初対面で人と話すのが苦手な学生は数多くいるでしょう。「仲良くなれば話せるんだけどな」「話しかけられると会話は弾むんだけどな」「どうやって会話を弾ませればいいんだろう」など、悩みは尽きません。そんな方々が明日から使えるような会話の弾む実践的なコミュニケーション術を紹介します。
まずは“ノンバーバル・コミュニケーション“を身につけよう
まず知っておいてほしいことが、対人コミュニケーションは、会話の内容だけで決まるわけではない、ということです。身振りや手振り、表情などをうまく使うことで伝わり方を変えられますし、信頼関係を構築しやすくなります。そのような言語以外の情報でコミュニケーションを取る方法を“ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)”と言います。
ノンバーバル・コミュニケーションは、表情や身振り、行動、声などを用いて、相手に気持ちや情報を伝える手法です。明日からできるノンバーバル・コミュニケーションをいくつか紹介します。
ミラーリング
心理学と言語学の観点から新しく体系化した人間心理とコミュニケーションに関する学問であるNLP(Nuero Linguistic Programing=神経言語プログラミング)を基にしたコミュニケーション方法です。簡単に言うと、相手の行動のマネをすることです。
たとえば、相手が飲み物を飲むタイミングで自分も飲み物を飲む、相手が時計を見たら自分も見る、など。人は自分に似ている、近い、一緒など、同類に感じるものに親しみや安心感を抱きやすくなり、心の距離感が近づくと言われています。やりすぎてしまうと、相手に不快感を与え、逆効果になるので注意が必要です。
うなずく
「え、うなずくだけでいいの?」と思った方も多いでしょう。
北海道大学大学院の河原純一郎准教授、山形大学学術研究院の大杉尚之准教授の共同実験でうなずくことの効果が証明されています。この研究結果によると、評価者の性別にかかわらず、うなずく動作を見た後は,首を横に振る動作や静止したままの場合に比べて、好ましさ(好感度)が30%、近づきやすさ(親しみやすさ)が約40%、被評価者の評価が高くなりました。相手が喋っているときには無理に返事をしようとせず、まずはうなずいてみることからはじめてみましょう。
北海道大学総務企画部広報課『「うなずき」が人物の印象に与える効果を検証〜好ましさと近づきやすさが4割上昇〜』
笑顔をつくる
表情を豊かにするだけでもコミュニケーションには違いが生まれます。比治山大学現代文化学部の吉田弘司教授の論文では、「笑顔は相手との円滑なコミュニケーションを進めるための潤滑油的な働きも含まれている」としています。感情の起伏が乏しいなと自覚のある方は相手の会話に合わせて普段より大きめの笑顔を見せてみるといいかもしれません。
視線をあわせる
また、新潟大学教育学部の高木幸子教授によれば、視線には以下の4つの機能があるとしています。
- 認知機能…相手と意思疎通をすることを示す
- フィードバック機能…相手の次の行動の指針となるフィードバックを与える
- 調整機能…どちらが働きかけをする順番なのかを示す
- 表現機能…自分の態度や感情を相手に伝える
この中でも特に重要なのは調整機能と表現機能です。日常会話では片方が相手を見る時間が総時間の約6割を占め、お互いが視線を合わせる時間が約3割あるとされていますが、この割合を崩すと、相手に不快感を与える場合があるとしています。会話を調整するために視線が重要になってくるのです。魅力的な相手や恋愛関係にある相手との会話場面では視線活動が増えることも論文内で述べています。自分の好意を伝えるための表現に視線も非常に深い結び付きがあります。相手と仲良くしたい、というアピールのために視線をあわせることは十分効果があるのです。
高木幸子『コミュニケーションにおける表情および身体動作の役割』
では、ノンバーバル・コミュニケーションを理解したところで、次にうまく会話を始めるきっかけ、質問法を解説します。ノンバーバル・コミュニケーションと組み合わせて実践してみましょう。
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会話がはずむ質問をしよう!
例えば新入生の場合「せっかくサークルの新歓にきたけどビビって話しかけられない……」だったり、飲み会で「初対面の人がいると自分から話しかけないと!」「なんとか盛り上げないと!」などと自分から能動的にコミュニケーションを取ろうと意気込んだものの、一歩目がなかなか踏み込めない……という体験をしたことはないでしょうか。
そんな方におすすめのコミュニケーション法が「質問をする」です。自分のことを話すのではなく、相手に興味を示して前のめりで質問しましょう。このとき注意したいのが「イエス」「ノー」で答えられる質問をしないことです。どちらの答えが返ってきてもそこで会話が終わってしまうことが多くなってしまいます。会話が続くような質問を提供することが大切になります。
たとえば「出身はどこ?」「どこに住んでいるの?」といった質問は一般的ですが、きっかけとしては非常に有効。自分が訪れた場所であったり、縁のある土地だと会話が弾みますし、「名物」「気候」「方言」など特有の文化にも質問が広げられます。不自然に広げたり、面白いことを言う必要もありませんので、単純に知らない土地だったら、「へー!どういう場所なの?」と興味を示して質問するだけでも、相手の印象を変えることができるでしょう。
ひとつの質問とその回答から会話を続ける、という方法は初対面との相手に有効です。なぜなら初対面ということは、相手の情報をあまり知らないからです。質問ばかりをしすぎると相手に面倒臭がられる可能性があるので、「出身はどこ?」という質問であれば「へー、自分は◯◯県出身なんだよね」というように、相手の回答と同様の答えを出してあげるようにしましょう。
つづいて、「どんな質問をすればいいのか……」という方に向けて、話題のきっかけとなる例を他にも紹介します。
・好きな芸能人、音楽の話題
俳優や歌手、バンドなど誰でも好きな有名人が一人はいるのではないでしょうか。好きなものが共通していると、そこから話題を広げることができます。あまり馴染みがないものであっても、「その人ってどんな番組に出ているの?」「そのバンドのおすすめの曲は?」など、興味を持っているような会話につなげてみてください。
・ニュース、SNS
話題のニュースやSNSで流行っている情報についての話題も有効です。たとえば、SNSで話題になったエンタメに関する話を出すと、相手も話しやすくなります。しかし、人によっては全然ニュースを知らなかったり、SNSを見ない人もいるので、注意しましょう。また、政治的見解は人によって異ることも多く、はじめての人に対して話すのは、なるべく避けたほうが無難でしょう。
・アルバイト、サークル
「どんなアルバイトをしているのか」「なぜそのアルバイトをしようと思ったのか」といった質問は気軽に相手の話しやすい会話のひとつです。「週に何回シフトに入ってるの?」であれば「そんなにお金稼いで何に使うの?」というように持っていくことができますし、逆にアルバイトをあまりやっていないようだと「どんなことに時間を使っているのか?」という質問につなげることができます。サークルでも同じように、「なぜそのサークルに入ろうと思ったのか」といった質問から「高校時代はどんな部活をしていたのか」という話に広げることができます。
コミュニケーション能力は就活でも必要になってくる
上記以外にも、「受験で他にはどこの大学を受けたのか」「休日はなにをしているのか」といったように、質問はいくらでもつくることが可能です。しかし、すぐにパッとは出てこないでしょう。実際に会話をしていく中でしか、会話への苦手意識は克服できません。
大学生は就職活動での面接では必ず自分の意見などを説明しないといけません。また、社会人になってからも、ひとりで仕事をするよりもチームで仕事をする機会が多い場合もあるでしょう。そんなときに困らないように、今回紹介したテクニックを日常生活で試してみてはいかがでしょうか。
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