就職活動の中で、エントリーシートや履歴書を準備するのが第一関門。そして、ほとんどのシートの中にあるのが“資格”の項目です。しかし、「資格の欄に書くものがないけど、大丈夫かな?」と不安に感じる就活生もいるのではないでしょうか。
一方で「資格なんかなくても内定はもらえる」、「資格をたくさん持っているのは逆に不利」なんて噂を耳にすると、「結局はどちらが本当なんだろう」と疑問に思うかもしれません。
そこで今回は、就活において資格はどのような役割を果たすのか、また本当に資格は就活を有利にするのかについて、アピールにつながる具体的な資格とともに紹介します。
資格取得は新卒採用でどう働く?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、新卒採用において資格・検定の所持を重要視する企業は、全体の20%に止まります。むしろ企業は資格・検定の所持よりも、人柄やコミュニケーション能力、責任感や一般常識を求めており、資格を取っておくことで就活が有利になるということはあまりないようです。
一般的に、資格の所持や業務経験が求められるのは中途採用であり、新卒採用では入社後にスキルを身につけ、成長するであろう「将来性」が重要視される傾向にあります。
とはいえ、資格習得は「自己アピール」につなげるエピソードとして活用できるメリットがあります。たとえば、「◯×の仕事を志望しており、資格を取得しています」というアピールは、入社後の具体的なイメージを持っている学生だとして、良い印象をあたえられるでしょう。また、志望業界と資格の内容が合致していれば、志望動機や自己PRに説得力を持たせることができます。
加えて、習得している資格が難しければ難しいほど、コツコツと勉強できる忍耐力や計画性があることをアピールすることもできます。結果として、新卒採用では、資格そのものというよりも資格習得までの過程や目的が就活でアピールできる強みになるといえるのです。
資格を取得するその前に…気をつけておきたい3つのこと
しかし、資格の習得はときにマイナスイメージにもつながってしまう可能性もあります。取得する前に、今一度注意点を押さえておきましょう。
1.「就活に有利だから」という考えで動かない
「履歴書に書くことがない」、「資格によって他の就活生と差をつけたい」といった理由から資格を習得するのは、避けたほうが無難です。
取得した資格を履歴書に書いた場合、面接官から「何故その資格を習得しようと思ったのか」と聞かれることがあるでしょう。しかし、そこでしっかりと理由を説明できなければ、「就活のために資格を取ろうとしている、一貫性のない学生」というマイナスイメージを持たれるかもしれません。だからこそ、「この資格はどんな仕事に役立てられるのか」、「どのようなきっかけから資格を得ようとしたのか」を固めたうえで、どういった資格を勉強するのかをあらかじめ考えておきましょう。
そして、資格は保持することではなく、活用して初めて意味が生まれます。たしかに習得したこと自体は紛れもない事実ですが、使わなければ習得までの勉強内容を含め忘れてしまうかもしれません。履歴書を埋めることはできても、いざ必要に迫られたときに「何も覚えていない」では、持っていないことと同じです。習得で終わりにしてしまうことのないよう、さらに高度な資格を目指し勉強を続けていきましょう。
また、福利厚生のひとつとして、資格取得のための支援制度をつくっている企業もあります。資格を取得し、スキルを身につけられると、給与も変わってくるもの。社会人になっても、積極的に資格の勉強を続けていきましょう。
2. 手当たり次第に資格を取得したり、アピールをしない
資格の中には、比較的短期間で取得できるものもあります。しかし手当たり次第に資格を習得してしまうと、志望業界や職種との整合性が取れなくなります。たとえば「教員免許」を取得した人がメーカーの営業を志望したとき、採用側には「どうして教育業界にいかないのか」という疑問が生じます。そこで明確な理由が説明できなければ、軸のない学生という印象を与えてしまうでしょう。習得した資格を志望する業界や職種でどのように活かせるのか、面接官を説得できるような形で説明することができるように志望動機を見直しておく必要があります。
また、資格をアピールの要素として使用する際、内容や結果によっては逆効果になることも忘れてはいけません。漢検や英検など、中高生のときに取得したままの資格や、企業が求めるレベルに至っていない点数の資格を闇雲に書いても、企業によっては悪い印象となります。もし資格を有していたとしても、企業が求める最低条件を満たしていなければ、努力が足りない人として見られるかもしれません。
いろいろな資格を持っている場合は、全てをエントリーシートの欄に書くのではなく、企業や業界にあわせて取捨選択してもいいでしょう。
3.資格習得に向けた計画性を持つ
資格習得のためには、当然ながら“時間”と“お金”が必要になります。就活までのスケジュールに沿って計画的に勉強を続けられるのであれば、「計画性」というアピールにもつながりますが、就活直前になって短期間でも習得できる資格を取っても、評価にはつながりません。
また、資格習得に気を取られ、その他の準備が疎かになってしまっては意味がありません。就活の中では、あくまでもメインとなるのは自己分析や適性検査の勉強、ESの作り込みや面接の練習。時間に余裕があり、負担にならないようにスケジュールを組みながら勉強を続けられるのであれば資格を習得する……という温度感で取り組むのが良いでしょう。授業やアルバイト、就活の両立を叶えるためのスケジュール管理のコツを押さえておくのも重要です。
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おすすめの資格と有利な業界・職種
続いて、具体的な資格とそれらが活かせる業界・職種を見てみましょう
TOEIC
ビジネスの場や日常会話、文章でのやりとりをもとにした、英語力を測るためのTOEIC。海外展開を検討している企業も年々増加しているため、自身の英語力をアピールする為には欠かせない資格です。実際に、外資系など一部の企業ではTOEICの受験が必須となっていたり、点数を参考に採用をおこなっているところもあります。TOEICにおいて優秀な成績を収める就活生は、どの企業からも魅力的な人材となるのです。
しかし、TOEICは受けるだけですぐにアピールにつながるものではありません。どれほど人柄が良く、将来性の感じられる就活生であっても、TOEICの点数が低ければそれだけで不採用になることも考えられます。一部では「最低でも600点が必要」と言われていますが、点数は高ければそれに越したことはありません。「最低ライン以上」ではなく、より高い点数を取ることができるよう、日頃から勉強する習慣をつけておきましょう。
TOEICは年に10回ほど、全国80都市で試験が実施されており、インターネットやコンビニの端末から受験申し込みができます。定期的に受験し、英語力のアップを目指すのがおすすめです。
自動車運転免許
学生時代の長期休暇を使い、自動車運転免許を取得した学生もいるでしょう。一時は自動車免許の取得が当たり前だったこともあり、「取得していないと就活に不利」といった噂が広く浸透していましたが、車離れが進んでいる現在では内定獲得を左右するほどの影響はないと言われています。
ただし、企業や業種によっては、応募条件として自動車免許の習得を必須としていることも。
たとえば自動車業界では言わずもがな、自動車に興味を持っている人が歓迎されます。いくら自動車が好きだったとしても、運転免許を持っていなければ説得力に欠けるでしょう。その他にも、営業であればルート営業をおこなうとき、不動産業界でも内見をするお客様を乗せ、物件まで送迎するときに車の運転をする必要が生じます。「仕事と関係ないし……」と記入しない学生も多いそうですが、
業務の中で車を使うことも多々ありますので、書いておいて損はありません。
応募時点で習得しているのであれば問題ありませんが、入社までに習得を見込んでいる学生は「現在、自動車学校で習得に向け講習を受けています」といった形で伝えましょう。
MOS
Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookといったマイクロソフト・オフィス製品の利用スキルを証明できるMOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)。一般の企業では文書の作成にはWord、プレゼンテーションの資料作成にはPowerPoint、見積書の作成にはExcelなど、オフィス製品を使うことが当たり前となってきています。
大学によってはITスキル習得のためにこれらのソフトの使い方を学ぶ機会を提供しているところもありますが、MOS資格の試験は一般企業における業務の流れに沿った形式で出題されるため、合格すれば実践的な業務にすぐ対応できる強みがあります。
また、MOSはマイクロソフトが公式に発表しているものでもあるため、世界中で通用する資格として活用できるでしょう。
秘書検定
公益財団法人実務技能検定協会が運営、実施している「秘書検定」(正式名称:秘書技能検定試験)は、社会人として必要なスキルが身につく検定として学生からも注目を集めています。
秘書検定では、基本的な職場常識として「上司が効率よく仕事をするための方法」を問われるほか、後輩へのアドバイスなど対応力が求められます。敬語や身だしなみのような、面接にも活かせる内容となっており、習得すればすぐに就活に役立つことでしょう。
準1級と1級では面接や実技もあり、上司や来客役の試験管に応対をおこなうなど、高い技術が求められます。マナーを身につけ、気配りのできる人は、どんな企業にも好印象を与えられるはず。3級の合格者は55%である一方、難易度の高い1級の合格者は22%と生半可は気持ちでは受からないことがうかがえます。1級取得を目指し、勉強してみてはいかがでしょうか。
今回紹介した4つ以外にも、簿記や宅建など多種多様な資格があります。一部の大学では、資格を取得すれば単位として認定される学校もあるようです。興味のある資格があるのなら、ぜひ一度取得を目指してみましょう。
有利にはたらく資格を得て、内定を目指そう
資格は、決して履歴書を埋めるためだけのものではありません。就活のためだけに習得を目指すのではなく、その後の業務内容をイメージできるような資格を取得し、志望動機や自己PRにより説得力を持たせることができるでしょう。
その為にも、まずは自分が何をやりたいのかを明確にし、どういったスキルが必要なのかを考えてみましょう。きっと何をすべきか道がみえてくるはずです。
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