そうですね。ただ、授業より自分で学外に出て機会を得ることが多かったですよ。
ラジオ局のチラシを作ったり、バスのラッピングデザインに関わらせてもらったり、市役所と事業者と学生で企画するイベントに参加したりもしていました。



学生レポーター:その中で印象的だったことはありますか。
黒田さん:いくつかあります。特に、「大ナゴヤ大学」というところでボランティアスタッフをしたことは、仕事を考える上で影響を受けました。
色々な人に出会うことで、音楽も好きですが、もっと広く人に関われるような、生活や暮らしに必要とされているものに興味が移っていきました。



学生レポーター:音楽も多くの人に関わりそうだなと思ったのですが、違うのでしょうか。
黒田さん:音楽が好きな人はたくさんいるのですが、それぞれ好きなジャンルが違っていて実はコアな世界でもあるんですよ。
デザインは「100人の人がいて1人に深く刺さるもの」と、「100人みんなに受け入れられるもの」があると思うんです。どちらがいい悪いではなく、自分は後者がやりたいと思ったときに音楽と違う分野も見てみようと考えるようになりました。



学生レポーター:音楽から別の世界って、すごく大きな変化だと思います。他にも就職活動をするときに意識していたことはありますか。
黒田さん:そうですね。デザインの仕事がしたいと思っていましたが、いわゆる「デザイン職」にはこだわらないようにしていました。



学生レポーター:!?、デザインの仕事ならデザイン職だと思うのですが、どういうことでしょうか。
黒田さん:デザインの考えは、デザインと関係ない職種でこそ必要ではないかと思っていたんです。製品やなにかを形にする表面的なデザインではないことに興味がありました。



学生レポーター:デザインの考えですか。具体的に他の職種で「デザインの考え」はどう必要とされるのですか。
黒田さん:仕事をする上で、 「なにが課題か」「それを理想形にするには何が必要か」を整理して考えることはデザイナーだけではなく多くの職種で必要なスキルだと思います。
私が大学で学んだことは実務的なことよりも、そういう考え方というか根っこの部分でした。
「デザインとは課題を見つけてそれを解決することだ」ということを言われている教授がいて、デザインを学ぶ過程で身に着けた思考が仕事の場面で役立つことは多いと感じています。



多くの人に届けるデザイン

学生レポーター:「考え方が仕事につながっている」というのは自分にない発想でした。それで、今はどのようなお仕事をされているのですか。
黒田さん:私は今、プロダクトデザイナーが中心に在籍する部署にいます。ただ、私は製品のデザインを担当しているわけではないんです。就職する時にもデザイナーではなく普通の総合職として入社しました。 今の部署では主に商品のコンセプトやブランディングの「企画」を考えるような仕事をしていて、製品の背景にある思いをわかりやすく伝えることが仕事になります。社外に対してだけではなく、社内でもコミュニケーターとして、デザイナーと社内の製品企画部など他の部署をつなぐ役割も担っています。



学生レポーター:デザインと聞いてイメージしたお仕事とは違いました。デザインの考え方はどうつながっているのでしょうか。
黒田さん:メーカーではよく聞く話かもしれませんが、商品を世に出すとき、製品企画の部署にデザイナーの注力ポイントが伝わっていなくて、お客さんが手にした時に「何かが違うな」と思われてしまうことがあるんです。その課題を解決する際、「誰にでもわかりやすく伝えること」が、両者のギャップを埋める解決への一歩になります。課題解決の方法を考える時、デザインを学んできたことが活かされていると思います。



学生レポーター:実際にデザインを手掛けるようなことはなかったんですか。
黒田さん:今の部署に異動する前は、広告を担当していて、そこではラフデザインを作ってデザイナーにイメージを伝えることもありました。そこでは一度、広告賞をもらいました。その時の仕事は思い出深いですね。今でもラフアイデアを作ったり、バナーを制作することはあります。



学生レポーター:広告賞ってすごいですね!どのような広告をデザインされたんですか。
黒田さん:広告には大きく2種類あります。1つは製品をPRするための一般的なもの、もう1つは会社のブランディングをするためのものです。通常は製品のPR広告で、何をどこで宣伝するのか決められています。でも、その時は予算がとれ、ブランディングにつながる広告を制作しました。「何を宣伝するのか」から自分で考えることができたんです。



学生レポーター:そうなんですね。実際にどういう広告を制作されたのですか。
黒田さん:製品やサービスにしていく過程で行った実証実験を知っていただくための広告です。 視覚障がいを持つ方々向けの3つのプロジェクト「お買い物支援」「美術館の鑑賞ガイド」「車いす型のロボット」を取り上げて、その活動を知っていただくための広告グラフィックを制作しました。通常の広告では伝えられない、会社の「社会に対する姿勢」を示すことができたのは良かったですし、思いを込めて取り組んだ仕事が評価されたことは嬉しかったです。



1つの場所だけに留まらない

学生レポーター:若手のうちから活躍されていてすごいです。広告制作で大変だったことはありましたか。
黒田さん:大変なこととは少し異なりますが、先ほどの企業ブランディングの広告制作では、関わる人が多く、それぞれの方にかなり丁寧にヒアリングをしました。また、センシティブなテーマでしたので、誤解を与えないように細心の注意を払いましたね。障がいをお持ちの方と実際にお会いして困っていること等のお話を聞かせていただき、視覚の研究をしている専門家の方に話を伺いにも行きました。それらはいずれも「特定の誰か」に対してではなく、広告を見た全ての人に、企業の姿勢が正しく伝わるようにするために必要なプロセスでした。



学生レポーター:デザインと聞くとずっと同じ場所でパソコンに向かい、一人で黙々と作業するイメージだったのですが、そうではないのですね。
黒田さん:そうですね、私は1つの場所に留まらないことが大切だと思います。同じ場所で、価値観が似通った人とだけいると、どうしても同じような考え方しかできなくなります。デザインに関係なく、色々な人と会ってコミュニケーションすることで、視野を広げるよう意識しています。



学生レポーター:これまで、人との出会いを大切にされてきたのですね。
黒田さん:そうですね。私は、人から聞いた情報で選択肢が増え、進路を決定できてきたと感じています。思い返せば、高校でデザイン科に進学したときもそうでした。
大学時代の学外活動でも、色々な人に出会えたことで視野が拡がり、やりたい仕事の興味の幅を広げることにつながったと思います。



学生レポーター:他に、お仕事をする上で大切にしていることはありますか。
黒田さん:社内や社外を含め、誰に対しても誠実であることです。 例えば、先ほどの実証実験広告の話は、障がい者向けのサービスなので、特に表現方法には注意しました。 ともすると過剰な広告になってしまいがちですが、当事者の方を傷つけてしまうことのないよう、真実が見過ごされ大事なことが伝わりづらくならないように常に意識していました。 多くの人に受け入れられる仕事をしていくためにも、偏見は持たず、フラットな姿勢で物事を見つめていくように心がけています。



学生レポーター:わかりやすく強調すればいいだけじゃないんですね。今後、挑戦したいことを教えてください。
黒田さん:新規事業プロジェクトにおいて、会社に入る前から興味のあった「まちづくり」や「住まいの仕組みの変革」に携われるように、アイデアを起案しているところです。 最近では、様々な形や様式の住まいが増えてきました。とはいえ、まだ家電製品など他ジャンルの商品と比べると選択肢は少ないです。例えば、在宅ワークが増えている背景などを切り口に、新しい家を作れるといいなと考えています。



学生のみなさんへのメッセージ

学生レポーター:最後に、大学生へのメッセージやアドバイスをお願いします。
黒田さん:一つの場所だけに留まらず、学校外にも目を向けてみてください。色々な人との出会いは、世界観を広げ自分を大きく成長させてくれます。 一方で、自分が尊敬できる学校の先生には頼ってください。人生経験豊富な先生は、的確なアドバイスやいろんなヒント、解決策を示してくれて、助けてくれます。 学生時代は、ある程度の礼節をわきまえていれば、大目に見てくれるところもあるので、大人たちに積極的に会いに行くことをお勧めします。今はこんな世の中ですから、オンラインミーティグに誘うのもいいと思います。是非、トライしてみてください。



学生レポーター:どうしても、気の合う仲間同士で集まってしまっていましたが、それ以外の場所にも出ていく大切さがわかりました! 貴重なお話をありがとうございました。

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