STAR面接は新卒採用こそ活用すべき面接手法!具体例を挙げて解説
候補者の能力や志向性が見極められ、入社後の活躍が予測しやすくなる面接手法として、導入する企業が増えているSTAR面接。
まだスキルのない学生を、ポテンシャルだけで見極める新卒採用にこそ、ぜひ取り入れるべき手法です。
本記事では、STAR面接の具体的な進め方や質問例、気をつけるべきポイントについて解説いたします。
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目次[非表示]
- 1. STAR面接とは
- 1.1.概要
- 1.2.メリット
- 1.2.1.面接官の評価基準を揃えられる
- 1.2.2.学生の本質を引き出すことができる
- 1.2.3.学生の面接に対する満足度が高くなる
- 2.STAR面接の手順
- 2.1.ターゲットの設定
- 2.2.質問項目の準備
- 2.2.1.「主体性」を見極める質問例
- 2.3.面接の実施
- 2.3.1.「チームワーク」を見極めるSTAR面接の実例
- 3.気を付けるべきポイント
- 3.1.ターゲット設定は慎重に
- 3.2.学生を委縮させない
- 3.2.1.リフレームを活用する
- 3.2.2.意向上げの時間を意識的にとる
- 4.まとめ
STAR面接とは
概要
STAR面接とは、S(situation)→T(task)→A(action)→R(result)の順番に、学生が経験した過去の出来事について質問していく面接手法です。
1つの出来事の詳細や行動、結果などをしっかりと掘り下げることで、学生の思考パターンや行動特性を見極めることができます。
メリット
STAR面接のメリットを3つ解説いたします。
面接官の評価基準を揃えられる
「面接官の力量次第で評価基準がブレる」という恐れがなくなるのは、STAR面接のメリットと言えるでしょう。
STAR面接では「重視したい資質」や「質問項目の大枠」が決まっているため、面接官が複数人いるような場合でも評価基準を揃えやすくなります。
また、「なぜ採用したか」「なぜ落としたか」という理由が明確になるため、採用活動の振り返りを次年度以降の新卒採用に活かしやすくなるのも特徴です。
学生の本質を引き出すことができる
「STAR面接で学生の特性を見極められる」と前述しましたが、「学生の本質を見抜きやすいところ」もSTAR面接の特徴です。
1つの出来事に対していくつもの質問を重ねるため、万が一学生が話す内容に誇張やウソがあれば、発言に矛盾が生じるのです。
学生の面接に対する満足度が高くなる
実はSTAR面接で行う深掘りは、面接を受ける学生にとっても大きなメリットがあります。
それは自己分析の精度をアップさせられることです。
就職活動にかける時間は、短い人で4ヵ月、長くても1年半ほどですが、学生はその短い期間で自分の進路を定めなければなりません。
だからこそ自己分析や就職活動の軸に不安を抱えている学生が多く、そのサポートに積極的な企業には良い印象を抱きやすいのです。
実際に選考の口コミサイトを覗いてみると、学生の「1時間かけて深掘りをしてくださった」「過去の経験の深掘りに足らない視点を教えてくださった」という肯定的な書き込みが多く見られます。
STAR面接の手順
ターゲットの設定
STAR面接を行う前に、まずは「自社がどんな資質を持った学生を求めているのか」を、社内の活躍人材や業務内容から導き出す必要があります。
業界の特性や自社の雰囲気も参考にして、ターゲットを設定するのが良いでしょう。
例えば、営業職を採用する不動産業界の企業であれば、学生の「バイタリティ」と「計画力」を面接で見極めることが多いようです。
一方、同じ業界の中でも「エンジニア」や「事務職」など、募集職種によってターゲットは変える必要がありますので、注意してください。
質問項目の準備
STAR面接に沿った深掘りができるよう、面接官に配布する質問項目を作成します。
はじめに、「S→T→A→R」のそれぞれの段階で学生から聞き出すポイントを確認しましょう。
設計したターゲットと照らし合わせ、質問項目に反映してみてください。
- Situation(状況)→背景、目標、きっかけ、チーム体制など
- Task(課題)→役割、難易度、課題など
- Action(行動)→行動の理由、周囲からの助言、工夫など
- Result(どんな結果・成果を導き出したか)→結果、学んだこと、いま振り返って改善すべきことなど
「主体性」を見極める質問例
学生の「主体性」をSTAR面接で見極めたい場合、どのような質問が適しているでしょうか。
一例を挙げますので、参考にしてみてください。
(Situation)
「〇〇さんは、所属するサークルにおいてどうしてその役割を任されたと思いますか?」
↓
(Task)
「〇〇さんは、その役割を果たす中で、どんな課題に気づきましたか?」
↓
(Action)
「その課題をどう解決しましたか?解決策を考える際、周囲に自ら助言を求めましたか?」
↓
(Result)
「あなた自身が生んだ成果は何だと思いますか?」
「主体的に取り組む中で得られたことは何ですか?」
面接の実施
「チームワーク」を見極めるSTAR面接の実例
「アルバイト経験について話す学生のチームワーク力を見極める」という架空の設定を用いて、実際のSTAR面接を想定してみましょう。
以下が、面接官と学生の間で交わされるやりとりです。
(面接官)はじめに、あなたが誰かと協力して何かに取り組んだ経験を教えてください。
(学生)アルバイト先の飲食店でチラシ配りを自ら提案し、実行しました。
私が1年間アルバイトをしている韓国料理店は、ライバル店の出現によって売り上げが低下していました。
売り上げを改善するためには新規のお客様に来店していただく必要があると考え、私はチラシ配りを提案しました。
チラシは400枚配ることに加え、近隣の雑貨店や掲示板にもチラシを掲示していただきました。
2か月間チラシ配りに取り組んだ結果、月間の売り上げが15%も増える結果となりました。
この経験から周囲を巻き込むために必要なことや、チームワークの大切さを学びました。
いかがでしょうか。
この学生をSTAR面接に照らし合わせるとすれば、どのような深堀りが必要となるでしょうか。
この学生のチームワークを見極めるためには、「アルバイト先のチーム体制、その中での学生の立ち位置」「周囲を巻き込むために苦労したこと」「チラシ配りを実現するまでに学生が担当したこと・店長や他の従業員が担当したこと」がまだ不明確ではないでしょうか?
つまり、この場合は「S:状況」「T:課題」「A:行動」を深掘りする必要があります。
(S:状況)
・アルバイト先の従業員数はどのくらいでしたか?
・あなたはどんな役割を担っていましたか?
(T:課題)
・チラシ配りを実現するまでには、どんな課題がありましたか?
・チラシ配りの他に候補に挙がった解決策はありましたか?
(A:行動)
・近隣の店にチラシを掲示するために、どんなことをしましたか?
・どのような役割分担で実行しましたか?
など、さらに質問してみるのが良いでしょう。
気を付けるべきポイント
STAR面接を活用するために。気を付けるべきポイントを紹介いたします。
ターゲット設定は慎重に
STAR面接を始める前に定めた「学生に求める資質」が自社に合っていないものだった場合、ミスマッチな人材が入社してしまうことになります。
活躍人材へのヒアリングやその周囲の社員へのヒアリングをもとに、慎重にターゲットを設定してください。
学生を委縮させない
STAR面接を受けた学生が「圧迫面接を受けた」と勘違いしてしまうことがあるようです。
STAR面接は意向上げの役割を持っておらず、1つの出来事に対して「なぜ・どうして」という質問をいくつも重ねる面接手法であるため、学生は委縮してしまうのかもしれません。
STAR面接を通して学生のありのままを引き出すためにも、考えられる対処法を2つまとめました。
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リフレームを活用する
深堀りを進める中では、学生が答えに詰まったとき、考え込んでしまったときに、一緒に答えを探そうとする姿勢を見せることが肝心です。
そのような場面では、「リフレーム」を活用してみてください。
「リフレーム」とは、「物事の捉え方を変えてみること」を指します。
本人以外からの見え方を意識させてみたり、違うところに焦点を当ててみたり、当時の状況を振り返ってもらうなど、リフレームを活用した質問方法は様々です。
具体的な質問例としては、
「もし、もう一度チャレンジできるとしたら変えてみたいポイントはありますか?」
「一緒に取り組んでいた友人からはどんな言葉をかけられましたか?」
「その方法を実行してこういった結果がでていますが、違う方法を選んでいたらどうなったと思いますか?」
などとなります。
意向上げの時間を意識的にとる
STAR面接の前後の時間で意向上げができるよう、意識してみて下さい。
例えば面接の冒頭でアイスブレイクの時間を長めに用意してみたり、逆質問を受けつける時間に面接時間の半分を当てて学生の疑問を解消してみたりすると良いかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか。
職務経験のない新卒学生の特性を見極め、自社にマッチした人材を採用するためにも、STAR面接は非常に有効かと思います。
この面接手法をさらに活かしたい場合には、ぜひターゲット設計の解説資料もご参考ください。
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