プロフィール
長年、大学におけるキャリア教育やスキル教育の企画を担当。大学生のつまづきポイントを踏まえた授業設計を心掛けている。
「オンライン授業で膨大なレポートを課されて大変!」
「レポートは書いているけど、本当にこれでいいのか?」
「論理的な文章を書くのがとにかく苦手!」
このように多くの大学生が感じていることでしょう。オンライン授業が多くなり、レポートの量も増えているということもあります。
このコラムでは、大学生が苦戦するレポートの書き方を「ロジカルライティング(ロジライ)」という手法で説明します。
これを読んでロジライステップの手法を身につければ、「自分の意見がまとまらない」「1000字超えるとキツイ」「根拠のある文章を書けない」というような苦労から解放されて、論理的な考え方を身につけることができます。
論理的なアウトプットができるということは、オンライン時代において授業のレポートだけでなく、就職活動やその先のキャリアにも大きく影響します。<論理的な文章を書くためのテクニックを知っているのと知らないのとでは大きな差が出ます。
単位取得のためだけではなく、就職活動や社会に出てからも役立つ「ロジカルライティング」を身につけましょう。
いきなり書き出すのはNGなのはわかるけど、何をしたらいいの?
下準備をせずにいきなり書き出すと後で苦労することが多いです。
下準備を面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、いきなり書き始めて止まってしまうことのほうが面倒くさいです。
下準備があるほうがよいというのは理解できるけど、何をしたらいいの?と思うかもしれません。
レポートを書くために準備すべきこととは?
レポートを完成させるために行うステップとして「書く」という作業は最終段階です。その前に行うべきことがたくさんあります。
書き始める前に構成が出来ていると書くのが楽です。構成はレポートの設計図です。何かを組み立てるときに設計図を見ずに作業して後でやり直すハメになったという経験はありませんでしょうか。
レポートも同じです。ただ、自分で設計図を作る必要があります。
構成を作るためには、構成メモが必要です。思ったことや書きたいこと、使えそうなワードをメモしていきます。
料理を作るときは材料が必要なのと同じで、レポートを作成するときには構成メモが必要です。
「論理的に書く」って結局どういうことなの?
「論理的な文章を書けるようになりたい」とか「論理的な話し方をできるようになりたい」という声はよく聞きます。
では、「論理的に書く」とはどういうことなのでしょうか?
ここでは、【論理的な文章とは、「主張・意見」と「根拠」が明確になっている文章】とします。
ロジカルライティングには、いろいろな考え方や手法があり、これが唯一ということではありませんが、大学生がレポートを書くときに最初に苦労するのが「主張・意見」と「根拠」です。
「主張・意見」ってどういうこと?
自分の考え?持論?ちょっと強めに言い張ること?主張や意見という言葉の意味はわかると思いますが、ロジカルライティングで文章を作るにあたって明確に理解しておく必要があります。
ロジカルライティングにおける意見・主張とは?→問いや問題に対する答え です。
答えと聞くと、正解があると感じるかもしれませんが、答えが合っているかどうかではなく、その主張に説得力のある根拠があるかどうか、ということが重要です。
実は、ここが高校までの学びと大学以降の学びと大きく異なるポイントです。だからこそ、大学生が苦労するポイントでもあります。
論理的な文章にするための、おすすめの文章構成は?
文章構成の基本は「序論、本論、結論」とよく言います。短いレポートでも、2万字・3万字と書くような卒業論文でも、「序論、本論、結論」が基本です。
ただ、「序論、本論、結論」という表現だけだと、序論には何を書いたらいいのか、本論には何を書いたらいいのか、ぱっと見では分かりにくいです。
おすすめの文章構成は「主張、根拠、まとめ」という形式です。
これは、大学の学びだけでなく、ビジネスでも有効ですし、就職活動のエントリーシートもこの形式です。書いたレポートが以下のような構成になっていると、相手に伝わりやすいです。
主張:「○○は○○である」
根拠:「なぜならば…」
まとめ:「以上のように、○○である。」
論理的な文章を書くためのコツ:ロジライステップ
論理的な文章を書くためにはコツがあります。論理的な文章を書くためのテクニックを知っているのと知らないのとでは大きな差が出ます。大学で膨大な量のレポートをこなしたとしても、ただこなしているだけでは論理的な文章を書けるようにはなりません。
4つのロジライステップとは?
「主張・意見を考える」→「根拠をたくさん出す」→「整理する」→「文章化する」
という4つのステップをチャート化したものです。
物事を考えるときに、真っ白な紙にいきなり書き出すのは誰でも大変です。レポートを書くために必要なのは、天才的なひらめきではなく、最初に何を考えて、次に何を考えるというステップが明確であることです。
そのステップをわかりやすくチャート化したのがロジライステップです。
STEP1:主張・意見を考える
与えられたテーマに対して、自分が言いたいこと・伝えたいことを考えます。
最初からよい主張・意見を思いつこうとすると大変です。
まずは、思いつく限り、主張・意見を出していきます。ロジライステップでは5つ以上の主張・意見をだしていき、その中から一番根拠を出せそうなものを1つ選ぶことをお勧めします。
STEP2:根拠をたくさん出す
1つ選んだ主張・意見に対して、それを支える根拠を考えます。
これもまずは、とにかくたくさん洗い出していきます。10個以上ひねり出しましょう。
根拠が思いつかない場合は、「なぜか?」を繰り返したり、「つまり?言い換えると?」と考えてみたり、「似たものはないか?」と探してみると、考えやすいです。
STEP3:整理する
STEP2で出した根拠を3つに分類して、それぞれに小見出しをつけます。
まずは洗い出した根拠を眺めて、共通しそうなものをグループとしてまとめていきます。
〇△□をつけて分類するとよいでしょう。意味合いとして仲間外れだと思うものには×をつけます。
共通するキーワードを使って小見出しをつけるとよいでしょう。
このパートが最も難しいですが、これが出来れば文章の形はもう完成しているも同然です。
STEP4:文章化する
最後に、「意見・主張」「3つの根拠」「念押し」という構成で文章にしていきます。
STEP3で作った形をそのまま文章にしていくイメージです。文言は変えて構いませんが、STEP3を文章にすると、以下のような組み立てになります。
主張:私は○○であると考える。理由は3つある。
根拠①:一つ目は・・・
根拠②:二つ目は・・・
根拠③:三つめは・・・
念押し:以上の理由から、私は○○であると考える。
これでロジライステップの説明は終了ですが、文章だけで説明するよりも自分で埋めていけるようにワークシートになっているほうがわかりやすいです。
dodaキャンパス会員向けに、ダウンロードして使えるフォーマットを用意しました。このコラムの最後にあるリンクから入手してみてください。
不定期でオンラインセミナーも行っていますので、ロジライステップについて説明を聞きたい、具体的な例を見たい、ほかの学生がどのように書いているか見たい、という方はdodaキャンパスゼミのイベントページから該当のセミナーがあるかどうか探してみてください。
レポートのテーマを与えられていない場合はどうしたらいいの?
レポートのお題には具体的な指示がない場合があります。
例えば、「少子高齢社会における年金制度の問題点は何か」というように、書くべき内容について指示がある場合は迷いませんが、「高齢化社会について論じなさい」「資料を読んで自分の考えを書きなさい」などと、明確な「問い」が与えられていない場合は、どうしたらよいでしょうか?
自分で「問い」を設定する必要があります。一番ダメなパターンは「高齢化社会について論じなさい」と言われて、広く浅く高齢化社会についてダラダラ書いていくパターンです。
評価の高いレポートを書くには、テーマの領域を深く絞ることが重要です。
高齢化社会の中の何に焦点を絞るのか、自分なりにテーマを掘り下げることが重要です。
高齢化社会の中でも、福祉の問題なのか、医療の問題か、経済の問題なのか、一つに絞ることで書きやすくなります。絞ることで調べることも少なくて済みます。
結果的に効率的にレポートを仕上げていくことにもつながります。
まとめ:結局勉強することが大事
ここまでロジカルライティングの説明をしてきました。
論理的な文章を書くためにロジライステップは有効なのですが、それだけではだめで、資料や文献を調べたり、どのような論点があるのか調べたり、知識がないと書けないということに気づいたかと思います。
つまり、やっぱり勉強しないとダメだということです。
ロジライステップを使えば思考の型には迷わないで済みますので、勉強して、調べて、よいレポートを書いて、論理的思考力を鍛えてください。
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