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理系出身の先輩の「まなぶ」と「はたらく」をつなぐ

  • 大学1,2年生
  • 2022.04.04

※本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

教えて、先輩! 今、学んでいる科目は、将来何の役に立つの?

理系学部の1年生の履修科目は専門を学ぶための基礎科目が多いですが、専攻する予定の分野に直結しない科目もいくつかを必修として学びます。それは、一見関係ないように思う科目であっても、研究が進めば進むほど、隣接分野の知識や技能を活用、応用する場面が出てくるからです。高校時代から得意な科目であればそこまで苦にならないかもしれませんが、苦手な分野であれば大変だと感じるでしょう。

しかし、一つひとつの科目を理解することから逃げずに向き合い、わからないことを明確にして調べたり質問したりしながら理解する過程で鍛えた「学ぶ姿勢」は、社会でそのまま生かせます。

1年生の時に先輩が学んでおいてよかったこと

【長文のレポートを書く課題が出る授業】

学生:文章を書くことだけでなく、国語にも苦手意識があり理系を選択しました。それなのに、理系の学部でここまで文章を書かなければならないのは想定外でした。文章を書くのも遅いし、何をどう書いていいのかわからないので、レポートの締め切りが近づくたびに気が重くなります。
先輩「相手に伝わる、わかりやすい文章を書く力は理系でも必須のスキル」

私も、全く同じ状況でした。1年生の時の共通科目で、毎回授業終了時にミニレポートの提出が課せられる授業がありました。いつも時間ギリギリで何とか文字数を埋めて提出していましたが、期末レポートは2,000文字だと知って途方にくれました。それを先生に愚痴ると「2,000文字のレポートを書くことくらい、論文を書くことに比べれば何でもない。報告書やもっと長い論文は、大学生活でも社会人になってからも頻繁に書くことになる」と言われました。「小学生の頃から読書感想文等が苦手で全く書けなかった。いい文章を速く書けるコツを知りたい」と相談すると、「いい文章って何? 別に素晴らしい文章を目指さなくていい。自分にも相手にもわかりやすい文章を書くことが大切だ」と指導してくれました。

この時先生に言われたことは、実験の日誌や報告書作成にも通じるものでした。その頃の私は報告書を提出しても「冗長な文章で論理的でない」という指摘が続いていたのです。「結論を簡潔に示すこと」「何がわかって、何がわからなかったのかを、根拠と合わせて明確に書くこと」と散々言われました。何度も修正、再提出を繰り返し、少しずつ文章に関する指摘が少なくなり、「こう書けば伝わる」という型が次第に理解できた気がしました。

今、私は技術職に就いていますが、社内向けの報告書だけでなく取引先企業への文書も作成します。メールでのやり取りも頻繁にあります。そんな時「この文章は相手にとってわかりやすく、明確に趣旨が伝わる文章か」と常に意識しています。大学時代に文章を書くトレーニングをした経験が生きています。

【発信力、傾聴等のコミュニケーション力を鍛える授業】

学生:私はもともと話し上手ではなく、人に自分の意見を伝えるのが苦手です。コミュニケーションを積極的にとるタイプではありません。仕事もパソコンのスキルがあればコミュニケーションが苦手でも何とかなりますか? 本当のところを教えてください。
先輩「コミュニケーションが不要な仕事はない。鍛えておくのは今のうち」

わかります。私も苦手でした。高校の頃に部活で話し合いをする際、同級生がどんどん自分の意見を出して議論しているのを見て、「なぜそんなに話せるんだろう」と率直に驚きました。私は考える時間をとってから話したいので、黙っているうちに話が進んでしまい、なかなか話し合いに参加できませんでした。

でも、プログラミング科目の先生からは「もっと議論しなさい」「今うまくいっていないことを打ち明けて、もっと意見を求めなさい」と口酸っぱく言われました。自分一人の力で解決できることはほんの一部分で、他者の視点や考え方を取り入れたり、みんなで考えたりすることで、解決の糸口が見つかることがあるからだと言うのです。プログラミングの授業とは、やり方を教わりながら一人で黙々と進めるものだと思っていました。しかし実際には、何をどんな目的でプログラミングするのかをプレゼンしたり、クラスメイトの問題をみんなで検討したりとチームで学び合うことが多くありました。その過程を繰り返すうちに、協力し合うことの意義を実感しました。そして「より的確に自分の考えを伝えるには? 他者の意見の真意は?」と考えながら議論に参加するようになりました。うまく言葉にできない時や考えをまとめるのに時間がかかる時もありましたが、繰り返すうちにできるようになり、コミュニケーションに対する苦手意識は徐々に薄れてきたように思います。

私は今、エンジニアとして仕事をしています。パソコンに向かう時間も長いですが、仕事はチームで役割分担をしながら進むので、打ち合わせや進捗確認、トラブル時の対応等、緊密な連携が必須です。営業担当者と一緒に取引先企業との打ち合わせに同席することも多いです。特に交渉で難しいのは、専門的な内容に詳しくない顧客のニーズを引き出す必要がある場面、また、要望に応えられない場合に、失礼なく伝え、条件に基づき新たな案を提示する場面です。そんな時、傾聴と発信力の重要性を感じます。私生活では相変わらずですが、仕事面では論理的な組み立てを意識して、気後れせずに自然に話すようになったのも、大学時代の経験があるからだと思います。

【専門性を将来の仕事につなげる? つなげない?】

学生:理系の学生は、大学院に行かないと専門性を就職に生かせないと言われました。私は今の専門分野は好きですが、それをそのまま仕事にするか悩んでいます。世の中には色々な仕事があると思うからです。ただ、先生や周りの学生は専門のことばかり話しているので、どうやって専門以外の仕事を調べたらよいかもわかりません。
先輩「どんな仕事でも理系ならではの“学び方”を生かせる。仕事の情報は自分で取りに行く」

学びを生かした就職を希望するなら、専門分野にもよりますが、大学院に進学して研究するのがいいと思います。私は「もっと学びたい」と思い大学院に進学したものの、専門性を生かした就職をしたいかどうかで悩み、結果的に全く関係のない分野の仕事に就きました。 私は、実習や実験における学びを通して、2つの力を身につけられたと思っています。1つは「問題を見つけ、それを解決するために道筋を立て実行する。その結果を振り返り、次に生かす力」です。もう1つが「仮説を証明するために、適切な計算をし、出てきた数値結果を読み解く力」です。実習や実験では当たり前の研究方法が、社会でそのまま役に立ちます。なぜなら、どの仕事にも「数値管理」や「統計データを読み解き仮説を立てる」業務があるからです。学部の学びでも、実習、実験を通して、「計算・分析・分析結果の読み解きから導く仮説立案」をたくさん練習します。これからの時代、これらの数的リテラシーは、ますます重要視され、理系ならではの強みとして仕事に生かせると思います。

また、私は「自分がやってみたいと思う仕事かどうか」を判断するためには、「知ること」が一番重要だと思います。専門分野に関する仕事の情報は比較的入手しやすいですが、他の分野も気になるのであれば、自分で調べたり、人に聞いたり、体験したりしてみなければ判断材料を得られません。私はアルバイト先で出会った金融業界の人の影響で、金融やコンサル業、商社に興味を持ちました。誰かの問題を一緒になって考え解決していくことが、地元や国の経済発展につながると思った時にわくわくしたからです。それからは業界にあまりこだわらず、気になった企業の説明会に行きました。そして、「面白そう」と思ったところに自分なりの理由を考え、志望を固めていきました。専門分野に少し未練はありましたが、自分よりも優秀な先輩や仲間を見て「自分はここまでは究められない。違う分野で勝負をしたい」と思っていた時期だったので、決断しました。今でも専門分野で研究職に就いている友人とは連絡を取っていて、お互い励まし合っています。

理系出身の先輩が大学時代にやっておいてよかったと思うこと

理系は、学問に没頭できる環境が本当に整っていると思います。社会人になったら、こんなに自分の学びたいことだけができる環境はありません。内容によって過酷な時もありますが、自ら選んだ専門分野で物事の考え方を究める体験ができます。その体験こそ仕事に生きる学び方「問題を発見し、それを解決する力を磨くこと」そのものですし、いい意味で「どこまでが自分の限界か」を見定められます。困難な状況に直面したらどう対処するかという経験もできるので、忍耐強さ・レジリエンスを高めることもできるでしょう。「あの時はつらかったけど、仲間と乗り切ったな」という経験から、「その後の人生でも仲間の存在や力を信じることができる」という先輩たちがたくさんいます。

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