面接評価のばらつきを防ぐ方法とは?面接評価シートの作成方法を解説
新卒採用の面接は、自社が求める人材の資質を見極めるために不可欠です。
しかし、面接で評価すべき項目が多岐に渡ることや、複数の担当者が面接を実施することで選考基準や評価にばらつきが生じやすいという課題があります。
担当者の価値観やフィーリングによって左右される部分も大きいため、「社内の選考基準を統一するのが難しい」と悩まれている方もいらっしゃるでしょう。
こうした問題を解消するために有効なのが、“面接評価シート”の活用です。
本記事では、面接評価シートにおける評価基準の重要性や、作成する際のポイントについて解説します。
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目次[非表示]
- 1.面接評価シートにおける評価基準の重要性
- 2.面接評価シートで社内の評価基準を明確にするメリット
- 3.面接評価シートを活用することで生じるデメリット
- 4.面接評価シートの作成方法
- 4.1.1.求める人物像を設定する
- 4.2.2.評価項目と評価基準を設定する
- 4.3.3.評価の優先順位を決める
- 5.面接時の評価の仕方
- 6.面接評価シート作成の注意点
- 6.1.面接評価シートの項目は必要最低限にする
- 6.2.中途採用向けの面接評価シートを使わない
- 6.3.評価項目の評価基準は詳細に言語化
- 7.新卒採用だからこそ精度を上げるべきポイント
- 7.1.学生の性格や価値観を重視する
- 7.2. 段階評価ができない場合は、判断基準を言語化する
- 7.3.面接評価シートは運営しながらアップデートが必要
- 8.まとめ
面接評価シートにおける評価基準の重要性
面接評価シートとは、採用面接の選考基準となる評価項目を明確化したチェックシートのことです。
新卒採用の面接では、組織規模が大きくなるほどさまざまな担当者が採用活動に関わるため、学生に対する評価にばらつきが生じる場合もあります。複数の担当者で合否を決定する際、各担当者が同じ目線で学生を見極めることは簡単なことではありません。
また、面接担当者によっては、学生の人柄や人間性から見たフィーリングによって内定を決める場合があります。たとえその学生が優れていたとしても、「どこを見てそう判断したのか」「何が良いと評価したのか」が明確化されていなければ、今後の採用活動に生かせないという課題も出てきます。
このような、「面接担当者によって評価の視点が異なる」「採用した人材の評価基準を振り返ることができない」という問題を解消するためには、面接評価シートの評価基準を適正に設定することが有効です。
面接評価シートで社内の評価基準を明確にするメリット
新卒採用で面接評価シートを活用するとき、社内の評価基準を明確に設定しておくことで、以下のようなメリットが得られます。
● 面接内容や評価のばらつきを解消できる
● 合否のエビデンスを残して、今後の採用活動に生かせる
● シートの内容を社内で共有し、効率的かつ適切な評価を下せる
● 学生への“質問忘れ”を防げる
具体的かつ客観的な評価基準や項目を設けることで、面接担当者による評価のばらつきを解消できるほか、複数の担当者と情報を共有できるため、学生の資質をより正確に判断できるようになります。
「なぜ優秀な人材を獲得できたか」「なぜ採用に失敗したか」といった採用の振り返りも可能になるため、面接の精度と質の向上にもつながるでしょう。
面接官の価値観や勘に頼る採用にならないようにするためにも、面接評価シートの評価基準は社内で十分に検討して、明確化しておくことが大切です。
面接評価シートを活用することで生じるデメリット
面接評価シートの採用に際して、以下のようなデメリットが生じる可能性を頭に入れておきましょう。
1. 作成・運用に手間がかかる
2. 点数をつけることが目的になる
3. あいまいなシートを作ると評価が主観的になる
4. 評価シートを活用しきれない
面接評価シートの作成には、評価項目の設定などに一定の時間を要するほか、その適切な使用法を社内で共有しなければなりません。ただし、こうした手間や労力は、面接評価シートを最大限に活用するには欠かせないプロセスです。
また、評価項目のボリュームがあまりに多いと、面接官が項目チェックにとらわれ、採点自体が目的化してしまうリスクがあります。逆に、評価基準が抽象的すぎると、面接官による評価の客観性が失われる可能性も出てきます。例えば、コミュニケーション能力という評価項目があるとして、これだけでは何をもって優劣を判断すべきか、評価のばらつきは避けられません。各評価要素をなるべく言語化して、社内で判断基準を擦り合わせておく必要があります。
面接評価シートの作成方法
続いて、新卒採用に有用な面接評価シートの作り方を紹介します。面接評価シートは、主に3つのステップに分けて作成します。
1. 求める人物像を設定する
2. 評価項目と評価基準を設定する
3. 評価の優先順位・点数をつける
以下では、各ステップを詳しく紹介します。
1.求める人物像を設定する
面接評価のためにはまず、企業が求める人物像を明確化します。優先する理由は、この採用ターゲットを反映して、次のステップで適切な評価項目や評価基準を設定できるからです。企業にマッチした人物像を定めるには、以下のような作業プロセスが欠かせません。
● 経営者や人事、現場の意見を集約する
● 過去に採用した学生の実績に基づいて、各部署の意向や要望を確認する
● 入社後に活躍している社員の特徴や経歴を洗い出す
人物像は1パターンに絞る必要はなく、経営者と現場の双方の声を活かして、より具体的な人材イメージを確定しましょう。留意点としては、あまりに求める人物像のハードルを高くし過ぎると、人材確保自体が難しくなる可能性があります。過去の採用実績を照合し、妥協点も含めて整理することが大切です。
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2.評価項目と評価基準を設定する
次に、自社にマッチした人材採用につながる評価項目や質問内容を検討しましょう。採用時の一般的な評価項目として、コミュニケーション能力・協調性・忍耐力・傾聴力・論理的思考力などが挙げられます。そして、求める人物像を正しく反映した評価基準の設定も重要です。
たとえば、コミュニケーション能力について判断する際には、以下のような項目があります。
● 面接での受け答えがはっきりしているか
● 相手に伝わりやすい話し方ができているか
● 表情豊かに話ができているか
● グループワークで周囲の学生と積極的に会話ができているか
こうした項目にそれぞれ客観的な評価基準を設けることで、面接官による評価のぶれを抑え、自社のニーズにかなった人材採用を実現できるでしょう。
3.評価の優先順位を決める
あらかじめ、評価の優先順位を決めておくことも重要なポイントです。選考時は、採用候補者の合計点が拮抗したり、面接官ごとに点数が分散したりするケースも想定されます。その際、面接評価のなかで優先項目を決めておけば、一貫性のある判断に基づき、採用選考を効率良く進められるでしょう。複数の面接官が交代で担当する場合でも、合否判断のぶれを最小限に抑えられます。
面接時の評価の仕方
面接時の評価方法としては、「加点方式・減点方式」と「段階評価」の2パターンが主流です。どちらを採用するかは、選考段階や会社ごとの評価方針によって異なりますが、いずれも面接官がその仕組みをよく理解して採点することが求められます。
加点方式と減点方式
大まかに同種類の採点法と捉えられる加点方式と減点方式ですが、両者には以下のような対照的な特色があります。
● 加点方式は、0点を起点に順次得点を加算する方法
● 減点方式は、満点(100点)を起点に順次減点する方法
採点の仕組み上、加点方式の場合は「強み」に意識が向きやすく、減点方式の場合は「欠点」に意識が向きやすくなります。いずれも「満点の状態はどのような人材なのか」を研修を通じて全面接官にシェアすることが大切です。また、あまり加点しないシビアなタイプなど各々のバイアスを考慮し、加点・減点時の明確な基準を定める必要があります。
段階評価
段階評価は、数字やアルファベット、「良い」「普通」「悪い」による段階評価(3段階か5段階が主流)を項目ごとに選択する採点方法です。「最高評価が一定回数を超えると合格」など、会社独自の条件設定によって汎用性も高まります。
ただし、この段階評価は、中間の評価を多く選ぶ傾向が出やすく、場合によっては人材の差別化が難しくなってしまいます。なるべく各面接官がはっきりした評価を心掛けるよう、事前研修で採点時の共通認識を浸透させることが大切です。
面接評価シート作成の注意点
面接評価シートをより効果的に活用するためにも、シート作成時に注意してほしいポイントがあります。特に重要な3項目を紹介していきます。
面接評価シートの項目は必要最低限にする
面接評価シートに記載する評価項目は、必要最低限にとどめましょう。なぜなら、項目チェックばかりに面接官が気を取られていると、肝心の人材の見極めにも支障が生じるからです。面接評価シートは、あくまで有意義な面接を行うための補助ツールと捉え、人材との対話時間も十分に確保することが推奨されます。
中途採用向けの面接評価シートを使わない
新卒採用と中途採用では、双方に求められる資質やスキルは同一とは言えません。実際、中途採用は経験が重視されがちですが、新卒採用の場合は、より潜在的な伸びしろが評価される傾向にあります。そこで、採用時の面接評価シートも、新卒と中途では評価項目が異なるものを使い分ける必要があります。
評価項目の評価基準は詳細に言語化
面接の精度を上げるためには、評価項目の評価基準を詳細に言語化することも大切です。例えば、「協調性」という項目について、面接官の1人ひとりがイメージする「協調性のある人物像」には一定のずれが生じるおそれがあります。しかし、言語化により面接官の共通認識を形成することで、人材評価の客観性と公平性を高い水準で実現できるようになります。
新卒採用だからこそ精度を上げるべきポイント
新卒採用は、学生にまだ職歴がない状態です。そのため、面接では、現時点でのスキルや能力だけで判断するのではなく、“将来性があるかどうか”を見極めることが重要となります。
新卒採用における面接評価シートの精度を高めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。
学生の性格や価値観を重視する
新卒採用で重要な要素となるのが、その学生の性格や価値観といえます。学生の持つ資格やスキルは、入社後の研修や教育によっても向上できる一方で、性格や価値観は、生まれ持ったものやこれまでの経験によって形成され、入社後に変えることが難しいと考えられているためです。
したがって評価項目を決定する際は、学生の性格や価値観を評価できる内容に重点をおくことがポイントです。
たとえば、新たな商品・サービスの企画や開発を担う人物を求める場合は、以下のような評価基準が挙げられます。
● 多角的な視点から物事を捉えられるか
● 人とは異なる観点を持っているか
● 失敗を恐れないチャレンジ精神があるか
また、自社商品やサービスをお客さまに販売する人物を求める場合は、以下のような評価基準が挙げられます。
● 相手の懐に入りやすい穏やかな人柄か
● 話の順序を工夫して分かりやすく伝えられるか
● 意欲的に自社のリサーチを十分に行っているか
社風や仕事内容に応じて重視すべき性格や価値観を設定することで、自社に合った人材を見極め入社後に即戦力となる人材や、長期的に活躍してくれる将来性のある人材の獲得につなげることができます。
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段階評価ができない場合は、判断基準を言語化する
評価項目には、身だしなみのように5段階評価で判断できるものもあれば、表情や性格のように段階評価ができないものもあります。
単に「印象が良かったから」と合格を出すケースもありますが、今後の採用活動に生かすためには「なぜ良いと思ったのか」を言語化して評価することがポイントです。
たとえば、
● テキパキと話して愛想が良かった→コミュニケーション能力が高い
● 論理的に話を進めてくれて分かりやすかった→ロジカルに考えられる能力がある
● 自己PRで自分の強みをしっかり掘り下げていた→客観的な視野を持つことに長けている
など、印象を言語化して評価することで、その学生の能力や人間性を見極めやすくなります。これらの情報をメモできるように、面接評価シートには、面接担当者が記述できる記載欄を設けておくとよいでしょう。
面接評価シートは運営しながらアップデートが必要
面接評価シートは、一度作成して終わりではありません。事前に人物像を設定して綿密に評価項目を考えた場合でも、採用後に「思ったような良い人材ではなかった」と採用に失敗するケースもあります。
また、面接評価シートを用いた場合でも、項目の明確性に欠けていることが原因で面接担当者の評価が統一できず、失敗してしまうというケースも考えられます。
これらのような場合、「なぜ失敗したのか」を振り返り、採用活動を進めるなかで評価方法や項目を更新・改善していくことが大切です。
評価項目を見直したり、項目をさらに細分化したりするなど、採用活動のなかで評価方法をアップデートしていくことで、面接評価シートの精度向上につながります。
また、人によって受け取り方が変わる評価項目(性格や価値観など)については、どのような人が当てはまるのか、人物例や特徴を挙げておくのも有効です。面接担当者による評価の統一化を図るために、面接の研修・教育も視野に入れましょう。
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まとめ
面接評価シートは、自社が求める人物像と学生がマッチしているか見極めるために有効です。評価項目や基準を明確化することで、面接担当者による評価のばらつきを防ぎ、一貫性のある選考を可能にします。
面接評価シートを作成する際は、まず自社の求める人物像を明確にしたうえで、経営者や人事担当者、現場の意見を取り入れながら評価項目を決定しましょう。
評価項目は、履歴書やエントリーシートを見れば分かる内容ではなく、性格や価値観を重視するのがポイントです。また、「採用に失敗した」「実効性に欠けていた」などと感じた場合は、失敗の原因を振り返り、面接評価シートの項目や基準をアップデートし、同じ失敗を繰り返さないようにすることが求められます。
自社にとって将来性のある学生を採用できるよう、面接評価シートを活用して採用活動を成功させましょう。
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