採用CX(候補者体験)とは?具体的な改善方法は?新卒採用でも重要度が増す採用CXを徹底解説!
「選考のオンライン化で自社の魅力が伝わりきらず、学生の志望度を高めるのが難しい」「選考辞退・内定辞退が増えている」など、ここ2年ほどの新卒採用に苦戦されている企業も多いのではないでしょうか。
もしかすると、「たくさん集めて一律の選考フローでふるいにかける」というやり方ではなく、「選考を通じて学生の志望度を上げる」という採用CX(候補者体験)の考え方が必要かもしれません。本記事では、採用CX(候補者体験)の概要と、その具体的な設計方法について解説します。
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目次[非表示]
- 1.採用CX(候補者体験)とは
- 2.採用CXが重視されるようになった背景
- 2.1.選考情報のオープン化
- 2.2.選考のオンライン化
- 2.3.学生の志向の変化
- 3.採用CXの具体的な改善方法
- 3.1.ターゲットの見直し
- 3.2.学生への細かな情報提供
- 3.2.1.応募前~選考参加前:短い動画の共有
- 3.2.2.選考参加前~最終選考前:各選考フェーズに合わせた記事の共有
- 3.2.3.選考参加後~入社前:学生が希望するキャリアに合わせた面談の設定
- 3.3.面接官のトレーニング
- 3.3.1.ロールプレイングの実施
- 3.3.2.面接マニュアルの作成
- 3.4.フィードバックの実施
- 3.5.選考アンケートの実施
- 3.6.内定後のフォロー
- 4.まとめ
採用CX(候補者体験)とは
採用CX(候補者体験)とは「学生が企業のことを認知し、応募や選考ののち、入社するまでの各フェーズでの体験」のことです。
一言に採用プロセスといっても、応募から各選考、面接、その過程で発生する社員とのやり取り、入社後の定着まで、学生が辿りうるすべての過程が採用CXの対象です。
近年は、「学生にどんな体験をしてもらうか、その結果自社に対してどんな印象を抱いてほしいのか」までを細かく想定して、採用CXを設計することの必要性が叫ばれています。
採用CXが重視されるようになった背景
これまでの日本の新卒採用市場においては「応募者を集めるために認知を得る」ことばかり注力されていましたが、近年「選考を通じて、内定を承諾してもらう」ための施策も重要視されるようになりました。
その背景として主に挙げられるのは、採用市場で起こりつつある3つの変化です。
選考情報のオープン化
選考の口コミサイトやオープンチャットを利用すれば、面接の詳細や感想を匿名で投稿できてしまう時代になりました。「嫌な質問をされた」「態度が悪かった」などといった悪評も、「適切なフィードバックをもらった」「選考前後のフォローが親切であった」などという好意的な感想も、インターネット上で気軽に共有されています。
面接での1人の学生に対する言動が、何千人もの学生の目に留まり、会社の評判や採用成功に影響を及ぼす可能性があるのです。
選考のオンライン化
選考がオンライン化したことにより、対面での選考イベント開催が難しく、自社の魅力が伝えづらくなってしまいました。その結果、学生の志望度を上げづらくなっているのが実情です。
「募集を始めてから内定承諾を得るまで」スムーズに進めることが難しくなっていると言えます。
だからこそ、応募後のお礼メール、選考後の合否連絡といった細かい部分までを重要なタッチポイントと捉え、コミュニケーションを工夫する必要がでてきました。
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学生の志向の変化
近年の学生は、日頃から個別最適化されたメッセージに触れており、消費行動において「自分らしさ」を重視しています。この判断軸は会社を選ぶ際にも同様で、「自分らしさ」を求め、「画一的なコミュニケーションに違和感を持つ」様子が伺えます。
一方で「自分だけの判断」に自信はないという方が多いので、選考を通じて、その学生に合った道筋や情報を示していくことが必要となります。
採用CXの具体的な改善方法
採用CXの設計はどのように進めていけばよいのでしょうか。
選考の全体を通して意識してほしいことは、
①選考のフェーズごとの心情をイメージする
②各選考のつながり(≒カスタマージャーニー)を意識する
の二点です。
では、選考における施策ごとにみていきましょう。
ターゲットの見直し
大前提として、「誰もが100%満足する採用CX」の設計は難しいと考えられます。
例えば、採用ターゲットとなる学生が「起業経験あり、ベンチャー志向」の場合と「海外駐在希望、日系大手志向」の場合では、魅力に感じる情報やロールモデル、選考体験が全く異なります。
そのため、ターゲットに合った採用CXを設計するためには、まず第一にターゲットを見直すことが重要です。ターゲットは、「活躍人材の分析」と「経営陣が目指す会社の姿からの逆算」をもとに設計することがおすすめです。
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学生への細かな情報提供
前述のとおり、選考に関する情報に容易にアクセスできるようになったことで、きれいに作りこまれた情報よりも、ありのままのリアルな情報が求められるようになりました。
自社サイトに掲載する内容として「選考情報をはじめとする最低限の情報」は必須ですが、加えて「作りこまれていないリアルな社員の声」も積極的に発信しましょう。
そのほか、選考フェーズに応じた細やかな情報提供が必要となりますので、順番に説明していきます。
応募前~選考参加前:短い動画の共有
短い期間で何十社もエントリーしなければならないため、学生の中には「会社のことをよく知らないがとりあえずエントリーした」という方も多くいます。このタイミングで、会社のHPや会社案内パンフレットにすみずみまで目を通す、という主体的な情報収集の仕方をする学生はめったにいないでしょう。
まずは会社への興味・理解を深める最初のきっかけをつくること目的に、2,3分ほどにまとめた会社の紹介映像を用意することをおすすめします。
選考参加前~最終選考前:各選考フェーズに合わせた記事の共有
選考のフェーズによって、学生が必要とする情報は異なります。
一次面接の直前であれば会社全体の概要についての簡単な記事、代表との面接の前であれば代表インタビューの記事を送るなど、より会社について理解を深められるような情報を、面接官や面接内容に合わせて提供することを心がけてみてください。
選考参加後~入社前:学生が希望するキャリアに合わせた面談の設定
育休や産休の取得経験がある社員、職種変更の経験がある社員など、学生が思い描くキャリアパスのロールモデルとなりうる社員を紹介することで、入社後のイメージを具体化させることにつながります。
面接官のトレーニング
面接官の印象の良し悪しは、学生の入社意欲に直結します。
適切な態度・言動で自社の情報を提供して、自社への好感度を上げられるようにトレーニングをすることは必須です。
特に、役員や現場社員など普段採用に直接関わっていない立場の方が面接を担当する際、以下の2つの方法で面接官トレーニングを行うのがおすすめです。
ロールプレイングの実施
面接官同士でフィードバックをしあい、話し方や立ち振る舞い、受け答えの質を向上させます。
実際の面接を経験して生じた悩みとその解決方法や、それぞれが持つ面接ノウハウを共有する場としても、活用するなど、定期的にロールプレイングをすることで、面接をブラッシュアップしていきましょう。
面接マニュアルの作成
学生に受けた質問とその回答や、面接の基本的な進め方をまとめて社内に共有し、面接官全体の質の統一と向上を目指します。
面接で聞いてはいけない項目をあらかじめ共有しておくことも重要です。
学生の志望度を下げてしまうNG質問をまとめた記事をご用意しているので、ぜひご活用ください。
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フィードバックの実施
学生が選考フローを順調に進んだ場合も、各選考で適切なフィードバックをすることが採用CXの改善につながります。
特に「どこを評価し、どんな期待をしたから選考を通過したのか」といった、合格の理由を具体的に伝えてください。
場合によっては、学生の改善点を指摘することもあるかもしれません。
その際は、否定的な言葉を使ったりあいまいな表現をしたりせずに「●●のエピソードをもっと深ぼったら、より熱意が伝わると思います」「もう少し声のトーンを落として話した方が、より相手に響きやすい話し方になると思います」といったように、どう改善すればよいのかを具体的に伝えるようにしましょう。
選考アンケートの実施
学生へのフィードバックももちろん大切ですが、学生からの選考に対するフィードバックも集めることで、採用CXをブラッシュアップしましょう。
選考を受けてくれた学生にアンケートをとる手法がもっとも一般的です。選考を進んだ理由や、選考の満足度、面接官の印象など、次の選考に活かせる情報を集めることができます。
内定者だけでなく、選考辞退者にもアンケートを行うのもおすすめです。辞退の理由や、選考後のフォローに不足していた点など、リアルな意見を拾うことができます。
内定後のフォロー
内定辞退を避け、入社後に活躍してもらうためにも、内定者の学生に対するフォロー施策は必須となります。
具体例としては、内定者イベントの実施や定期的なメッセージのやり取り、座談会の実施などが挙げられます。
学生との継続的なコミュニケーションを通じて関係性を構築すること、会社への理解を促進し、高い入社意欲を維持してもらうことがポイントです。
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まとめ
フェーズごとに採用CX向上の施策を見てきましたが、どんな採用ターゲットにも、どの選考フェーズにおいても重要なのは「真摯に対応する」「良い関係を築こうとしている姿勢を見せる」ことです。言葉使いが失礼でないか、学生へ迅速に連絡できているかなど、基本的で細かい部分に問題がないか、ぜひ今一度振り返ってみてください。
学生の心情を理解するための参考情報として、学生にアンケート(「【学生調査データ】学生の企業選びに関するアンケート調査」)を公開しています。ぜひこちらもご活用いただければ幸いです。
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