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給与額で企業を選んでない?知っておきたい福利厚生の基礎知識とユニークな事例

  • 業界・企業研究
  • 2019.03.13
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近年、仕事に対する価値観や考え方の変化に伴い、「働き方」の認識も少しずつ変化しています。最近では就活時に企業を探す時の条件として、福利厚生の充実を重要視している人も見られるようになってきました。

企業側も、人材確保・人材定着のカギとして福利厚生の充実度を上げる取り組みをおこなっています。今回はそんな福利厚生について詳しく見ていきましょう。

福利厚生ってどんなもの?まずは意味を押さえよう

福利厚生とは、企業から労働者へ支給される「給与以外の報酬」です。企業に入ると強制的に加入させられる社会保険や、子供の有無にかかわらず給料の0.15%が財源の一部として収められる児童手当拠出金など、保険料を負担する福利厚生は法律により実施が義務付けられています。

その一方で、法律に関わらず、企業が独自に設けることができる福利厚生は法定外福利厚生と呼ばれています。 法定外福利厚生は企業によって個性的な内容のものも多く、企業の特徴が現れるひとつのポイントと言えるでしょう。そんな法定外福利厚生は、大きくふたつの種類に分けられます。

ひとつは住宅手当・資格入手の援助といった、収入にプラスして支払われる資金面での福利厚生です。もうひとつは、有給取得率を上げるための取り組みや副業の解禁など、労働者にとって働きやすい環境を整えるタイプの福利厚生です。

福利厚生の充実は、社員を大切にしているのかといった“指標”であるとも言えるため、企業選びの判断基準にもなります。企業で働くうえで、福利厚生が充実しているかどうかは、働きやすさを左右するといっても過言ではありません。実際に、福利厚生がないことで働く環境に違和感を覚え、企業から離職する人がいるのも事実です。

そのため、労働人口が減少している近年では、企業側は人材の確保や会社に長く勤めてもらえるかが大きな課題となっています。

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キャリアタイプ診断

あるとないではこんなに違う。家賃補助を検証してみた。

福利厚生の中でも、住宅に関する手当は社員の満足度が高い傾向にあります。就職を機にひとり暮らしをしようとしている人にとって、家賃の負担が軽くなるのは大きな魅力でしょう。

ただ、支給を受けるためには、「正社員であること」「世帯主や物件の契約者であること」などが条件として定められているケースがほとんどです。雇用形態が正社員以外であったり、シェアハウスや同棲により賃貸の契約者が自分でなかったりする場合は支給対象とはなりません。

また、住宅に関する福利厚生は、主に以下の形で支給されています。

■住宅手当

持ち家のある従業員に対して、企業は住宅ローンの一部を現金で支給します。

ただ現金支給のため、課税対象となります。そのため、住宅手当の支給額が多いと所得税や住民税、社会保険料の負担が増える可能性もありますので注意が必要です。

また、住宅手当は従業員側からの申請が必要な場合がほとんど。自動的に振り込まれるものではないので、入社した際には申請方法などを調べておきましょう。

■家賃補助

賃貸物件に住む従業員に対して、家賃の一部費用を企業が現金で負担します。こちらも現金での支給となるため、課税の対象となります。

■社員寮・社宅

企業が所有する不動産を、従業員に対し住宅として貸し出す形です。個人で賃貸物件を契約するよりも、かなり安い家賃で済むことができます。

では、住宅に関する補助の具体的な金額はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「平成27年就労条件総合調査の概況」によれば、平成27年の住宅手当の平均額は1万7000円でした。

もしも家賃が7万円の物件に住んでおり、1万7000円の家賃補助を受けていた場合、1ヶ月あたりに負担する金額は5万3000円となります。年間では20万4000円を会社から補填されるため、節約にも大いに役立つことがわかりますね。

ユニークなものがたくさん!気になる福利厚生の事例7選

ユニークな福利厚生を取り入れている企業は、年々増加しています。実際にどのようなものがあるのか、見てみましょう。

1.育自分休暇制度-サイボウズ

ソフトウェア開発をおこなうサイボウズ株式会社では、優秀な人材の採用・定着、個人はもちろん、会社全体の生産性を上げるための制度策定に取り組んでいます。

その中でも注目すべきなのは、「育自分休暇制度」。その名の通り、自分を成長させるための制度であり、35歳以下であれば転職や留学によって一度会社を辞めても、最長6年間は復帰が可能です。

サイボウズ株式会社『ワークスタイル』

2.「親孝行支援制度」-大和ハウス工業株式会社

住宅総合メーカーの大和ハウス工業株式会社では、「親孝行支援制度」が設けられています。この制度は、年4回まで、帰省距離に応じた補助金(1.5万円~5.5万円)を支給する福利厚生制度です。

遠方に住んでいる両親の介護が必要な従業員の帰省費用を負担することで、経済的負担の軽減を図り、キャリアを継続できる環境作りを目的に作られました。「介護のために仕事を休みにくい」、「実家が遠方のため、なかなか帰省できない」という従業員の負担を無くし、安心して帰省して親孝行することができます。

大和ハウス工業株式会社『生涯現役制度「アクティブ・エイジング制度」 介護支援制度「親孝行支援制度」導入』

3.「朝ヨガ」-レバレジーズ株式会社

インターネットメディアサービスの提供、オウンドメディア事業を取り扱っているレバレジーズ会社では、部署を超えた交流の活性化に向け、月に2回、定時の1時間半前に集まった従業員を対象とした「朝ヨガ」を行っています。結果的に従業員同士のコミュニケーションが活性化したほか、作業効率が上がり、社員にも好評のようです。

レバレジーズ株式会社『レバレジーズについて』

4.「Know me!制度」-Sansan株式会社

名刺管理システムの運営を行うSansan株式会社には、月に2回まで、過去に飲んだことが無い他部署の人と3人以内で飲みに行くと、会社から1人につき3000円を補助する福利厚生制度「Know me!」があります。言うまでもなく「know me」というフレーズには「飲み」がかけられており、ユーモアのある社風が見受けられますね。

Sansan株式会社『社内制度』

5.「失恋休暇制度」-チカラコーポレーション

関西を中心に美容室6店舗を展開する株式会社チカラコーポレーションでは、「失恋休暇制度」が設けられています。その名の通り、失恋によって傷ついた心を癒すための休暇を取得することができます。申請方法は上司に口頭報告するだけで良く、20代前半なら1日、20代後半なら2日、30歳以上は3日取得が可能。他に類を見ないユニークな制度ですが、仕事に身が入らない状況から立ち直るためにも、重要なのかもしれません。

チカラコーポレーション『待遇など』

6.「ろくじろう」-株式会社ZOZO

大手オンラインショッピングサイト、ZOZOTOWNを運営する株式会社ZOZOは、8時間労働が一般的な日本で、労働時間そのものを見直そうという目的から「6時間労働制」(ろくじろう)が取り入れられています。これは単に労働時間を短くするのでなく、短い時間でも生産性を落とさず効率よく仕事をすることを目指しています。

株式会社ZOZO『福利厚生・制度』

7.「パラレルワーク推進制度」-株式会社エンファクトリー

日本の多くの企業では、正社員が副業することを良しとしないケースが未だ多く見られます。しかし、ショッピング事業やプロマッチング事業を中心とした会社、株式会社エンファクトリーは、社員が副業(パラレルワーク)を行うことを推進しています。副業によって従業員の収入面を向上させるだけでなく、能力を得ることで自信をつけ、結果として会社自体を変革させ続ける力に結びつけられると考えているとのことです。

株式会社エンファクトリー『人材理念』

8.「自転車通勤支援」-株式会社はてな

インターネット事業を展開している、株式会社はてな。この会社には従業員の健康増進のために「自転車通勤支援制度」が設けられています。この制度により、自転車通勤している従業員には手当として月額2万円が支給するほか、損害賠償保険費を負担しています。

株式会社はてな『はてなのカルチャー』

ライフイベントを迎えても働ける!女性に嬉しい福利厚生3選

女性は出産や育児など、ライフイベントによってそれまでと同じ雇用形態での勤務が難しい場合があります。だからこそ、女性に優しい福利厚生が整った企業を選びたいですね。

1.「macalon(マカロン)パッケージ制度」-株式会社サイバーエージェント

インターネット広告代理店として有名な株式会社サイバーエージェントでは、出産・育児を経ても退職することなく、女性が長く働ける環境づくりに力を注いでいます。その取り組みとして、「ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く」という意味を込めた「macalon(マカロン)パッケージ」という福利厚生制度が取り入れられました。この制度には、女性特有の体調不良時に月1回取得できる特別休暇「エフ休」や、子供の看護時に在宅勤務できる「キッズ在宅」など、女性に嬉しい福利厚生制度が充実しています。

株式会社サイバーエージェント『女性活躍促進制度 macalon』

2.「病児シッター制度」-株式会社ランクアップ

株式会社ランクアップは、オリジナルブランド「マナラ化粧品」の開発および販売をしている会社です。この会社では、女性従業員が働きやすい環境作りのため、様々な取り組みを行っています。

たとえば、子どもの体調不良により、急に会社を休まなければならないことがあるかもしれません。そんなときに最適なのが、専門の知識を持ったベビーシッターを自己負担300円で利用できる「病児シッター制度」です。社員からは「子どもが元気になった場合、キャンセル料も会社が負担してくれるので、非常に助かっている」という声もあるのだとか。まさに子育てと仕事の両立が難しい女性に優しい制度といえるでしょう。

株式会社ランクアップ『 企業理念』

3.「オシャレ手当」-株式会社アウローラ

女性採用に関わるトータルソリューション、女性の転職・求人サイト、ネイル事業など、女性に関する事業を幅広く展開している株式会社アウローラ。この会社では福利厚生制度として、プライベート用を含めた服や靴、鞄、美容院代、ネイル代、エステ代として毎月5,000円~10,000円が支給されています。これは女性をメインターゲットにしたサービスを展開している会社だからこそ、会社で働く従業員のオシャレをサポートしているようです。

株式会社アウローラ『働く環境』

企業選びのポイントにしたい、福利厚生

就活を進めるうえで、収入面だけに注目してしまうと、想定外の就労環境に出くわしてしまうかもしれません。しかし、福利厚生の充実さは就活生にとって、「働きやすいかどうか」を見極める指標にもなっています。福利厚生が充実しているかどうかは、会社が従業員をどれだけ大切にしているかの基準にもなり得るのです。

就職先を探すひとつの軸として、今後は福利厚生にも注目してみてはいかがでしょうか。

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