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社会学部系統出身の先輩の「まなぶ」と「はたらく」をつなぐ

  • 大学1,2年生
  • 2021.10.01

※本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

教えて、先輩!今、苦労している科目は、将来何の役に立つの? 

社会学の学びは、あらゆる集団、人間関係、個人の在り方など、社会の移り変わり全てが研究の対象となります。研究対象となる範囲が非常に広い学問です。
その中で、自分ならではの考える切り口を持ち、「なぜそのようになっているのか」と考え問題を発見する力が必要となります。他の社会科学分野の学問とも密接につながっているため、幅広い知見も必要になるでしょう。
また実際にテーマを検討する際は、関連するデータを収集・分析し、実態と合わせて考察する力も磨くことができます。

社会人の先輩に聞いた「専門基礎科目で大変だった科目」BEST3

・社会学基礎、 社会学概論

・社会調査入門

・社会統計学、量的調査

先輩が学んでおいてよかったこと

【社会学基礎、社会学概論】

学生:身近な学問で親しみやすそうだと思って社会学部を選んだのですが、いきなりこの科目で難解な原理や理論、調査が出てきて混乱しています。文献も一度読んだだけでは頭に入ってこないのに、授業がどんどん先に進んでしまい、レポートに追われています。
先輩「理論を組み立てる思考そのものが、考えるための指針になる」
私も、この授業を受けたとき「思っていた社会学のイメージと違う、難しい!」と思いました。次から次に出てくる社会理論や社会システムに関する解説を聞いてもなかなか覚えられず、先生の言葉やキーワードをノートに書くことに必死でした。実際に学んでいる時は、何がわかっていて何がわかっていないのかも理解しきれていませんでした。この科目でも統計を使った数学的な知識を求められ、「ここでも数学が出てくるの?」と驚きました。

でも、この授業は、専門課程に進んだ時に「大切な学びだった」と気づきました。学んだ理論だけでなく、理論を組み立てる思考そのものが、専門分野の学びを深めるときの基礎につながっていたのです。社会学の専門分野の学びが進むにつれて、「前に学んだことはこういうことだったのか」と気づく瞬間が何度もありました。

社会に出てからも、この科目で先生が話していたことや理論で役立っていることはいくつもあります。例えば、仕事でユーザーや顧客の満足度向上を考える際、ミクロ的な視点だけではなく、「社会にどのような価値を及ぼすとよいか」「変化する社会で今後どのように進化・発展させていくべきか」というマクロ的な視点も意識するようにしています。それもこの科目を学んでいたからこそ、自然に考えられていると思います。

【社会調査入門】

学生:実際に興味のある分野の調査データの話は興味深く聞けるのですが、調査の種類、やり方を聞いても難しく、それらの違いも実際にわかった気がするだけのような気がします。社会調査士になるために必須だから履修したものの、このままで本当に大丈夫なのか心配です。
先輩「調査を設計して実行した経験は、どの仕事にも通じる」
私も、この授業を受けるまでは、調査とはアンケートに回答してもらい、その結果を集計してまとめることだと思っていました。ですので、調査だけでも目的に合わせて多くの種類があることに驚きました。日ごろ何げなく「〇〇調査の結果」「〇〇調べ」などといったフレーズを目にしますよね。授業で学んでからは、今見ている調査結果は妥当なのか考えるようになりました。

私はこの科目を通して、量的調査と質的調査、両方でデータをとることの重要性を学びました。データを読み取り、「なぜこの結果になったのだろう」と疑問を持って考える。考えたことを収集した情報とつなぎ合わせ、自らの仮説としてまとめ、さらにヒアリング調査を計画・実行する。そこから仮説の妥当性を客観的に判定する。この手法は社会に出て仕事を行う際の手順そのものでした。

また、「どの手法でどんな相手にどういう問い方をすれば、求める結果が得られるか」という考え方に基づいた試行の経験も今に生きています。専門科目や実習では、研究テーマについて自分で調査やフィールドワークを実施し、仮説検証を行いました。社会学部は現場に飛び出して学べるチャンスがあります。調査について「やり方を知っている」だけでなく、「実際に設計して実行した」経験はどの仕事にも役立つと思います。

【社会統計学、量的調査】

学生:実際に計算したり、いろいろな検定について学んだりで難しいです。統計ソフトの使い方さえわかれば結果はすぐに出るのに、なぜいちいち計算しなければいけないのか。数学は大学受験で使わなかったので、今さら確率といわれても大変で、テスト勉強もしんどいです。
先輩「統計・調査の分析は、問題提起やニーズの顕在化の際のエビデンスになる」
この科目は私も苦労しました。「社会に出て数学を使うことは文系の自分にはない」という考えが間違いだったと痛感しましたし、「社会学って文系だよね?」と言っていた友人もいました。とにかく、ひたすら数字と向かい合っていた、という感覚があります。

3年生から、実際に自分でテーマをもって研究を開始する人が多いと思います。私はそのころから、社会問題に切り込むためにも、正しい調査を行ってその結果の数値を正確に読み取る重要性を実感し始めました。統計ソフトを使うときも、計算や検定結果の意味を理解している必要性を感じて、この科目での学びがつながったのです。統計学の履修を通して「誰の目から見ても明らかな情報」に近づける面白さに、少しずつ手応えを感じられると思います。

仕事で問題提起をしたり隠れたニーズを顕在化させたりするとき、必要性を客観的に証明する必要がありますが、それには調査が不可欠です。統計学の「社会問題」や「人の動き」を数値化していく作業は、仕事のプロセスそのものであり、エビデンスを基に論理的に問題を発見・共有するための力となります。

先輩が4年間の社会学の学びで身に付いたと思う力

社会学部は、学べるテーマの幅広さ、多様性が最大の特徴です。学生の研究テーマも多岐にわたり、何であっても社会の問題につながります。それらを学び合うことで視野を広げ、問題を発見する力の感度を磨き、多様な社会、価値観を理解する力を身に付けられます。分野の幅広さから「浅く広く」と思われがちですが、向かい合えば向かい合うほど「専門性高く広く」学べる学問です。

変化する社会の問題を捉えるために、毎日の暮らしで常にアンテナをはり、「なぜなのか」「数値で証明できるか」を考え、「批判的思考力」を鍛えます。問題を実証するために量的研究で裏付けデータを活用し、質的研究で実態に迫ります。それらで問題の本質をあぶり出すアプローチは業界を問わず必要となる力であり、社会で問題解決するためのベースの力となるでしょう。

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