就活では、企業にどれだけ自分を知ってもらえるかが非常に重要です。ほとんどのエントリーシートや面接で問われる「趣味・特技」は、“自分らしさ”をアピールできる数少ないチャンス。
しかし、特定の趣味や特技がなかったり、どのようにアピールすれば良いかわからなかったりなど、エントリーシート(以後、ES)の作成に困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんなエントリーシートや面接で、企業に好印象を与える「趣味・特技」の書き方を、例文とともにご紹介します。
目次
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「趣味・特技」はなぜ必要?
なぜ、企業は「趣味・特技」の記入欄をESに盛り込んでいるのでしょうか。仕事と関係のないプライベート面を聞く大きな目的は、応募者の人柄を知り、社風や仕事内容にフィットするかどうかを見極めるためです。つまり、自分がどんなタイプの人に見られるのか、企業側の視点で受け取られる印象について想像することが必要になってきます。
就活生にとって、企業の人事担当者が「趣味・特技」を通じて知りたい内容を正しく理解することは、良いエントリーシートを書くための第一歩です。そこで、企業の担当者が「趣味・特技」を重視している理由を具体的にご紹介します。
人柄を知るため
面接で直接顔を合わせるまで、企業の担当者が応募者について知る方法は、エントリーシートしかありません。そのため担当者は、応募者がどんな人なのか、会社に適性があるかをエントリーシートの情報だけで見極める必要があります。
応募者の仕事に対する姿勢は社会活動から、人柄はプライベートから読み取れます。スポーツが趣味であれば「体力や粘り強さがあるかも」、音楽や絵が得意であれば、「クリエイティブな仕事に向いているかも」といった推測が可能です。また、応募者が趣味や特技を通じて学んだことをどう仕事に生かせるのか、という点を伝えられれば、担当者にプラスの印象を持ってもらうことにもなるでしょう。
もちろん、仕事に関連する趣味や特技がなくても、マイナスになることはありません。自分の考えをしっかりと述べられる人は好印象を与えられるため、仕事と直接関係がない趣味や特技でも自信を持って記入しましょう。
仕事の適性を見極めるため
あなたの趣味・特技への取り組み方を聞くことで、企業はあなたに仕事の適性があるか、社風とのミスマッチがないかといった事柄を確かめようとしています。例えば、長く続けている趣味・特技を伝えれば、コツコツと物事を継続する力があることをアピールする際に有効です。未経験からチャレンジした趣味であれば、あなたの努力や工夫によって特技になるほど成長した過程を話せば、粘り強さやチャレンジ精神が備わった人物であるとアピールできるでしょう。
このように、趣味・特技のエピソードを通して、あなたの特性・強みなどを伝えることで、応募先が求めている仕事の適性があることをアピールできます。
面接時の話題になるため
趣味・特技は会話のきっかけになりやすく、特に質問されやすい項目といえます。面接官は質問の受け答えを通じてあなたの人柄や考え方を知るため、嘘の趣味を書いたりせず、きちんと答えられる趣味を記載しましょう。
趣味・特技について自然に話を広げるためにも、次のポイントを一つずつ掘り下げて整理してみるのもおすすめです。
- 興味を持ったきっかけ
- 取り組み始めた頃の気持ち
- 継続する中で得た気付き
- 取り組みで最も自分らしさが分かるエピソード
- 取り組みにおいて苦労したことや乗り越え方 など
ESの趣味・特技の書き方と3つのポイント
ESの趣味・特技欄の具体的な書き方を押さえましょう。ポイントを押さえて記入することで、採用担当者にプラスの印象を与えることも可能です。自分の人柄や物事への取り組み方をスムーズに伝えられるよう、下記のポイントを意識しましょう。
1.結論から記載する
「私の特技は~です」と、最も言いたいことを最初に書き、次に続く文章を理解しやすいようにまとめましょう。反対に、結論が後回しの文章は回りくどくなり、「何が言いたいのかわからない」と、相手が理解しづらくなる可能性もあるため注意が必要です。
ビジネスシーンでは結論ファーストのPREP法を用いる場面が多々あります。PREP法とは、「結論(P)」→「理由(R)」→「具体例(E)」→「結論(P)」の順番で文章を構成する方法で、自分の主張を端的に伝える際に役立つ手法の一つです。
2.具体的なエピソードを盛り込む
趣味・特技は具体的なエピソードを盛り込むことで、より明確なイメージを伝えることが可能です。数字や実績など、客観的な根拠を確認できる情報を添えれば、相手が想像しやすく具体性も増すでしょう。
例えば、「ポートレート写真の撮影が特技です」と伝えるよりも、「ポートレート写真の撮影が特技です。趣味のカメラを極めるために、家族写真や記念日写真の撮影サービスを考案し、大学3年間で30組以上の撮影を行いました。」など、可能な限り行動や実績を数値で表して、具体化を心掛けましょう。
3.まとめの文章を入れる
趣味・特技欄の最後には、最も伝えたい内容を再度盛り込みつつ、まとめの文章を入れると説得力が増します。締めくくりの文章が弱いと、趣味や特技のエピソードを並べただけで、締まりのない印象を与えてしまう可能性があるためです。
まとめの文章では冒頭で話した内容に再び触れながら、趣味・特技で得たスキルや価値観をどのように仕事で生かしていくか、前向きにアピールすると良いでしょう。
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ESの趣味・特技を書くときの注意点
続いて、自分の趣味や特技を好印象に伝える書き方をご紹介します。
数字や5W1Hを意識して「自分だけの」具体的なエピソードを書く
人柄を伝えるための趣味・特技欄であっても、エントリーシートを書く目的は、「自分をアピールすること」です。自分のアピールポイントを文章にするときは、「いつ、どこで、なにを」といった5W1Hに注意しながら整理すると、具体的なエピソードに落とし込めます。
<BEFORE>
私の趣味は旅行で、たくさんの国に行きました。
<AFTER>
私の趣味は海外旅行です。大学3年次の春休みに2ヶ月間で東南アジアを5ヶ国まわり、現地の貧しい人たちの暮らしや価値観を学んできました。
なにを学び、どう成長したのか簡潔に表現する
企業にとって、応募者の「趣味・特技」そのものは重要ではありません。企業は、応募者が「どんな人なのか」を知りたがっています。5W1Hを意識したエピソードを書くだけでは、自分の人柄を伝えるには不十分。このエピソードを通じて得た学びや、どのように成長にしたのかを記述することで、自身の人柄をより伝えられる文章になります。
自分を客観視しながら、そのときの体験や考えを上手に表現できるかも問われています。文章で伝えるのが上手い人は、コミュニケーション能力が高いとも考えられるからです。そのため、「誤字脱字をしない」「丁寧語や文語に統一する」といった基本を意識しながら、趣味にまつわるエピソードを丁寧に書いていきましょう。
<BEFORE>
私の趣味は海外旅行です。大学3年次の春休みに2ヶ月間で東南アジアを5ヶ国まわり、現地の暮らしや価値観を学んできました。
<AFTER>
私の趣味は海外旅行です。大学3年次の春休みに2ヶ月間で東南アジアを5ヶ国まわり、現地の貧しい人たちの暮らしや価値観を学んできました。この体験を通じて、心配事が多く、マイナス思考になりがちだった自分を払拭し、新しい挑戦に対して前向きに取り組めるようになりました。
見やすさと読みやすさへの配慮。見出しと説明文を明確に分ける
多くのエントリーシートに「趣味・特技」の記入欄はあるものの、書き方について規定があるケースはほとんどありません。書き方を少し工夫するだけで、ほかの応募者と差をつけられます。「趣味・特技」の文章を「要点をまとめた見出し」と「説明文」に分けて書くと、伝わりやすい文章となるでしょう。
要点をまとめるスキルがあることや、読み手に配慮できることも示せるため、ぜひ実践してみてください。
<BEFORE>
私の趣味は海外旅行です。大学3年次の春休みに2ヶ月間で東南アジアを5ヶ国まわり、現地の貧しい人たちの暮らしや価値観を学んできました。この体験を通じて、心配事が多く、マイナス思考になりがちだった自分を払拭し、新しい挑戦に対して前向きに取り組めるようになりました。
<AFTER>
『挑戦できることを最大限楽しむ。東南アジアの貧困街で得た学び』
大学3年次の春休みに2ヶ月間で東南アジアを5ヶ国まわり、現地の貧しい人たちの暮らしや価値観を学んできました。劣悪な環境にも関わらず、ひたむきに頑張っている現地の方々の姿に感動し、また実際に自分も体験することで、心配事が多く、マイナス思考になりがちだった自分を払拭し、新しい挑戦に対して前向きに取り組めるようになりました。
ESの他の項目とかぶらない内容を選ぶ
趣味・特技の内容は、ESにおけるその他の回答と出来るだけ重複しないようにしましょう。趣味・特技の内容は、面接時の話を広げるきっかけにもなるもの。自己PRや志望動機、保有資格とは異なる内容を記載しておけば、「この人はこんな一面もあるんだな」と、あなたの人柄を多角的に理解してもらう際に役立つでしょう。
趣味・特技を詳しく書きすぎない
趣味・特技はあくまでも、エピソードを通して人柄や企業との適性を知るための項目であるため、そのものについて詳しく書く必要はありません。あくまで、あなたについて知りたいということを意識してまとめましょう。
ESの趣味・特技の見つけ方
ESの趣味・特技欄の意義や重要性を理解できても、「そもそも趣味・特技と呼べるものがない」「何を書いたらわからない」という人もいるかもしれません。ここでは、ESに書く趣味・特技の見つけ方について説明します。
自分が好きなこと・熱中したことから探す
趣味を見つけるときは、「自分が好きなこと」の中から「一定期間続けていること」を探してみる方法がおすすめです。決して専門性のある難しい趣味が求められているわけではないので、シンプルに自分が楽しんで継続している事柄を選ぶと良いでしょう。例えば、読書やスポーツ、散歩やお笑い番組を見ることなど、ごく日常的な好きなことを取り上げて問題ありません。
趣味を見つけたら、なぜ興味を持ったのか、どのように取り組んできたか、趣味にまつわる印象的なエピソードなどを思い起こして書き出してみてくださいね。
家族や友人にヒアリングしてみる
どうしても趣味や特技が思い浮かばなければ、家族や友人など身近な人に聞いてみる方法もあります。第三者から意見をもらうと、自分では無意識に行っている習慣や行動に気付くきっかけとなるでしょう。
また、家族や友人と過ごした時間を一緒に振り返るのもおすすめです。例えば、友人との過ごし方を振り返ったときに「友人Aさんと会う時は毎回、おしゃれなカフェに足を運んでいる」という点に気付くことができれば、「知人とのカフェ巡り」が趣味の一つとなるでしょう。
周囲の力を借りることで、自分では気付かなかった「好きなこと」「楽しんでいること」「こだわり」などを発見し、趣味・特技に繋がることがあるため、おすすめです。
自己分析でたな卸ししてみる
幼少期からこれまでの過去について振り返る自己分析も有効です。やり方が分からないという方は、自分の価値観や興味を探り、情報を整理する際い役立つdodaキャンパスの自己分析シートの活用がおすすめです。
シートの項目を埋めていくうちに、改めて気づく趣味や特技があるかもしれません。
パターン別!趣味・特技の例
ここからは、パターン別に趣味や特技の例文を紹介します。自分の持っている趣味・特技と照らし合わせると、アピールポイントが見つかりますので、読みながら考えてみてください。
読書
『客観的に考える大切さを知る。読書会を定期的に主催』
所属していた読書サークルで、2ヶ月毎に読書会を主催していました。参加者と議論を重ね、自分だけでは気づかない発見ができたり、作品をより深く理解できたりしました。読書会を通して、異なる視点を柔軟に取り入れ、客観的に考える大切さを学びました。
映画鑑賞
『物事を知るために自ら行動する。毎月10本以上観る映画から教わったこと』
好きな作品を見つけたときは、作品の制作背景や演出、音楽やロケ地といった情報を徹底的にリサーチして、作品の理解を深めています。実際に、ヨーロッパのロケ地まで足を運んだこともあるほどです。物事を理解するためには、的確なリサーチ力と、自ら体験することが重要なことを学びました。
スポーツ
『インプットの時間も作る。大学4年間休みゼロを実現した体力と知識』
大学生活中、部活と講義の両方で無遅刻無欠席を達成しました。これを達成できたのは、サッカー部による体作りだけでなく、食べ物や栄養についての知識を自らインプットしていたからです。目標達成のためには、体を動かすアウトプットと、知識のインプット両方が重要であることがわかりました。
裁判傍聴
『大学の研究の延長で参加。心理学から法律へと学習と行動の範囲が拡大』
大学で犯罪心理学を受講し、研究の延長で裁判所に通い始めました。最初は独特な緊張感のある場の空気に戸惑っていましたが、通い続けることで、裁判長や検事の個性、被告人の背景など裁判そのものにも関心が向くようになりました。最近はより深く裁判を理解するために法律についても勉強しており、興味関心に対して自ら行動し、学ぶことの重要さを実感しています。
盆栽
『根気よく続けることで立派な盆栽ができる。1日1日大切にすることの重大さを実感』
父の趣味がきっかけで、真似して盆栽を育てるようになりました。盆栽は毎日の水やりや、こまめな手入れ、創造力が求められる分、自分の思い描く盆栽がきれいに完成したときの喜びは格別です。1日1日のお手入れを丁寧に行うこと、そして根気強く続けることの大切さを学びました。
英会話
『海外滞在で身につけた英語力を仕事に生かす』
大学1年の時に1ヶ月オーストラリアに滞在する機会があり、日本以外の国の人と交流する楽しさを知りました。帰国後も勉強を続けて、オンライン英会話のレッスンと独学に毎日最低2時間は使うようにしました。2年間継続し、アメリカへ旅行に行った際にスムーズにコミュニケーションができたことで、成長を実感できました。御社の業務でも英語を活用するシーンが多いと聞いており、身に付けた英会話を生かすことができると考えています。
テレビドラマの鑑賞
『言い回しやフレーズを学びながら、仕事で役立つ知識をまとめている』
テレビドラマを毎週見ながら、記憶に残った印象的なセリフやユニークな言い回しをノートに書き留めています。ボキャブラリーやフレーズのストックを作ることで、オンラインコンテンツなど情報発信に向けた文章作成に生かしたいと考えています。
早起きが得意
『朝の時間を有効活用でき、日中の生産性向上に繋がっている』
早起きが特技で、毎日5時半に起きることを習慣にしています。アラームが鳴らなくてもほぼ同じ時間に目覚めることができます。現在は朝活としてウォーキングや勉強、日記といった時間を1時間は確保しており、頭がすっきりした状態で日中の活動ができています。仕事の生産性向上にも繋がると考えています。
志望業界によっては注意が必要な趣味
「趣味・特技」は応募者の人柄を知るための項目のため、できるだけ嘘偽りなく、自分の好きなことを書いたほうが、プラスの印象を与えられます。
一方で、業界によっては「趣味・特技」として記載するのは控えたほうがいい趣味もあります。その一例を以下でご紹介します。
ギャンブル系
公的に認められているものであっても、「ギャンブル要素」のある趣味や特技は、人事担当者にお金の使い方を心配される可能性があります。志望企業の業務内容に関係がない場合、記載は避けるべきでしょう。
嘘の趣味や特技
企業にあわせて嘘の趣味や特技を記載することはオススメできません。面接官は多くの就活生を見てきているプロです。最悪の場合、面接の応答で嘘の趣味だとバレてしまう可能性もあります。志望企業に合わせた趣味・特技を無理にひねり出す必要はありません。自分の趣味や特技に自信を持って記入しましょう。
特になし、空欄
「趣味・特技」の欄は、自分の人柄をアピールできる数少ないチャンス。ほかの応募者は、この項目で積極的にアピールしているため、相対的に評価が下がってしまいます。また、空欄が多いと「志望度が低い」という印象を企業に与えてしまいかねません。自己分析や企業分析を行い、これまでにご紹介したポイントを参考にしながら、「趣味・特技」の欄を記入していきましょう。
「趣味・特技」こそ、自分らしさを伝えられる項目!
ESに書く趣味や特技は、人柄や適性を企業へアピールするための要素として役立つ場合があります。趣味や特技がないという人も、普段の生活や行動を振り返る中で、アピールできるポイントが見つかるはずです。
学業やサークル、アルバイトなどで忙しい時期に、納得のいく就活をするためにはどう動けば良いのか悩んだら「dodaキャンパス」の活用がおすすめです。
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