新卒採用の面接で学生を見抜く質問とは?面接官の役割や注意点も解説
新卒採用は、複数の学生との面接を短期間で行い、初対面でその人の資質を見極める必要があります。
しかし、学生が持つ能力やスキルをエントリーシートから知ることはできても、性格や価値観といったパーソナリティを見極めることは容易ではありません。
特に性格や価値観などは入社後の教育・研修などで変えることが難しい要素です。また、そういった面は目に見えない要素だからこそ、面接で“その人物の特性を引き出す質問”をすることが重要になってきます。
本記事では、新卒採用の面接で学生のパーソナリティを見抜くための効果的な質問例を解説します。
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目次[非表示]
- 1.新卒採用面接における面接官の2つの役割
- 2.新卒採用面接の流れ
- 2.1.アイスブレイク
- 2.2.面接官の自己紹介、会社の説明
- 2.3.履歴書、経歴書にもとづいたキャリアに関する質問
- 2.4.学生から面接官への質問(逆質問)
- 2.5.今後の選考の流れや連絡事項を伝える
- 3.新卒採用面接で学生の本質を見抜く質問集
- 3.1.仕事に対する意識・価値観を聞き出す
- 3.1.1.効果的な質問例
- 3.2.自己理解力の深さを把握する
- 3.2.1.効果的な質問例
- 3.3.計画性・チームワーク力を測る
- 3.3.1.効果的な質問例
- 3.4.成長意欲の有無・高さを測る
- 3.4.1.効果的な質問例
- 3.5.思考パターン・ストレスへの耐性を把握する
- 3.5.1.効果的な質問例
- 4.オンラインで採用面接を実施する際の注意点
- 4.1.相手に聞き取れるように話す
- 4.2.会社の雰囲気を積極的に伝える
- 5.回答の良し悪しではなく、その人の本質を見ることが大切
- 6.まとめ
新卒採用面接における面接官の2つの役割
新卒採用において「本当に採りたい人材」と出会うことは容易ではありません。新卒採用を行う面接官は、まずこの大前提を理解しておきましょう。また、ひと昔前は中堅と大手企業のみが行う採用手法でしたが、昨今は中小企業も混在しており、人材の獲得戦と言えます。
文科省による「大学入学者数の推移」によると、ここ数年横ばいだった18歳人口数も、2040年には約30万人ほど減少すると予測されており、今後も激戦が予想されています。
この大前提をふまえ、新卒採用において面接官が担うべき役割は下記2点です。
<新卒採用における面接官の2つの役割> 1.こだわり過ぎず「選ぶ」 |
詳しくご説明いたします。
1. こだわり過ぎず「選ぶ」
新卒採用だけでなく、「長年この採用基準で採用してきたから…」という理由で、採用条件に対して頑なになってしまうケースもあります。細かいマッチング条件にこだわり過ぎてしまうと、良い人材を逃すことにもなりかねません。
ぜひ、専門家の意見を柔軟に聞き入れながら、まずは現在の採用条件が自社にとって本当に必要な条件なのか考えていただきたいと思います。また、その上で決められた時間軸の中でしっかり選ぶことを意識して、学生の情報を引き出していただければ幸いです。
2. 学生から「嫌われない」
1.の「選ぶ」に相反するようですが、会社の顔として学生から見られているという意識を持つことは重要なポイントです。最近は、口コミサイトやSNSを通してすぐに実態はばれてしまうもの。ぜひ、採用することだけでなく「選ばれる」ということも意識しましょう。
<学生に嫌われる例>
・無表情で話を聞いているのか分からない
・ため口で話してきた
・横柄な態度で上から目線だった
・提出書類への理解が薄い
・質問に対して回答が返ってこない(QとAがずれている)
これらはあくまで一例ですが、実際に学生から聞いた声です。自社の魅力を伝え、ぜひ選ばれる企業になれるよう参考になさってください。
新卒採用面接の流れ
個人や集団といった面接の形態にもよりますが、新卒採用の一般的な面接の流れをご紹介します。
アイスブレイク
まずは、面接の冒頭で、学生の緊張をほぐすためにアイスブレイクという雑談を行います。人は、最初と最後の記憶が残りやすいといわれていることから、面接時の最初に応募書の緊張をほぐすことが、会社に対して良い印象を持つことにつながるといわれています。
アイスブレイクでは、天気に関する話題など、受け答えがしやすく、面接と無関係な質問をしましょう。
面接官の自己紹介、会社の説明
面接官の名前や役職、担当業務などを紹介したら、会社の説明を行います。会社の沿革や事業内容、募集の背景、募集する業務の内容などを伝えましょう。
会社の基本的な情報は、ホームページなどに記載されていますが、面接時にきちんと説明することで、学生とのミスマッチを防ぐことにつながります。
履歴書、経歴書にもとづいたキャリアに関する質問
次に、学生の履歴書やESに関する質問をします。形式どおりの質問に終始するのではなく、応募者との会話を深堀りすることを意識しましょう。
自社が求める人材かどうかを見極める重要な場面です。応募者との会話を通じて、履歴書やESのデータではわからない業務の適性を把握する必要があります。
学生から面接官への質問(逆質問)
面接官からの質問を終えたら、学生から逆質問があるかどうかを聞きましょう。自社に対する関心の高さや意欲、仕事に対する価値感が表れる部分です。
学生の疑問にきちんと答え、不安を払拭することができれば、学生の会社への志望度を向上させることができます。
今後の選考の流れや連絡事項を伝える
面接官と応募者の双方の質問を終えたら、最後に今後の選考の流れや事務的な連絡事項の確認をします。おもに、合否連絡の予定日や連絡方法について伝えます。
事務連絡をしたら、応募者を見送りましょう。面接の最後まで丁寧に対応することで、学生に良い会社だと印象づけることができます。
新卒採用面接で学生の本質を見抜く質問集
新卒採用者とのミスマッチを軽減するためにも、新卒採用面接の際に学生の本音を聞きだし、適性を見極めることが大切です。ここでは、面接時に学生の本質を見抜くポイントと具体的な質問例をご紹介します。
仕事に対する意識・価値観を聞き出す
仕事に対する意識や価値観は、仕事をするうえで根底となる重要な要素です。そのため、新卒の採用面接でも、自社にマッチする人材かどうかを見極めるために、学生の仕事に対する意識や価値観などを確認することが大切です。
「自社に入って何をしたいのか」
「将来的にはどのようなキャリアパスを望んでいるのか」
などを知っておくことで、学生の志向が自社に合っているかを確かめることができます。仕事に対する意識や価値観を知ることは、採用・入社後のミスマッチや早期退職を防ぐ役割もあります。
効果的な質問例
仕事に対する意識や価値観を聞き出したいときは、以下のような質問が効果的です。
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志望動機などの基本的な内容はもちろん、自社の印象やイメージについて質問することで、学生が持つ期待や目標と、実際の働き方や社風とのギャップを把握できます。
そのほか、入社したくないと思う会社の特徴を確認することで、応募者が入社を決定する判断基準を知ることができるでしょう。
さらに、気になる最近のニュースを聞き出すことで、応募者の社会に対する関心の高さや志向を知ることができます。
また、質問に対する回答だけでなく「なぜそう思うのか」といった理由まで掘り下げるのがポイントです。
自己理解力の深さを把握する
学生は、新卒採用面接に向けて自己分析をし、自己理解力を深めることで自身をアピールします。そのため、採用面接では、学生の自己理解力の深さを把握することで、自社が求める人物像にマッチするかどうかを判断することが可能です。
そもそも自己理解力とは、自分の長所や短所、得意不得意、他者からの評価などを客観的に理解する能力のことです。
自己理解力が高い学生は、自分以外の事柄も客観的に判断する力や、自分の弱みを克服し、強みを生かそうとする自己成長能力が備わっています。
きちんと自己分析ができているか、周囲からどのように評価されているのかを把握できているかなど、自己理解の深さを測ることで、学生の「自己成長につなげる能力」の有無を見極めることが可能です。
また、自己理解ができているかどうかを見極めることは、そのほかの主張(志望動機や強みなど)に一貫性があるかの判断材料にもなります。
効果的な質問例
自己理解力を見極めたいときは、以下のような質問が効果的です。
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列挙した質問を通して、客観的な視点から自己分析ができているかどうかを把握できます。
なお、これらの内容に対する回答が、エントリーシートや志望動機の内容と一貫性がない学生や具体的な根拠を示すことができない学生は、自己理解力が不足している可能性があります。また、学生が述べた短所については欠点として評価するのではなく、「短所にどう向き合っているのか?」「克服に向けてどのように取り組んでいるか?」というプロセスや姿勢を知ることが大切です。短所への対応を知ることで、課題に直面したときの学生の行動を分析できます。
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さらに、上記のように学生が事前に想定しにくい質問も交えることで、想定外の質問に対してどのように回答するのか、対応力を見ることもできます。
計画性・チームワーク力を測る
業務を進めるにあたって不可欠なのが、計画性や協調性です。
計画性のある人は、業務に優先順位を立て、効率的に作業を進めることができます。また、業務遂行のなかで起こり得るリスクを把握し、事前にトラブルに備えて行動できるため、仕事のリスク管理としてもプラスに働くでしょう。
「起こり得るリスクを見通したうえで計画を立てられるか」
「計画通りに物事が進まない場合に軌道修正できるか」
などを測る質問を投げかけることで、効率よく業務を遂行できるかどうかを見極められます。
また、チームワークを求められる業務の場合は、協調性やリーダーシップを持っているかどうかの見極めも必要です。仕事の現場では、周囲の人とただ仲良くするのではなく、考え方や仕事上の立場を超えて、業務を円滑に遂行していく力が求められます。
「人間関係を維持しつつ、円滑なコミュニケーションが取れるか」
「自分の成果のみならず、全体の成果を意識して業務を遂行できるか」
あくまでも、周囲と連携して物事を進める力があるかどうかを見極めることが大切です。
効果的な質問例
計画性や協調性を測りたいときには、以下のような質問が効果的です。
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計画性の有無を判断するときは、計画そのものよりも、計画前後の対応を聞くことがポイントです。先を見通さず、希望だけで立てた計画は十分とはいえないため注意しましょう。
また、「リスク管理ができているか」「問題が起きたときの代替案を用意しているか」などを聞き出すことで、慎重性や柔軟性を見極められます。
さらに、チームワークを重視して達成した経験を深堀りすることで、チーム内での立ち回りや、貢献度を把握できます。
集団行動でどのような振る舞いをするのか、どのような人柄なのかを深く理解することで、社内の人材との相性を想像できるため、入社後の配属にも役立ちます。
成長意欲の有無・高さを測る
成長意欲とは、課題や目標に対して向上心を持って取り組む姿勢のことをいいます。成長意欲のある学生は、常に自身の能力・スキル向上に積極的に取り組むため、入社後も成長が早いのが特徴です。また、チャレンジ精神を持ち、“目標志向性”のある行動ができるため、高いパフォーマンスが期待できます。
面接では、
「何をモチベーションにしているのか」
「目標に対してどのように結果に結び付けるのか」
という点を質問しましょう。
また、主体的に業務に取り組むことができるかどうかを図るためには、
「日頃から継続して取り組んでいることはあるのか」
といった点を質問する方法もあります。内容や頻度、期間などもあわせて確認しましょう。
質問を通じて成長意欲の高さを測ることで、多様な面からその人の人間特性を引き出せるようになります。
効果的な質問例
成長意欲の高さを見極めるときは、以下のような質問が効果的です。
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自己成長のモチベーションとなる要素や、努力する動機、興味関心の対象を引き出すことで、成長意欲の高さを測れます。新しい情報をキャッチアップしたり継続して勉強したりしている人は、達成意欲が高い、努力家、粘り強い、といった資質を評価できます。
また、失敗経験から何を学び、どのように行動したのかを聞くことで、成長への意欲の高さを把握することが可能です。そして、失敗経験を経て、「どのような努力をしたか」「達成して(失敗して)どう感じたか」など、具体的な行動や心理まで探っていくと、その人の性格をより理解できるようになります。
思考パターン・ストレスへの耐性を把握する
仕事をしていると業務に対するプレッシャーや周囲からの評価、新しい環境への適応、上司や同僚との人間関係など、さまざまなストレスを抱えることになります。
そのようなときでも、向上心を持ち続けて長期的に働いてもらうためには、面接の際に「苦手なことにどう対処していくか」「どのようにモチベーションを維持するか」など、困難にぶつかったときの対処法や思考パターン、ストレスへの耐性を確認することが不可欠です。
面接では、
「ストレスに強い・弱い」
「ポジティブ思考・ネガティブ思考」
などを判断できる質問を投げかけましょう。
困難に対応する力があるか、ストレスのかかる状況下でも柔軟な考え方ができるかを見極めることで、向上心や挑戦心を持って仕事に取り組める人材かどうかを判断できます。
効果的な質問例
思考パターンやストレス耐性を見極めるためには、以下のような質問が効果的です。
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ストレスを感じるシチュエーションやその対処法を聞き出すことで、「忍耐力があるか」「与えられたことをやり抜く力があるか」「タフな精神力を持っているか」などを見極めることができます。
ただし、学生のなかには、自分の性格面について話すのを躊躇してしまう人もいるでしょう。そのため、「失敗したとき、気持ちの切り替えが早いほうだと思いますか?」というようなYes・Noで答えられる質問にすると、本音を引き出しやすくなります。
オンラインで採用面接を実施する際の注意点
近時、新卒採用面接をオンラインで実施する企業が増えています。手軽に実施できる反面、注意すべきポイントもあります。
ここでは、オンラインの採用面接時の注意点をご紹介します。
相手に聞き取れるように話す
オンラインの採用面接では、対面と比べて、映像の乱れやタイムラグ発生のリスクがあるため、双方の発言に齟齬が生じ、意図が伝わりにくいケースがあります。
誤解を生まないように、きちんと相手に聞き取れるように丁寧に話すことを心がけましょう。また、言葉だけに頼らず表情や身振り手振りなどを用いることも大切です。
会社の雰囲気を積極的に伝える
オンラインの場合、対面と異なり、学生に会場へ直接足を運んでもらうことができないため、会社の雰囲気を伝えにくい側面があります。自社に適する人材を選ぶためにも、動画や画像を取り入れた資料を配布するなど、会社の魅力を視覚的に伝えることが大切です。
回答の良し悪しではなく、その人の本質を見ることが大切
新卒採用の面接では、学生に質問を投げかけたとき、求める回答が得られないケースもあります。
短所や課題などのネガティブな回答によって、自社との相性に疑問を感じることもあるでしょう。
しかし、面接の本来の目的は、“自社にマッチする学生を見抜くこと”です。「この回答であれば合格・不合格」という正解はなく、短所や課題を聞き出すのは、あくまで“学生の価値観や人間性を知るため”ということを心得ておかなければなりません。
たとえ、模範的な回答が得られた場合であっても、その学生が面接の際に性格を偽っていたり誇張した表現をしたりしていたのであれば、採用後に思うような成長が見込めなかったり、早期離職につながったりするリスクもあります。
このような事態を防ぐためにも、質問の意味をあらためて確認し、その答えが本心かどうか、回答に一貫性があるかなどを見極めることが重要です。
面接では学生の欠点を探したり、揚げ足を取ったりするのではなく、企業の成長に不可欠な財産となる可能性があることを意識して、一人ひとりの良さや秘めた能力を引き出すような質問を心がけましょう。
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まとめ
新卒採用の面接では、履歴書やエントリーシートだけでは把握できない、学生の人間としての特性や資質を引き出すことが重要です。
仕事への価値観をはじめ、自己理解力・計画性・成長意欲・ストレス耐性などは、面接で特に取り入れるべき質問といえるでしょう。
面接の際は、学生が回答した言葉の表面だけを捉えるのではなく、「なぜそう感じたのか」「なぜそうしたのか」という具体的な理由まで聞き出すのがポイントです。同時に、エントリーシートや履歴書との主張に一貫性があるかを確認し、発言内容の信憑性を高めましょう。
学生の短所や弱みといったネガティブな質問においては、マイナス評価を下すのではなく、「どのような性格・価値観なのか」を知るための質問と心得て、本質的な部分を見極め評価することが求められます。
自社での活躍が期待できる学生を見極めるために、今回紹介した質問例を参考にしてください。
なお、dodaキャンパスでは、大学1年生から4年生までの幅広い学生のデータベースを保有しており、導入から運用まで一貫してサポートします。自社に適する新卒の人材を選びたい場合は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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