「dodaキャンパス」を利用している企業の採用担当者は、学生のどのような資質を求めているのか? キャリアノートのどの項目を重点的に見ているのか? 就職活動をするみなさまにとっても非常に気になる話題ではないでしょうか。
今回は、かんぽシステムソリューションズ株式会社 人材管理統括部 人材開発グループ 採用チーム 安田幹彦さん(以下、安田さん)に、新卒採用で求める学生像、キャリアノート・エントリーシートでチェックするポイント、就職活動をする学生へのメッセージやアドバイスをお聞きしました。
求める学生像は、安定志向かつリーダーシップを発揮できる方
――まず御社の事業内容についてお聞かせください。
安田さん「社名のかんぽシステムソリューションズからわかる通り、親会社である株式会社かんぽ生命保険(以下かんぽ生命)のシステムを担当する会社です。ありとあらゆる保険業務の裏側で動いているシステムを提案・構築し、運用管理するのが我々の仕事です」
――現在、新卒採用で抱えている課題はありますか?
安田さん「当社はシステム関連の会社ですが、研修制度が充実していることもあってか、文系学生からの人気が高いです。それにより、近年では理系学生の応募比率が少しだけ減少傾向にあることが課題です。いろんなタイプの社員がいる、良いバランスにしたいと思っています」
――いわゆるIT系企業で、文系に人気があるのはすごいですね。求めている学生像について教えてください。
安田さん「当社は、学生から真面目で固い印象を持たれているようで、実際にその通りの部分もあります。なので、真面目にコツコツと努力できる学生だと当社に合うのではないかと思います。ベンチャー企業や外資系企業のように、完全に実力主義というわけでもありません。特に入社してからは、しっかりと基礎を学んでもらいます。まずはしっかりと基本から、という考え方を持っている学生ですね」
――安定志向の学生に応募してほしいということですか?
安田さん「安定志向でありつつも、チャレンジ精神やリーダーシップ、人を惹きつける魅力がある学生に応募してほしいですね。実際に積極性がある新人社員は活躍しています。研修部門や配属後の上長からも意欲があり、能動的な方は高い評価を受けています」
――真面目にコツコツできて、積極性のある学生、ですね。
安田さん「さらに挙げるとするならば、チームワークと社会貢献です。当社の業務は、どんな仕事でも必ずチームで動きますので、協調性は非常に重要です。さらに当社の業務は、日本全国にたくさんいるお客さまの生活基盤を支えている。そういう意味での社会貢献性。この点に魅力を感じてくれる学生だとうれしいですね」
採用担当者はキャリアノートやエントリーシートのここを見ている!
――御社が「dodaキャンパス」を活用する中で、学生のキャリアノートではどのあたりに注目していますか?
安田さん「当社は2019年の夏のインターンから利用させてもらっていて、キャリアノートでは、“真面目にしっかりと量を書いているか”を最初に見ていました。夏季インターンの時期なので、内容はまだ幼さが残っていたりしますが、量をしっかりと書いてあると、真面目だなと思いますし、早い段階から就職活動の準備をしているという2点で、良い印象を受けますね」
――内容よりも量ということですね。
安田さん「『dodaキャンパス』は、プロフィール完成度がパーセンテージで出ています。写真は恥ずかしいから載せていない、とか適性検査部分をまだやっていない、などの理由で100%になっていないケースは多いと思いますが、その程度なら許容できます。でも、プロフィールが2行しかないと、どうしても手抜きだなと思ってしまいます」
――写真はなくてもよいですか?
安田さん「もちろんあった方が良いです。でも、顔が写っている写真を必ず載せてほしいとは思いません。たとえば、サッカー部に所属しているのなら、サッカーボールの写真でも良い。伝わるような努力をしてくれているかどうか、ですね」
――キャリアノートではなくエントリーシートでも同じような見方をしますか?
安田さん「やはり就職活動への本気度が見えたり、しっかりと対策していたりする学生は好印象です。たとえば、まず自分の強みを出して、次に強みが伝わるエピソード、その中に苦労して達成した経験が含まれていて、最後にまとめがあると、よく作られているな、と思います」
――キャリアノートやエントリーシートに関して、学生にアドバイスはありますか?
安田さん「古い内容が書いてあるものよりは、最近のことが書いている方が印象に残ります。たとえば、『今まで最も努力したことは高校受験です』と書いてあると、高校入学後は何も頑張っていないのかな? と思ってしまいます。もちろん一番苦労したのはそこかもしれませんが、できるだけ大学のことや長年継続していることをアピールしたら良いと思います。」
視野を狭めずにチャンスを増やしていくことが重要
――夏季インターンシップはどのようなプログラムでしたか?
安田さん「2日間のインターンシップを5回開催しました。当社では、会社説明は2日間の最初だけで、残りはひたすらグループワークをしてもらっています」
――インターンシップでは学生のどういう点を見ていましたか?
安田さん「選考ではないので細かい評価はしていないのですが、独断的過ぎないか、かつ自分の意見を発言できているか、というポイントは見ていました。でもこれはできていて当たり前なことなので、プラス要素として、積極性、リーダーシップ、コミュニケーション能力をチェックしています」
――参加した学生のなかには、発信するのが苦手な方もいましたか?
安田さん「そういった学生も多いですね。でも積極性だけではなく、グループワーク中に自身の得意な分野で力を発揮できているかも見ています。たとえば、リーダーやファシリテーターが発言、進行する代わりに、全体の意見をまとめる書記の役目をやっているとか。積極性や協調性にもいろいろあるので、多角度で判断させてもらっています」
――「dodaキャンパス」を利用している学生から、「企業からオファーがたくさん届くと、企業や業界の選択、判断がしにくい」という相談があります。アドバイスをいただけますか。
安田さん「企業ごとに判断というよりは、業種ごと考えても面白いと思います。当社はIT業界の中でもSIer(システムインテグレーター)という業種になります。同じIT企業でも業種によって業務内容や仕事のやりがいはまったく変わってきます。ですので、オファーが来た企業を業種別にグルーピングして、ここのグループのインターンにはまだ参加していないな、などを判断したうえでオファーを受けるのも良いと思います。参加した後に気に入ったら、同じグループの中でまたオファーを受けてみようかなって」
――では、大学1〜2年生のうちに活動すべきことはありますか?
安田さん「個人的には1〜2年生から就職活動をしなきゃいけないとは思いません。しかし、就職活動時に語れるエピソードは絶対にあった方が良いので、“なにか”をやっておくことは重要です。アルバイトでも勉強でもなんでも良いので、継続するのがいちばんです。特に接客業は、コミュニケーション能力の向上におすすめです。過去に感心した方の例で挙げると、人と話すのが苦手だったから、接客業のアルバイトを2つ掛け持ちしたという学生がいました。礼儀作法を学ぶために結婚式場での接客と、明るいコミュニケーション能力をみにつけるために居酒屋を選んだと言っていました。実際にその学生は非常に良いコミュニケーションを取る方でした」
――それは素晴らしいエピソードですね。自己分析をして、課題をしっかり把握。経験を通して、コミュニケーション能力を長所に変えた。最後にこれから就職活動を始める学生にメッセージをお願いします。
安田さん「可能性はどこに落ちているかわからないので、視野を狭めないでほしいです。まずは忙しい合間を縫っていろいろな業界をみてみること。工業・生物系だからメーカーと決めずに他業界も見たり、文系もIT業界を選択肢に入れたり。当社でも文系からエンジニアになった社員はたくさんいますし、教職や研究開発職に就く予定だったけど、試しにインターンシップに参加したことで志望が変わり、結果として当社へ入社した方もいます。就職活動は、縁とタイミングがすごく重要なので、チャンスも増やすことが大事です」
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
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