プロフィール

新卒で三井化学株式会社に入社し、大阪工場にて4年間経理を担当後、経営企画を経験。2008年、ジョブテシオ株式会社を設立。海外で学ぶ工学系人材の採用プラットフォームを構築し、日本企業とのマッチングを実現する。2017年に同社を売却。2019年、株式会社SCHOL(スカラ)を設立し、代表取締役社長に就任。奨学金の検索サイト『ガクシー』、奨学金を提供する企業や団体向けの管理システム『ガクシーAgent』を運営。
身近な課題をビジネスに昇華し、起業家として活躍する人は少なくありません。
今回は、諦めなくて良い社会を目指し、2社起業を経験した松原さんを取材!
新ビジネスで起業した理由や創業時の苦労、目指す世界を具体化するまでのプロセスについて、お話を聞きました。
中学から続けたソフトテニスが自分の指標に
――本日は、お忙しい中ありがとうございます。まずは、出身大学について教えてください。
慶應義塾大学・商学部です。商学部を選んだのは、漠然とですが「将来、経済社会の中で生きていくには、金融の仕組みを知っておいたほうがいい」と考えたからです。
――どんな学生時代を過ごしたのですか?
体育会のソフトテニス部に所属し、練習に明け暮れていました。中学、高校と続けてきたテニスが、生きていく上での“自分の指標”になっていると感じています。なぜなら、テニスを通じて自分の喜びや成長のツボを理解できたからです。例えば、練習で昨日はできなかったことが、今日は出来るようになったらうれしいですよね。仕事でも同様の喜びを得られるかどうかが、私の基準になっています。

主体的に取り組むことで仕事の面白さを実感
――就活ではインターンシップに参加したそうですね。
大学3年生のときに、P&Gと松下電工株式会社で、それぞれ数日間のインターンシップに参加しました。チームで議論して答えを出すグループワークは、学生生活にはない経験だったので衝撃を受けましたが、組織の中で物事を進めるという会社の基本に触れた気がしました。
――就職先はどのような選択軸を重視したのですか?
実は、業界にはあまり興味がありませんでした。インターンシップに参加した企業からも内定をいただいたのですが、化学メーカーに勤めていた父親に「素材の世界は面白い」と言われて興味がわき、「少数精鋭の大手企業なら、面白い人に会えそうだ」と思い、三井化学に入社しました。
――会社勤めはどうでしたか?
大阪工場の経理に配属された1年目は、遅刻はするし、入社半年で有給休暇を使い果たすしで、駄目な社員でした。ところが2年目に上司が代わり、「与えられた仕事をやっているだけだと、他人事でしかないからつまらない。会社に貢献するつもりで自ら働きかけていくことが、仕事の醍醐味なんだ」と教えられたんです。その言葉で目が覚め、主体的に働くようになってからは、仕事が俄然面白くなりました。

尊敬する先輩に誘われ、新ビジネスで起業
――起業は、どのような経緯で決意したんですか?
尊敬している三井化学の先輩に誘われたのがきっかけです。当時の私は、三井化学を愛していたので最初はためらいましたが、「共同創業者として一緒にやろう」と言われて決断しました。それに、人事部だった先輩が感じていた、グローバル採用をサポートする必要性から誕生した“新しいビジネスモデル”である点も魅力でした。
――創業時は苦労も多かったと思いますが、原動力となったのは何ですか?
スタート当初は給料も危うい状態でしたが、3年目になって顧客と売上がついてきて、軌道に乗せることができました。原動力になったのは、「やるしかない」という追い込まれ感と、「やり切れば、世の中に良い影響を与えられる」という夢だったと思います。
“諦めなくていい社会”を目指し2社目を起業
――2017年に会社を売却した時点で、次の起業は念頭にあったのですか?
まだ世の中にないものを自分たちの力でつくり出すことが好きなので、起業しようとは思っていましたが、何で起業するかは未定でした。
――どのように具体化していったのでしょう?
私にとって重要なのは“人”なので、まずは一緒に起業する仲間を探しました。昔からの知り合いを誘って会社を設立し、次に「どこにマーケットがあるか」の検討に入りました。マーケットをいくつかに絞ってその業界の方たちに話を聞き、奨学金に的を絞ってからは、100人以上の業界関係者にヒヤリングして、課題と解決策を具体化していきました。
――そして、奨学金サイト『ガクシー』と管理システム『ガクシーAgent』という新しいサービスが誕生したんですね。この事業のやりがいについて教えてください。
今までにない新しいサービスなので、相手の反応に手ごたえを感じています。自分たちの思いを伝えると、「こういうサービスを求めていた」という声をいただき、とても励みになります。
――この事業が目指す“諦めなくていい社会”とはどんな社会ですか?
一つは、家庭の経済的な事情で“進学を諦めなくていい社会”。もう一つは、海外留学やプログラミングスクールなど、金銭的に余裕があれば学びたいという“チャレンジを諦めなくていい社会”です。メンバーとは「実現までに100年はかかる」と話していますが、諦めなくていい社会が実現すれば、かつての日本のような経済大国を担う若者が増えていくと期待しています。
新卒時の仕事の選択肢に起業があってもいい
――新卒時は就職が一般的ですが、起業も選択肢にあっていいと思いますか?
ケースバイケースでしょう。1社目を創業したときは、「会社組織で学んでからのほうがいい」と思っていましたが、近年は制度が整ってきました。資金支援制度も充実してきましたし、会社設立の手続きもシステム化されて起業しやすくなっています。経験豊富な業界人に1時間単位で相談できるオンラインサービスもあって、私たちも業界関係者へのヒヤリングに活用しました。
――身近な課題で起業したいと考えている若い人たちに、アドバイスはありますか?
身近という視点でマーケットを探す際に欠かせないのは、「顧客がお金を払ってでも解決したい課題があるか」という観点です。「1 + 1=2」では、世の中は動きません。解決策で答えを「5」にできるぐらいのインパクトを与えられるマーケットを見つけることが重要です。
――そのためには、どうすればいいのでしょう?
「何があったら助かるのか」「どんなことになら対価を払うのか」を、当事者の立場で考えてみることです。また、海外の事例が参考になることが多いので、ある程度的が絞れた時点で、海外の状況を調べてみると役立つと思います。
学生の皆さんへのメッセージ
――最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
低学年のうちに「自分が興味を持てることは何なのか」を把握しておきましょう。自分の興味につながる企業に入社できれば、仕事が楽しくなるからです。自分の興味を知る方法は、行動すること。頭で考えるのではなく、実際に行動して「〇(興味がある)」「×(興味がない)」の判断材料を増やしていってください。
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