留学経験を就活に活かすには、どうすればいいのでしょうか。留学経験は就活でアピールできる武器の一つですが、単に「留学をしました」というだけでは留学経験のアピールとしては不十分です。
今回は、留学経験が就活に与える影響と、留学経験の効果的なアピール方法をご紹介します。
採用担当者に響くアピール方法を理解して、留学経験という武器を十分に活かしましょう。
目次
留学経験は就活に有利?不利?
就活にプラスに作用する場合
留学経験は、面接でも学生時代の特別な経験としてアピールでき、また、採用担当者からチャレンジ精神や広い視野が評価されることもあるでしょう。実際、留学経験者を積極的に採用したいと考える企業もあります。
文部科学省が官民協働で実施している「トビタテ!留学JAPAN」が、2017年6月に企業の採用担当412名と大学生721名を対象に実施した「就職活動と留学に関する意識調査」によると、留学経験のある人材を積極的に採用したいと考える企業の採用担当は62.1%にのぼることがわかっています。
また、留学のための休学や留年について、採用時にマイナス評価しないと答えた企業は75.3%、留学経験が仕事で役立つと考える企業は80.4%となっています。さらに、「大学時代に留学は経験したほうがよいと思うか」という質問には、実に84.4%もの企業の採用担当者が「留学はしたほうがよい」と答えています。
これらのデータを見れば、留学経験自体は決して不利ではなく、むしろ強力なアピールポイントになり得ることがわかります。
就活にマイナスに作用する場合
一方、留学経験の就活へのマイナスな影響としては、留学の時期によっては、日本国内の就活期間とバッティングしてしまい、思うような結果がなかなか出ないということがあります。そのため、短期留学の場合、就活の時期と留学の時期が被らないようにできればベストだと言えます。
また、PRの方法を間違えると、せっかくの留学経験が評価されない恐れがあります。
たとえば、「留学したことでTOEICスコアが◯◯◯点になりました」「語学力が身に付いた」「日本との価値観や習慣の違いがわかった」といったアピール。
これでは、せっかくの留学経験で得た貴重な学びやスキルが企業に伝わりづらく、正しく評価されない可能性があります。
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留学経験の効果的なアピール方法とは?
就活で留学経験を効果的にアピールするために押さえるべきポイントについて、以下でわかりやすく解説します。
留学の明確な目的を語る
なぜ留学しようと思ったのか、留学で何を学ぼうと決意したのか、その理由は何か、留学するまでの準備における苦労や努力など、留学前の心情を伝えることが大切です。
留学しようと思った理由を語る際は、「自分の意思で留学を決意した」ことが伝わるかどうか、を意識するといいでしょう。「周りの友人も留学していたから」「在学期間中に一度は留学したほうがいいと聞いたから」といった受け身の理由は避けましょう。
「何事にも果敢に挑戦するチャレンジ精神を養いたかった」「◯◯のビジネスに関して、現地のリアルな実情を知りたかった」など、明確な目的と自ら留学を決めた姿勢が伝わるものが望ましいです。
例文
もともと外食産業、主にカフェに興味がありました。コーヒーチェーンでアルバイトをしていましたが、海外の外食産業に触れるには現地に行くことが一番良いと思ったので、アメリカに留学をすることに決めました。アメリカなら、さまざまな人種や民族が集まっているので、外食のバリエーションも多いのではないだろうかと考えました。
留学を通して成長したことを語る
留学する前の想像と現実に違いはあったか、留学先で努力したことや失敗したこと、失敗から何を学び、どのように克服したのか、といったことについて、実際の経験を交えて伝えます。
留学経験となると、語学力のアピールを思い浮かべる就活生も多いかもしれませんが、留学して現地の人々との交流の中で得た気付きや成長のアピールのほうがより重要です。TOEIC◯◯◯点といった定量的なアピールも悪くはありませんが、それは必ずしも留学をしなければ獲得できなかった結果ではありません。留学を経験しなければ得られなかったであろう気付きや成長を語ることがポイントで、それが他の就活生との大きな差別化になります。
例文
留学中、語学学校やフードビジネス関係の人々との関わりにおいては、文化や考え方の違いに困惑することもありました。それでも、相手の立場を尊重して理解に努めました。日本の文化や考え方を伝える努力も行い、お互いに歩み寄って良好な人間関係を築けたことは、大きな自信になりました。
留学で最終的に得たこと、今後それをどう活かすのかを語る
留学を終えて最終的に何を得たのか、という結果と、今後の仕事や人生での活かし方を語ることも忘れてはいけません。留学前と後で何が変わったか、どのような問題意識を持ち、何が課題として残ったか、またそれらを今後どのように活かしたいか、といった点を意欲的に伝えましょう。
- 広い視野で物事を捉えられるようになった
- 何事にも果敢に挑戦するチャレンジ精神が身に付いた
- 自分の意見をはっきりと伝えることができる力が身に付いた
例文
留学前に比べて、視野が広くなりました。フードビジネスの仕組みや最新の流行など、現地の人々と交流を持つ中で得られた気付きは、日本でアルバイトをしているだけでは決して得られなかったものだと思います。
その他、以下の質問も面接で聞かれることがあります。質問と例文を紹介します。
留学経験の中で、一番良かったことは何か?
例文)留学先の友人を通じて、カフェだけではなく現地のフードビジネスで何が流行しているのか、どんなお店の人気があるのかなどについて直接聞けたことです。また、友人を介して店舗を経営している人にインタビューできる機会も得られました。
留学中、印象に残ったエピソードは?
例文)カフェで使うオーガニック野菜の農家を見学させてもらいました。今、オーガニック食品が流行っているそうなのですが、その理由は体に良さそうだからというより、市場に出回る食品に信頼性がないためです。オーガニック食品は値段が高すぎると感じていましたが、手間のかかる栽培工程を実際にみているとその価格設定にも理由があるのだと感じました。
留学中、努力したことは?
例文)留学中、語学学校やフードビジネス関係の人々との関わりにおいては、文化や考え方の違いに困惑することもありました。それでも、相手の立場を尊重して理解に努めました。日本の文化や考え方を伝える努力も行い、お互いに歩み寄って良好な人間関係を築けたことは、大きな自信になりました。
留学経験者の自己PRの例文
例として、前述した要素を押さえた自己PR文を以下にご紹介します。実際の留学経験に合わせて表現を変えたり、構成の参考にしてみてください。
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【効果的な留学経験の自己PR例文】
私は英語が好きで、大学入学前から英検2級を取得するなど独学でも勉強を続けていましたが、同じ大学の留学生に話しかける勇気が持てず、おとなしく引っ込み思案な性格をコンプレックスに感じていました。
「海外の交換留学生のように、はっきりと自分の意見を主張できるようになりたい」との思いから、ロンドンへの留学を決意しました。
実際に現地へ行ってみると、周囲から日本のことについて質問されることも多く、うまく説明できずにはがゆい思いをしました。自分の国のことをちゃんと知ってもらいたいとの思いから、日本の文化や慣習に対する自分の意見をまとめて、クラスメイトにプレゼンテーションを行うことを繰り返しました。 具体的には、毎回テーマを一つ決めて、「どうすれば相手に納得してもらえるか」という視点で構成を考えていました。また、話し方や表情、身振り手振りといった表現方法も学び、説得力のある話し方の習得にも努めました。意見をわかりやすく、しかも英語で伝えるということは簡単なことではありませんでしたが、日本へ帰る頃には周りに納得してもらえる説明ができるようになりました。英語でわかりやすく伝えるという力だけでなく、自分の意見を持って、はっきり伝えることができる力も養われたと感じています。
今後は日本の文化や歴史も学びつつ、世界と日本の架け橋として活躍したいと考えています。
留学にまつわるQ&A
1ヶ月程度の短期留学でも自己PRとして使える?
1ヶ月程度の短期留学や語学研修でも、自己PRの材料として活用できる可能性はあります。は、留学期間に囚われず留学の目的意識や学びを伝えることが大切です。
「なぜ留学をしたのか」という明確な目的意識と、留学期間中に経験したさまざまな出来事を通した学びや成長、そして最終的に何を身に付け、それを今後どう活かそうと考えているのか。
留学経験者は、エントリーシートや面接で上記の内容を伝えることが大切です。留学期間が短くても、あるいは後述するワーキングホリデーであっても、目的意識と学び・成長の過程を具体的に語ることができれば、留学経験は就活において大きな武器になります。
ワーキングホリデーも自己PRに使える?
ワーキングホリデーは留学ではありませんが、海外滞在経験の一つとなり、自己PRに使える可能性があります。1年間の長期滞在が前提で、現地で働きながら言語や文化を学びます。
職歴にも記載することができ、職歴のスペースに一行間をあけて記載するのが一般的です。
ただし、ワーキング(労働)よりホリデー(休暇)のイメージを採用担当者が強く持っている可能性があるので、なぜワーキングホリデーに行ったのかという目的意識と、ワーキングホリデーの期間中に得た気づきや成長を語る必要があります。
「ワーキングホリデーとして、アメリカのレストランで1年間働いた」という自己PRでは、ワーキングホリデーの目的や学んだことが伝わりません。
これが「外食産業に興味があり、特に海外のレストランで働いてみたいと思ったので、ワーキングホリデーとしてアメリカのレストランで1年間働いた」ということであれば、その目的意識が評価され、「なんとなくワーキングホリデーに行っていたわけではなさそうだ」と納得してもらえるでしょう。
ワーキングホリデーを題材にした自己PRの例
私は外食産業に興味があり、日本のレストランやカフェなどで2年間アルバイトをしていました。働くうちに、新しいメニューの開発などもお手伝いさせていただけるようになりました。
レストランのメニューには海外から入って来たものも多く、最近では、海外のSNSで流行しているものも目にするようになりました。そこで、SNSで見るよりも現地で実際に流行しているメニューやフードビジネスについて知りたいと思ったので、ワーキングホリデーを活用しました。
ワーキングホリデー先には、さまざまな人種や民族が集まるアメリカを選び、レストランで1年間働き、働いて得た資金のほとんどを現地での調査のために使用しました。
具体的には、ファストフード店やファミリーレストランのような庶民派レストランから高級レストランまで足を運び、レストランを利用するお客様側の視点も多く体感しました。
結果、お客様側、レストラン側の両方から外食産業を体感することができ、アメリカの外食に対する考え方を学ぶことができました。
履歴書で短期留学は記載する?
語学研修・短期留学の場合は学歴とはみなされないので、履歴書の「自由記載欄」に以下のように記載します。
平成〜年〜月 米国○○学校 語学留学(〜カ月)
尚、正規留学は、学歴欄に以下のように記載します。
平成〜年〜月 米国○○大学留学(平成〜年〜月まで)
現地の学校を卒業した場合は、「平成〜年〜月 米国○○大学卒業」と忘れずに記載してください。
留学していたら、TOEICスコアは就活で重視される?
語学力を客観的にアピールする手段として有効なTOEICですが、それ以上に企業が知りたいのは、留学経験を通して得られた学びや成長のエピソードです。
また、どういった目的意識を持って留学を決めたのか、という視点も必要です。目的は達成できたのか、あるいは達成できなかったとしても、代わりに何を得たか、ということをわかりやすく具体的に説明できるようにしておきましょう。
尚、TOEICスコアをアピールする場合は勉強した目的と今後の活かし方をアピールするようにしましょう。
TOEICスコアをアピールする場合の例文
大学1年生のとき、交換留学で日本に来ていたアメリカ人学生と交流したことをきっかけに、自分も海外の文化を肌で感じた上で自らの意見を述べられるようになりたいと考え、留学を決意しました。数字で目に見える目標を設定することでモチベーションを維持したかったので、留学前には480点だったTOEICスコアを700点以上まで伸ばすと決めていました。
私は特にスピーキングが苦手で、思うように話せないことを課題に感じていました。自己主張が苦手な性格だったことも、要因の一つだったと思います。
そこで、苦手なスピーキングを克服するため、留学先のロサンゼルスでは授業後に毎日1時間、トルコ人とエジプト人の学生と3人でテーマを決めてディスカッションを行う時間を設けました。最初はなかなか議論に参加できず、歯がゆい思いをしていました。「この表現で合っているのだろうか?」といった不安から積極的に話せない日々が続きましたが、思いきって「文法的に間違ってもいいからとにかく話す」という意識に切り替えてみました。もちろん伝わらないことも多いのですが、彼らからのフィードバックを受けながら修正していくことで、徐々に私のスピーキング力は高まっていきました。このことは英語力や自己主張の能力を伸ばすと同時に、異文化への理解が深まる貴重な体験でした。留学終盤で受けたTOEICでは730点獲得することができ、目標をクリアすることができた上にその中でも苦手としていたスピーキングで最も高得点を得られたことは自信になりました。
この経験を活かし、貴社の○○分野での海外進出に貢献していきたいと思います。
留学をしたものの、正直TOEICのスコアにはあまり自信がない……という場合は、受検時期を伝え、スコアを継続的に伸ばす意向があることに触れましょう。
外資系企業や一般企業の海外事業部など、業務上すぐにビジネスレベルの英語力が必須とされる場合には、入社時点のスコアが大きな判断材料となりますが、英語力は社会人になってからも伸ばすことができます。英語に抵抗がなく積極的に取り組む姿勢を持つ人を採用したい企業も多くありますので、まずは今後も勉強を続けて英語力を伸ばす意思を伝えることが大切です。
まとめ
留学経験をアピールするときに大事なことは、留学をした動機(目的意識)と留学中で得た気付きや成長を具体的に伝えることです。これは留学経験に限らず、他のどのようなエピソードを語る際にも共通する、就活の鉄則だと言えます。 「留学していたから好印象になるはず」と油断せずに、あなたの目的意識や成長が伝わるアピール方法を意識しましょう。
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