学生の志望度が下がるNG質問とは?実例をもとに避けるべき質問項目を解説
学生の能力や適性を見極める場である面接。ついつい見極めだけに集中してしまいがちですが、面接は学生の志望度を上げる貴重な機会でもあります。そのため、学生にネガティブな印象を与えず、自社への入社意向をより高められるよう、質問内容については十分な配慮が必要です。
本記事では、学生から集めた実例を挙げながら、避けるべきNG質問例をご紹介いたします。
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学生の意向上げにおける面接の重要度
まず初めに、面接官の対応が学生の意向を保つためにいかに重要かを見ていきます。
アイデムの調査によると、面接を受けたものの選考を辞退した理由として10.6%の人が「採用担当者は面接官の態度が良くなかったから」と回答しています。
学生と面接官が直接話すのは長くても1時間程度と限られているので、少しでもマイナスイメージを与えてしまうような対応をしてしまうと、その印象が強く残ってしまい、学生に不信感を与えてしまいます。
「その企業と雰囲気が合わなさそうだったから」と34%の人が回答していることにも注目が必要です。学生と直接接点を持つ機会は限られている中で、せっかくお互いの理解を深める機会である面接で、少しでもネガティブイメージを持たれることがないように常に注意を払いましょう。
■面接の選考を受けたものの、選考を辞退した理由
出典:『アイデム 人と仕事研究所』2017年3月卒業予定者の就職活動に関する学生調査
面接官の不適切な対応は学生の選考参加率だけでなく、会社の評判も損なう恐れもあります。選考の口コミサイトやオープンチャットを利用すれば、面接の詳細を「匿名で気軽に」共有できてしまいます。
うっかり一度質問しただけでも「株式会社〇〇の面接で〇〇について聞かれた」という投稿が拡散されてしまい、企業イメージの毀損をもたらすことも十分ありえます。NG質問をしてしまわないように、事前に基本質問は定型化をしておきましょう。
では、どんな質問が学生にネガティブな印象を与えてしまうのか、次から、実際に学生から寄せられた具体例とともにNG質問をご紹介していきます。
NG質問①断定的な質問
「面接初めてでしょう?すごく緊張してるね」
アイスブレイクで、会話を広げるためにフランクに接しようとするあまり、配慮を欠いた断定的な質問をしてしまってはいませんか?
断定的な発言は、特に初対面では印象が悪くなりがちです。自分は大丈夫と思っていても、無意識にやってしまっていることがあるので、これまでの面接を一度振り返ってみましょう。あくまで初対面同士の会話であることを心に留め、断定するような表現は避け、丁寧な言葉使いで学生に接しましょう。
NG質問②意図が不透明な質問
「幽霊は存在すると思いますか?」
「何か面白い話をしてください」
アイスブレイクの時間でもない面接の終盤にこんなことを聞かれた学生がいます。「唐突な質問への対応力を確かめたい」など、目的があっての質問かもしれませんが、あまりにも突拍子がない質問は学生に不信感を与えてしまいます。
学生を見極める立場だという意識で一方的に質問をしてしまう形式をやめ、相互理解の場として会話のキャッチボールをすることを意識して面接をすれば、わざわざ奇をてらった質問をしなくても学生の対応力は十分に確かめられるはずです。
NG質問③志望動機
志望動機を聞くことは面接の定番ですが、選考の段階や、初回接触の経路次第では、避けたほうがいい場合もあります。
一次面接では学生はまだ志望度が上がりきっておらず、面接を重ねる中でどの企業が自分に合うのかを見極めようとしていることが多いです。
特に、リファラルやダイレクトリクルーティングといった手法で学生と最初の接点を持った場合は、学生には「企業が自分に興味を持ったから面接に来た」という意識が強いため、一次面接は相互理解と最低限のネガティブチェックの場と捉えて、踏み込んで志望動機を聞くことは避けることをおすすめします。
NG質問④的外れなフィードバック
質問ではありませんが、学生の意見として多かったのが「納得できないフィードバックをされ、嫌な思いをした」というものでした。
「なんとなく熱意が伝わらないです」
「声が高いから聞き取りづらいです」
面接でフィードバックをすることは、学生の志望度を上げるうえで重要ですが、フィードバックをダメ出しと捉えた上記のような発言をしてしまうと、学生の心象が悪くなってしまうので逆効果です。
フィードバックでは、その学生のどういった点を評価しているか、どういった点が自社に合っていると感じるかを具体的に伝えるように心がけましょう。
学生のためにどうしても改善すべき点を伝えたい場合は、否定的な言葉を使ったりあいまいな表現をしたりせずに「〇〇のエピソードをもっと深ぼったら、より熱意が伝わると思います」「もう少し声のトーンを落として話した方が、より相手に響きやすい話し方になると思います」といったように、どう改善すればよいのかを具体的に伝えるようにしましょう。
NG質問⑤倫理的にNGな質問
「いじめられた経験はありますか?」
「親友はいますか?いないのならば、なぜですか?」
いうまでもありませんが、学生の嫌な思い出やトラウマに不必要に踏み込んでしまうような倫理的にNGな質問は必ず避けましょう。
学生自身が挫折経験として自発的に話した場合にも、不用意に傷つけないよう配慮しながらヒアリングを進めるように気をつけましょう。
NG質問⑥厚生労働省が基準として定めている質問
最後に、厚生労働省が定めているNG質問の基準についてもご紹介いたします。
以下の項目の質問をしたことが発覚すると、労働局から行政指導や改善命令を受ける可能性があり、通達を無視すると罰則や罰金を科せられる場合があります。
本人に責任がなく、本人の能力とは関係のない事項についての質問
・本籍に関する質問
「生まれはどこですか?」
・住居とその環境に関する質問
「どんな家に住んでいるのですか?」
・家族構成や家族の職業・地位・収入に関する質問
「ご両親の仕事は何ですか?」
・資産に関する質問
「家には車が何台あるのですか?」
本来自由であるべき事項についての質問
・ 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党に関する質問
「信仰する宗教は何ですか?」
「支持する政党はありますか?」
男女雇用機会均等法に抵触する質問
・結婚の予定やパートナーの有無に関する質問
「恋人はいますか?」
「結婚や出産を経ても働き続けますか?」
効果的な質問
意向を下げずに学生の適性や人柄を見極めるためには、何を確かめたいのかを明確にした上で、事前に具体的な質問を用意し、意図のある質問をすることが大切です。
一例として、学生の「積極性」や「成長意欲」を測る場合におすすめの質問をご紹介します。
「就職活動に限らず、日ごろから勉強していることはありますか?」
この質問からは、課題や目標に向かって向上心を持って取り組む姿勢があるかを知ることができ、モチベーションの源泉を聞き出すこともできます。
入社後の成長・活躍度合いを推し量りたい、という場合にはぜひこちらの質問を投げかけてみてください。
「新卒採用の面接で学生を見抜く! 効果的な質問例を5つのパターンから解説」では、仕事への価値観や成長意欲など、よくある評価項目別におすすめの質問をまとめています。こちらも参考に、面接での質問内容を整理していただければ幸いです。
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まとめ
いかがでしょうか。不用意な質問で学生の心象を悪くしてしまうと、その後の面接でもうまく学生の本音や魅力を引き出せなくなってしまいます。
もし採用担当として役員・現場社員に面接官を依頼する立場の場合でも、任せきりにせずに、あらかじめ質問一覧を作成しておき、役員・現場社員がNG質問をしてしまわないようにコントロールしましょう。
質問集付きのオンライン面接マニュアルを用意しておりますので、こちらも参考にしながら、学生・面接官双方にとって実りある面接となるように設計していただければ幸いです。