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社会人に質問!あなたの学生時代や仕事の軸とは?―小学校教員

  • 大学1,2年生
  • 2022.04.15

プロフィール

Iさん(36歳/社会人13年目)
2009年、新卒で人材派遣会社に入社し、4年間勤務。2013年、人材・販促事業を手掛ける大手企業へ転職し、契約社員として2年間『就職ジャーナル』サイトの運用・経理業務などに携わる。2015年、友人から紹介された公立小学校の臨時的任用教員となり、特別支援学級を担当。自治体の教員採用試験に二度チャレンジし、2017年より正規の公立小学校教員に。1年生の担任を経て、特別支援学級を担当。21年9月に第一子が誕生し、現在は育休中。

流されるままに過ごしていた大学時代

――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、まずは大学時代について教えてください。

首都圏にある国立大学の教育学部を卒業しました。親類に教員が多く、母も小学校で事務をしていたので、「将来は教員ね」という周囲の雰囲気に押され、成り行きで教育学部を選びました。


――どんな学生だったんですか?

周囲に流されやすいタイプで、友だちが「ラクだよ」と教えてくれた科目を選択し、「見学したら雰囲気がよさそうだから…」とテニスサークルへ。単位を取得すれば教員免許がもらえるので、目の前に敷かれたレールに乗って、「卒業後は小学校教員になるんだろうな」と漠然と考えていました。アルバイトは、中学生の家庭教師や居酒屋、歯科医院のアシスタントなど、いろいろと経験しました。中でも子どもに教えるのは、楽しかったですね。

教員になる自信を失い、“教育”を軸に就活

――だとしたら、教員への気持ちが高まっていったのではありませんか?

ところが、違ったんです。大学3年生のときに小学校で1カ月、中学校で2週間の教育実習があり、小学校での実習はとても楽しいものでした。ですが一方で、「教科書通りに授業を進めることはできるけれど、それ以外に伝えたいこと(教育感や信念のようなもの)が私にはない」と怖くなってしまったんです。子どもたちは慕ってくれましたが、「こんな私が担任になったら子どもたちが可哀そう。先生にはなれそうにない」と、自信を失ってしまいました。

――それは大変でしたね。では、教員を断念して一般企業への就活に切り替えたんですか?

はい。学部の約半数は一般企業への就職を目指していたので、「みんなが動き出すから、私も就活しなくちゃ…」と周りに流されるように就活を始めました。


――就活での企業選びは、どんな軸を重視したんですか?

「自分は何をやりたいのか」を深く考えないまま就活を迎えてしまったので、そのときは“教育”というキーワードしか思い浮かばず、まずは学習塾などの教育関連企業や玩具会社などを探しました。その後、対象を子どもから人(大人)に広げて、人材派遣会社も候補にしました。大手有名企業は「競争率が高いし、私には無理だろう」と除外。教員を断念したのと同様に、就活でも自分に自信が持てませんでした。


企業への派遣や転職でさまざまな仕事を経験

――どんな会社に入社して、どんな仕事を経験したのですか?

入社したのは人材派遣会社です。「まずは現場を知ることから」という会社の方針で、新卒約30人全員が日用品の生産工場で派遣社員と同じ作業に従事。みんな不平不満ばかりで、「こんなはずじゃなかった」と後悔しました。スキルアップの見えない2年間を乗り切って、異動を希望。今度は企業のモチベーションアップに携わる会社に派遣され、1年半ほど企業研修の事務局業務などを経験しました。やりたいことをみんなで形にしていく社員を見て、初めて“働くことを楽しむ姿”を体感しました。


――ちょっとしたカルチャーショックですね。それが転職のきっかけに?

はい。他社の研修に立ち会う中で、「働く人を後押しする仕事、人の岐路に立ち合う仕事っていいな」と思うようになり、転職活動を始めました。リクルートの転職サービスを利用していて、紹介されたのが『就職ジャーナル』サイトの仕事でした。希望は正社員でしたが、募集は契約社員。それでも、「仕事選びの岐路に立つ大学生に情報を発信する仕事は、きっといい経験になる」と思い、決断しました。担当したのは、原稿進行と経理業務。みんなスピード感があって、イキイキとしていて、活気のある雰囲気にやや気後れはしましたが、「私もこんな風になりたい」と強く思いました。


社会経験を積んで、教員になる自信がついた

――そこから、どのように教員への気持ちが再燃していったんですか?

やりたいことが明確にあって、そこに突き進んでいく職場の人たちに刺激を受け、「私も自分のやりたいことを見つけよう」と再認識したんです。一度はあきらめましたが、教員職は常に頭の片隅にありました。社会人となって6年、工場の作業現場からインターネットでの情報配信までさまざまな仕事を経験したことで、「今の私なら、子どもたちに世の中にはいろいろな可能性があることを教えられる」と自信を持てたんです。


――教員の求人はすぐ見つかったんですか?

教員をしている友人に相談すると、その友人が勤める公立小学校に臨時的任用教職員(臨任)の空きがあることが偶然わかり、すぐに転職しました。その小学校で特別支援学級の臨任をしながら、2度目の教員採用試験に合格し、別の公立小学校の正規職員となりました。


――何となく選んで断念した教員職が、時を経て“本当にやりたい仕事”になったんですね。

社会に出ていろいろな働き方を体験したことで、“自分が本当にしたいこと”をリアルに捉えることができました。遠回りしたからこそ、自分の意思でこの仕事を選ぶことができたと思います。


――一般企業で社会経験を積んでから教員になったことで、良かったと思うことはありますか?

一番は、子どもたちに教えられる経験を積めたことです。中には、一般企業の勤務経験があることで安心感や信頼感を感じてくださる保護者の方もいます。会社で学んだビジネスマナーやコミュニケーション力も役立っているのだと思います。

――今は育児休暇中とのことですが、いつごろ職場復帰の予定ですか?

出産は昨年の9月で、最長3年間の育休を頂けるので、職場復帰はまだ未定です。仕事だけを考えると長いブランクは避けたいのですが、「もう1人子どもを産んでから復帰したい」という思いもあります。家族計画は思い通りにはいかないので、もう少し時間をかけて考えていくつもりです。

学生の皆さんへのメッセージ

――最後に、学生の皆さんに伝えたいことがあったらお願いします。

社会に出ることに不安を感じているのなら、それを払拭するために行動してみてください。その一つがバイトです。学生時代の今を過ごすのに都合が良いからと時間帯や時給で選ぶのではなく、将来につながるかどうかの視点で探してみると良いと思います。一般企業での短期事務なども、案外見つかりますよ。


――なるほど、将来の仕事選びを見据えたバイト選びですね。本日はありがとうございました。

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