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問題発見・課題設定のプロセス【vol.1 理解編】―ラーニング・トランジション―

  • 大学1,2年生
  • 2022.04.04
本記事の著作権は(株)ベネッセ i-キャリアが保有しております。

ラーニング・トランジションとして、大学生の学び方で重要なのが、「問題を解決するプロセスの理解と実践である」と前のコラムでお伝えしました。実際にこのコラムでは、具体的なプロセスの内容について見ていきましょう。

問題を解決するプロセスとは

問題を解決するプロセスは大きく5つのステップに分かれていて、図に表すと以下のようになります。

問題解決というと、どうしても解決に向けて実行するSTEP3、4をイメージしがちです。
ですが、実はSTEP1「問題発見」、STEP 2「課題設定」の前段階の準備こそが非常に重要です。
ここで出てくる「問題」と「課題」は違うのかと疑問に思うかもしれません。日ごろ何気なく使っている言葉かもしれませんが、以下の図のようなイメージでこの言葉を使い分けています。

問題には様々な原因が複雑に絡み合って存在しています。
それらの状況を確認・分析し、解決すべき点を精査したものが課題です。問題に対して、課題は複数あります。どの課題が自分やチームにとって最も優先順位が高いかは、役割や置かれている環境、時期等によって異なります。

「今の自分たちが取り組むべき課題はこれだ」と決めることがSTEP2の課題設定です。課題を一つ解決しても、問題が全て解決するわけではありません。ですが、課題の解決を積み重ねることで、目指す状態に近づくことができます。

ここからは、ステップごとの内容を明記しますが、特にSTEP1、2に重点を置いて確認してください。

STEP1:問題発見…問題点に気づき「目指す状態」から「現状」を確認してそのギャップを認識する

私たちの身の回りは様々な問題にあふれています。
「もったいないな」「不便だな」「危ないな」「やりにくいな」「悔しいな」「助けたいな」「変えたいな」……などと思ったことはありませんか。それをそのままにせず、「なぜこうなっているのだろう」と考え、「目指す状態」「理想の状態」を具体的に定めることが問題の発見です。

次に、「目指す状態」に対して現状を確認します。その際、幅広く客観的な事実をリサーチして「原因」となっていることを調べ確認することが重要です。そうして現状と「目指す状態」の差、ギャップの要因となっているものは何かを明確にするのです。
その時注意したいのは、問題解決の当事者は何よりも「自分」であるということです。理想論をかかげたようなものが目指す状態だと、今の自分の力で取り組めない他責なものになりかねません。「難易度が高くても自分が取り組む」と決意したら、問題が大きすぎる場合はそれを分解して、自分が取り組める問題に調整する等の工夫も必要です。

STEP2:課題設定…問題の原因になっていることを分析し、解決すべき「課題」から目標を設定する

課題設定は問題の本質に迫る作業です。STEP1の「問題発見」で現状を確認しますが、STEP2ではさらに詳細に現状を分析します。
「なぜこの問題が生じているのか?」と考えを深め、問題を構成していると考えられる様々な要素について、根拠を明らかにします。そして自分なりの仮説を複数立て、さらに精緻に集めた情報を分析します。この工程の精度によって、問題解決の取り組みの成否が左右されると言っても過言ではありません。

最終的に、根拠を基に「この要素が原因になっているので解決すべきだ」と仮説を複数立てます。それが「課題」です。
その中でも、目指す状態に対して最も効果的で自分たちが取り組む優先順位が高いと考えられる課題を決めます。それが「課題設定」であり、それを解決することが「目標」となります。
あわせて「どのような状態になれば解決したことになるのか」という指標を具体的に設定します。成果指標は、複数になることも多いです。できるだけ「数値」を入れ、達成したかどうかを客観的に判断できる指標にまで落とし込むことが重要です。

STEP3:解決のための計画立案…設定した課題(目標)を解決するための方法を考え、計画を立てる

設定した課題を、実際にどのように解決するのか作戦を立てるのが、このステップです。解決のために活用できる資産は有限です。実行期間、予算、メンバー、手法は無限ではなく、これまでにない新しい考え方をしたり、工夫したりする必要があります。

課題は一回の実行でいきなり解決できるものではありません。
目標を細分化して複数の仮説を立て、実行段階ごとの数値目標を置き、継続的、段階的に施策を積み上げて達成します。そのための計画の全体像を考え、どんな作戦や手法を用いるかを明確にし、解決策を検討します。また、計画通りにいかないことも多々ありますので、実行計画が予定通り進捗しているかどうかを確認し、場合によっては修正するための工程もあらかじめ盛り込んでおく必要があります。

メンバーの得意、不得意に合わせた適切な役割分担をすることはもちろん、予測不能な事態に対応する場合には、チームで協働できる状態であることは必要不可欠です。そのためにも、ここでメンバー全員の認識をそろえておくことも重要です。

STEP4:実行…解決策に基づき実行しつつ成果を検証して計画を調整し、さらに実行する

解決策に基づき、着実に行動するのがこのステップです。
各自に与えられた役割を全うすることはもちろんですが、実行することで見えていなかった観点が出てきたり、想定以上の負荷が生じたりするものです。

その際に、役割を超えてメンバーと協力し合い、行動することが重要です。予定通りに進まず、段階ごとに想定した成果目標に到達しないこともしばしば発生します。その場合、策定していた計画にこだわらず、行動したことから計画が適切だったかどうか振り返り、柔軟に計画を再検討し、課題を解決するために有効な別の手段を考えることが必要です。
計画を実行しながら、同時に検証し、計画を調整することが求められるのです。

STEP5:検証…設定した課題が解決できたか否か振り返り、得られた教訓を次に生かす

課題を解決して「目指す状態」に到達できたか、STEP2で設定した成果指標に対して「達成」「未達成」を判断します。
「ねらった結果が出せたか」確認する重要な作業ですが、それだけでは次の取り組みにつながりません。実行過程において、どのような施策、取り組みが効果的だったか、逆に効果がなかった取り組みは何か。それはなぜなのか。具体的にどこまで達成できて、どこが解決していないのか。それは解決すべきか、今はしなくても問題ないのか等を具体的に振り返ります。

この作業は、実行後すぐに行わなければなりません。実行から得た学びほど次の行動に生きるものはないからです。少し時間があいてしまうと取り組んだ詳細を忘れてしまうだけでなく、実行過程で得た教訓や学びが曖昧になります。教訓を明確にする作業をするかしないかで、次に問題を解決する時の力は全く変わってきます。
早く振り返り、早く行動に取り入れることで、自身が問題にアプローチするための力を磨き、課題を解決するレベルも上げることができるのです。

次のコラムで具体例や必要になる力を確認

ここまで、問題を解決するプロセスについて確認してきました。次のコラムで、具体的な事例を確認しましょう。

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