プロフィール
・福岡県立大学人間社会学部に在学中大学3年生(24卒)
・「dodaキャンパス」でインターン生として、コラムやSNSの運用を担当
※本記事は2022年6月22日にオンラインで開催された「”スポーツビジネスのリアル”と”パ・リーグの仕事の裏側”に迫る!パーソル パ・リーグ大学」のイベントレポートです。
「好きなことを仕事にしたい」。就活を始めるにあたって、このように考える学生も多いのではないでしょうか。今回は、私たちの生活に身近なスポーツに関するビジネスに触れながら、「はたらく」について考えていきましょう。
パシフィックリーグマーケティング株式会社 事業開発本部 事業開発部 藤井 頼子さんにお越しいただき、「スポーツビジネスのリアル」と「パ・リーグの仕事の裏側」についてお話しいただきました。
野球をすることや観ることが好きな方、好きなことを仕事にしたいと考えている方は、是非、最後まで読んでくださいね。
目次
野球業界の仕事
球団の仕事について知ろう!
球団やファンにとって一番嬉しいことは、チームが「勝つ」「優勝」することです。
しかし、「勝利」というコントロールできないものを売るビジネスだけでは、球団の経営は不安定になってしまいます。そこで、プロ野球球団の運営には、さまざまな人の協力が不可欠です。
プロ野球球団という組織は、チーム運営と事業運営に分かれます。
チーム運営について
チーム運営では、チームの編成・選手のメディカルコンディショニング・育成などを行っています。専門的な知識が必要なため、関わる人は、野球経験のある方が多いです。
事業運営について
事業運営について見ていきましょう。部署は球団によっても異なりますが、主な部署についてお伝えします。
管理部・経理部はいわゆるバックオフィスにあたる部署で、企業で働く人を支える業務を担っています。
その他の事業企画部、マーケティング、プロモーションなどの部署では、球団のリソースを使いコンテンツを創りお金を稼ぐ部署です。球団イベントの企画をしたり、お客様の来場履歴を分析して何を売るかを考えたり、球場内の演出をしたり、ファンクラブ施策を考えたりしています。
営業部は、企業と球団の関係を構築し、企業との契約を獲得することが主なミッションです。選手が身に着けるユニフォームやキャップに企業ロゴを掲載する契約獲得も営業部の仕事です。ただし、ロゴを掲載して終わりではなく、企業と協業することで、ビジネスの相乗効果を見込める施策を考えるところまでが営業の任務です。
広報部は、メディアを通じて球団や選手のことを伝えるのが仕事です。新ユニフォームや選手入団の発表会見なども広報部の業務の1つです。
球団職員の仕事のやりがい、大変なこと
球団職員の仕事のやりがいは、プロ野球ファンへコンテンツを届けられる影響力の大きさや、球団の歴史の1ページを作ることなどです。大変なことは、チームや選手の変化に沿ったスピーディーな対応が求められること、配属先部署によってはナイターや土日出勤も必要な場合があることです。
次に、球団の仕事から少し離れて、藤井さんが現在所属しているパシフィックリーグマーケティング株式会社の仕事のご紹介です。
パシフィックリーグマーケティングの仕事について知ろう!
パシフィックリーグマーケティング(PLM)とは、パ・リーグ6球団が共同出資して設立された企業です。「6球団で一緒にやったほうがいいこと」、「1球団ではできないこと」を軸にしたビジネスに取り組んでいます。
今回は、メディア事業部、IT統括部、事業開発部、営業部の4つをご紹介します。
メディア事業部、IT統括部について
メディア事業部では、パーソル パ・リーグTVの運営、IT統括部では、各球団ホームページの管理運営などを主に担っています。各球団のホームページの管理運営は、サーバーを一括管理することでコストダウンが図れることに加え、各球団のホームページのUIUXを近くすることによって、ユーザーが使いやすくなるというメリットもあります。
事業開発部について
事業開発部では、YouTubeチャンネルの運用や、グッズ企画、「PLMキャリア」というスポーツ業界に特化した人材サービスの運営などを行っています。
営業部について
営業部は、先ほどの球団と同じような仕組みで、リーグのスポンサー契約を担当しています。パーソルホールディングス株式会社がパシフィック・リーグオフィシャルスポンサーになっていることから、今回のイベントも一緒に実施しています。
PLMでの仕事のやりがい、大変なこと
プロ野球6球団というビジネス領域の広さ、パ・リーグの歴史の1ページに携われること、多くの事業を開発できることが、PLMでの仕事の大変なことでもあり、やりがいになっています。
世の中の仕事は「業界×職種」で考えることができます。どの業界で何をするか、つまり、プロ野球業界で「何を」したいか、考えてみてください。
藤井さんがプロ野球業界の仕事に就くまで
スポーツ業界を目指したきっかけは、阪神タイガースのファンで、「野球が好き」だったからです。幼少期から「将来は野球関係の仕事に就く」と決意し、大学ではスポーツ社会学を中心に学びました。
新卒で大手鉄道会社に総合職で入社し、6年間働いた後、アスリートキャリア事業を立ち上げる企業へ転職。未経験から、スポーツ業界でアスリートのキャリア支援事業に取り組みました。
32歳のときにプロ野球球団のMD部に転職。その後、2021年より現在、パシフィックリーグマーケティングの事業開発部で働いています。
キャリアの考え方
キャリアについては、古くから様々な研究がされています。今回は、学生の皆さまにもすぐに実践で役に立つキャリア論のひとつ「プロティアン・キャリア」の考え方をご紹介します。
プロティアン・キャリアとは、「変化し続ける」「変幻自在な」キャリアという考え方です。そして、キャリアは「キャリア資本」として「蓄積」するものと考えることが出来ます。キャリア資本は①ビジネス資本(スキル、語学、プログラミング、資格、学歴、職歴など)②社会関係資本(職場、友人、地域などでの持続的なネットワークによる資本)③経済資本(金銭、資産、財産、株式、不動産などの経済的な資本)に分かれます。
キャリアは、「過去→現在→未来」という人生の繋がりのこととして捉えます。キャリアを可視化し、キャリア資本を蓄積していくことで、自分の行動によって生み出される資本の総体がキャリアを形成していきます。大学生の皆さんも、大学生の間に積み重ねたキャリア資本や、今後積み重ねたいキャリア資本を整理してみましょう。きっと、あなたにしか持ちえない資本や価値が、見えてくるはずです。
参加者からの質疑回答
当日は参加いただいた学生から多くの質問をいただきました。一部を抜粋してお答えします。
Q. 野球関連の仕事に就くために、学生時代にやっておくべきことはありますか?
正解はありませんが、野球をビジネスの切り口で見てみるといいかもしれません。ビジネスの視点で、たくさんの球場に足を運んで現場を見てください。プロ野球球団の採用では、即戦力を求めているため中途採用が多いですが、最近は新卒も募集している球団もあります。チャンスがあるなら応募してみましょう。
Q. コロナ禍前後でグッズの売り上げに変化はありましたか?
商品、店舗ともに売上構成に変化がありました。お客様の来場が難しくなった状況下では、ユニフォームなどの球場で使用する応援グッズよりも、普段使いできるアイテムや受注商品の企画に注力しました。また、これまではスタジアムの店舗メインで販売していましたが、「どうやって商品を届けるか」から、考えることが必要になりました。現在は、以前よりもオンラインショップも注力する球団が多くなり、オンラインの特性を活かした商品企画も増やしています。
まとめ
さいごに、本イベントレポートのライター(宮岡さん)より、まとめのメッセージをお届けします。今回のイベントでは、スポーツビジネスやプロ野球界、パ・リーグの仕事について理解を深められたのはもちろん、将来を考えるヒントも得ることができました。
野球観戦が大好きな私にとっては、プロ野球界の仕事について学べる夢のようなイベントでした。一口にプロ野球といっても、その事業の幅はとても広いです。趣味として野球観戦をすることと、ビジネスとしてスポーツを運営していくことでは、着眼点や考え方が大いに異なることを学びました。好きなことを仕事にするためには、その「好き」をビジネスの観点から分析していくことが大切だと感じました。
また、私は初めて「キャリア資本」について学びました。キャリアとは、社会人になってからを指すのではなく、「人生の繋がり」のことを指すのですね。これまで蓄積してきた資本と今後蓄積する資本を「点」で見るのではなく、「線」を引くようなイメージでキャリアを重ねていきたいと思いました。
改めて、藤井さんのキャリアは、「好きを学びにする」⇒「好きを仕事にする」⇒「好きな仕事を進化し続ける」というプロセスをたどっていて、好きを探究し続けるそのスタンスが、本当に素敵ですよね。
皆さんにとっても、「スポーツビジネスについてイメージを掴めた」「キャリアを考えるきっかけが得られた」等、何かひとつでも学びを持ち帰っていただけたら幸いです。一緒に納得のいくキャリア形成をしていきましょう!
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