プロフィール
建設プラント会社に勤務。社会人3年目(取材当時)。
・大学院を卒業後、プラントの設計から保守点検まで行う企業に入社。休日は読書やピアノを弾いて過ごす。
・在学中は応用化学分野の研究に取り組む
本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。
「あなたがやりたいことは?」という質問に戸惑ったことはありませんか。
「やりたいことがない」と悩んでいる人や、このまま漠然と大学生活を過ごすことに焦りを感じている人もいるかもしれません。
そんな悩める大学生に集まってもらい、いきいきと働く先輩は学生時代をどのように過ごしたのか、そして今、どのような仕事をしているのか、学生時代から今に至るまでの流れをあれこれ聞いてもらいました。
先輩のキャリアストーリーを通じて、自分の学生生活とその先のキャリアについてヒントが得られるかもしれません。今回は劉桜子さんの取材内容をお届けます!
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これまで進路をどのように選択してきたか
当時は将来の仕事までイメージできていませんでした。ただ、歴史は、趣味や教養として好きでいたい、仕事にするのは別がいい、と漠然と思い化学を選択しました。
でも、化学の仕事をする上でも、日本の方はもちろん、外国の色々な方々と話すときに、歴史を知っていると話題が広がります。教養としても趣味としても、好きでいてよかったと思いますね。
私は幼い頃から本を読むのが好きでした。中でも、中学生の時に読んだ、有川ひろさんの「図書館戦争」には衝撃を受けました。ストーリーは勿論なのですが、「報道されていることが全部正しいわけでなく、自分で知識をつけて考えることが大切なんだ」と気づくきっかけになりました。高校や大学で学ぶときの姿勢につながっていたと思います。
「工場の無駄のない仕組み」が学びの出発点
具体的なテーマとして「工業製品などを作る際、エネルギーやコストについてできるだけ無駄の無いプロセスをたどるにはどうすればよいのか」を研究していました。
工場には「限られた原料からいかに多くの製品を生み出すか」という工夫が、随所に組み込まれています。 無駄のない仕組みに魅力を感じました。
私は専門分野の化学ばかり勉強してきて、悔いがあるわけではありませんが、加えて専門外のことも勉強しておけばよかったなと思うことがあります。
例えば化学製品って化学だけではできないんですよね。工場設計の際に、部品の耐久度を調べる時に物理学は必要です。他にも今思うと様々な「やっておけばよかった」科目があります。 全部を理解できなくても、例えばその時に単語だけでも知識として持っていたら、次に理解するためのきっかけになります。学びの足がかりを作っておくためにも、専門も、専門以外の科目も、まずは幅広く学習しておくことは、とても意味があると思います。
中でも、エネルギーはあらゆるものの原動力ですので、特にエネルギー業界に興味を持ちました。今の会社を選んだのは、入社選考時に接した社員の方々の、明るい性格に惹かれたのからでもあります。
海外の人たちとやりとりしながら一緒にプロジェクトを進める機会にめぐまれていることも、今の会社を選んだ理由です。
そこで、製品をさらに増産できないかを検討していくのが私の仕事です。工場内の設備が製品を生み出す上で最適になっているかを確認していきます。 効率化はもちろんですが、安全面にも配慮する必要があります。
現在、私はエネルギー問題を解決するために働いていますが、その根源にあるのは「化学の力で人類の生活を豊かにしたい」という思いです。
自分自身の成長を実感したプロジェクト
私の仕事の一つは、工場で効率よく製品を生み出すための設備を設計することです。
工場って似たような設備に見えても、設置している機器や配管の設計によって、企業の利益は相当違ってくるんですよ。そして、そのたった1枚の設計図を描くのにどれだけやり直すか。100時間以上使っているのではないかと思ったこともあります。だからこそ、お客様と折衝を重ねながら、無事に設計図を渡せた時、大きな充実感を覚えました。1年くらいかかりましたね。
その条件はとても厳しいものです。どれだけ検討や工夫を重ねても、全部実現できることばかりではありません。発注側と受注側が、お互いにそれぞれの主張をするだけでは、平行線になってしまい、何も物事が進みません。
そうした時、私は先輩にアドバイスをもらいながら仕事をするようにしていました。次第に、相手の立場を考えながらも、事実を集めて冷静に話ができるようになってきたと思います。 その時は必死でしたが、振り返ってみたら社会人としての成長を実感することができました。今となっては「困難を乗り越えた」手応えのある、印象深いプロジェクトです。
学生時代の手計算は無駄ではなかった
会社に入るとシミュレーションソフトを使う機会が多いのですが、ソフトがやっていることも結局計算であり、人間は出てきた計算結果を正しく理解しなければなりません。正しいか間違っているか判断するためです。実際に自分で計算することを繰り返していたからこそ、ソフトが行っている計算のプロセスを理解できるのだと思います。
でも、社会人になると、ミスによる影響は大きいです。例えば、私が出した報告書にミスがあり、それをもとにプロジェクトが進むと、プロジェクト全体に関わる大きな損失につながりかねません。ですから、社会人になってからは書類の作成に細心の注意を払うようになりました。
将来は「食料問題」にチャレンジしたい
一方で、世界を見渡すと、人口増加によって、今後「タンパク質危機」、つまりプロテインが不足するのではないかと懸念されているんです。
世界規模の「プロテインの不足問題」を解決するためには莫大な食料が必要になってきますので、量産するためには、当社の事業とも関係が深い「工場」も必要だろうと考えています。 ゆくゆくは新規事業のような形で、工場の設計という切り口から食料問題に取り組んでみたいです。
学生のみなさんへのメッセージ
(1)タイムマネジメント
社会人になると自分の裁量で決められる時間が少なくなるため、今よりもっと「時間がたりない」感覚になります。日ごろから時間の使い方を工夫して過ごし、その経験を積み重ねてゆくことで、タイムマネジメントの基本的な力を身につけてゆくことができますよ。
(2)ジャンルを問わずいろいろな分野に積極的に関わってみる
「あの時読んだ本の話だ」とか「以前ワークショップに参加した時に経験したことだ」とか、後々に繋がる場合が多々あります。それは社会で課題に出合った際、解決する糸口にもなるかもしれません。ちょっとでも気になったら、ぜひジャンルを問わずいろいろな分野に積極的に関わってみてください。
(3)勉強の仕方を学ぶ
今の時代は、インターネットメデイアが発達してSNSなども活用できます。様々な場所で発表したり、人に自身の考えを説明したりする機会があれば、ぜひチャレンジしてください。必ず社会人になってから役立ちます。
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