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地元の友人たちの生活が、いまのシゴトの出発点-「まなぶ」と「はたらく」先輩インタビュー Vol.2

  • 大学1,2年生
  • 2021.04.01
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プロフィール

小林 直弘さん
・文学研究科 地理学専攻出身。在学中は障がい者支援食堂でアルバイトを経験。
・デジタル機器メーカーで、介護機器のカスタマーサクセスを担当。社会人2年目(取材当時)。
・休日はバスケットボールや映画鑑賞、実家の畳屋さんの手伝いなどをして過ごす。

本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

「あなたがやりたいことは?」という質問に戸惑ったことはありませんか。
「やりたいことがない」と悩んでいる人や、このまま漠然と大学生活を過ごすことに焦りを感じている人もいるかもしれません。
そんな悩める大学生に集まってもらい、いきいきと働く先輩は学生時代をどのように過ごしたのか、そして今、どのような仕事をしているのか、学生時代から今に至るまでの流れをあれこれ聞いてもらいました。
先輩のキャリアストーリーを通じて、自分の学生生活とその先のキャリアについてヒントが得られるかもしれません。今回は小林さんの取材内容をお届けします!

私の学生時代

学生レポーター:今日はよろしくお願いします。はじめに、小林さんは大学に入るまでどのような学生時代を送っていたのですか?
小林さん:小中は地元の仲間とよくつるんでいました。高校はその仲間達とはなれ、一人だけ地元ではない進学校に進んだのですが、それまでの環境とのギャップに驚きました。とにかく勉強についていくのに必死でしたね。



学生レポーター:大学はどのように選んだのですか。
小林さん:私は浪人したのですが、その間に地元の友人は就職していましたし、結婚している友達もいました。

「同じ地域で同じように育ったのに、どうして人のライフスタイルは多様化するのだろう」と思うようになったんですよね。そこで、地域について研究したくて、文学部の地理学科を選びました。



学生レポーター:地理学科って、高校時代に受けた地理とは違うのですか?
小林さん:地理学を簡単に説明すると、ある地域の自然環境や経済、社会や文化の特性などを研究する学問です。高校の地理のような内容は知識として必要ですが、研究する観点は少し異なります。

ベースになるのは、フィールドワークです。私は、自分の地元に焦点をあて、友人たちの仕事や生活と地域特性の関係を入り口にして、探究活動をしていました。



学生レポーター:入学前から興味のあったことを研究テーマにされたのですね。
小林さん:はい。結局、大学院に進んでそのテーマで論文を書きました。

卒論を書く頃は、すでに子どものいる地元の友人が何人もいて、一般的に言われる「大人として一人前の生活を送っている」と感じましたね。 一方で、自分は将来が決まらずに悶々としている。予備校時代に感じていたギャップをそのまま研究テーマにして、地元に住む同世代の生活を調査・研究して卒論としてまとめました。



学生レポーター:ずっと問題意識は続いていたのですね。それは仕事選びにもつながったのですか?
小林さん:つながりましたね。

地元の若者は家庭を持つ一方で、安定的な仕事に就いている人が少ないことが課題として見えてきました。アルバイトや非正規雇用という形態で働いている人も多く、介護職に就いても辞めてしまうケースが多かったんです。仕事を辞めた理由は、端的にいうと「業務内容がきつかったこと」が多かったです。

そういうこともあり、自分の仕事を考えたとき、「介護の仕事を改革できる取り組みをしたい」と思いました。

私が今働いている会社は、世の中の介護業務を抜本的に変える試みに取り組んでいました。この取り組みが進化して洗練されたソリューションになれば、介護職の離職率が下がり、地元の友人たちの仕事も安定する。社会課題を解決できるチャンスではないかと考えたことが入社の理由です。



カスタマーサクセスを目指す仕事

学生レポーター:介護をメインとした会社でお仕事されているのですか。
小林さん:介護メインの会社ではありません。

私はデジタル機器で様々な職場・現場の課題を解決することを目指しているメーカーに勤務しています。 我が社の新規事業の一つが「介護」で、介護機器等を開発し、販売しています。



学生レポーター:色々なデジタル機器を扱う会社が、介護事業にも取り組んでいるのですね。
小林さん:はい、そのとおりです。

私が所属している部署は、人々の生活の質の向上を目指した社会課題の解決を担うセクションです。比較的、イノベーティブな部署ですね。 そこでは、特に介護職の人材不足に焦点を当て、業務効率化や介護ケアの品質の向上に貢献すべく取り組んでいます。

今の時代、モノを作って売るだけではメーカーの責任を果たせたとは言えません。お客様に購入いただいた機器を「使いこなしていただくコト」までが重要です。お客様が機器を使いこなせるようサポートするのが私の仕事です。



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学生レポーター:それは営業とは違うのですか?
小林さん:「カスタマーサクセス」と言って、顧客との関係を長期的に保ち、受け身ではなく、能動的にお客様の課題を解決するための仕事です。マーケティングとも異なります。



学生レポーター:具体的にもう少しお仕事の内容を聞きたいです。
小林さん:今は、介護機器の購入後の体験を改善するために様々な施策を打ち出すことが主な仕事です。

具体的には、日々お客様からかかってきた電話の問い合わせ内容を記録して、すべて文字に起こします。次に、最初のお問い合わせ、こちらの応答、再度の問い合わせと続く一連のやりとりを時系列に並べます。この並べたものが「お客様の当社に対する体験」と言えます。 多くの「お客様の体験」を整理すると、私たちが提供しているサービスの現状が浮かび上がります。そこから改善策を考え、生み出すのです。



学生レポーター:全部見るのですか?!
小林さん:はい。全部見ます。私たちはカスタマーサクセスを目指して運営しています。それは従来の「その場限りで終わる対応」ではありません。

例えば、使い方がわからない人が電話をかけてきて、会話が終わるときには使い方だけでなく、「あれもこれもできて、機器を使いこなせてラクになること」までを、一度の短い電話でサポートすることを目指しています。介護現場で働いている人たちの仕事が効率的でラクになるようなサポートを行うために必要な仕事だと思っています。



大学で経験した「生活実態調査」が役立っている

学生レポーター:学生時代にやっていてよかったことを教えてください。
小林さん:大学時代の研究時に経験した「生活実態調査」という調査です。簡単に言うと、ある調査対象グループの中へ実際に入りこみ、グループの人たちと行動を共にしながら実態を明らかにする調査方法です。

私の場合、主に大学生ではない地元の同年代の若者たちと活動を共にしました。 普段大学で行動を共にする友人たちとは属性が異なり、多岐にわたる思考や行動を体感できました。

また、こういった社会学系の調査は、調査対象となる方とのコミュニケーションは必要不可欠です。研究となると、一定以上のサンプル数が必要なので、多くの方たちと出会って情報を引き出さなければいけません。一般的な生活のことから家族構成や年収などのセンシティブなことまで聞くことになるので、信頼関係の構築は必要不可欠なんです。



学生レポーター:私がイメージした調査より、深いコミュニケーションが必要そうです。
小林さん:そうなんです。人のふところに飛び込んで信頼関係を築いていくことを重ねた経験は、社会人になって活かされていると感じます。

顧客対応チームでは、多くの方と一緒に働いています。その人が考えていることを想像したり、「なぜこういうことを言うのだろう」と考える力が身に付きました。結果的にその思考が、顧客対応業務の改善につながりました。



35歳で取締役になるのが目標

学生レポーター:今後の目標を教えてください。
小林さん:会社で順調に出世したいです。要職に就くことで事業の方針を決められますし、自分の考えを実行できるチャンスをつかめます。35歳で事業部の取締役になることが目標です。



学生レポーター:私だったら大変そうと尻込みしちゃいそうです。
小林さん:そういう考え方もありますよね。私の場合は、多少の承認欲求もあるのかもしれません。

でも、今のコールセンターの改善業務を含めた介護事業を、新規事業ではなく会社の中心事業の一つにできるように、10年後を逆算してできることはやり切りたいですし、努力したいです。まだまだ力不足で歯がゆいですが。



学生レポーター:目標となるような人は会社にいますか。
小林さん:事業部長です。新規事業をひっぱってくれるリーダーで、ベンチャー企業の社長のような方です。

なるべくそういう人と話して、自分の意見をぶつけて、考え方を学びたいと思っています。でも、大人気でなかなか話せないので、朝早く出社して、「10分だけ時間いいですか?」と話す機会をねらっています。

私は今の組織で一番経験も浅く、普通にしていたら、私だけのために時間をとってもらうのは難しいですからね。ただ、勝手に自分が「朝のぶつかり稽古」だと思ってやっていることで、事業部長がどう思っているのかは全く分かりません。



学生レポーター:すごいバイタリティですね。行動力が羨ましいです。私は、やりたくても周りの目が気になってしまって行動できないと思います。
小林さん:そう思うのも無理はないと思います。でも、意外と周りは自分のことをそんなに見ていないと思いますよ。

「清水の舞台から飛び降りる覚悟」をもって行動したところで、周りは以前と変わらない。そんなもんです。 でも、やってみたら自分の中では大きく変わるんです。やってみるとこんなことだったとわかりますし、さらに積み重ねることで得られるものもあるかもしれません。一回だけやってみて様子を窺ってみてもよいと思います。



学生のみなさんへのメッセージ

学生レポーター:個人的な話で恐縮ですが、私も文学部なのですが、文学部は社会との接点が少ない学問だと聞いて、就活に不利なのかと少し焦っています。どうしたらいいでしょうか。
小林さん:文学部だから不利ということはありません。ただ、外の社会にも意識して出ていくことは、絶対にするべきです。作品に没頭したり、物を作ったり、考え抜いたりできる時間は学生時代にしか持てないですし、どれもよい経験になります。

でも、自分から外に出て、自分と異なる価値観や、世代の異なる人との交流をしないと、考え方も広がらないですし、自分自身がどのように働きたいのか、そのヒントを得ることもイメージを持つことも難しいと思います。



学生レポーター:具体的なアドバイスをありがとうございます。私も大学の外にでるような活動を考えます!最後に、全ての学生に向けてアドバイスをお願いします。
小林さん:文学部の話とも共通しますが、とにかく人と話すこと、特に自分とバックグラウンドが異なる人と話すのを面倒だと避けないことです。

学生時代の方が色々な人と会えます。人は、自分の守備範囲の中でラクにまわそうとしてしまいがちですが、守備範囲を広げる期間が大学時代だと思います。 なるべく自分の理解できないものを理解しようとする。自分の基準や価値観、今描いている進路を、あえて崩していくような努力が必要だと思います。

一方で、自分の直感を信じて自らを貫き通す意志の強さも大切です。 私自身、以前は周囲との関係を良好に保とうとするあまり、本当にやりたいことができない、言いたいことが言えない時期がありました。 周りの人との関係は大切ですが、曖昧な意思表示で物事を決めると、ベストな道を歩めないと感じています。

友達と本音で話す。親にも自分の進路に関する考えをきちんと話しておく。 自分が本当に何がしたいか、時には周囲との軋轢を恐れることなく、自分の意見を強く主張する場面も必要だと思います。 協調も大切ですが、その中でありのままの自分を見せて発信することができるよう、勇気をもって話すことを恐れないでください。



学生レポーター:日々の過ごし方が社会人になって役立つんですね。貴重なお話をありがとうございました!

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