新卒採用の面接で学生を見抜く質問集! 効果的な質問例を5つのパターンから解説
新卒採用は、複数の学生との面接を短期間で行い、初対面でその人の資質を見極める必要があります。
しかし、学生が持つ能力やスキルをエントリーシートから知ることはできても、性格や価値観といったパーソナリティを見極めることは容易ではありません。
特に性格や価値観などは入社後の教育・研修などで変えることが難しい要素です。また、そういった面は目に見えない要素だからこそ、面接で“その人物の特性を引き出す質問”をすることが重要になってきます。
本記事では、新卒採用の面接で学生のパーソナリティを見抜くための効果的な質問例を、5つのパターンから解説します。
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採用面接における面接官の3つの役割
新卒採用において「本当に採りたい人材」と出会うことは容易ではありません。新卒採用を行う面接官は、まずこの大前提を理解しておきましょう。また、ひと昔前は中堅と大手企業のみが行う採用手法でしたが、昨今は中小企業も混在しており、人材の獲得戦と言えます。
文科省による「大学入学者数の推移」によると、ここ数年横ばいだった18歳人口数も、2040年には約30万人ほど減少すると予測されており、今後も激戦が予想されています。
この大前提をふまえ、新卒採用において面接官が担うべき役割は下記3点です。
<新卒採用における面接官の3つの役割> 1.こだわり過ぎず「選ぶ」
2.面接上手に騙されないよう「見極める」
3.学生から「嫌われない」 |
詳しくご説明いたします。
1.こだわり過ぎず「選ぶ」
新卒採用だけでなく、「長年この採用基準で採用してきたから…」という理由で、採用条件に対して頑なになってしまうケースもあります。細かいマッチング条件にこだわり過ぎてしまうと、良い人材を逃すことにもなりかねません。
ぜひ、専門家の意見を柔軟に聞き入れながら、まずは現在の採用条件が自社にとって本当に必要な条件なのか考えていただきたいと思います。また、その上で決められた時間軸の中でしっかり選ぶことを意識していただければ幸いです。
2.面接上手に騙されないよう「見極める」
近年、さまざまな対策本やインターネット上の情報をもとに、事前にしっかり面接対策を行っている学生は少なくありません。面接が上手かどうかと活躍するかどうかは別のこと。ぜひ、好印象に思った学生ほど細心の注意を払って見極めましょう。
3.学生から「嫌われない」
1.の「選ぶ」に相反するようですが、会社の顔として学生から見られているという意識を持つことは重要なポイントです。最近は、口コミサイトやSNSを通してすぐに実態はばれてしまうもの。ぜひ、採用することだけでなく「選ばれる」ということも意識しましょう。
<学生に嫌われる例>
・無表情で話を聞いているのか分からない
・ため口で話してきた
・横柄な態度で上から目線だった
・提出書類への理解が薄い
・質問に対して回答が返ってこない(QとAがずれている)
これらはあくまで一例ですが、実際に学生から聞いた声でもあります。ぜひ選ばれる企業になれるようご参考になさってください。
新卒採用面接の流れ
新卒採用における面接の流れは、個人なのか集団なのかにもよりますが、ここでは基本的な流れを図解でご紹介いたします。
【パターン1】仕事に対する意識・価値観を聞き出す
自社にマッチする人材を見極めるためには、学生が自社で働くことに対してどのような意識を持っているのか、面接で価値観を探っていく必要があります。
「自社に入って何をしたいのか」
「将来的にはどのようなキャリアパスを望んでいるのか」
などを知っておくことで、学生の志向が自社に合っているかを確かめることができます。仕事に対する意識や価値観を知ることは、採用・入社後のミスマッチや早期退職を防ぐ役割もあります。
■効果的な質問例
仕事に対する意識や価値観を聞き出したいときは、以下のような質問が効果的です。
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志望動機などの基本的な内容はもちろん、自社の印象やイメージについて質問することで、学生が持つ期待や目標と、実際の働き方や社風とのギャップを把握できます。
また、質問に対する回答だけでなく「なぜそう思うのか」といった理由まで掘り下げるのがポイントです。
【パターン2】自己理解力の深さを把握する
自己理解力とは、自分の長所や短所、得意不得意、他者からの評価などを客観的に理解する能力のことです。
自己理解力が高い学生は、自分以外の事柄も客観的に判断する力や、自分の弱みを克服し、強みを生かそうとする自己成長能力が備わっています。
きちんと自己分析ができているか、周囲からどのように評価されているのかを把握できているかなど、自己理解の深さを測ることで、学生の「自己成長につなげる能力」の有無を見極めることが可能です。
また、自己理解ができているかどうかを見極めることは、そのほかの主張(志望動機や強みなど)に一貫性があるかの判断材料にもなります。
■効果的な質問例
自己理解力を見極めたいときは、以下のような質問が効果的です。
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これらの内容に対する回答が、エントリーシートや志望動機の内容と一貫性がない学生や具体的な根拠を示すことができない学生は、自己理解力が不足している可能性があります。
また、学生が述べた短所については欠点として評価するのではなく、「短所にどう向き合っているのか?」「克服に向けてどのように取り組んでいるか?」というプロセスや姿勢を知ることが大切です。短所への対応を知ることで、課題に直面したときの学生の行動を分析できます。
【パターン3】計画性・チームワーク力を測る
業務を進めるにあたって不可欠なのが、計画性や協調性です。
計画性のある人は、業務に優先順位を立て、効率的に作業を進めることができます。また、業務遂行のなかで起こり得るリスクを把握し、事前にトラブルに備えて行動できるため、仕事のリスク管理としてもプラスに働くでしょう。
「起こり得るリスクを見通したうえで計画を立てられるか」
「計画通りに物事が進まない場合に軌道修正できるか」
などを測る質問を投げかけることで、効率よく業務を遂行できるかどうかを見極められます。
また、チームワークを求められる業務の場合は、協調性やリーダーシップを持っているかどうかの見極めも必要です。
「人間関係を維持しつつ、円滑なコミュニケーションが取れるか」
「自分の成果のみならず、全体の成果を意識して業務を遂行できるか」
などの点を問い、チームに貢献できる学生であるかを判断しましょう。
■効果的な質問例
計画性や協調性を測りたいときには、以下のような質問が効果的です。
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計画性の有無を判断するときは、計画そのものよりも、計画前後の対応を聞くことがポイントです。先を見通さず、希望だけで立てた計画は十分とはいえないため注意しましょう。
また、「リスク管理ができているか」「問題が起きたときの代替案を用意しているか」などを聞き出すことで、慎重性や柔軟性を見極められます。
さらに、集団行動でどのような振る舞いをするのか、どのような人柄なのかを深く理解することで、社内の人材との相性を想像できるため、入社後の配属にも役立ちます。
【パターン4】成長意欲の有無・高さを測る
成長意欲とは、課題や目標に対して向上心を持って取り組む姿勢のことをいいます。成長意欲のある学生は、常に自身の能力・スキル向上に積極的に取り組むため、入社後も成長が早いです。また、チャレンジ精神を持ち、“目標志向性”のある行動ができるため、高いパフォーマンスが期待できます。
面接では、
「何をモチベーションにしているのか」
「目標に対してどのように結果に結び付けるのか」
という点を質問しましょう。
質問を通じて成長意欲の高さを測ることで、多様な面からその人の人間特性を引き出せるようになります。
■効果的な質問例
成長意欲の高さを見極めるときは、以下のような質問が効果的です。
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自己成長のモチベーションとなる要素や、努力する動機、興味関心の対象を引き出すことで、成長意欲の高さを測れます。新しい情報をキャッチアップしたり継続して勉強したりしている人は、達成意欲が高い、努力家、粘り強い、といった資質を評価できます。
また、質問の答えだけでなく、「どのような努力をしたか」「達成して(失敗して)どう感じたか」など、具体的な行動や心理まで探っていくと、その人の性格をより理解できるようになります。
【パターン5】思考パターン・ストレスへの耐性を把握する
仕事をしていると、誰しも困難にぶち当たることがあります。
そのようなときでも、向上心を持ち続けて長期的に働いてもらうためには、「苦手なことにどう対処していくか」「どのようにモチベーションを維持するか」など、思考パターンやストレス耐性を見極めることが重要です。
面接では、
「ストレスに強い・弱い」
「ポジティブ思考・ネガティブ思考」
などを判断できる質問を投げかけましょう。
困難に対応する力があるか、ストレスのかかる状況下でも柔軟な考え方ができるかを見極めることで、向上心や挑戦心を持って仕事に取り組める人材かどうかを判断できます。
■効果的な質問例
思考パターンやストレス耐性を見極めるためには、以下のような質問が効果的です。
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ストレスを感じるシチュエーションやその対処法を聞き出すことで、「忍耐力があるか」「与えられたことをやり抜く力があるか」「タフな精神力を持っているか」などを見極めることができます。
ただし、学生のなかには、自分の性格面について話すのを躊躇してしまう人もいるでしょう。そのため、「失敗したとき、気持ちの切り替えが早いほうだと思いますか?」というようなYes・Noで答えられる質問にすると、本音を引き出しやすくなります。
回答の良し悪しではなく、その人の本質を見ることが大切
新卒採用の面接では、学生に質問を投げかけたとき、求める回答が得られないケースもあります。
短所や課題などのネガティブな回答によって、自社との相性に疑問を感じることもあるでしょう。
しかし、面接の本来の目的は、“自社にマッチする学生を見抜くこと”です。「この回答であれば合格・不合格」という正解はなく、短所や課題を聞き出すのは、あくまで“学生の価値観や人間性を知るため”ということを心得ておかなければなりません。
たとえ、模範的な回答が得られた場合であっても、その学生が面接の際に性格を偽っていたり誇張した表現をしたりしていたのであれば、採用後に思うような成長が見込めなかったり、早期離職につながったりするリスクもあります。
このような事態を防ぐためにも、質問の意味をあらためて確認し、その答えが本心かどうか、回答に一貫性があるかなどを見極めることが重要です。
学生の欠点を探したり、揚げ足を取ったりするのではなく、企業の成長に不可欠な財産となる可能性があることを意識して、一人ひとりの良さや秘めた能力を引き出すような質問を心がけましょう。
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まとめ
新卒採用の面接では、履歴書やエントリーシートだけでは把握できない、学生の人間としての特性や資質を引き出すことが重要です。
仕事への価値観をはじめ、自己理解力・計画性・成長意欲・ストレス耐性などは、面接で特に取り入れるべき質問といえるでしょう。
面接の際は、学生が回答した言葉の表面だけを捉えるのではなく、「なぜそう感じたのか」「なぜそうしたのか」という具体的な理由まで聞き出すのがポイントです。同時に、エントリーシートや履歴書との主張に一貫性があるかを確認し、発言内容の信憑性を高めましょう。
学生の短所や弱みといったネガティブな質問においては、マイナス評価を下すのではなく、「どのような性格・価値観なのか」を知るための質問と心得て、本質的な部分を見極め評価することが求められます。
自社での活躍が期待できる学生を見極めるために、今回紹介した質問パターンを参考にしてみてはいかがでしょうか。
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