土木・建築系学科の就活生は土木・建築業界に進む人が大半ですが、その就職先は多岐にわたります。ゼネコンを中心に、ハウスメーカー、工務店、設計事務所、デベロッパー、プラントエンジニアリング企業、官公庁など様々な就職先が選択肢になってきます。また、土木・建築業界で求められる知識は多様化・高度化しているため、大学院に進んで専門性に磨きをかける人もいます。
今回は「土木・建築系学科の就活」にフォーカスして、大学院に進むメリット・デメリットや、大学で学んだことを活かせる業種・職種などについて解説していきます。
目次
大学院に進学するメリット・デメリットとは?
土木・建築系学科の就活生にとって、就活の最初の分岐点になるのが「就職するか、大学院に行くか」の2択です。土木建築系の学生は、工学系の学科のなかで見ると電気通信工学、機械工学に次いで3番目に多く人が大学院に進学しています(※)。
※出典:「大学における工学系教育の在り方について(中間まとめ)」について|文部科学省
一般的に言われる大学院進学のメリット・デメリットは以下のとおりです。
土木・建築系学科の学生が大学院に進学するメリット・デメリット
<メリット>
▼就職先・職種の選択肢が広がる
土木・建築系学科の学生は大学院に進学することで、就職先や職種の選択肢が広がります。大学院では、学部で学んだことさらに深く掘り下げるため、高度な専門性を習得できます。大学院で身に付けた専門性は、就活でも大きなアドバンテージになるはずです。たとえば、ゼネコンや構造設計事務所、組織設計事務所などの設計職に就くなら、学部卒の学生に比べ院卒の学生は圧倒的に有利になります。
▼初任給が高くなる
企業や職種によって異なりますが、一般的には学部卒の学生より院卒の学生のほうが初任給が高くなる傾向にあります。土木・建築系学科の大学院から公務員を目指す人もいますが、公務員の場合も、院卒のほうが初任給が高く設定されています。
<デメリット>
院卒の学生は学部卒で就職した学生に比べると社会に出るのが2年遅れるため、実務経験において差がついてしまう可能性があります。また、就職した後も、院卒の人は高いレベルを求められる傾向にあります。「院卒なんだから当然できるよね」といったプレッシャーを負担に感じる人もいるようです。
土木・建築系学科の学生が大学院に進学せず就職するメリット・デメリット
<メリット>
早い段階から実務経験を積めるのは、大学院に進学せず就職するメリットだと言えます。考え方一つですが、研究室で知識を深めるより、現場に出て実務能力を磨きたいという人は、大学院に進学せずに就職したほうがいいでしょう。
<デメリット>
土木・建築業界で研究開発職や設計職を目指す場合、学部卒の学生は院卒の学生に比べて不利になります。特に、大手企業ほどその傾向は強くなります。大手の研究開発職や設計職を志す人は、大学院に進学しないと就活で苦戦を強いられる可能性が高いでしょう。
▼逆求人サービスを活用しよう!
大学院に進めば、土木・建築に関する高度な専門性を習得できます。その点では就活に有利になりますが、一方で、大学院では研究や論文発表に費やす時間が長くなるので、就活に使える時間が限られてきます。時間がないことで就活に後れをとってしまったら、院卒のアドバンテージを活かせなくなってしまうかもしれません。
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土木・建築系学科で学んだことを活かせる業種
土木系学科
土木系学科で学んだことを活かせる、主な業種・就職先をご紹介します。
▼ゼネコン
土木系学生の就職先として人気が高いのがゼネコンです。ゼネコンに明確な定義はありませんが、設計から施工までを総合的に請け負う企業を指すのが一般的です。土木工事、建築工事、設備工事などを総合的に手がけ、道路や橋梁、トンネルや鉄道、ダムのほか、オフィスビルや商業施設、ホテルや病院など、社会基盤となる大規模な建築物を作っています。
▼ハウスメーカー・工務店
ハウスメーカーや工務店に就職する土木系学生も多くいます。ハウスメーカーは住宅の設計から施工までを手がける会社で、戸建住宅をメインに手がけています。工務店も同様に戸建住宅の建築を請け負いますが、一般的にはハウスメーカーより小規模で、地域密着型で事業を営む企業が多いです。
▼建設コンサルタント
土木系学生は、建設コンサルタント企業に就職する人も一定数います。建設コンサルタントとは、道路やダム、港湾や橋梁などの計画・調査・設計業務を手がける企業のことで、国土交通省に建設コンサルタントとして登録された企業を指します。
▼デベロッパー
デベロッパーに進む土木系学生も少なくありません。デベロッパーとは不動産開発業者のことで、主に土地や街の企画・開発事業をおこなう会社です。都市の再開発やリゾート開発、商業施設やマンションの開発、大規模宅地開発などに携わります。
建築系学科
建築系学科で学んだことを活かせる、主な業種・就職先をご紹介します。
▼アトリエ系建築設計事務所
建築系学生の就職先の一つとして、アトリエ系建築設計事務所があります。アトリエ系建築設計事務所は、個人の建築家が主宰する設計事務所で、芸術性やデザイン性に優れた建造物を手がけることに特徴があります。
▼組織系建築設計事務所
アトリエ系建築設計事務所とよく比較されるのが組織系建築設計事務所であり、同様に建築系学生の人気の就職先です。組織系建築設計事務所とは、建築物の設計・監理を請け負う設計事務所であり、一般的には意匠・構造・設備などすべての設計を自社内でおこなう企業のことを言います。
▼ハウスメーカー・工務店
ハウスメーカーや工務店に就職する建築系学生も多くいます。ハウスメーカーは住宅の設計から施工までを手がける会社で、戸建住宅をメインに手がけています。工務店も同様に戸建住宅の建築を請け負いますが、一般的にはハウスメーカーより小規模で、地域密着型で事業を営む企業が多いです。
▼建材・資材メーカー
建築系学生のなかには建材・資材メーカーに就職する人も一定数います。建築資材や内装・外装の仕上材、トイレやキッチンなどの住宅設備機器の開発・製造・販売に携わります。
土木・建築系学科で学んだことを活かせる職種
土木系学科
土木系学科で学んだことを活かせる、主な職種をご紹介します。
▼土木設計技術者
土木設計技術者は、道路やトンネル、ダムや橋梁などの土木工事に際して、その調査・計画・設計をおこなう専門職です。工事予定地における地形・地質などの調査をおこなうほか、気象条件や自然条件、関係法令などに関する情報を収集し、構造物の設計をおこないます。
▼土木施工管理
土木施工管理とは、道路や鉄道、ダムや橋梁などの土木工事において、施工計画を立案し、工事の監督・指導をおこなう専門職です。設計図や仕様書、関係法規や工期などをもとに施工計画を立案し、その施工計画をもとに、工事現場での施工管理、安全管理、品質管理、工程管理などをおこないます。
▼測量士
測量士は、土地の位置・距離・面積を測定して図面などを作成する専門職。測量士が作成した図面が基になり、建築設計や土木設計がおこなわれます。なお、測量士になるには大学で測量関連の科目を修めることで「測量士補」の資格を得たうえで、1年以上の実務経験を積む必要があります。
建築系学科
建築系学科で学んだことを活かせる、主な職種をご紹介します。
▼建築設計
建築設計は文字どおり建築物を設計する仕事ですが、さらに3つのパートに分類できます。
・意匠設計
意匠設計は、建築主の要望やイメージを把握し、建築物の内外観や間取り、造作や装飾を設計・デザインする仕事です。建築設計と聞いて多くの方がイメージするのは、この意匠設計のことでしょう。
・構造設計
構造設計は、建築物の骨組みとなる柱や梁の形状・配置を設計する仕事です。地震や台風、積雪などを想定して、建築物が倒壊・損壊しないような設計をおこないます。自然災害の多い日本において建築物の安全性を確保するには、構造設計の役割が重要になってきます。
・設備設計
設備設計は、建築物の空調設備や衛生設備、電気設備を設計する仕事です。空調や照明、上下水道やガス、コンセントやインターネットなど、建築物の快適性や利便性に関わる設計を担います。
▼インテリアデザイナー
インテリアデザイナーは、商業施設やオフィス、飲食店や一般住宅などにおいて室内空間のデザインをおこなう仕事です。空間のデザインだけでなく、インテリア家具やインテリア用品のデザインを手がけることもあります。
▼建築施工管理
建築施工管理は、住宅や学校、オフィスビルや工場などにおける建築工事の監督・指導をおこなう仕事です。使用する機材や必要な作業員の人数、工期などを検討して施工計画を立案します。施工が始まったら、その施工計画をもとに施工管理、安全管理、品質管理、工程管理などをおこないます。
土木・建築系学科でも文系就職はできる?
土木・建築系学科の就活生は、大きく分けると建築物の設計、もしくは施工の仕事に就くケースがほとんどです。しかし、設計・施工以外でも土木工学や建築工学の知識を活かせる仕事は多く、いわゆる「文系就職」をする就活生も一定数います。
文系就職と言っても様々ですが、たとえば、建築ライターや建築写真家として建築雑誌や業界紙、メディアで働く人もいますし、リフォーム会社のコンサルタントや建設会社の営業職などに就く人もいます。また、広告代理店や銀行などに進む人もおり、土木・建築系学科の出身者が活躍するフィールドは広がっています。
文系就職をする場合、多くの文系学生がライバルになりますが、土木・建築系学科の就活生はデータ・数値に基づいた理論的な考え方ができる人が多く、文系学生にはないスキルを有しているため、企業からも魅力的な人材として映ります。それゆえ、文系就職においても有利になるケースが少なくありません。
理系の就活で専攻に関連する企業と専攻外の企業を受ける際のポイント
理系の専門性を就職に活かす?専門外にいくのもアリ?理系学生の就活の進め方
まとめ
土木・建築系学科で学べることは多岐にわたり、身に付けた知識を活かせるフィールドも広がっています。「土木・建築学科と言えばこの仕事」というように進路を限定せず、広い視野で業界研究・企業研究を進めることが、結果的に納得のいく就活、満足のいく内定につながるはずです。
就活成功の大きなカギになるのが「情報収集力」です。就活では、価値ある情報をいかにスムーズに収集できるかが重要になってきます。逆求人サービスなどを活用して、精度の高い情報収集に努めましょう。
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