就活準備の一つとして重要だといわれる業界研究。
しかし、「業界って業種と違うの?」「業界にはどんな種類があるの?」と、疑問に思う方もいるのではないでしょうか?
本コラムでは、業界の意味やその種類、志望業界の決め方まで詳しく解説。あなたに合った業界を見つけ、就活の第一歩を踏み出しましょう。
目次
業界とは?業種・職種との違い

「業界」とは、企業や事業者を「製造」「金融」といった事業領域によって大きく分類したものです。
「業界」と似た言葉に「業種」「職種」がありますが、意味は大きく異なります。就活を行う上で必ず知っておくべき用語となりますので、しっかりチェックしておきましょう。
業種との違い
業種は「業界」を事業内容によって、より細かく分類したものとなります。例えば、金融業界の中には銀行業や証券業などの業種が包括されるイメージです。
経済産業省の「日本標準産業分類」では、産業を「大分類」、「中分類」、「小分類」、「細分類」の4段階に分けています。このうち、大分類が「業界」、中分類が「業種」と理解するとよいでしょう。
職種との違い
職種とは「個人が担当する仕事内容(≒職業)」を指します。業界・業種が企業の役割を示すのに対し、職種は個人の役割を示すと考えるとイメージしやすいでしょう。
そのため、さまざまな業界・業種に同じ職種が存在します。営業職、技術職、研究職、企画職は、多くの業界に存在する職種の代表例です。
ただし、同じ業界・業種だとしても、企業や職種が異なれば仕事内容は変わります。入社後に「こんなはずじゃなかった!」とならないよう、職種についても事前に研究を進めましょう。
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業界研究に役立つ!業界一覧

業界は下記8つに分類することができます。
業界一覧
- 商社
- 製造
- 金融
- 小売
- サービス、インフラ
- マスコミ
- IT、通信
- 公務
本項では、それぞれの業界について代表的な業種と業務内容を紹介します。興味のある業界を見つけ、より詳しく研究してみましょう。
1.商社業界
商社は、サービスの売り手と買い手を仲介して販売する業界です。国内外問わずさまざまな企業とやり取りを行い、多様な製品・資源を取り扱います。一般的に自社で商品は製造せず、各国のメーカーなどから商品を仕入れ、企業や消費者に販売します。
■ 代表的な業種
商社は、取り扱う商品の幅広さによって「総合商社」と「専門商社」に分類されます。総合商社は「ラーメンから航空機まで」と例えられるほど、幅広い商品を取り扱う商社です。一方、専門商社では、鉄鋼・化学品・食品・繊維といった特定の分野に特化した商品を取り扱います。専門商社は、専門性の高い知識やノウハウが強みです。
■ 業務内容
商社業界の仕事は、トレーディング(貿易取引)と事業投資の2つに大別されます。トレーディングとは、国内外のメーカーから商品を仕入れ、企業や消費者に販売することです。事業投資とは、将来的に利益が見込まれる事業に資金を投じ、事業の成長を支援することを意味します。
■ この業界を目指す方へ
特に総合商社を目指す場合は、グローバルな視野と高い語学力が求められます。海外企業との交渉や海外駐在の機会も多く、異文化への適応力も重要となるでしょう。商社業界は「世界を舞台に活躍したい」「若くして大きな仕事に挑戦したい」という方に向いている業界といえます。ただし、海外赴任や出張も多くなりやすいため、体力面・精神面での「タフさ」も求められることは知っておきましょう。
製造業界(メーカー)
製造業界(メーカー)とは、原材料を加工して製品を製造・販売する業界です。私たちの身の回りにあるさまざまな製品がメーカーによって作られています。
■ 代表的な業種
自動車メーカー・電機メーカー・食品メーカー・化学メーカーなどが代表的な業種です。これらのメーカーは、それぞれ専門的な技術やノウハウをもとに、他社と差別性のある製品を製造しています。
■ 業務内容
メーカー業界の仕事は、製品の企画・開発・製造・販売・アフターサービスなど、多岐にわたります。技術系の職種では、製品の研究開発・設計・品質管理・生産技術などが主な仕事です。事務系の職種では、営業・マーケティング・人事・経理などが主な仕事となります。
■ この業界を目指す方へ
メーカーでは、ものづくりを通じて社会に貢献できることが大きな魅力です。この業界で働く人々には、専門的な技術や知識だけでなく、ものづくりへの情熱やこだわりが求められます。「自分のアイデアや技術で新しい製品を生み出したい」「ものづくりを通じて社会に貢献したい」という人におすすめです。
3.金融業界
金融業界は、金銭の貸し借りや運用・株式取引や保険など、金融サービスを提供する業界です。
■ 代表的な業種
金融業界の代表的な業種は、銀行・証券会社・保険会社です。近年では、フィンテックと呼ばれる、金融とITを融合させた新たなサービスも登場しています。スマートフォンを用いた送金などが身近な例です。
■ 業務内容
金融業界の仕事は、お金に関する専門知識を生かして、顧客のニーズに応えることです。
銀行:個人や企業への融資、資産運用のアドバイスなど
証券会社:株式などの金融商品の提案営業、マーケットの分析など
保険会社:保険商品の提案営業、保険金の支払いなど
■ この業界を目指す方へ
金融業界はお客さまから大切なお金を預かる仕事であるため、正確性や誠実さが大切です。また、法改正や規制変更が多く、常に学び続ける姿勢も必要となります。経済の仕組みに興味がある人は、ぜひ検討してみてください。

4.小売業界
小売業界とは、メーカーや卸売業者から商品を仕入れ、消費者に直接販売する業界です。私たちの日常生活に欠かせない存在であり、消費者のニーズに応えるため、多様な業態が存在します。
■ 代表的な業種
百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア・専門店が代表的な業種です。業種により、カテゴリーをまたいだ幅広い商品ラインナップ・日用品特化・24時間営業による利便性・特定分野に特化した商品など異なる強みを持っています。
■ 業務内容
生活の中で接することが多い、接客・レジ打ち・陳列などを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、こればかりではありません。商品の仕入れ・在庫管理・プライベートブランド(PB)商品開発など、職種ごとにさまざまな業務を行います。例えば「バイヤー」という職種は、売れ筋商品を見極め、仕入れを行うことが主な仕事です。
■ この業界を目指す方へ
小売業界は「人々の生活を豊かにする商品やサービスを提供したい」「お客さまと直接関わる仕事がしたい」という方におすすめです。ただし、店舗の販売員はシフト制が多いため、勤務時間が不規則になりやすい点は理解しておきましょう。
5.サービス・インフラ業界
サービス・インフラ業界は、人々の生活を支えるサービスや社会基盤(インフラ)を提供する業界です。なお、インフラとは、産業や生活の基盤となる施設や設備を指します。
■ 代表的な業種
運輸・エネルギー・ホテル・旅行・人材・教育・コンサルなどが代表的な業種です。この業界は非常に広い業種が含まれるため、業種ごとに仕事内容が大きく異なります。
■ 業務内容
・運輸業:鉄道・バス・航空・海運など、人やモノの移動に関わる業務
・エネルギー業:電力・ガス・石油などの供給
・ホテル業:チェックイン・チェックアウト対応、客室の清掃、宴会場の運営、宿泊プランの企画など
・旅行業:旅行商品の企画、仕入れ、販売、ツアー同行、旅行プランの提案、航空券・ホテルの手配など
・人材業:人材紹介、採用活動代行、求職者のキャリアカウンセリング、スキルアップ支援など
・教育業:学習塾では、生徒の学力向上のため教科指導や進路指導を実施し、予備校では、大学受験対策に特化した指導や模擬試験の実施、進学情報の提供などを行う
・コンサル業:経営コンサル、ITコンサルなど支援する内容によって細かく分けられ、企業の戦略立案・業務改善・システム導入支援などを行う
■ この業界を目指す方へ
サービス・インフラ業界は社会を広く支える仕事が多いため、人々の暮らしを基板から豊かにしたいと考える方にとって魅力的でしょう。一方、保守管理や営業・企画など非常に幅広い職種があるため、職種研究も念入りに行うことが大切です。
6.マスコミ業界
マスコミとは「マスコミュニケーション」の略称であり、大衆に対して情報を伝達する手段を意味します。マスコミ業界は、世論形成に大きな影響力を持つため、公正・公平な報道や情報発信が必要です。
■ 代表的な業種
主に、新聞・テレビ・ラジオ・出版・広告の5つに分類されます。
■ 業務内容
情報を取材・編集・発信することが主な業務です。例えば、新聞記者は事件・事故・政治・経済などについて取材や執筆を行い、テレビ局のディレクターであれば、番組の企画・制作・演出などを行います。
■ この業界を目指す方へ
マスコミ業界で働く人々には、情報への高い感度・取材力・表現力が求められます。「情報発信を通じて社会に影響を与えたい」「クリエイティブな仕事がしたい」という人に向いている業界といえるでしょう。
7.IT・通信業界
IT・通信業界は、コンピューターやインターネット、通信技術などを活用して情報サービスを提供する業界です。近年では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)といった新技術の登場により、大きな変革期を迎えています。
■ 代表的な業種
IT・通信業界の代表的な業種は、ソフトウェア・ハードウェア・インターネット・通信・情報処理サービスなどです。
■ 業務内容
プログラミング・システム設計・ネットワーク構築・データ分析などが主な業務です。システムエンジニア(SE)は顧客の要望に合わせて、情報システムの設計・開発などを行い、ウェブデザイナーは、ウェブサイトのデザインやコーディングなどを実施します。
■ この業界を目指す方へ
この業界は技術進化のスピードが非常に速いため、常に新しい技術を学ぶ向上心や変化適応力、柔軟性が重要です。「最先端の技術に触れながら世の中を便利にする仕事がしたい」という方にとって、非常にやりがいを感じる業界でしょう。

8.公務業界
公務業界とは、国や地方公共団体などで公務を行う職員が働く業界です。公務員は「全体の奉仕者」として、公共の利益のために働きます。
■ 代表的な業種
公務業界は大きく、国家公務員と地方公務員に分けられます。
■ 業務内容
国家公務員:外務省・財務省・経済産業省・厚生労働省といった国家機関で、政策の企画・立案などを実施
地方公務員:都道府県庁や市区町村役場などで、戸籍関連業務・福祉サービスの提供・地域のインフラ整備といった地域住民の生活に密着した業務を実施
■ この業界を目指す方へ
公務員には「全体の奉仕者」としての高い倫理観と責任感が大切になります。「国と直接かかわる仕事がしたい」「地元の市町村区を良い街にしたい」という方におすすめです。「公務員」と一言でいっても、一般行政職・技術職・公安職などさまざまな職種があります。公務員試験の入口もそれぞれ異なりますので、興味がある方は詳しく調べてみましょう。
志望業界の見つけ方
あなたに合った業界を見つけるためには「自己分析」と「業界研究」を深めることが何よりも大切です。ここでは、これらが大切な理由や具体的な実施方法について解説します。しっかりと確認し、自分に合う業界を見定めていきましょう。
自己分析を行う
自己分析が不十分なまま業界を選んでしまうと、入社後に「思っていた仕事と違った」と後悔する可能性があります。厚生労働省の調査によると、大学卒の3年以内離職率は30%以上であり、3人に1人が3年以内に辞めていることに……!ミスマッチを防ぐためにも、自己分析を通じて、自分自身を深く理解することが大切です。
自己分析の方法としては、自分史やモチベーショングラフ、ナビサイトの活用などがあり、それぞれ異なる利点を持っています。これらの方法を複数組み合わせて自己分析を行うことで、自分自身を多角的に理解することが可能です。
とはいえ、自己分析には多くの時間がかかります。「簡単に強みを分析してみたい……」という方はベネッセ独自の適性検査「GPS」がおすすめ!ストレス耐性やリーダーシップなど、 たった10分で自分では気づかなかったパーソナリティーや強みを知ることができます。
自己分析を通じて明らかになった「強み」や「価値観」をもとに、志望業界を検討しましょう。例えば「創造性を発揮して新しいものを生み出すことが好き」な人は製造業界が向いているかもしれません。自己分析の結果を参考にしつつ、視野を広く持って志望業界を決めましょう。

業界研究を行う
業界研究を十分に行わずに就職活動を進めてしまうと、自分に合った業界を見逃してしまう可能性があります。また、業界研究は、企業の事業内容や、仕事内容への理解を深める上でも重要です。業界全体の動向を理解することで、個々の企業の位置づけや、強み・弱みをより深く理解できるでしょう。
業界研究を行う際は、業界地図や業界団体のホームページ、新聞などから得られる業界のニュースやナビサイトなどの活用がおすすめです。業界ごとの動向や求められる人物像について広く研究したいときはdodaキャンパスの「業界研究ファイル」を確認しましょう。
IT業界やメーカー、建設や流通など、さまざまな業界の詳細が分かる資料をダウンロードできます。興味がある業界から情報を整理してみるとよいでしょう。

自分に合った業界を見つけて納得できる就職をしよう
就職活動では、世の中にどのような業界があるのかを知り、自分に合った業界を見つけることが大切です。
業界選びでは、まず自己分析を行い、自分の強みや価値観を明確にしましょう。そして、業界研究を通じて、各業界の特徴を理解し、自分に合った業界を探します。自己分析と、業界研究を十分に行うことで、納得のいく就職活動につながるでしょう。
最後に、本記事で紹介した業界と代表的な業種、主な業務についてまとめます。おさらいとして確認しておきましょう。
業界 | 代表的な業種 | 主な業務 |
---|---|---|
商社業界 | 総合商社、専門商社 | トレーディング、事業投資など |
製造業界 | 自動車メーカー、電機メーカー、食品メーカー、化学メーカー | 製品の企画、開発、製造、販売、アフターサービスなど |
金融業界 | 銀行、証券会社、保険会社 | 銀行:個人や企業への融資、資産運用のアドバイスなど 証券会社:株式などの金融商品の提案営業、マーケットの分析など 保険会社:保険商品の提案営業、保険金の支払いなど |
小売業界 | 百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店 | 接客、レジ打ち、陳列、商品の仕入れ、在庫管理、プライベートブランド(PB)商品開発 |
サービス・インフラ業界 | 運輸、エネルギー、ホテル、旅行、人材、教育、コンサル | 運輸業<:人やモノの移動に関わる業務 エネルギー業:電力・ガス・石油などの供給に関わる業務 ホテル業:チェックイン・チェックアウト対応、客室の清掃、宴会場の運営、宿泊プランの企画など 旅行業:旅行商品の企画、仕入れ、販売、ツアー同行、旅行プランの提案、航空券・ホテルの手配など 人材業:人材紹介、採用活動代行、求職者のキャリアカウンセリング、スキルアップ支援など 教育業:学習塾では、生徒の学力向上のため教科指導や進路指導を実施。予備校は、大学受験対策に特化した指導、模擬試験の実施、進学情報の提供など コンサル業:企業の戦略立案、業務改善、システム導入支援など |
マスコミ業界 | 新聞、テレビ、ラジオ、出版、広告 | 情報の取材、編集、発信など |
IT・通信業界 | ソフトウェア、ハードウェア、インターネット、通信 | プログラミング、システム設計、ネットワーク構築・データ分析など |
公務業界 | 国家公務員、地方公務員 | 国家公務員:国家機関で、政策の企画・立案などを実施 地方公務員:都道府県庁や市区町村役場などで、地域住民の生活に密着した業務を実施 |
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