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変化する社会のキャリアデザイン ー社会の変化・社会で求められる力ー

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  • 2021.03.31

本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

これから私たちが生きていくのは予測不可能な社会です。それを「不安だ、怖い」と受け止めるのか、「変化する社会の中で自分らしくいきいきと生きたい」と受け止めるのか。受け止め方は、自分次第です。不安と感じるのは、情報が少なく、自分の判断や力に自信がないからかもしれません。でも、その気持ちこそが、自分に足りないものを埋めるために主体的に考え、行動する原動力になります。
今回のコラムでは、自ら考え行動するときの指針となるキャリアデザインの理論や、社会で生かせる力、身につけたいスキルについてみていきましょう。

キャリアデザインの理論

「キャリアデザイン」とは、仕事をはじめ、学びや生活、ライフステージの要素を組み合わせて、主体的に考え、設計することです。キャリアデザインには、専門家の間で研究されたさまざまな理論があります。中でも、大学生のうちから知っておきたい3つの理論を紹介します。

「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」

この理論のポイントは、「個人のキャリアは予想していなかった偶発的なことによって決定される」「偶発的なことを計画的に導くことでキャリアアップでき、それが人生の質を深める」という考えにあります。予期せぬ偶然の出来事をチャンスにするには、以下の5つのスキルが重要だとされています。
1.好奇心(新しい学びの機会を模索し、学び続ける)
2.持続性(失敗に負けずに努力をし続ける) 
3.柔軟性(自分のこだわりを捨て、姿勢や行動を変える)
4.楽観性(「自分は新しいチャンスを必ず生かせる!」と前向きにとらえる)
5.冒険心(結果が見えなくても、まずは行動を起こす)

大学生活の間でも「興味はなかったが、たまたま挑戦するチャンスに恵まれる」「希望していなかった分野に参加することになる」場面は必ずあるでしょう。その時「まずはやってみよう」とチャレンジし、自分でいろいろ考えて行動しようとした先に、思いがけない将来を変える気づきや出会いがあるものなのです。

「プロティアン・キャリア」

米国ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授の理論で、「変幻自在なキャリア」という意味です。「プロティアン」とは、ギリシャ神話に登場する、思いのままに姿を変えられる神プロテウスが語源です。変化が激しい現代では、ひとつのキャリアにこだわらず、環境が変わったら自分も変化するキャリア形成が重要です。
自らのキャリアを主体的に変形させていくために、「アイデンティティ」と「アダプタビリティ(適応能力)」の2つが軸とされています。これまでは組織の中での地位や給与が到達目標とされていました。ですが、これからの軸となる「アイデンティティ」は、個人の中で感じられる仕事の充実感を成功指標と捉えていきます。そこで「自分は何をしたいのか」「社会に対し何ができるのか」という自己への意味づけに重きを置いています。「アダプタビリティ(適応能力)」とは、「自分も挑戦してみたい」という前向きなチャレンジができる状態を指します。
変化に流されるのではなく、日々の仕事の中で新しいチャレンジをしながらキャリアを高めることができるという理論です。

The 100-Year Life「100年ライフ」

英国のロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)は、世界中で読まれています。テクノロジーが進化した人生100年時代の生き方について書かれた本です。これまでの人生は「教育→仕事→引退」という3つのステージで構成されていましたが、あなたが生きる時代はマルチステージとなります。一度の教育で終わりではなく、新たなスキルを獲得するために、何度も学ぶ必要があるのです。また、有形財産(貯蓄や財産)に加えて、無形資産(知識や仲間、健康、多様性に富んだネットワーク)が重要になると書かれています。
長い人生を自分らしく幸せに生きるために、無形資産の充実のために活動し続けることが重要です。

上記で紹介してきたように、キャリアデザインの理論は、将来の仕事にだけ役に立つわけではありません。学びや今後の人生を考える上でヒントがたくさん含まれています。

行動とリフレクションを組み合わせる

「計画的偶発性理論」では、個人のキャリアの8割は予想しない偶発的な出来事や偶然の出会いによってもたらされるとありました。だからこそ、そのような出来事を誘発するように行動していきたいものです。でも、誰もが新しいことに挑戦するとき、少しの勇気が出なかったり、新しい人と関係を築いていくことに躊躇したり、「授業だけで忙しいのに面倒くさい」と感じたりしがちです。そこを、あえて一歩を踏み出してみてやってみる。やってみたら、そこで感じた気持ちに素直になって、もう1回やってみる、やる場所を変えてみる、気づいたことを仲間とシェアする、と行動を続けていきます。そうすることで、行動が積み重なっていき、いつの間にか自分の意志で行動をしていることに気づくのです。
そのとき重要なのが「リフレクション」という習慣です。それは、自ら取り組みを振り返り、その結果やプロセスを分析し、次につながる学びや教訓を導く思考です。行動すると、必ず思い通りにならなかったことが出てきます。それを単に「失敗した」と片付けてしまうのは非常にもったいないことです。それは、経験したからこそわかった成果だからです。なぜ想定と違ったのか。目標設定がぶれていたのか、行動があっていなかったのか、自分自身の行動で変えたらよい内容はあったのか。そして、次はどうすればいいのか考え、できるだけ早く次の行動を起こします。これら一連のリフレクションのプロセスを取り入れることで、あなたの行動は学びの宝庫となり、成長のスピードを上げることができるのです。

興味関心の発見が、キャリアオーナーシップにつながる

将来やりたいことや就きたい仕事が決まっている人を見て、そうでない人は少し焦りを感じているかもしれません。「やりたい仕事を見つけるために大学に入った」という人もいるでしょう。でも、就活が始まると「自分にやれることはない」「向いている仕事が見つからない」と悩む方がいます。
そんなとき「私は社会で、このテーマに取り組みたい」という思いさえあれば、仕事選びの舵取りは自分ができます。自分らしい仕事を作り出すスタートは、大学1,2年生のうちに始まっているのです。

就活では、特別に秀でた能力や誰にも負けない素晴らしい経験が必要なわけではありません。それよりも、解決したいと思う社会課題に対して当事者意識を持ち、本気で取り組んでいること。理念や目的に共感でき、思いを同じくする仲間の一員に自分もなりたいと思える仕事を見つけること。そして、自身が大学時代に問題解決の力を磨いてきたことが重要です。

それは教室の中で真面目に先生の話を聞いているだけでは見つかりませんし、力もつきません。先生の話を聞いて、関心がある内容は自分でどんどん調べ考えること。ゼミなどを活用し興味の持てるテーマを自ら見つけに行くこと。社会に飛び込んで知らなかった知識を吸収し、新たな行動を起こしていくこと。異文化や多様性を楽しむこと。それらの経験があってこそ、自分が取り組みたいことは少しずつ形作られ、問題を解決するための力が磨かれていきます。これこそが、「自らのキャリアを主体的に考え、作っていく」キャリアオーナーシップのスタートとなるのです。

さて、ここまで社会の変化、そして、変化する社会の中でキャリアデザインをどう描いていけばよいかについて考えてきましたが、いかがでしたか。大切なのは視野を広く持ち、情報を集め、主体的に考え、行動するということです。「これまでそんなことを考えたことがないから、できるか不安だ」という声もよく聞きます。
大丈夫です。大学4年間は、自分で考え行動するためのトライ&エラーに最も適した時間であり、あなたの周囲には、実行に必要な環境やリソースも整っています。たくさん失敗できる、今から始めたらいいのです。失敗も成長・成功に必要不可欠な経験として積みあがります。恐れずチャレンジしていきましょう。

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