内定辞退をする学生の本音とは?辞退を防止するために知るべき学生の心理と選考の改善点
「せっかく内定を出しても、辞退が続出している...」「承諾してくれたのに、その後辞退をされてしまった・・・」「辞退理由が分からないので、次の採用に向けて対策が打てない...」近年の新卒採用では、このような採用担当者の声を耳にすることが増えました。
MyReferが行った「21卒就活生意識調査」では、21卒採用においては7月の時点で4人に1人が複数社の内定を承諾する意向だという調査結果が出ました。内定を出したからと言って安心することはできないどころか、時には内定承諾後ですら辞退をされてしまう場合があり、入社まで気を抜くことができなくなってきています。
では、学生はどんな理由で、どんな時に内定辞退・内定承諾後辞退を決断するのでしょうか。
本記事では辞退が起こる理由や企業に求められている選考の改善点について、内定承諾後辞退を経験した学生へのインタビューも参考にしながらまとめました。
※あくまで学生の内定辞退・内定承諾後辞退に対する意識を調査するための記事であり、特定の企業を批判する意図はありませんので、ご理解頂けますと幸いです。
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目次[非表示]
- 1.内定辞退・内定承諾後辞退が起こる理由
- 1.1.入社後がイメージできない
- 1.2.内定の実感が湧かない
- 1.3.不信感を持った
- 1.3.1.口コミサイトで悪評を見た
- 1.3.2.内定後の懇親会や面談で違和感が生まれた
- 1.4.選考中の対応に不満を感じていた
- 1.5.学生の親が反対した
- 1.6.公務員や大学院など、就職以外の道が見つかった
- 2.辞退者が多い企業が気を付けるべきポイント
- 2.1.あくまで「オワハラ」はしない
- 2.2.辞退の前後で態度を変えない
- 2.3.辞退した学生の意見も重視する
- 2.4.選考フローを見直す
- 2.5.辞退リスクを把握する
- 3.まとめ
内定辞退・内定承諾後辞退が起こる理由
大前提として、辞退者のほとんどは「より行きたい企業に内定したから」内定辞退を決意します。
とはいえ、ひとことに「より志望度の高い他社の内定が出た」といっても、「志望度で負けてしまった理由」は学生によってさまざまです。その「理由」を、改善方法とともに解説していきます。
入社後がイメージできない
終身雇用の崩壊や、転職の一般化の傾向から、「入社後に得られるスキルや業務内容」を重視する学生が増えています。
「入社後に得られるスキルや業務内容が理解できたか否かが、内定辞退先と入社予定の企業との違いでした。内定辞退先の社員の雰囲気や理念には魅力を感じたので迷いましたが、結果的には辞退しました。」
これは、内定承諾後の辞退を経験した学生へのインタビューの抜粋です。
得られるスキルがない企業など存在しませんが、これが学生に伝わらなければ、内定辞退を招いてしまいます。活躍している現場社員に、説明会や面談に参加してもらうことで、どのような社会人になれるのか具体イメージをつけてもらえるように促すと良いでしょう。
内定の実感が湧かない
「リクルーターと連絡したり、懇親会に参加したりしていましたが、あまり内定の実感がわかず入社意欲が上がることも、下がることもありませんでした。
頑張って内定を勝ち取ったのに…という思いは常にありましたね。」
こちらも、内定承諾後の辞退を経験した学生へのインタビューの抜粋です。
内定した学生を歓迎するムードがなかったり、社員とのコミュニケーションが雑談に終始したりしてしまうと、内定の実感が湧かずに不安を感じ、入社意欲が下がる傾向にあるようです。
面接官からのメッセージを送る、内定者インターンの機会を設けるなどの工夫をしている企業もあるので、ご参考にしてください。
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不信感を持った
選考を受けているときはわからなかった企業の一面に不安を覚え、内定承諾後に辞退をする学生もいます。考えられるケースは主に2つです。
口コミサイトで悪評を見た
口コミサイトやオープンチャットを利用すれば、学生なら面接の詳細や感想、社員なら勤務先のリアルなどを匿名で投稿できてしまう時代になりました。「嫌な質問をされた」「態度が悪かった」「本当は残業が多い」などといった悪評が、インターネット上で気軽に共有されています。
ご家族がこのような悪評を目にして学生に辞退を促す場合もあるようです。
もし、口コミサイト上に悪い評価が多く載ってしまっている場合は、先にその情報の真偽を学生に伝え、真実の場合は「昔はそうだったが今はこのように改善している」といったフォローをして懸念を払拭しておくことも一手です。
内定後の懇親会や面談で違和感が生まれた
懇親会や面談をとおして、「懇親会に参加してみて、雰囲気が合わないように感じた」「業務内容が聞いていたものよりも大変そうな内容だった」など、内定承諾するまでに思い描いていた会社のイメージと異なる部分が見つかり、不安に感じた学生が内定辞退をすることもあります。
せっかく企画した懇親会や面談が、学生の不安を煽ってしまっているのです。
学生がどれくらい自社のことを理解していて、どの部分に不安を感じているのか、働き方に対してどのような志向性なのかをヒアリングし、懇親会ではタイプの近しい学生同士でグループを組むことをお勧めします。社員面談をする場合には、タイプが近しい社員をアサインし、事前に面談者にヒアリング情報を共有することが効果的です。
選考中の対応に不満を感じていた
そもそも、内定を承諾するまでに入社意欲が下がっているかもしれません。
面接後の合否連絡が遅いことや面接で踏み込んだ質問をされたこと、面接官の態度が悪かったことが、後々内定辞退の大きな要因になっていた、というのはよくあることです。
面接は「学生の志望度を左右する場面」でもあると考え、避けるべき質問などは事前に把握しておきましょう。
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学生の親が反対した
学生本人が内定先に満足していても、いわゆる「親ブロック」から内定辞退に繋がるケースも多いです。
「よく知らない会社だから」「仕事内容がわからないから」「口コミサイトに悪評がたくさん載っていたから」など、学生の親が不安に感じるポイントはいくつかあります。
学生の親族向けに社内のことが分かる資料や、手紙を送付することで「親ブロック」を対策する企業も増えているようです。
公務員や大学院など、就職以外の道が見つかった
一般就職以外の進路が決まった学生が、内定式の直前くらいの時期に、内定辞退を希望することもあります。
学生の意思をコントロールすることはできないので、辞退を食い止めるのは不可能です。ただし、学生との関係構築に力を入れていれば「大学院への進学と企業就職で迷っている」など状況を把握できるため、突然思いもよらぬ辞退をされてしまうことは避けられるでしょう。
辞退者が多い企業が気を付けるべきポイント
内定承諾後辞退を経験した企業が気を付けるべきポイントについてまとめました。
以下の5点を意識し、採用活動におけるスタンスやフローなどを、少しづつ改善していくことが大切です。
あくまで「オワハラ」はしない
まず、内定を出すうえで他社の選考辞退をしつこく強制する、いわゆる「オワハラ」をしても学生の内定辞退率は改善しません。
『オワハラに近いものを受けたことがあります。
志望度が高いにもかかわらず不快感を覚えたので、オワハラは企業の印象を簡単に悪くしてしまう行為だと思います。
どんなに志望度が高い企業であっても、他社の選考は辞退せず、相手に嘘をついてでも就職活動を続けると思います。
自分の人生の選択肢を企業都合で縛られたくありません。』
これはインタビューした学生のリアルな意見です。
実際、オワハラに慣れている学生は多くいらっしゃいます。
内定承諾書に法的拘束力がないことは広く知られているため、一部の方は、内定承諾後も選考を受け続けるのです。
また、前述のとおり、選考中の言動は口コミサイトで共有されているので「オワハラをされた」という事実も簡単にネットに書き込まれてしまい、企業の評判を下げる恐れもあります。
辞退の前後で態度を変えない
「辞退=無関係の学生」とみなし、内定辞退を申し出ると途端に対応が雑になるなど、学生への態度を変えてしまうのは、おすすめしません。
新卒学生は、先輩の経験談をとても重視するからです。
「〇〇という企業を辞退した後いやみを言われた」というような悪評も、「丁寧な対応をしてくれ、理解を示してもらえた」といった良い話も、後輩にはすべて筒抜けであると思ったほうがよいでしょう。
辞退者に対しても態度を変えず、気持ちの良い対応をすることが、次年度の採用に繋がるかもしれません。
辞退した学生の意見も重視する
内定辞退者に意見を求めることで、次回以降の選考を改善することができるでしょう。
選考の満足度、面接官の印象、辞退の理由や、選考後のフォローに不足していた点など、リアルな意見を拾うことができます。
できれば内定辞退者との面談を設けるのが望ましいですが、アンケートを実施するだけでも効果的です。
選考フローを見直す
辞退した学生の意見がわかれば、見直すべき選考の改善点もおのずとわかります。
面接官の質の向上、学生への情報提供の強化など、様々なケースが考えられますが、それぞれの詳しい改善方法は「候補者体験」についてまとめたこちらの記事を参考にしてください。
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辞退リスクを把握する
内定辞退・内定承諾後辞退を完全に防止することは難しいですが、学生との関係構築に力を入れることで、対策を打つことができるケースもあります。
例えば、学生との面談を通して選考中に「就職活動状況や志向性、希望」を把握できていれば、事前に辞退の可能性を把握でき、志向に合わせた社員との面談を実施して志望度を上げるコミュニケーションをとる、辞退の可能性を踏まえて早めに追加募集に動く、といった対策を打つことが可能です。
内定後・承諾後に長い期間連絡をとらないことで不安に感じてしまい、他社に目移りしてしまう、というケースもあるので、内定通知後・内定承諾後も定期的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。「内定を出す=確実に入社」ではなくなった今、選考期間中のヒアリングや情報提供の際に、学生1人1人に寄り添った対応と丁寧な関係構築を心がけることが重要です。
どれだけ対策を徹底しても、内定辞退を完全に防止することは難しいです。しかし、学生の心情や希望をくみ取り、柔軟に選考を進めていけば、内定辞退を減らすことはできるかもしれません。
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