プロフィール
2007年、新卒で株式会社リクルートに入社し、求人・販促メディアの営業を担当。2013年に英国留学し、ロンドン大学バークベック校スポーツマネジメント大学院を修了。留学中は学業の傍らマンチェスター・ユナイテッドFCのロンドンオフィスに勤務。2015年、シンガポールにある電通スポーツアジアに転職。2018年、楽天株式会社(現・楽天グループ株式会社)に転職。2021年、早稲田大学大学院スポーツ科学研究博士課程修了。
キャリアは自分自身の努力によって切り開くことができます。
今回は、学生時代から「スポーツビジネスにかかわる仕事がしたい」という明確な目標を持ち続けた岡本さんが、活躍に至るまでのキャリア変遷について取材しました。
外国人が多い大学で英語や付き合い方を学ぶ
――本日お話を聞けるのを楽しみにしていました。早速ですが、学生時代について教えてください。
卒業したのは立命館アジア太平洋大学のアジア太平洋マネジメント学部です。2000年に設立された新しい大学で、私が入学したのは2002年。学生の約半数が外国籍の方でした。
――なぜその大学を選んだのですか?
中学・高校とバスケットボールをやっていて、「将来はスポーツビジネスにかかわる仕事をしたい」と思っていたんです。そのためには英語力が必要なので、外国籍が多いこの大学に通えば英語でビジネスが出来るようになるだろうと思い、選びました。
――高校時代から、やりたい仕事が明確だったんですね。どんな大学生活を過ごしたのですか?
大学でもバスケ三昧でした。メンバーは外国籍が多く、考え方に多様性があり、英語でのコミュニケーションだったので、キャプテンとしてチームをまとめるのに苦労しました。お陰で、“英語を話す力”だけでなく、“多様性に対応するスタンス”も身につきました。
――対応するスタンスとは?
例えば、謙虚になりすぎずに考えをはっきり伝えるとか、相手の国や家族といった共通の話題を大事にする姿勢などです。外国籍の方との交友関係から得た経験は、今の仕事にとても役立っています。
自分を鍛え、最短で成長できる会社を選択
――就活は、高校時代からの夢だったスポーツビジネスに絞って活動したんですか?
スポーツビジネスは携わりたい人は多いのに、ポストが非常に少ない業界なんです。もちろん第一志望でしたが、実際は狭き門でした。そこで、将来スポーツビジネスに転向するのに最適な道筋は何かと考え、「しんどい会社で自分を鍛えて、最短でビジネスマンとして成長しよう」と思いリクルートを選びました。
――その選択は正解でしたか?
大変でしたが、正解でした。1年目は飛び込み営業もありましたし、2年目は1日200件もの営業電話をかける日もありました…。ただ結果を出せば評価される会社だったので、楽しかったですね。この会社で、社会人の基礎をみっちり学びました。
留学中に自分を売り込み、サッカー業界で働く
――その後、退社してロンドンに留学されたんですね?
約6年半勤めて留学資金も貯まったので、ロンドン大学大学院でスポーツマネジメントを学ぶために1年半留学しました。1日も早くスポーツビジネスへの足掛かりをつくりたかったので、現地ではヨーロッパにあるプロのサッカークラブ約30社に、自己紹介とスポンサー獲得の提案書を郵送して自分を売り込みました。すると、マンチェスター・ユナイテッドFCから連絡があって5回ほどの面接を経て採用に。前職で鍛えた営業力が、ロンドンでの就活に大いに役立ちました。
――慣れない海外で苦労も多かったと思いますが、その原動力となったのは何ですか?
日本にいるときから「スポーツビジネスの道に進む」と周囲に宣言していたので、「言ったからにはやらなきゃ」という気持ちで頑張りました。ビザの関係で週3、4日のアルバイトでしたが、日本企業のスポンサーを獲得するサポート業務を経験し、履歴書にマンチェスター・ユナイテッドFCと書ける実績ができたのは大きかったですね。それによって面接に進めたスポーツクラブやエージェンシーが格段に増えました。
アジアでスポーツビジネスのキャリアを構築
――留学後は、どんな選択軸で転職先を探したんですか?
そのまま海外でスポーツビジネスのキャリアを積もうと考えました。日系企業が多いアジアなら、日本人である優位性も生かせると考え、シンガポールにある電通スポーツアジアに転職しました。そこでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)全域での権利セールスやスポーツマーケティングの運営・推進などを担当しました。
――遂にスポーツビジネスが本業になったんですね。
はい。シンガポールでは、サッカーをはじめSEA GAMES(東南アジアオリンピック)など、スポーツビジネス全般を経験することができました。メールの返信がない、対面のコミュニケーションでないと前に進まないなど、アジアと日本のビジネス感覚の違いに戸惑いつつも、ビジネスの多様性を知ることもできました。
――シンガポールから帰国して、日本で転職しようと考えたのはなぜですか?
社長をはじめ周りとの信頼関係も構築され仕事は順調でしたが、「35歳で落ち着いてしまっていいのか」という迷いがありました。そこで、「もう一度自分を知らない人の中に身を置いて一からチャレンジし直してみよう」と帰国し、スポーツビジネスの仕事ができる楽天に転職しました。
――現在は、どのような仕事に携わっているんですか?
転職した年に、サッカーのイニエスタ選手の肖像権を企業に提案しアンバサダーとして活用してもらうビジネスで、一定の成果を上げることができました。そこで、3年前に有望な若手アスリートのサポートにフォーカスしたプロジェクトを提案。現在はそのプロジェクトを含む、セールスとビジネスデベロップメントの責任者としてプロジェクトを推進しています。
転職や学びを重ねて、仕事の領域を拡大
――転職するたびに、仕事がスケールアップしているようですね。
そうですね。やりたいことを実現するためには、足元の結果を着実に出し続けることが重要だと思っています。私はゼロからイチをつくり出すビジネスに魅力を感じていますし、実際にチャンスをいただいた今の会社にとても感謝しています。これからもスポーツビジネスにこだわり続け、この業界を通して社会全体に貢献していきたいと考えています。
――会社を辞めてイギリスに留学し、昨年は早稲田大学で博士課程を修了するなど、社会人になっても学び続けているのはなぜですか?
留学したのは、スポーツビジネスに就くための最初のステップとして望ましいと考えたからです。そして、博士号を取得したのは、いつか自分の経験やスキルを後進に教えることができるように、との思いからです。
学生の皆さんへのメッセージ
――最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
仕事は1日の1/3から半分を占めるので、仕事が楽しくないと人生もつまらなくなってしまいます。ですから、「自分は何をしていると楽しいのか」を、1年生のうちから意識して考えておくと良いと思います。私は「好きなスポーツのそばにいられれば幸せだ」と感じ、その思いを体現できているので、毎日が充実しています。就活では必ず自己分析をしますが、難しく考えずに、「自分は何者で、何にときめき、何に興奮するのか」を自分と向き合って理解するのが大事だと思います。
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