本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。
私たちを取り巻く社会は、今、大きく変わろうとしています。20年後はもちろん10年先を予測することも難しい状況です。これまでの常識やロールモデルだけを頼りに人生のキャリアを見通し、積み重ねることはますます難しくなっています。これまでの世代以上に自分たちの将来は、自分たちで作り出していく必要が出てきたのです。
これまでの常識やロールモデルが頼りにならない今、何を手掛かりに今後を考えればいいのでしょうか。必要なのは、自分の未来を考え行動を始めるための情報です。この記事では、「変化する社会を考える」ための入り口として2つのテーマを取り上げます。
1つ目はICT(※)の急速な進化、2つ目が少子化と平均寿命の延伸による超高齢社会です。そして、これらが皆さんの「学び」にどんな変化をもたらすと考えられるかをテーマに見ていくことにしましょう。
※ICTとは、Information and Communication Technologyの略語で、「情報通信機器の技術を通じた人々のやりとり」という意味で使われることが多いです。
ICT社会の現状
総務省の調査によると、日本では2018年の段階で、すでに情報通信機器のモバイル端末を95%以上の世帯で保有しており、そのうち約8割がスマートフォンを保有しているという結果が出ています。人々は、インターネットを中心としたネットワークを有した端末でつながり、世界中のさまざまな知識や体験などを気軽に共有できるようになりました。
ICTが普及する以前の世界では、自分の知らないことを知ったり、新しい技術を身につけたり、上達させたりすることにはさまざまな制約がありました。時間、場所、人とのつながりなどによる制約です。
ところが現在では、インターネットに接続したスマートフォンが一台あれば、ある分野に詳しい人の文章を読んだり、技術を紹介する動画を見たりできます。場合によってはその分野のトップランナーたちと直接やりとりできる環境すら整っています。これまで「必要な知識を探し、吸収し、体得する」ために費やした膨大な時間を、ICTの普及によって大きく短縮することが可能になったのです。ICTは、新しい知識や知恵などが人々へ波及するスピードを早めます。現在最新だと言われている知識でさえ、あっという間に古くなり、使えないものになってしまうこともあります。
ICTの普及は、私たちの生活はもちろん仕事の内容も変えていきます。そして技術は想像以上のスピードで進化し続けます。それは、今後社会に出る人にとって、生涯を通して次々と仕事の内容が変わっていくということを意味するのです。
進む超高齢社会の影響
日本を含む先進国と言われる国々において、大きな課題の一つが少子高齢化問題です。特に経済活動への影響は大きく、人口減少による国内市場の縮小と労働人口の減少は深刻になっています。国内市場が縮小するなか、今後は世界市場を視野に入れた事業展開の計画と実施が、多くの企業にとっても重要なミッションになるでしょう。
また、労働人口が減り、その負担を既存の労働者が穴埋めすることが必要になれば、長時間労働につながります。この負担増は、労働者の健康確保、ワークライフバランスの面で課題になります。
一方、日本の企業では長らく、「ひとつの会社に就職すれば、定年まで勤め上げる」ということを前提とした終身雇用制度を敷いてきました。
ところが、2019年、日本の大手企業で構成される日本経済団体連合会(経団連)の会長などが、「企業が『終身雇用制度』を継続するのは難しい」という趣旨の発言をしています。日本社会に対して、これまでの雇用のあり方や働き方が大きく変わることを示していると捉えられます。
終身雇用制度の崩壊は、少子高齢社会と密接に結びついています。終身雇用制度は年齢や勤続年数に応じて役職や賃金が上がっていく年功序列型の給与体系を取っており、若年層が減り年配者が多くなれば企業は生産活動の縮小を余儀なくされる一方で負担が大きくなるからです。
今後は、終身雇用制度を取らない、あるいは取ることができない企業が増えていくことでしょう。そんななか、これまでのやり方を見直し、労働力確保の面でも社会保障制度の維持という面でも、日本での雇用の考え方を変え、生涯働ける仕組みを整えるべき節目に来ているのです。
このような変化は急激に進んでいます。未だ家庭や学校でも「安定した企業に勤め定年まで働き続ける」ことを前提とした将来の話が出てくることがあるかもしれません。
しかし、今はそのようなキャリアのストーリーのほうが珍しい社会になりつつあります。進路選択の際に意見が衝突する場面もあるかもしれません。そんな時に自分で考え判断することを支えてくれるのが「学び」なのです。
働き方の変化が学びを変える
ICTの普及で変化する仕事内容、国内の市場の縮小や終身雇用制度の崩壊により、これまでの前提は変わりました。「会社から与えられた仕事を懸命にこなす」ことだけではなく「新たな価値を創造」していくことが求められる社会になりつつあるのです。
今後は、急激なスピードで移りゆく社会を渡り歩いていくために、自分自身で情報を収集し、考え、行動することが必要です。
これは、働き始めてからも自ら能力やスキルを磨き、新しく身につけていく必要があることを示しています。これまでは、会社が用意する研修や、先輩社員から現場でノウハウを教えてもらったりすることで学んできました。しかし、今後はそれだけでは不十分になるでしょう。担当している仕事以外の、その周辺についての知識やスキルの習得はもちろん、自分の将来を見据えた学びに自分で投資する必要があるのです。
「なんだか面倒くさいなあ」と思う人もいるかもしれません。しかしこれは、学びや働くことの自由度が高まってきているということを示しています。会社の状況に左右されるのではなく、自分で将来を決めていくという面では前向きにとらえることができます。
生涯にわたって、主体的に学ぶ
「学ぶこと」に年齢は関係ありません。「大人なのに」「今さら遅い」という概念はなくなりました。ベテラン社員であっても、積み上げてきたスキルが通用しなくなる可能性は十分にあります。皆、学ぶ必要があるのです。社会人の学びの場は、大学院や専門学校、ビジネススクールなどのほかに、民間企業が主催する最新事例を展開するようなセミナーなど多岐にわたります。また、オンラインであれば、国内外のセミナー、講座を受講することが可能です。日本だけではなく、海外の文化や潮流を知ることは大変有意義な機会になるでしょう。
とくにオンラインでの学びは、時間や場所の制約を受けません。ちょっと興味を持ったものから、しっかり学び技術を身につけたいものまでさまざまな分野の講座の受講が可能です。上手に活用できると、生涯にわたって自身の財産になるでしょう。大学生のうちにオンラインでの効果的な学び方を身につけておくことをお勧めします。
学ぶときのポイントは「主体性」です。大学から示されたカリキュラムがなぜそのようになっているかを考え、科目を選択する。先生が発信したことをインプットする一方通行の講義を受けるだけではなく、自分の意見をアウトプットしながら双方向のやりとりを行う。意見交換は自分の殻を破ることができるチャンスととらえる。こうした主体的な姿勢・行動が学びを確かなものにしていきます。
意見交換や議論の場では、思いもよらない発見に感動することもあるでしょう。意見の衝突から、今までとは違った見方を知るチャンスもあります。新しい発見は、いつの間にか一つの講義の枠に留まらず、他の分野への興味を引き起こし、分野間を横断して学ぶことにもつながっていきます。既成概念にとらわれず、主体的に自由な発想で学ぶことが、将来自らのキャリアを主体的に構築することにつながるのです。
以上、社会と学びの変化についてのイントロダクションでした。 ここからは、社会の変化を5つの切り口から考えていきたいと思います。
1.サステナブルな社会とは
2.人生100年時代と社会構造の変化 ー超少子高齢社会の影響ー
3.グローバル社会を生きる
4.テクノロジーの進化 ーSociety5.0の実現に向けてー
5.変化する社会のキャリアデザイン
無料
- ▼ 自己分析に役立つ適性検査(GPS)
- ▼ 自己PR添削
関連記事