経団連から、これまで日本の新卒採用の基準となっていた“採用選考に関する指針”の廃止意向が表明された2018年9月。これが実現すると、いわゆる新卒の就職活動における広報解禁(現在は3月)・選考解禁(現在は6月)といった概念がなくなり、就活生は自由なタイミングで就職活動ができるようになるといわれています。
同じように企業もナビサイトへの掲載、説明会実施、面接実施をするといった従来の採用手法にとらわれず、採用成功のためにあらゆる手段を講じるようになるといえます。就活生は多様化する企業の採用手法を理解し、戦略的に利用していくことが求められるようになるのです。
今回は、近年注目されている“リファラル採用”についてメリット・デメリットをご紹介していきます。
リファラル採用ってどんな採用手法なの?
これまでの就職活動の垣根がなくなっていく中で、注目されているのが“リファラル採用”の流れ。これまでは中途採用で使われることの多かった採用方法ですが、今一度どういった制度なのか確認してみましょう。
そもそもリファラル採用とは
リファラル採用とは、社員の友人や知人といったつながりで新しい人材を採用すること。社内制度として実行されることも多く、採用したい人材イメージや要件を経営や人事から事前に社員に伝え、友人・知人などを紹介してもらい選考が進むケースが一般的です。リファラル採用がおこなわれている企業では、紹介した人が採用に至った場合、紹介元となる社員にインセンティブを支払う仕組みを設けていることも多く、社員側も意欲的・協力的にリファラル採用に取り組んでいます。(会社や知人・友人のキャリア等を真剣に考えることに集中させる目的で、インセンティブ制度を設けていない企業もあります)
なぜいまリファラル採用が注目されているのか
2017年の『日本の将来推計人口』によれば、2015年以降人口減少が続き、2053年には人口が1億人を割ると推計されています。これに応じるように、厚生労働省が10月末に発表した2018年9月の有効求人倍率(※厚生労働省 一般職業紹介状況 平成30年9月分より)は1.64倍に上り、約45年ぶり1974年1月と並ぶ高水準だそう。
これらはまとめると、採用対象である人材が減り続けるため、採用が難しくなり続けるということを示しています。従来型の採用を続けていると、求人広告費などを中心に採用費用といったコストの負担も大きくなるのです。
そうした中でリファラル採用が注目されるのは、まさに「希望する能力を持った求職者を採用でき」、かつ「コストが比較的かからない」手法であるからなのです。
社員の紹介である安心感に加え、社員からのインプットがあるため企業や仕事への理解が一般応募よりも高い状態で選考・採用が可能であり、希望する能力や適性を持った人材をより確保しやすいのです。また社員からの紹介のため、人材エージェントやナビサイトのような採用費用が不要であるのがリファラル採用の企業側の大きなメリットといえるでしょう。
縁故採用とは何が違うの?
「リファラル採用って、要するに縁故採用でしょう?」と感じる学生もいるでしょう。確かに重なる部分もありますが、“前提が異なるもの”として理解すべきでしょう。縁故を辞書で引いてみると、「血縁や姻戚などによるつながり、またその人」と出てきます(出典:大辞林第三版)。すなわち、縁故採用というのは、主に親子兄弟や親戚などを特別に採用融通してもらうことが目的。
一方、リファラル採用は、仕事や個人としての繋がりからの紹介・採用が主になっています。そのため、縁故採用が採用口を融通するのが前提となることに対し、リファラル採用ではより良い人材の獲得を目指すことが前提となります。能力や適性がいかに会社とマッチしているかをはかる点で、入社後の活躍の側面では大きな差があるのです。
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新卒でも知っておきたい「リファラル採用」のメリット・デメリット
ローソンやNTTデータも!様々な企業が新卒採用に導入
先にもお伝えした通り、リファラル採用は中途採用の手法として当初広まりましたが、現在は新卒採用にも浸透しはじめています。新卒でのリファラル採用は、企業や仕事の理解度を高め、結果として内定辞退を減らすことにつながります。また、新卒の就活生に対して企業が重視するのは、即戦力としてのスキルよりも、即戦力化を期待できる素養や、価値観と風土とのマッチングであることが多いため、リファラル採用は新卒採用でもよく機能すると考えられます。実際にローソン、NTTデータといった有名企業も新卒にリファラル採用を導入しはじめています。
ネットの噂に踊らされず自分にあった企業に入れる!就活生にとってのメリット
今やPCやスマートフォンで検索すればいくらでも企業の情報が出てくる時代。しかしながら、調べれば調べるほどわからなくなった、そんな経験はありませんか。たとえば企業の採用ホームページやナビサイトではどの企業も魅力的に見えますが、口コミサイトや掲示板サイトなどでは不穏なコメントを見かけてしまう……。これらは就職活動においてよくあることでしょう。
リファラル採用は、紹介社員と密にコンタクトを取ることが出来るため、実際の職場の雰囲気や仕事内容を直接聞いてイメージが出来ることはもちろん、気になった情報を実際に確かめることもできます。いわゆるOB・OG訪問とも異なり、紹介者と一定の関係性がすでにあるからこそ本音でやりとりできるというのが最大のメリットです。
また、いわゆるブラック企業の状態では、リファラル採用は進まないもの。「大切な友人や知人をこんな目にあわせるわけにはいかない」という考えが紹介者に働くからです。「本当にいい会社だから、うちにきなよ!」「うちに入って、一緒に会社を盛り上げて欲しい!」……。そうした気持ちが、社員の心の底から湧き出なければ、成り立たない制度ともいえるため、本当に良い会社に出会える確率も高くなるといえるでしょう。
知人の紹介だから辞退しづらい……就活生にとってのデメリット
ですが、こうして紹介してきたリファラル採用にもデメリットはあるもの。たとえば、選考や内定を辞退しにくいというものがあります。紹介元になった知人・友人の面目もあり、就活生にとっては安易に辞退をしづらくなるというのはひとつのデメリットでもあります。
ただし、企業・仕事理解や風土がマッチングしているかの判断をより深くおこなうことができるのがリファラル採用の特徴であるため、紹介してもらった結果として“フィットしない”という理由での辞退はお互いにとってプラスになります。「知人の紹介だから内定をもらったら入社するしかない」という考えではなく、本当にその会社が自分に合うか、その会社で力を発揮できるかという側面のみを考えれば良いでしょう。
また、ひとりの社員の話だけに捉われると、「入社後にイメージと違った」ということが発生しやすくなるため、リファラル採用であっても他の社員とも会話する機会を自分から提案するなど、複数名から情報を得ることが大切です。
リファラル採用で、自分とあった企業に出会おう
企業は多くの優秀な学生を採用するために知恵と工夫を凝らし続けています。
リファラル採用を公にしていなくても、知人や友人・学校の先輩が勤務していて興味のある会社があれば、OB/OG訪問などで積極的にコンタクトを取ってみることをおすすめします。どの企業も採用は経営上の重要課題であるため、制度がなくても応じてくれる企業は多いはず。
OB/OG訪問の前に!読んでおきたい記事はこちら↓
リファラル採用は、社員の紹介という面もあり、採用担当者の期待値は通常の面接より高くなっています。そうした期待値を下げないよう、いかに自分を魅力的にアピールするかが大切。なにか不安なことがあれば、dodaキャンパス内に掲載されている就活ノウハウの記事を参考にしてみてくださいね。
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