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法学部出身の先輩の「まなぶ」と「はたらく」をつなぐ

  • 大学1,2年生
  • 2021.05.01

※本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

教えて、先輩!今、苦労している科目は、将来何の役に立つの? 

法学は、法律の具体的な内容や意味を知り、さまざまな問題や事件を法の理念に照らし合わせ、その法律をどう適用するかを学ぶ学問です。社会で生じる問題は、なんらかの形で法律とかかわっています。法律の知識が社会に出て役立つことは少なくありません。

また、知識だけでなく、法学の学びを通して身に着けた力が役に立つでしょう。仕事は何かしらの問題を解決することです。そのとき、「原理原則を基に考える力」「物事を客観的にとらえた上で、規則性や法則を見いだす思考力」などを生かすことができるでしょう。

社会人の先輩に聞いた「専門基礎科目で大変だった科目」BEST3

・憲法

・民法

・刑法

先輩が学んでおいてよかったこと

【憲法】

学生:他の科目と比べて、憲法自体の範囲はそんなに広くないだろうと思っていたので、完全に油断していました。授業は、憲法という観点から、政治、歴史、文化、外国と広がり、宿題も「国会やニュースを見て考える」などと幅が広すぎます。先生の問いかけも難しく、頭の回転が追いつかないし、期末にある論述テストが不安です。
先輩『「過去」への深い理解と、「今」と「未来」を見据えて広い視野を持って考え続ける』
この科目は、これまでとは違う脳の領域を使っているようで、ものすごく戸惑いました。短い文章に込められた、一文の奥に広がる解釈の世界。一つの文章にこんな深い内容が包含されているなんて思いもしませんでした。ある事象を検証する際には、背景にある政治や歴史や文化、時事、海外情勢など、いろいろ考慮した上で理解しなければなりません。膨大な学びの範囲ですよね。でも、法律を扱うときには「過去」への深い理解が重要であること。そして、「過去」「今」「未来」と変化する社会に法がどのように対応できるかを思考すること。それが法学だと、この科目でわかってきたような気がします。

宿題や論述テストに臨むためには、知識のインプットは前提でしかなく、暗記だけでは太刀打ちできませんでした。問いに対して、自らの見解を端的に述べ、根拠となる条文を示し、判断の理由を明示する。とても難しく苦労しましたが、今となってはそのプロセスこそが、社会で役立っていると感じます。

【民法】

学生:授業を受けるまでは、身近な暮らしの法律というイメージがあったので、親しみやすい科目だと思っていました。でも、授業が始まると、範囲が広く驚きました。授業でわからなかったことをそのままにしていると、後でもっとわからなくなってくるので、毎回ついていくのに必死です。
先輩「日々の生活だけでなく、学び方が表現力や問題に取り組む姿勢にもつながった」
今となっては、日本の社会のルールを知ることは、日々の暮らしに直結していたと思います。買い物も売買契約の成立ですからね。仕事で特に役立っていると思う点は、「論理的に主張を組み立て表現する力」を身に着けられたことです。文書にしても、発言にしても、このことは常に意識しています。
また、組織にどのような基準や行動目標があると、所属するメンバーは動きやすいかを客観的かつ論理的に考えること。過去の成功体験に囚われず、その都度その時の最適解を導くこと。問題解決に取り組むそれらの姿勢は、この科目が原点となっていると感じます。

【刑法】

学生:高校生の時、ドラマで検事の仕事を見て影響をうけ、法学部に進学しました。授業では事例が多く興味深いのですが、事例研究を自分で行うのは難しいです。事件について刑法を基に論述を求められるのですが、判例を見るたび自分には法学のセンスがないのかな、と不安になります。
先輩「収集した情報を客観的に分析して問題設定し、論理的に検討してひとつの解を導く」
ニュースやドラマで刑法はよく出てくるので、知っているような気がしますよね。でも、実際には法を犯さない限り、一般の人には無関係な法律ですから、学び始めは、覚えることにも考えることにも慣れなくて、大変でした。
学ぶ際は、被害者や加害者、事件の背景や時代も含めて考える必要があります。無意識に自分の価値観に左右されていたことを指摘され、先入観にとらわれない思考をトライ&エラーで学びましたね。学んでいくうちに法律だけでなく、人が人を裁く意味や犯罪心理にも興味が出てきました。

刑法が実生活に役立つ場面は、ないほうがいい。でも、刑法の「学び方」は、社会に出たら役に立っています。どんな仕事でも、問題が何かを見極めるには、過去の事例やデータに基づいて判断し、問題の解決策を検討する際には集めた情報を基に論理的に考えます。これらのプロセスは、刑法の授業で培った学びのプロセスそのものでしたね。

また、仕事はチームで行うことが大半ですので、グループで行った事例研究も役立ちました。説得力のある主張を心がけるだけでなく、結論が異なる人に対しては、意図をくみ取りながら意見を聞くよう心がけました。そこで身につけた「異なる考えから学び合うこと」は、今でも意識しています。

先輩が4年間の法学の学びで身に付いたと思う力

社会には、仕組みやルールが必ず存在します。その目的は、集団・組織内でメンバー同士が秩序を守って互いを尊重し、各々の力を発揮し、一人ひとりの幸福を追求しながら共通の目標を達成するためです。そのために、前例に倣いながらも、現在と未来を見据え、構築、運用し続けているのです。

法学部の学びは、社会の仕組みやルールについて考えること。学びのプロセスにおいて、情報収集力、論理的に考える思考力、相手にわかりやすく伝えるための説得力、相手と最適解を作り上げる傾聴力を身に着けることができます。
それは、あなたが所属するどの組織でも求められる力といえるでしょう。

大学生のときに苦労した科目ほど、今の自分に生きています。いい苦労をたくさんして、思う存分、今を楽しんで欲しいです!

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