新卒採用の新たな動向 候補者体験の質を高める「個別採用」とは?
コロナ禍で大きく変化した採用市場。大規模な母集団形成を行い、そのほとんどの学生を選考を通じてふるい落とす「マス型採用」もまだまだ主流ですが、あらかじめターゲットを絞ったうえで母集団形成を行い、学生1人1人に向き合って個別最適化したコミュニケ―ションを行う「個別採用」に取り組む企業が増えています。
本記事では「個別採用」について詳しく説明いたします。
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目次[非表示]
- 1.個別採用とは
- 2.個別採用における主な認知獲得手法
- 2.1.リファラル
- 2.2.ダイレクトリクルーティング
- 2.3.SNS(番外編:中途採用の事例)
- 3.個別採用の流れ
- 4.個別採用を進めるうえでのデメリット
- 4.1.人的コストがかかる
- 5.まとめ
個別採用とは
そもそも、「個別採用」とはどういった採用手法なのでしょうか。
明確な定義づけはされていませんが、採用人数に見合わない大量の人数の学生からのエントリーを集め、選考過程で大量の学生をふるい落とすという、無駄が多く候補者体験の質が下がってしまいうる従来の「マス型採用」を見直そうとする動きが生じてきた中で、「個別採用」を意識する企業が増えてきました。
HR総研が2020年10月末に実施した調査によると、「個別採用」は、2021年の新卒採用において300名以下の中小企業の約7割、従業員規模1001名以上の大企業では6割近くが取り組んだと回答しており、採用の在り方への意識の変化が伺えます。
■2021年新卒採用での「マス型採用」と「個別採用」の比率
本記事では個別採用を「学生一人ひとりを意識し個別最適化した採用活動を行うこと」「一人ひとりの能力や経験を見てターゲットのみにアプローチをし、一人ひとりと丁寧に向き合い候補者体験の質を高める採用手法」と定義し、その詳細を解説していきます。
個別採用における主な認知獲得手法
「個別採用」とひとことに言っても、その認知獲得の手段は様々です。
以下がその具体例です。
リファラル
リファラル採用とは、自社の社員に友人を紹介してもらう採用手法のことです。
企業理念や文化を理解している社員が、人柄をよく知る友人を紹介するため、企業と応募者の間で起こる採用のミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待できます。事前に学生の情報を詳しく知ることができるため、相手にあわせた細やかなコミュニケーションが取りやすく、志望度を上げやすいというメリットがあります。
また、社員のエンゲージメントを高めるというメリットもあります。社外のつながりを生かした採用なので、新卒市場においてリファラル採用を担うのは主に入社1~2年目の若手社員です。自社の魅力や課題を正確に伝えられるように情報を整理する過程で、改めて会社について学ぶことができるため、彼らの会社への愛着心醸成にも繋がります。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業から学生に直接アプローチする採用手法です。
ダイレクトリクルーティングのサービスに登録された学生のプロフィール情報を閲覧し、ターゲットにマッチする学生を探すことができます。求める人材には直接メッセージ機能を使ってアプローチ(オファー)し、学生がオファーを承認した場合には、面談などを経てその後の選考に進んでいきます。
ターゲット通りの学生に企業側からアプローチすることができるため、効率的な選考を行ことができます。
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SNS(番外編:中途採用の事例)
中途採用では、Twitterなど多くの人が日常的に使うSNSや、LinkedInのような採用色の強いSNSで直接候補者にメッセージを送り、採用につなげた企業の事例もいくつかあります。
新卒採用でも同じような事例が今後出てくるかもしれません。
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個別採用の流れ
個別採用はどのようにして進めるのでしょうか。実際の流れを説明いたします。
ターゲットの明確化
個別採用では学生のターゲットを絞って丁寧にアプローチしていくため、ターゲットを明確にすることが重要です。ターゲット設定では、関係者同士で共通認識を持ったり、後からそのターゲット設定が適切であったかを振り返ったりするために、「なぜそのターゲットにしたのか」を言語化することも大切です。
まずは、現在・過去、もしくは未来の観点で自社に必要となる人材の要件を整理していきます。過去・現在の観点では「活躍している社員」、未来の観点では「経営陣が目指す自社の将来像」をもとに考えます。
人材要件を整理した後は、その要件に当てはまる人物が、自社で採用しうるかを見直すことも重要です。高すぎる要件にしてしまっていないか、ターゲット人材は市場にどのくらいいるのか、確認する工程をはさみましょう。
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メッセージの設計
個別採用といえども、学生とコミュニケーションをやり取りする機会は限られています。数少ない1つ1つの機会で学生の興味を自社に惹きつけるために、メッセージの内容にはこだわりましょう。
ダイレクトリクルーティングの場合は、最初にオファーを送る際にはその学生に興味を持った理由や、共感する点などを、一人一人カスタマイズした文面にしましょう。なぜ自分にオファーが届いたのか、納得感があると、学生はアプローチに応じてくれやすくなります。
実際の文面を記載するので、参考にしてみてください。
『オーストラリアに留学をされていたのですね!
私も学生時代は留学をしましたが、現地で生の体験をすることは、大切ですよね。気になったことを行動にうつされる好奇心と実行力がある点が素敵だなと思いました。ぜひ一度、お話をしてみたいです。』
初回接触以降のメッセージも重要です。選考の途中でのメッセージも、一つ一つ丁寧に送りましょう。例えば合否連絡では、事務的に合格を伝えるだけではなく、どんな点を評価したのかを盛り込むと、印象が良くなり志望度が上がる効果が見込めます。
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個別面談
学生とつながりを持ってもすぐに説明会や選考への参加を促してしまうのではなく、まずは相互理解のための個別面談の場を設定することをおすすめします。
選考の初期段階では志望度が上がり切っていない場合が多いです。選考を通じて志望度を上げる、という意識のもとで面談を実施し、学生の企業理解が深まるように促しましょう。
面談の際は、「面談は選考ではないこと」「相互理解を行っていきたいこと」を伝えたうえで、就職活動で重視したい軸、他社の選考状況などをヒアリングしていくとよいでしょう。もし「始めたばかりで就職活動の軸は決まっていない」という学生なら、一緒に考えてみるなど、寄り添う姿勢が大切です。
フィードバック
面談後、学生が選考フローを順調に進んだ場合も、各選考でフィードバックを行いましょう。特に「どこを評価し、どんな期待をしたから通過したのか」といった、合格の理由を具体的に伝えてください。
最短で結果を通知することも、学生との信頼関係構築には欠かせません。
個別採用を進めるうえでのデメリット
学生にとっても企業にとっても理想的なマッチングを目指すことができる個別採用。しかし、導入に際してのデメリットもいくつか存在します。
人的コストがかかる
学生一人一人にアプローチし、それぞれの求める情報を提供するため、「人的余裕がなく個別採用に完全に切り替えるのは難しい」という企業の方も多いです。その場合は、部分的に導入されるのはいかがでしょうか。方法を3つご紹介します。
1つ目は、特定の職種や条件の学生のみ、ダイレクトリクルーティングを使ってアプローチをすること。従来の手法ではなかなか集まりにくいタイプ人材をダイレクトリクルーティングでアプローチすれば、採用の効率化にもつながります。
2つ目は、OBOG訪問のアプリを通して若手の現場社員に少しずつ面談を受け入れてもらうこと。登録も手軽ですし、受け入れる学生の数も調整することができます。個別採用に取り組む素地として、現場が採用に関わる組織文化を作っていくことができます。
3つ目はリクルーター制度の導入。昔から取り組んでいた企業の多かったリクルーターも、取り組み方次第では個別採用といえます。一から導入するにはハードルが高いかもしれませんが、任意で呼びかけると、意外と人が集まったというお声も伺います。
現場のリアルなど、学生の求める情報を伝えられるため、意思決定を後押ししやすいです。場合によっては内定後のフォローもおこない、入社前の不安を解消するとよいでしょう。
まとめ
個別採用と一言にいっても、その運用方法はさまざまです。ぜひ、自社に合った形で個別採用に取り組んで、候補者体験の質の向上にチャレンジしてみてください。
dodaキャンパスでは、個別採用を実施するにあたって母集団形成施策としておすすめな「ダイレクトリクルーティング」のサービスを提供しております。
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