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協働学習「チームビルディング」「ピアラーニング」「アサーティブ・コミュニケーション」―ラーニング・トランジション―

  • 大学1,2年生
  • 2022.04.04
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協働で学ぶ

大学に入ると、チームを組んで活動することが増えます。チームとは、共通の目標を持ってメンバー同士が協力しあう組織のことです。

その際、一人ひとりが自らの役割を持っています。ただメンバーが集まっているだけではチームとは言いません。
大学では、この「チームで協力して目標達成に向けて各自が努力する」という場面が複数あります。プロジェクト活動、ゼミ活動、同じ授業の履修者同士のグループ活動などです。課外活動も加えると、クラブ・サークル、ボランティア活動、アルバイトも該当します。

社会に出て、仕事で問題解決する時の単位は、ほぼ全てが「チーム」での活動です。大学時代のチーム活動の経験で培ったこと全てが、あなたの力となります。これから経験する大学内の活動において、その時々のメンバー構成や目標の内容によって自身が貢献すべき役割を変えつつ、最良のチームの一員となるために行動していくことを意識しましょう。

チームビルディング

チームワークとは、これまでの学校生活でも耳にしたことのあるなじみのある言葉でしょう。チームのメンバーが協力して行動するための、チーム内の団結や連携。また、そのような協力態勢のことを言います。

では、チームビルディングとは何でしょうか。チームワークと似ているようですが、意味する内容は異なります。「チームビルディング(team building)」は「チームを作る(構築する)」という意味です。チームで共通の目標達成に向けて、メンバーが個々の能力を最大限に発揮しつつ一丸となって進んでいくことです。そうした組織づくりや、チームをまとめる手法を「チームビルディング」と言います。

「チームワーク」は複数のメンバーで協力し合うことを重視する時に使われます。一方、「チームビルディング」という言葉が使われる場面では、困難な目標をクリアするために、これまでにない考え方やアイデア、行動力が求められることが多いです。
チームの和だけでなく、テーマに対する当事者意識(自分事としてとらえること)や、問題解決のための個人の努力、成長が不可欠だと考えられています。

チームビルディングは、チームメンバー同士、それぞれの強みを認め合い、共通の目標を確認することから始まります。
その際に重要なのは、主体的にチームに関わる姿勢で、3つのポイントがあります。「決まった役割は責任を持って最後までやり遂げる」「与えられるのを待つのではなく、役割から考え自らできることを進んで行う」「役割を超える内容でも、チームのためになることには積極的に働きかける」です。

先にも述べたように、どんなテーマであっても自分事にし、当事者意識を持って自分で考えて取り組み、自分の行動に責任を負います。その上で、他者を巻き込み、自分だけの力では到底解決できない難題に挑むのです。

また、チーム活動時、互いの話を聴くことはもちろん、相手の意見と自分の意見が異なる時はチャンスととらえましょう。
なぜ相手がそのように考えたかを想像することで、互いを理解するヒントになりますし、そこからアイデアや何かしらの問題解決につながる突破口が見つかることも少なくありません。大切なのは、「この場ではお互いに尊重しながら、自分の考えを発言することができる」という心理的な安全性が担保された環境を、互いの意思で築き、保ち続ける努力を怠らないことです。

ピアラーニングで他者から学ぶ・お互いに学び合う

大学の学びは、答えは一つではありません。同じ知識や情報を得ても、一人ひとりの学生がそれをどう受け止め、考え、表現につなげるかはそれぞれ異なります。異なるからこそ、自分にはない視点や切り口を知り、考えるための幅が広がるので、さらに考えるためのヒントが得られます。

表現は、グループディスカッションであれば発言として現れます。レポート等であれば、全員に公開されるものや授業内で一部取り扱うものなどもあるでしょう。
互いの考えから学ぶ、その学びを最大化するのが、ピアラーニングの考え方です。

同じテーマに対し、異なる視点や考えで取り組んだ仲間のアウトプットから、自分が取り入れられる視点は何か。相手がなぜそのように考えたのか。そのようなことに気づけた理由を聞いてみたい、といったことが、同じ立場であるからこそ、どんどん出てきます。
授業で率直に感想を伝えたり質問をしたりする際は、以下の5点に気を付けましょう。

1.その言葉を相手がどんな気持ちで使ったのかを想像しながら話す、書く
2.相手の「気持ち」「状態」に寄り添う、共感する
3.共に考える立場であることを意識した質問をする(上から目線にならない)
4.「なぜ」「どうして」を重ねた詰問はしない
5.今回の取り組みで感じたことのみを伝え授業外で口外しない(プライベートに踏み込まない)

大学では、学び合う立場に優劣も序列もありません。どちらかが評価者ということもありません。仲間と共に意見交換を重ね、質問し合い、学び高めあえるのです。また、アウトプットは発言、レポートに限りません。授業に取り組む姿勢、チームに貢献する態度といった印象も含め、他者から情報として受け取るもの全てが学びの材料となります。

アサーティブ・コミュニケーションを心がける

人間関係には次の3つの態度があると言われています。
・アサーティブ:自他を尊重した自己表現、自己主張ができること 
・非主張的:自己主張をしないこと
・攻撃的:自分の主張を一方的に行うこと

理想とするアサーティブ・コミュニケーションは、「I’m OK,You’re OK.」で、私もあなたも大切にするという態度です。課題があったとしても、双方向のやり取りで解決できます。相手の主張も受け止め、自分も主張をすることができます。
非主張的とは、「I’m not OK,You’re OK.」で、あなたは大切にするけど、自分のことは大切にしない態度です。自分の思っていることは主張せず相手に合わせ、議論において自分で責任を取らない傾向があります。
攻撃的とは、「I’m OK,You’re not OK.」で、自分を優先して、相手のことを大切にしない態度です。自分の考えを相手の様子に配慮せずに話してしまい、話し合うのではなく、主張を押し通すもので、議論が勝ち負けのようになってしまう傾向があります。
大学生の話を聞いていると「話し合いの空気を大切にしたい」「自分の主張をするのに慣れていない」という人に、「I’m not OK,You’re OK.」の状態である人が少なくないと感じます。特に、反対とまで強いメッセージではなくても、「本当にそうかな?」「私はどちらとも言えないな」という気持ちを表現することに戸惑いを感じるようです。

でも、自分の意見を言うことは場の空気を壊すことにはつながりません。大切なのは、チームとメンバーを大切にしたいという気持ちと、それを表現するためのスキルです。自分の意見や気持ちの伝え方は 「I(私)メッセージ」 で丁寧な表現で伝えるようにすれば、相手を不快にさせずに意見を表明することができます。
下の図では、「I(私)メッセージ」の例と、「You(あなた)・We(みんな)メッセージ」の例を示しています。どちらの表現であればAさんが自分の意見や考えを話し、他者と理解し合いたいと思うか、答えは明白だと思います。

アサーティブ・コミュニケーションは、日々のトレーニングが重要です。自分の思ったことを、相手を大切にしながら伝えていくために、意識して言葉を使い、態度に示すことが重要です。大学の授業だけでなく、課外活動やアルバイト先、特に言いづらいことを話したり聞いたりする時に「I’m OK,You’re OK.」の気持ちで、自分の意見はしっかりと「I(私)メッセージ」を使うことを心がけましょう。
もちろん、発言だけではなくメールやSNSでのやり取りにおいても同様です。

リフレクションと組み合わせて自律的に学び行動するスタイルをトレーニングする

ここでは、協働学習の基礎になる学び方について3つの観点「チームビルディング」「ピアラーニング」「アサーティブ・コミュニケーション」を学んできました。
いずれの学びもそれぞれ補完しあっていますので、どれも少しずつ意識して実際に使ってみる、自分の行動に取り入れてみることからラーニング・トランジションは始まります。

どれも、一度や二度のトライで「できた!」と思うのは難しいですが、1か月、3か月と継続していくうちに、「少しずつ身についてきた」「わかった気がする」といった手ごたえが得られるものです。また、「完全にできるようになる」ものではなく、この先、常に意識し続けていく必要があります。

ぜひ、日常的にそれらのチャンスを意図的に作り出し、トライを重ねていきましょう。学びは他者の視点が入ることによって深みや多様性を増し、ぐっと面白くなるはずです。

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