エントリーシートや履歴書、面接で問われることになる「自己PRや強み」。でも、特別な経験なんてしていないし、何をアピールすればいいのかわからない!
そこで、大学生に就活のアドバイスを行っているベネッセi-キャリアのキャリアアドバイザー孫田 博美さんに、自己PRのつくり方を聞いてみました。第1回は、学生がよく書きがちなNG例をご紹介。企業が自己PRで知りたいことを把握し、「勘違い自己アピール」を避けましょう。
プロフィール
ベネッセi-キャリア「doda新卒エージェント」キャリアアドバイザー。国家資格である米国CCE、Inc認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラーを取得。今までに1000人以上の大学生のカウンセリングを担当し、内定に導いている。
「自己PRをしてください」「あなたの強みを教えてください/長所を教えてください」「学生時代に力を入れたことはなんですか」「自分らしさが出るエピソードを教えてください」
孫田さん:就活中は、応募書類や面接試験で、上記のような問いを何度も受けることになります。企業はなぜ、繰り返しこの問いを投げかけるのでしょうか。一言で言えば「応募者が自社で活躍できる人間かどうか」を判断するためです。性格の傾向やポテンシャルを知り、企業が必要としている能力をどの程度有している人間なのかを見極めるために、「強み」や「長所」を語らせるのです。つまり、自己PRでは、その企業が求めているのはどういった人材かをしっかり把握し、自分がニーズにこたえる能力を備えていることを説明する姿勢が求められます。
以上を踏まえたうえで、大学生にありがちな「自己PRのNG例5つ」を見ていきましょう。ぜひ、読みながらどこがNGか、考えてみてください。
大学生にありがちな「自己PRのNG例5つ」
NG1 体験で得たこと、学んだことをアピールするだけになっている
NG2 すごい成果を書く
NG3 たくさんの強みをアピールする
NG4 企業に合わないエピソードを書く
NG5 やたらとプライベートすぎるエピソードを書く
NG1 体験で得たこと、学んだことをアピールするだけになっている
孫田さん:例えば、留学経験を題材に「さまざまな価値観を持つ人と仲良くなりました」など、その体験で学んだことを書く人がいますが、これはNGです。自分の成長をアピールするのはよさそうにも思えますが、なぜNGなのでしょうか。
それは、一時的な学びのアピールでは、ビジネスでどのように活躍できそうかイメージできないから。企業が知りたいのはその人の性格の傾向や思考のクセであり、どんな体験をして何を得たかという感想を知りたいわけではないのです。
上記のエピソードを使うとしたら、海外で人と仲良くなるためにどのように工夫したのかを詳しく書きましょう。必死に語学を勉強したのか、勇気を出して人に話しかけたのか、友だちの多い人と知り合いになり、人を紹介してもらったのかなど。課題解決までの過程に、あなたの強みが表れるのです。
NG2 すごい成果を書く
「大学時代は、ひたすらダンスサークルの練習に打ち込みました。個人で努力するだけでなくチームで勝ちにいくことにこだわった結果、全国大会に出場することができました」
孫田さん:このような自己PRの評価は、残念ながら決して高くはないでしょう。確かに全国大会への出場は貴重な経験ですが、上記だけでは、あなたが具体的にどのように努力をしたのかが見えてきません。
なぜ、個人の努力ではなくチームで勝ちたいと考えたのか。そして、具体的にどのような工夫をしたのか。この2点をしっかりと語るようにしましょう。 「すごい!」と言われるような経験をしていても、それほど努力をしていないのであれば、別のエピソードであなたの強みをアピールしたほうがいい場合もあります。よく、学生から「自己アピールは人と違うものでないとだめですか」「集団面接でほかの人とエピソードがかさなったらどうしたらいいですか」といった質問を受けますが、大学生がアピールするのは大学の学び、クラブ・サークル活動、アルバイト、海外経験が大多数なので、ネタ自体はほかの人と似てしまうのは避けられません。 しかし、そのなかで何をどのようにがんばったかは、人それぞれ違うはず。強みは、「だれにも負けない」というものでなくて全く問題ありません。些細なもので構わないので、あなたがどのように考え、行動したのかを説明しましょう。NG3 たくさんの強みをアピールする
孫田さん:「負けず嫌いで、粘り強い」「手先が器用で創造性も高い」など、いくつもの能力をアピールするのはNG。強みは一つに絞りましょう。
強みは多ければ多いほどいいように思われるかもしれませんが、一つに絞ったほうが、強みを裏づけるエピソードを詳しく語ることができます。
採用担当者に、「うちでこんなふうに活躍してくれそうだな」と思ってもらうためには、できるだけ具体的な例を示すことが大切。例えば、「サークル内の問題をこんなふうに解決した」というエピソードが具体的であればあるほど、「今、プロジェクト内で起きている問題に対して、こんなふうにアプローチしてくれそうだな」と想像してもらいやすくなるのです。
NG4 企業に合わないエピソードを書く
孫田さん:どんなに採用担当者に「性格が良さそう」「優秀だ」と思われたとしても、採用されない可能性があります。なぜなら、採用担当者が求めているのは、自社のビジネスで能力を発揮できる人間だから。その企業であまり重視されない能力・人間性をアピールしてもいい結果につながらないのです。
企業がどんな能力を求めているのかを知るためには、社員の声を聞くのがイチバン!しかし、ここで気をつけたいのは、企業が表向きに言っていることと、採用担当者の本音にはズレがあるかもしれない、という事実。
例えば、一般消費者向けのBtoCの事業を行う会社ではよく、「お客様のため」という言葉が使われることがあります。このため、自己PRでは接客のアルバイトを例に、「お客様目線」や「気づかい」「思いやり」をアピールする人がいます。ところが、その企業で働くためには、自社商品の売上を上げるために、取引先に何度も足を運んで自ら提案を行うような、達成意欲が必要となるかもしれません。
その企業で活躍している人はどういう人なのかをよく見て、強みを考えましょう。
NG5 やたらとプライベートすぎるエピソードを書く
私は、イベントを企画することが得意です。大学で出会って仲良くなった5人との遊びや旅行の計画は、いつも私が率先して立てています」
「人を説得することが得意です。大学受験の際、父には別の大学をすすめられたのですが、好きなことを学びたかったので、毎日父に思いを伝え、この大学への進学を了承してもらうことができました」
孫田さん:少数の友人や家族など、プライベートなネタはNGです。仕事は、社会との関わりのなかで成り立っているので、「外の世界とのつながり」を感じられるような、アルバイトや課外活動などのエピソードがいいでしょう。
孫田さん:以上、私がよく出合う「NG例」をご紹介しました。繰り返しになりますが、自己PRで企業が見ているのは、「自社でどう活躍してくれるか」という1点のみです。このポイントを押さえたうえで、次回以降は、実際にどのように強みを見つけ、自己PRをつくっていったらいいのかをお伝えします!
無料
- ▼ 自己分析に役立つ適性検査(GPS)
- ▼ 自己PR添削
関連記事