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大学での学びは仕事に役立つの?
どのような学部・学科でも、大学で学んだことは社会に出てから必ず役に立ちます。第一に、学んだことを知識としてそのまま活かすことができます。第二に、「学びのプロセス」を仕事の進め方に応用できます。
大学での学びと仕事は関係ないと思われる人もいるかもしれません。確かに大学で得た知識の中には、仕事に関連するものもそうでないものもあるでしょう。しかし、どの科目であっても、そこで「学びのプロセス」を習得すれば自分の財産になります。
例えば、大学では情報収集する場面が多くあります。その際、与えられたテーマに基づき、何をどう調べるかは自分で決めます。仕事でも、与えられた役割の中で、何にどう取り組むかは自分が決めます。問題点は何かを考え、仮説を立て、調べ、取り組むという一連のプロセスは、大学の学びも仕事も同じです。仕事の進め方は、社会人になったらいきなり身につくのではなく、大学生の間に経験を積み重ねながら鍛えられるものなのです。
高校と大学の学びの違い
高校までは、問題には必ず一つの正解があり、早く正確に回答することが求められました。
大学の学びは、答えは一つではありません。自分自身の方法で考え、根拠を探し出すことが重要です。
例えばレポートを書くときには、問われたテーマに対して、仮説をたて、先行研究の情報収集や調査、実験をして検証し、根拠のある主張を明示します。卒業論文や専門テーマの研究は、その集大成といえるでしょう。
大学の学びのスタイルは、授業を受けていれば勝手に身につくものではありません。「授業で言われたことを覚える」のではなく、「自分で疑問に思うこと、興味がわくことを調べる」という主体性が必要です。高校までの学び方を自分で変えていく必要があります。
大学での学び方は、大学1年生のできるだけ早い段階で身につけておきたいところです。専門領域のテーマを研究するためには、幅広い知識、思考する力、他者と学び合う経験、自らの主張をわかりやすく表現する力が必要です。
その力や経験を少しずつ身につけられるよう1,2年生の科目が設計されています。大学1年生の授業は、大学の学び方を習得する機会として貴重です。
同じように、大学4年間のカリキュラムは、学生が社会に出て活躍できるよう、先生達が専門分野の学びを効果的に配置しているのです。
共通教育科目を学ぶ意義とは
共通教育科目を学ぶ目的は、学び方を習得すること以外にも三つあります。
一つ目は「自分の視野を広げること」です。
専門に分かれると、狭くて深い学びが始まります。それは「なぜだろう」とどこまでも追究し続ける過酷な世界です。そこでは「視点を変えて考えてみる」「全く違う分野の考え方を応用して組み合わせてみる」というアプローチもとても重要です。ヒントは専門分野だけにあるとは限りません。専門分野以外の人の話を聞いて「はっとした」ということも少なくないのです。
いろいろな分野の考え方やアプローチ方法を吸収できれば、目の前の研究に活かせるだけでなく、自らの興味関心の扉を開くことにもつながるでしょう。
二つ目は、「さまざまな分野の知識を蓄えられること」です。
今後、社会に出たときに自分の専門分野だけで仕事をすることはありません。仕事は、あらゆる分野が複雑に組み合わさって成立しています。
例えば、営業という仕事をとっても「法律」「経済」「経営」「心理」「社会」「歴史」「生産管理」「政治」「グローバル」「自然科学」などの学問が関連するでしょう。
そんなとき、社会人は「専門外について私はわかりません」とは言えません。自ら学ぶ必要があります。学ぶとき、関連する科目を大学で履修していたかどうかでスタート地点が異なってきます。その科目の学び方を知っていることと、学ぶための基礎知識を持っていることは、実は将来大きなアドバンテージになるのです。
三つ目は、「好奇心に満ちた豊かな人生を送るため」です。
興味があること、好きだと思えることは、専門分野以外にもあるものです。専門分野のように極めなくてもよい分、自身の趣味や関心事として楽しみ続けることができます。研究や仕事に行き詰まった時に、それらを通してリフレッシュできることもあるかもしれません。
また、生涯を通して興味を持ち続け学べる分野があることは、日々の暮らしを充実したものにしてくれるでしょう。共通教育科目は、好奇心を刺激する分野との出会いの宝庫でもあるのです。
語学を学ぶ意義とは
英語はもちろん、第二外国語を履修する必要のある人も多いでしょう。これまで英語が好きではなかった人からすると、「即時に自動翻訳で意思疎通できる時代もすぐそこなのに、なぜ学ぶ必要があるのか」と思うかもしれません。
しかし、大学は語学の学びをとても重要視しています。それはなぜでしょうか。
私たちはグローバル社会に生きており、さまざまな国の人たちと関わり合って生活しています。
そこで、言語は相互理解のための「ツール」となります。相互理解とは、単なる意思疎通ではありません。相手の国の歴史、文化や風習を知り、それらを尊重すること、その上で、自国との違いを認識し、伝わり方・受け止め方の違いを考慮しながら自身の主張をすること、その積み重ねで深まるものです。
語学は4技能の学び(聞く・読む・話す・書く)から成り立ちます。大学生になると、各技能を磨くと同時に、それらを総合的に発揮する力の獲得を目指して、実践を積むカリキュラムが組まれます。実際に外国語を使う場面では、他国と自国の文化の違いに気づかされます。同じ話でも国によって受け止め方はさまざまです。
語学の学びは、他国のことを理解し、自国を再認識することにつながります。グローバル社会での相互尊重の姿勢を身につけていくことができるのです。
また、専門分野を学ぶ際は、日本語の論文だけではなく、外国語の論文を参照することもあります。特に英語で書かれたものを読む機会は多いでしょう。英語の論文を早く正確に読み、理解することは研究において必須となる力です。さらに研究を進める場合は、英語でわかりやすく表現する力も必要になります。
ビジネスの場面においても、外国語で書かれた内容をその言語でリアルタイムに理解できるか、誰かが日本語に訳してから情報を取得するかで大きなタイムラグが生まれます。日本語だけの情報収集では世界で起こっている情報を獲得する機会を損失してしまいます。
また、実際に仕事で交渉する場面においては、特に自分の主張を明確に伝えるため、語学力だけでなく、自信や経験も必要となってくるでしょう。
各専門基礎科目を学ぶ意義とは
1,2年生で配置されている専門基礎科目は、専門科目を極めるための基礎知識を幅広く学び、身につけるためのものです。
ただ、範囲が広すぎて途方にくれたり、学びたかったことから遠いと感じたりすることがあるかもしれません。でも、この時期の努力は1,2年後の専門分野の学びに直結します。ベーシックな内容から始まり、一つずつ科目を積み重ねて学ぶのです。しかし、その過程では「この科目が専門科目につながると思えない」「専門基礎科目が難しくて不安」という声も聞こえてきます。
ここで、大学1年生がよく抱く悩みや不安について、先輩からのアドバイスを紹介しましょう。
実際に社会人として働いている先輩から話を聞き、大学時代の振り返りと、今その時の学びがどのように役立っているのかを出身学部別にまとめました。
今から少しずつ学び方を変えてみる
ここまで大学の学びが、どう役立つのかを考えてきました。次は「学び方の転換」を意識してみましょう。
「主体的に学ぶ」ことを、いきなり全ての科目で始めるのは大変です。まずは「興味のある科目」「専門科目に必要な科目」から学び方を変えるとよいでしょう。
「先生の話でわからなかったことを授業後に調べる」「反対の意見を考える」「関連する本を読む」「自分の意見の根拠を集め、表現する」。これらは、全て主体的な学び方です。一つひとつトライしていくと、いつの間にか学び方が変わってきていることに気づくはずです。
迷ったら、ぜひ大学の先生や先輩に相談してください。きっとあなたの次なる一歩へヒントを示してくれるでしょう。
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