文系学生はIT関連企業に就職するのが難しい……と決めつけていませんか?「そんなことはない」と断言するのは、バルテス株式会社 総務人事部 鈴木 綾一さん(以下、鈴木さん)です。
バルテス株式会社は、ソフトウェア品質を専門とする事業をおこなっており、その取り組みや実績は国際的な評価や認定もされています(後述)。IT関連企業の中でもより狭き門のように思えますが、同社は非常にユニークな新卒採用をおこなっており、文系理系などの出身に関わらず様々な方が活躍されていると鈴木さんは言います。
今回は、バルテス株式会社の鈴木さんと、広報・ブランディング部の新村 奈々さん(以下、新村さん)のお二人に同社の求める学生像や独特の選考プロセス、社風や研修制度、就活生へのアドバイスについてお聞きしました。
日本初の認定! 国内に限らない品質技術とノウハウが強み
ーーまず御社の事業内容を教えてください。
鈴木さん「ソフトウェア品質を専門にしている会社です。開発中のソフトウェアに対する製品テストからシステムテストに加え、品質向上のためのコンサルティングや技術教育などのトータルサポート事業をおこなっています。テストというとマイナスを0にするというイメージが一番つかみやすいと思いますが、コンサルティングは製品の付加価値を高めていく作業。この両面で、お客様が開発しているソフトウェアの“品質を磨く”ことが我々の役目になります」
ーー2019年5月にはマザーズに上場をされていて、毎年大きな成長を続けていますね。
鈴木さん「他社の追随を許さないノウハウを積み上げてきたことが当社の強みだと思います。当社は2004年に大阪で創業し、ソフトウェアテストの教科書もない状況からプロセスをノウハウ化しました。その後、東京、名古屋、福岡と拠点を広げていき、子会社の設立、フィリピンにも海外拠点を設立しました。2018年には、ISTQB(ソフトウェアテストに関する国際的な資格認定機関)のパートナーシップの中で最高ランクにあたる『グローバルパートナー』に認定されています。現時点でこの認定を受けているのは、世界で9社のみ。日本では当社だけです」
ーーソフトウェアテストの分野で世界レベルの評価を受けているということですね! どのような社風のもと、どのような方が活躍されているのでしょうか?
新村さん「誠実で、真摯に向き合ってくれる方が多いです。ソフトウェアテストという事業は、世の中に製品がリリースされる前の“最後の砦”ですので、非常に重要な役割です。ICT社会においてソフトウェアの不具合は、世の中に大きな影響を及ぼしてしまいます。自然と、目の前の製品に向き合う誠実さが求められますし、そういった方が活躍していますね」
鈴木さん「とても風通しが良く、人を大事にする社風です。新入社員の提案が、翌年の新制度に繋がることもあります。自分たちが会社の未来を作っていく、そんな実感を持てる風土だと思っています」
ーーちなみにお二人がバルテス株式会社に入社した決め手はなんでしょうか?
新村さん「上場企業でありながら、挑戦していく社風に惹かれました。最初はソフトウェアテストに対してイメージが湧きませんでした。しかし、コミュニケーションを重ねるにつれて、IoTの普及で家電や人の命に関わるような医療製品にもソフトウェアが使われていて、社会的意義の高い仕事だとわかってきました。でも、まだまだ世の中の認知度が低い。もっともっとこの仕事を知ってもらうために仕事がしたいと思い、入社を決意しました」
鈴木さん「僕の場合は、リファラルで入社しました。最初はアルバイトで新卒採用のお手伝いをしていましたが、仕事をしているうちにこの会社の成長を支えているのが“人”だと実感するようになってきました。本当に誠実で真摯に仕事に向き合っているメンバーばかり。この会社の大黒柱である“人”を支える人事にもっとコミットしたいと考えていたときに、正式にオファーをいただいたので、翌日にはハンコを押しました(笑)。人が決め手ですね」
選考は心の底から「入りたい」と思ってもらうまでのコミュニケーション
ーー御社を選考する学生に共通点はありますか?
鈴木さん「情報系の学校や学部でも、品質やテストという分野を扱っている授業は少ないんです。そのため、入社タイミングで習っていないことを仕事にしていくという意味で、スタートラインはみんな一緒。そのため、文系理系情報系という区別がなく、色んな学生の方にご興味を持っていただいています。ここ3年の新卒入社の男女比は半々で、人材も非常に多様ですね」
ーー「doda キャンパス」のキャリアノートで注目している項目はありますか?
鈴木さん「プロフィールは大前提として見ていますが、経験欄や写真に注目しています。我々の業務内容は、“縁の下の力持ちタイプ”。トッププレーヤーとしてプレーをするというよりは、全体を俯瞰して見ることのできるタイプがフィットすると思っています。そういう点が経験や自己PRに書かれていると良いですね。あと、社会貢献度の高い仕事がしたい方や、希少価値の高い人材になりたい方などでしょうか」
ーーでは、採用時に大切にしていることや求める学生像はありますか?
鈴木さん「バルテスの人事として一番大切にしているのは、入社がゴールではなく、入社後にお互いが幸せでいられるかどうかです。当社の特徴のひとつだと思いますが、選考内容やプロセスはかなり流動的で、これといった決まりを多くは設けていません。一次選考、二次選考の内容も固定していなくて、一人ひとりの就職活動の状況や学業にも考慮しながら、選考の順番も変えています。それから、選考のすべてに合否を付けてはいないんです」
ーーそれはどうしてですか?
鈴木さん「同じような面接を何回も繰り返すことに価値を見出していなくて。入社後に互いに『選んでよかった』と思えるには、選考というより、互いの理解を深めるための期間が必要だと考えています。バルテスのことをもっと知りたいということであれば、次の選考にご案内するといったイメージです。昨年の選考期間は、最長は約1年、最短は1か月とかなり差があります」
ーー選考プロセスや期間を統一せずに、個人それぞれに合わせるのは大変ですね。
鈴木さん「何度かやり取りをした後に、『他社の面接があるので、3か月後くらいに進みたい』という学生の方もいらっしゃいますよ。僕も現時点で当社に入社する決め手がないのであれば、『3か月間就職活動をして、色々な企業と会ってみて、それでもうちに興味があればもう1回来てほしい』とお伝えしています。就職活動で学生が悩むのは当たり前です。すぐに決められない方もいます。3か月後にやっぱり選ぶなら当社だと思っていただけたら、それで十分ではないでしょうか。特に、当社の事業内容を理解していただくには時間がかかりますから」
新村さん「学生の方も就職活動は大変なので、様々な悩みを抱えています。面談でも鈴木がその悩みを聞いて解決することもあり、面談終了後に涙を流している学生の方も多くいます」
鈴木さん「よく社長にも、『また泣かせたのか』とからかわれます(笑)」
ーーとにかく“人”ですね。求めている学生像は、決まったものがあるわけではなく、コミュニケーションを通じて互いに理解し合えるかを重要視されているということですね。
研修制度が充実!みんなと一緒に自由にキャリアパスを描きたい!
ーー興味を持った学生と、1対1でコミュニケーションを重ねていく手法は新鮮ですね。一方で、IT業界やソフトウェアテストに挑戦することに不安な学生もいるかと思います。
鈴木さん「そのハードルを下げることが我々の仕事だと思っています。インターンシップでもよく話しますが、社員向けの研修やセミナーが充実しているので、きっかけは興味だけでも大丈夫。他社にない当社の強みとしては、社員が講師を務めるセミナーが多く用意されていることです」
新村さん「当社では教育事業のサービスもおこなっており、企業様にテスト・品質教育の提供もしております。そのサービスと同レベルの高品質な内容を、社員は無料で受けられます。セミナーの種類も最新の情報技術、資格取得の対策講座からパワーポイントの使い方まで本当に豊富です。全講座合わせると80時間以上のプログラムが用意されているので、常に学びがあります」
鈴木さん「このセミナーはニーズに合わせて、常に進化しています。内定者からも『入社後にこういうセミナーがほしい』というリクエストもあり、キャリアパス自体は決まったレールがあるわけではなく、社員と一緒にやりたいことを実現していく方針をとっています」
ーー教育・育成の体制はとても充実しているので、文系の学生の方も安心ですね。ソフトウェアテスト業界全体の魅力についてはいかがでしょうか?
鈴木さん「ソフトウェアテストと聞いてもピンとこない方が多いと思いますが、あらゆる業界がどんどんデジタルトランスフォーメーションしており、スマホや家電はもちろん医療製品やキャッシュレスなど当社が関わる領域は幅広くなっています。当社の各業界に特化したノウハウをもって、世の中の“当たり前”を支える仕事に携われるのは、大きな働きがいになると思います」
新村さん「IT市場が15.5兆円、ソフトウェアテスト市場が占めるポテンシャルは5.5兆円と言われています。しかし、現在はまだソフトウェアテストや第三者検証の重要性が認識されておらず、テストを外部の専門企業に依頼しているのはまだ数パーセント程度です。しかし、IT化が進むにつれて、この数字は伸びていくと考えています」
ーー最後に御社への応募を検討している学生に向けてメッセージをお願いします。
新村さん「就職活動は色んな会社があって、どんな基準で決めたら良いのかなと迷うこともあると思いますが、固定観念にとらわれずに色んな会社を見てほしいです。さらに就職活動は楽しいということを伝えたいです。人生の中で、こんなに様々な企業を深く知れるチャンスはありません。社会人になるとなかなか多くの企業と接点は持てないですから。楽しみながら、色んな企業を見て、その上でバルテスが良いなと思ったら、ぜひエントリーしてください」
鈴木さん「就職活動は、長く辛く大変なものというイメージもあると思いますが、前向きに考えながら行動し大きく成長していただきたいです。企業から内定をもらうまでの時間が就職活動ではありません。自身の理想像や叶えたい夢のために必要な企業を選んでいく、という考え方のもとに取り組むと良いと思います。自分の想いを持ち続けることが就職活動の一番の成功のカギではないでしょうか。あとは、就職活動中に企業から与えられる情報は、全体の5割程度だと考えておくといいかもしれません。人事も採用担当者も広報も会社のPRをするプロですので、課題や問題点は基本的にPRしません(笑)。ですので、自分の観点や言葉でそういうものを知っていかないと、結果的に入社後のギャップは自分たちが作りだしてしまうことになる。だからこそ遠慮しないで、積極的に質問していく。聞きづらいことを聞くのが選考の時間だと思っていけば、より自分たちにとっても達成感のある選考の時間になるのではないでしょうか」
ーー本日はお忙しいところ、ありがとうございました!
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