プロフィール
モデレーター
株式会社東芝 広報/ワークショップデザイナー
大学卒業後、新卒で東芝に入社。工場および研究所での総務業務を経て、現在はコーポレートコミュニケーション部で広報業務に従事している。副業でスタートアップの広報PRも担当。
社内有志活動のほか、大企業55社の若手・中堅社員を中心とした実践コミュニティ「ONE JAPAN」の活動も行う。
"変える"と"伝える"をテーマに、モデレーターやワークショップの設計なども手がけている。
登壇者
株式会社MaVie 代表取締役
東京都出身。社長秘書を経て上場企業からスタートアップまで様々な企業で経営企画・広報に従事。企業規模に問わずジェンダー問題を深く感じ、2015年に将来の育児期を見据えて独立しリモートでのコンサルティング事業を立ち上げる。
独立三年目で妊娠・出産を経験し、2019年に株式会社MaVieを創業。ブランディングや戦略コンサルティングの支援を行う傍ら、働く女性を取り巻く社会課題の解決を目指したコミュニティ運営やオンラインラーニングの提供を行う。ブランディングやコーチングのメソッドを取り入れた「自分らしさ」を明確にする独自のカリキュラムは幅広い女性に支持されている。
登壇者
株式会社コスモスイニシア人事/一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム社会資源prj/キャリアコーチ
新卒で(株)コスモスイニシアに入社後、経営者に向けた資産運用のコンサルティングを担当。その後人事部へ異動、新卒・中途採用責任者として、年間150名以上のキャリア面談を実施。採用のみならず育成企画・研修運営・文化醸成等、人材開発領域に幅広く携わる。
更に、(一財)地域・教育魅力化プラットフォームにてインターナルコミュニケーションデザイン及びキャリア支援(中~大学生)、個人事業主としてパーソナルコーチング(20~40代)・リーダーシッププログラムの開発提供など、“自分らしく生きる人を増やす”をテーマにパラレルに活動中。今年1月に第一子を出産、育休を取得しながらも自分らしい育児と働き方に挑戦中。
※本記事は2021年9月29日にオンラインで開催された「女子大生必見!ワークとライフを両立し、自分らしく働くには?」のイベントレポートです。
結婚・出産・育児など、ライフイベントによって影響を受けやすい女性のキャリア。さらには、新型コロナウイルスの影響で、社会全体で働き方が多様化しています。これからの時代、自分のキャリアをどう選択していくべきか不安を抱えている女子学生さんも多いのではないでしょうか?
本イベントは、モデレーターとして、株式会社東芝の竹中さん、登壇者として株式会社MaVie代表の志賀さん、株式会社コスモスイニシア人事の有田さんをお招きし、これからの女性のキャリアや、女性の働きやすさを見極めるポイントなどを語っていただきました。
本記事の最後には実際のイベント動画も掲載していますので、ぜひご覧ください。
目次
ワークとライフを両立し、自分らしく働くには?
トークセッションでは、女性のキャリアを考える上で知っておきたい質問を用意。
独立後、ブランディングや戦略コンサルティングの支援を行う傍ら、ミレニアル世代の働くママ向けナレッジシェアコミュニティや講座を運営する志賀祥子さん、企業の人事・副業・子育てを両立し、自分の「やりたい」を実現しながら働くパラレルワーカーの有田直子さんに、キャリアの考え方や必要なスキルについて語っていただきました。
復職後・コロナ禍…働き方が変化したタイミング、どう乗り越えた?
(竹中)お二人とも、育児などのイベントでさまざまな働き方の変化があったかと思います。どのような工夫をしましたか?
(有田)今年の1月に、第一子を出産しました。現在の働き方としては、正社員として働いている人事のお仕事は育休中で10月から復帰予定、複業で行っているパーソナルコーチングや中高生のキャリア支援は出産後1か月で復帰しています。
夫にも協力してもらいながら、毎日3~4時間ほど子どもが起きる前や寝た後の時間で仕事をすることで育児と仕事を両立しています。
一番意識しているのはメリハリですね。
育児中に仕事やメールが気になることもありますが、子どもといるときは一切パソコンを開きません。逆に子どもが寝た後は集中できる環境を整えられるよう、夫にも事前にお願いしています。
また、自分の状況を仕事相手にしっかり伝えておくことも大事にしています。
「自分は何時から何時まで働ける」「こういう風な仕事の進め方は難しい」などを、いつも以上にこまめに職場やクライアントに伝えています。実は中高生のキャリア支援は拠点が島根にある会社なので、一度も訪問したことがないんです。コロナ禍で会いづらい分、コミュニケーションをより密にすることを心がけています。
(竹中)復職後はどのように働く予定ですか?
(有田)自分が働いている会社では「出社は義務ではなく、権利である」という考え方を採用しています。私は会社が大好きなので、週に何回かは社員に会いに行きたいと思っています。選択ができるのは、非常にありがたいと感じますね。
(竹中)志賀さんはいかがですか?大企業やスタートップ、フリーランスも経験された目線で教えていただきたいです。
(志賀)制度があっても環境などの要因で退職せざるを得ない先輩を目の当たりにしてきていたので、若い頃から育児と仕事の両立に漠然とした不安がありました。
そうした背景から、結婚後に独立し、将来の子育て期に時間と場所に囚われない働き方ができる環境をつくることを決意し、今に至ります。独立後に出産したので、産後1か月から自分のできる範囲から自分のペースで復帰しました。
事業の中で働く女性のコミュニティも運営しているのですが、そこではコロナ禍で出産した方、育休復帰したら会社がフルリモートになっていた方、また雇い止めにあった方など、さまざまな話を聞きます。
中には、コロナ前だと時短勤務をしていたけれども、在宅勤務になったことでフルタイムで働けるようになった方、旦那さんも在宅になったことで両立しやすくなった方など、プラスの影響を受けている人もいます。本当に人それぞれですね。育児と仕事の両立を考えて理想の働き方ができる会社に転職する方など、コロナ禍でキャリアを見つめ直している人も多いです。
長く働き続けるために、どんな働き方の選択肢がある?そのために必要なスキル・考え方は?
(竹中)さまざまなキャリアの選択肢を選べるようにするために、どんなスキルを磨くべきでしょうか?
(志賀)「ハードスキル」と「ソフトスキル」両面が必要だと考えています。
ハードスキルは、仕事を通じて身につくスキルです。一方でソフトスキルは、職種や業種に関係なく、どんな仕事でも意識することで身につく力です。コミュニケーション能力や現場の適応力、自走力などが当てはまります。「在宅勤務をしたい」という思いは、働く手段であって目的ではありません。自分がどんな仕事をしたいか考えたとき、自分にはどんなハードスキルとソフトスキルが必要か、逆算してみるといいのではと思います。
(有田)志賀さんがおっしゃる通り、「何のために仕事をするんだろう」「自分の人生どうしたいんだろう」とそもそもの問いを投げかけることが、主体的なキャリアを選んでいくうえで大事だと思います。
(竹中)有田さんは現在のパラレルキャリアに行きつくまでにどんな苦労がありましたか?
(有田)私はすごく欲張りなので、やりたいことがどんどん増えていくんです。今の自分を見つめ直して未来を考える時間を定期的に取るようにしています。やりたいことが複数あるときは、自分の心に「どれがワクワクするんだろう」と聞くようにしています。
(竹中)自分が何をしたいかを考えるソフトスキルが大事になるんですね。このスキルを高めるためにはどうしたらいいのでしょうか?
(志賀)まずは簡単でいいので、自分の得意なことやよく人に褒められること、逆に苦手なことややりたくないことを書き出してみるといいと思います。
(有田)私の場合は、就活の時に出会った人事の方や社会人、友人などに自己分析を手伝ってもらいましたね。人と関わる中でブラッシュアップしました。
就職活動で女性の働きやすさを見極めるポイントは?面接でどう質問する?
(竹中)有田さんは、面接官側の経験もありますよね。女性の働き方に関する聞きづらい質問はどのように聞いたらいいでしょうか?
(有田)面接の場は、就活生・会社の双方がの相互理解を深めることが一番大切だと思うので、モヤっとした状態のままにせずに、納得するまで確認したいことは確認すべきだと思います。
私自身、面接や面談をするときには、なんでも聞いて欲しいと思っているのですが、就活時代は、踏み込んだ質問にあまり反応がよくない会社も出会いました。そういった面接官から聞きづらい時には、社員に会わせてもらって実態を確認するのも1つの方法だと思います。
そしてもう1つは、選考に進まないこと。振り切った考え方ですが、そもそも面接のときに踏み込んだ質問を嫌がったり、“規則”などを理由に向き合うことを止める会社は、入社後も何かあれば色々な理由を付けて人と向き合うことを避ける文化のある会社だと判断していましたね。
(志賀)私も有田さんと同じで、絶対に聞くべきだと思います。また、制度や実績がある場合も、どんな部署でどんな役職でどんな仕事をしている人なのか、もっと深堀して聞いてみるといいですね。というのも、取得しやすい部署とそうでない部署があるかもしれない。制度があってもなかなか活用できないこともあるようです。取得率だけでなく、復帰率も1つの指標として聞いてみるのも良いと思います。
(有田)復帰率は非常に大事ですね。育休を取得しても戻りたくないような会社だといい会社とは言えません。会社のリアルを知るために一番いいのは、育児をしている女性社員に会わせてもらうことだと思います。
(竹中)そういった女性社員の方を紹介してほしいと面接の場で伝えてもいいですか?
(志賀)いいと思います。女性活躍といっても管理職だけが全てではありません。色々なモデルケースを知ることができるといいですね。
(竹中)中には、「よくぞ聞いてくれた」とアピールしてくれる会社もありそうですね。とはいえ、実際に育児のタイミングになってみないと分からないことも多いと思います。そのイベントが来る前に、準備できることはありますか?
(志賀)想像できない部分は大きいですよね。私の場合、2パターン考えていました。仕事をセーブする選択肢と、今まで通り働く選択肢です。両方を考えておいて、自分の今の気持ちと向き合う中で、その時に舵を切る。すべてが予定通りになることはないので、いろんなパターンを妄想しておくといいと思います。
(有田)就活の段階で、ワークライフバランスを両立した事例の多い会社を選ぶのは、立派な準備だと思います。とはいえ入社してからもいろいろありますし、産む前と後で考え方も変わります。
私自身も、子どもを前にすると愛おしいけれども、仕事もやりたいという葛藤が出てきました。葛藤が起きたときに相談できる相手をつくっておくのが大事だと思います。私の場合は夫や友人、コーチに定期的に自分の内側を話す時間を設けています。
(竹中)自分がどうありたいかを考えるためにモデルケースを調べることも大事だと思います。どうやって情報を集めたらいいのでしょうか?
(志賀)今の時代、雑誌でもWEBでもSNSでも、いろんな情報が得られます。逆にその情報に左右されないことも大事だと思います。あっちのほうがいいかもと、モヤモヤして不安になってしまうからです。自分と向き合う時間を取ったり、第三者と話したりなどして、自分の軸を持って情報を集めるべきだと思います。
(有田)就活を進めていくと多くの企業や人事に出会い、「結局、自分は何をしたいのか」を見失っている就活生も多いように思います。どの会社もいいことを伝えるし、決められないのも無理はありません。そのためにも、自分の確固たる軸を持って話を聞く。万人に良い会社は絶対にないので、自分にとっていい会社かの視点で考えるべきだと思います。
質疑応答
トークセッションの後は、参加学生からの質問にお答え頂きました。
Q.コミュニケーション能力を高める方法を教えてください。
(志賀)私の場合は、社長秘書をした経験が生きています。忙しい社長がすぐに物事を判断できるように簡潔なテキストコミュニケーションを経験積してきました。仕事の中で身につけましたね。
本を読むのも大事ですが、実際にやってみないと分からないことも多くあります。メールで返信するときに相手のことを考えて一言添えるなど、できることからやってみてはいかがでしょうか。
(有田)コミュニケーションとは、相手目線と伝え方だと思います。仕事で身につくこともありますが、企業文化も一つの要素です。
たとえば私の所属している会社では、お客様がどう思っているのかを相手視点で考えること、相手に伝わりやすいように伝え方にこだわることを大事にしており、常にそういったトレーニングができました。学生のうちは、面接や友達との会話など、相手目線と伝え方を常に意識してみるといいかもしれません。
Q.仕事の中で「女性であること」で悩んだことはありますか?
(志賀)たくさんありました。実績を出しても「やっぱり女性だからだよね」と見られたり、既婚者というだけで「好きなことだけやっているんでしょ」と見られたり。会社員でも独立しても「女性」という固定観念があることは、未だに感じますね。。
でも私の場合は、そのときの悔しさがモチベーションになりました。「女性活躍」という言葉がなくなるくらいに、当たり前の社会にしたいですね。
とはいえ、企業文化にもよります。女性が多い職場だと「感じたことがない」という方もいます。そこも企業選びの軸の一つになると思いますね。
(有田)悩んだことはないですが、区別を感じたことはあります。私は新卒1年目で、不動産の営業を担当しました。今は女性営業マンも増えてきましたが、当時は男性社会だったので、舐められてしまっているように感じることも正直あったと思います。ただ逆に、女性だからできることが生かせる場でもあると考えたんです。たとえば誕生日を覚えておくとか。ポジティブに捉えて、その違いで勝負しました。
Q,全国転勤があるような会社だと結婚、出産、子育てが難しいのではないかと感じていますが、実際はどうですか?
(有田)私の勤める会社も転勤はありますが、本人の意向なしで決まることはほとんどありません。ただ、全国転勤があって、どこにいくか分からない会社はたくさんあるのは事実です。出産や結婚などのタイミングで相談できる会社なのかは意識してみてもいいかもしれません。
(志賀)
いろんな場所でいろんな経験ができるのは独身時代だけです。100%自分に時間が使える時期に、海外や地方で働くことに抵抗がないのであれば、チャレンジしてみてもいいと思います。将来の結婚や出産のタイミングで、次の選択肢を考えるのも遅くありません。今だから挑戦できることを考えてみるといいのではないでしょうか。
Q.就活する時にどのような軸で選びましたか?業界を絞るべきでしょうか?
(有田)はじめの頃は、人材と教育業界に絞った就活をしていました。ただ内定が出た後に、自分の知らない業界を一切見ずに就活を終えてしまうことに疑問を感じて。悩んだ末、その会社で何を得られて、どんな人生になるのかを重視し様々な業界の会社を受けました。
この業界でやりたいという確固たる思いがあるならば、業界を絞るのも一つの手だと思います。私のように“やりたいこと”にこだわりがない人は、自分の軸に照らし合わせるのも手ですね。
Q.お二人の職場に結婚していない女性社員はいらっしゃいますか?結婚していない働く女性についてどうお考えか知りたいです。
(志賀)もちろんいます。ビジネスにおいて、結婚や子どもの有無は関係ないと思っています。
(有田)普通にいますよ。それぞれが自分の人生を生きているのだから、他人が良い・悪いを判断するものではないと思います。それらの選択肢は否定されることではないし、その選択に対して一緒に考えてくれる文化がある会社を探していけばいいと思います。
まとめ
育児をしながら仕事を両立するお二人から生の声をいただけた本イベント。
参加した学生からは、「女性ならではの視点で仕事とプライベートの話を聞けて参考になった」「自分のやりたいことの軸を今からじっくり考えたい」などの意見をいただきました。
本記事を参考に、学生生活・就職活動に役立てていただければ幸いです。
イベントレポートに書ききれなかった皆さんの気になるエピソードが盛り沢山!ワイワイと盛り上がったイベントの様子もお楽しみいただけます。
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