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【社会人インタビュー】オイテル株式会社創業者 小村大一さん

  • インタビュー
  • 2021.12.24

プロフィール

小村 大一 さん
・アパレルメーカー入社後、取締役就任
・2016年オイテル株式会社(https://www.oitr.jp)設立、代表取締役就任
・ウエルネス事業「あなたによくて、社会にいいこと」をビジョンに掲げ、“社会課題をビジネスで解決する”をミッションに、「OiTr(オイテル)」をスタート
宮岡 七菜子 さん
・福岡県立大学人間社会学部に在学中大学3年生(24卒)
・「dodaキャンパス」でインターン生として、コラムやSNSの運用を担当

『トイレットペーパーはどこのトイレにも常備されているのに、なぜ同じ生理現象である生理のためのナプキンは常備されていないのか?』

生理のある人も、もちろんない人も、普段意識することすらないかもしれない「おかしな当たり前」。今回はこの当たり前に着目し、永続的なビジネスを軸に社会課題解決に取り組む、オイテル株式会社創業者の小村大一さんにインタビューを行ないました。

取材を行なった背景

私自身女性であり、月経による痛みや精神的・経済的な負担は辛いものでありながらも、「仕方のないもの」という認識がありました。そのため、「当たり前」として捉えられてきた女性の生理に伴う負担に対し、「それを幾分まかなえないか」という思いから活動を行なっている小村さんに、是非その背景をお伺いしたいと思いました。

目次

    小村さんが起業に至ったきっかけ

    ――早速ですが、小村さんが生理の貧困をテーマに社会起業されたきっかけを教えてください。

    僕らは、ジェンダーギャップの解消のためにこのプロジェクトを始めました。同じ生理現象でも、トイレットペーパーはどこにも常備されているのに、生理用ナプキンはそうではないのが現状です。ただプロジェクト発足時は、その社会問題は広まっていませんでした。そんな中で考えていたのは、生理による精神的な負担を減らすことでした。ただ、僕らは当事者じゃない。だから女性にアンケートをとり、ナプキンが個室1室1室にあるべきだと思いました。

    そして僕らは社会課題をビジネスで解決しようというミッションを掲げていたので、「ディスペンサーにサイネージをつければその広告を見るのでは?」というアイデア(OiTr)が浮かんだのです。寄付の場合は誰かがやめてしまったらそれで終わりですが、このビジネスモデルが確立されれば、ナプキンの問題が永続的に解決され続けますよね。

    「OiTr(オイテル)」
    ショッピングモール・オフィス・学校・公共施設などの女性個室トイレに、生理用ナプキンを常備し無料で提供するサービス。

    なぜ、男性が女性の社会問題の解決に取り組むのか

    ――小村さん自身は男性ですが、なぜ女性の社会課題解決に取り組むに至ったのでしょうか。

    僕がアパレルで働く中で女性の現場を見たことがきっかけです。女性の社会進出が進む中でも、まだまだ生理は隠すものという傾向がある。そんな中で、トイレにナプキンがあることでコソコソする必要もない。また男性用トイレでは、生理に対する理解を深める映像をコンテンツとして流すことで、生理がオープンになっていく。オイテルが話題になり、生理について話しあう場を作るきっかけになっているのは、とても嬉しいです。

    事業の作り方について

    ――課題に対する解決方法として、事業の作り方について教えてください。

    企業理念に賛同してくれていた仲間たちと、生理の問題に着眼することから始めました。そして社会課題を解決するために、三方良しのビジネスを考えました。広告収益を施設に回すことで施設主さんがトイレの収益化を図り、トイレではオイテルのサービスを提供、そして広告主さんも企業のCSR活動に繋がります。つまり、みんなが得をするシステムがあればビジネスが継続してまわっていくと考えました。

    やりがいや大変だったこと

    ――実際に会社を経営する中でのやりがいや、大変な部分を教えてください。

    広告収益でまかなっているので、お金の調達は苦労しました。加えて、前例のないビジネスモデルなので、まず、理解してもらうことにもハードルがありました。やりがいで言うと、生理は女性が生きていくうえで大切な機能ですが、精神的な負担や労力的な負担を引き起こしてしまうこともあるので、それを社会全体で支えることができるようになったらいいなと思います。

    小村さんご自身の今後について

    ――小村さんご自身の今後の目標や展望について教えてください。

    直近の目標は、小中高生の方にも届くようにしたいです。彼女らは自分の責任ではないところで生理の貧困にコントロールされてしまう。保健室に取りに行けばいいというのではからかいやいたずらがあるかもしれないですよね。トイレの数だけオイテルが必要なわけですから、それに向けて頑張っていきたいですね。

    学生へのメッセージ

    社会課題解決に向けて学生ができること

    ――社会課題を解決するにあたって、私たちが協力できることは何でしょうか。

    例えば学生がオイテルを使って、その意見を言うこと。みんなの意見が聞けるのは僕たちにとっても財産になります。オイテルは生徒さんからの依頼で導入に至った前例もあるので、みんなの声は決して無駄ではないのです。

    学生へのメッセージ

    ――最後に、学生へのメッセージをお願いします。

    いろいろな人から話を聞くことで本当に視野が広がります。1人の考え方ってその人のアイデアでしかないじゃないですか。話を聞くことによって、新しい発見とか新しい見方があります。学生のうちにいろいろなことをやった方がいいというのは、そこで見聞きできるものがいっぱいあるからです。失敗してもいいから学生の時にいろいろな経験をする、見聞きすることで、アイデアにつながると思います。

    ――本日はご協力いただき本当にありがとうございました。

    取材を通して

    今回は、0からビジネスを作ることで社会課題の解決に取り組む小村さんから、その背景にある思いを聞くことができました。小村さんのお話は、当事者としての共感から社会課題解決へのアプローチ方法、ビジネスの築き方など、多様な視点から捉えることができました。

    私は今後、大学に限らず多くの人との関係を築き、いろいろな経験をしながら、自分自身が社会のためにできることを模索していきたいです。皆さんも小村さんの言葉にふれ、自身の思いや今後について何か考えるきっかけになれば嬉しいです。

    (執筆:福岡県立大学人間社会学部2年 宮岡七菜子)

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