大学での授業や試験において、「レポートの提出」を求められる機会も多いのではないでしょうか?
しかし、初めてのレポート作成は疑問点や気になる点も多いと思います。
そこで今回、初めてレポート提出をするという方も安心して書けるよう、東洋大学 現代経営学部 准教授の赤尾先生に「レポートの基本構成」や「評価されるレポートの書き方」を聞いてみました!
この記事の監修者
赤尾 充哉氏
慶應義塾大学を卒業後、関東学院大学を経て、現職。 企業組織の理論研究を専門としながら、アクティブラーニングやキャリア教育のカリキュラム開発経験も豊富。
目次
大学のレポートとは?感想文との違い
決められたテーマに沿って、根拠を基に自分の意見・主張を整理したものが大学のレポートです。
自分の意見・感想を書き連ねる「感想文」とは異なり、レポートは根拠(事実)を基に、自分の考えや主張を整理して文章にまとめることが求められます。
レポート | 根拠や事実を基に、自分の考えや主張を整理した文章 | 感想文 | 自分が感じたことだけをまとめた文章 |
---|
そのため、誰かの意見をそのままコピーしたようなものや、ただ自分の感想を述べたものはレポートではないのです。
レポートには3つの形式がある
のレポートは、「論考型」「自由記述型」「試験・実験型」 の3種類に分けることができます。ここでは、それぞれの特徴について見ていきましょう。
論考型
ある問題について、論理的根拠に基づいて自分の主張を展開するタイプのレポートです。
レポートでは最も一般的なスタイルといえます。資料や具体例を引用しながら、自分の主張に裏付けを与えるよう意識しましょう。
自由記述型
あるテーマについて自分の考えを論じる、最も自由度の高いタイプのレポートです。
絶対的な解答は存在せず、テーマによっては感想などの主観的な意見を求められることもあります。論拠に乏しくならないように、なるべく資料を参照して客観的に書くことが大切です。
試験・実験型
講義の内容や実験の結果をまとめるタイプのレポートです。
その性質上、文章に占める割合は自分の意見よりも事実のほうが多くなります。講義や実験の要点はどこにあるのかを正確に抽出することが、うまくまとめるためのポイントです。
このように、自分の考え・主張を伝えるときは、論理的にまとめる必要があります。求められているレポートはどの形式かを確認した上で、論理的に書くことを意識するようにしましょう。
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レポートの書き方がわからない人必見!基本構成とレイアウト
この章では、レポートの基本構成とレイアウトについて詳しく解説していきます。
序論・本論・結論の3部構成で書く
大学のレポートは、序論・本論・結論という三部構成で書くのが一般的です。 それぞれの部分で何を書けば良いのかをご紹介します。
序論
序論は「レポートの導入部」で、レポートのテーマやその前提となる知識、考察する目的などについて述べる部分です。
なぜそのテーマでレポートを書くのか、考察を通して何が得られるのかといったことをわかりやすく簡潔に述べましょう。序論に割く分量は、全体の10~20%程度が望ましいとされています。
本論
本論は「レポートの中心部」で、序論で提起した問題について客観的事実を並べながら論述していきます。
本論によってレポートの成否が決まるため、説得力のある主張を展開することが重要です。本論には全体の60~80%程度の分量を割くのが一般的です。
結論
結論は「レポートをまとめ」で、本論で展開した主張を端的にまとめていきます。
考察がどんなことに役立つのか、今後の展望についても記しておくと良いでしょう。分量の目安は全体の10~20%程度です。
大学教授がレポートを評価するときの観点とは?
日々、さまざまなレポートを評価している東洋学園大学の赤尾教授に「レポートを評価するときの観点」をお伺いしました。
これからレポートを作成するという方は、ぜひ作成前に、以下の観点を確認しておきましょう。
1. 問題設定/問題理解の適切さ | ・問題設定を適切に行えているか(問題設定を自分で行う場合) ・問題を適切に理解しているか(問題が指示されている場合) |
2. 調査・引用の量・質の適切さ | 調査・引用の量は十分に多いか、その内容は適切か | 3. 論証の方法の適切さ | ・「演繹」や「帰納」といった論証の方法が適切に行われているか ・それらが段落構成に反映されているか |
4. 引用マナーの適切さ | ・引用元が明記されているか ・引用箇所と自身の論考の区別が為されているか |
5. 含意・考察の妥当性 | ・調査結果について考察が述べられているか ・またそれは妥当かどうか |
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次に、具体的なレポートの作成手順をご紹介します。
大学教授から評価されるレポートの作成手順
ここでは、評価されるレポートに欠かせない、ロジカル(論理的)に考えて、ロジカルに書くための4つのステップをご紹介します。(※引用元:株式会社ベネッセ i-キャリア「クリティカルシンキング・ロジカルライティング」2020年 p.68-p.69)
STEP1:主張や意見を考える
問いに対して思いつく限りの意見を出す。5つ以上書き出したら、その中で根拠をたくさん出せそうなものを1つ選ぶ。
STEP2:根拠をたくさん出す
考えを広げられるように、主張・意見の根拠をとにかくたくさん書き出す。
主張や意見が「なぜそう思うのか?」「どんな点に当てはまるのか?」など、自問自答しながら書き出していく。
根拠は最低10個以上出すのがポイント!一旦出した根拠をさらに具体的にしていく。
STEP3:整理する
STEP2で洗い出した根拠を分類する。共通点がありそうな根拠同士を同じ記号でくくって3種類に分ける。
分類に入らなそうなものは「×」等の記号を付けて分かるようにしておく。
STEP4:文章にする
STEP3で整理したものをそのまま活かし、「主張・意見→3つの根拠→念押し」の形になるように文章化する。
根拠は、説得力があるもの・重要なものから順に並べるのがオススメ。
論理的な文章を書くときは「ロジライトライアングル」を意識しよう
「ロジライトライアングル」とは、論理的でわかりやすい文章を書くためのポイントを図でまとめたものです。
相手に伝わりやすい文章を書くポイントは、自分の主張・意見と根拠が明確になっていること。
ロジライトライアングルを意識して書くと、論理的で相手に伝わりやすくなるだけでなく、説得力を強める効果があるので、ぜひレポート書く際は意識してみてください。
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押さえておきたい引用・図表挿入のマナー
レポートは材料となる文献を参考に書くことになりますが、自分の言葉と引用物との差分がわかるようにしなければなりません。
ここではテキストや図表を引用する際のマナーについて解説いたします。
引用のマナー
引用には「直接引用」と「間接引用」の2種類があります。以下にそれぞれの違いを整理しました。
直接引用 | 他者の書いた文章をそのまま書き写す形式の引用 | 間接引用 | 引用元の内容を自分で要約する形式の引用 |
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引用にはルールがあります。一歩間違えると「剽窃(ひょうせつ)」とみなされることもあるので、ルールを守って上手に引用を使いこなしましょう。
直接引用のルール・注意点
本文内で短い文章を直接引用したい時は、引用部分を「」で括ります。一方、長文を直接引用する時は、引用部分を上下一行ずつ空け、2文字下げて書くようにします。
どちらも、直接引用する際は、以下3点に注意しましょう。
・引用した著作物本文の内容は変更しない
・文中の「」などは『』などに置き換える
・誤字脱字などもそのまま記載する
直接引用のルールに沿って、短文を引用する場合と長文を引用する場合の例を見てみましょう。
直接引用例(短文) | ●●は、「~~~~~~~~~~~~~」と述べている。 | 直接引用例(長文) | ●●の研究では、以下の調査結果が得られている。 <改行> (2文字空ける)~~~~~~~~~~~~~~~ <改行> 上記の調査結果より、~~~~~~~~~~~~ |
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続いて、間接引用のルールについて見ていきましょう。
間接引用のルール・注意点
本文内で間接引用したい時は、引用元の文章を自分の言葉で要約し、引用部分の前後で、引用部分が明確に区別できるようにします。
間接引用する際は、以下3点に注意しましょう。
・著者の意図は変えない
・間接引用の場合は「」で括らない
・きちんと出典を明記する
間接引用のルールに沿って引用する場合は、このようになります。
間接引用例 | ●●の研究によると、~~~~~~~~~が重要であると指摘している。(●● 2021、pp.9-10) |
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図表挿入のマナー
レポート内に図や表、写真などを挿入したい時は、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
図表挿入する時の5つポイント
(1)挿入したい表や図に対し、掲載したい順番に「通し番号」と「題目」を付ける。
(2)本文内で図表を使う際は、必ず本文でその図表に言及する。(本文内で図表だけが示されるのはNG)
(3)図表を挿入する位置は、なるべく本文内でその図表に言及した直後のページにする。
(4)図表を引用した場合は、図表の下に「出典」を示すこと。
(5)図表を示した後は、なるべく自分の主張や意見を述べるようにする。
自分の考えを述べるだけはNG?!レポートを書く際に気を付けたい3つの注意点
この章では、大学生が作成するレポートにありがちな、特徴的な3つのミスをご紹介します。
自分のレポートがこの3つの特徴に当てはまっていないか、ぜひ提出前にチェックしておきましょう。
自分の考えだけを述べる(客観性の不足)
初めてレポートを書いた時によくやってしまうミスとして、自分の考えだけを述べる「感想文状態」になってしまうことが挙げられます。
また、自分の個人的な体験だけが書かれているものも困ります。レポートは客観性が大事。「みなさんもそう考えますよね?」と言える内容を書きましょう。
この記事の前半パートでご紹介した通り、「レポート」と「感想文」は目的が異なるため、レポートの提出を求められた際は、しっかりとレポートの目的に沿って書くようにしましょう。
主張したいことが曖昧・ぶれている(一貫性の不足)
主張したいことが曖昧だったり、ぶれてしまっていては、何を伝えたいかがわからない文章になってしまいます。
レポートの作成手順の章でご説明した通り、相手に伝わりやすい文章を書くポイントは、自分の主張・意見と根拠が明確になっていることが重要です。
一方、序論と結論で主張が変化してしまっているレポートは、低い評価をつけざるを得なくなります。 そのため、レポート執筆の初期段階で自身の主張を明確化しておくこと、レポート作成後の推敲の段階で主張に一貫性があるかを確認することが大切です。
レポートを提出する前に、ぜひ一度自分が書いている内容(主張)に一貫性があるかチェックしましょう。
レポートに適した文体・表現になっていない
レポートには、レポートに合った文章表現があります。初めてレポートを書く際は、どのような表現が適切かわからないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、特に指示がない限りは「である調」を用いるのが一般的です。
新聞やネットの記事でよく見る「体言止め」は、レポートにはあまり向いていないため、使わないことが多いといえます。
しかし、レポートでは常体(~である、~だ)を用いることが一般的です。意識して常体を用いるようにしましょう。 また、レポートでは「話し言葉」ではなく「書き言葉」で表現するようにしましょう。(例:いろんな→さまざまな、たぶん→おそらく)
レポートならではの書き方を押さえて、評価されるレポートに仕上げよう!
評価されるレポートには、いくつか押さえるべきポイントがあります。せっかく時間をかけて書くのであれば、ここで紹介した書き方や注意点を押さえ、先生たちから評価されるレポートに仕上げましょう!
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