化学系研究室からIT業界へ!専攻外の業界に内定を決めた理系院生の就活事情とは?/学生インタビュー
専攻に関連する企業を選ぶことの多かった理系院生の就職活動事情が、変化してきています。「推薦の廃止」や「終身雇用の崩壊」などの影響からか、専攻外の業界を検討する理系院生が増えてきているようです。
実際に、理系院生を採用ターゲットに含めている企業さまは業界問わず増えており、そんな企業さまから、「理系院生の就職活動事情を知りたい」といったご相談を受けることがよくあります。
研究活動や論文の執筆で就職活動に割ける時間が少ない理系院生のスケジュールや意向に、配慮する必要があるからです。
そこで本記事では、専攻とは異なる「IT業界」に就職を決めた化学専攻の理系院生にインタビューを実施しました。理系院生の採用を検討されている企業さま向けに「理系院生の就職活動スケジュールや動き方」に関してまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼この記事で分かること
- 理系院生の就職活動の動向
- 理系院生が採用担当者に求めること
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目次[非表示]
- 1.インタビュー概要
- 2.就職活動の流れ
- 3.理系院生ならではの文系就職の進め方
- 3.1.相談先は「寄り添ってくれる社会人」
- 3.2.就活コミュニティにも参加
- 4.新卒採用担当者に伝えたいこと
- 4.1.「オンライン化の継続」が理系院生には必要
- 4.2.内定者フォローは「非・強制」で
- 5.まとめ
インタビュー概要
インタビュアー:dodaキャンパスインターン生 光森(国公立大学 人文系学部 4年)
インタビューを受けてくれた学生:Aさん(国公立大学 理系修士2年 )
就職活動の流れ
夏インターンシップでは、専攻分野に近い業種も視野に
(光森)本日はよろしくお願いします!早速ですが、Aさんは就職活動をいつ頃からスタートされたのでしょうか?
(Aさん)よろしくお願いします!
就職活動を始めたのは修士1年の5月です。友人が就職活動の話をしているのを見て、「そろそろ就職について考えたほうがいいのかも」と思い、夏インターンシップ参加のための準備を始めました。
(光森)はじめはどんな業界を検討していたのでしょうか?
(Aさん)夏インターンシップに参加したのは、元々興味のあった教育業界と専攻分野である化学系のメーカーです。
(光森)はじめは専攻分野に関りのある業界も検討していたのですね。
(Aさん)もちろん時間をかけて学んできた分野なので、研究職への関心もやはり大きかったです。
内定先の業界こそ目標への近道であると気付く
(Aさん)現在の内定先であるSIerや、その他IT業界を視野にいれたのは2月になってからです。
(光森)本選考解禁の直前ですね。夏から2月までに、どのような気持ちの変化があったのでしょうか。
(Aさん)自己分析や社会人との面談を重ねるうちに、教育分野・IT業界こそ自分のやりたいこと・成し遂げたいことへの近道だと気付きました。特に、IT業界には将来性も感じていましたし、教育分野に関わることもできるため、自分の志向に合っていたんです。
(光森)なるほど。2月からは、どのように就職活動を進めましたか?
(Aさん)とにかく時間がなかったので、片っ端から20〜30社ほど、IT業界の企業を受けました。化学系の研究職の選考対策にかけられる時間はなかったため、この時点で受けるのをやめました。
IT業界に関しては、選考を受けるまでは企業選びの軸が「知名度」と「教育事業の有無」くらいしか思いつかなかったため、ひとまずエントリーシートを出して選考に参加してみて、志望度の順位をつけていきました。最終的には「研修制度の手厚さ」が大きな決め手となり、6月にあるSIerの内定を承諾しました。
(光森)IT業界のことを知る時間が少ない中で、どうやって企業探しをしていましたか?
(Aさん)YouTubeなどのSNSや、OB・OG訪問をさせていただいた社会人の方、友人に聞くなど、様々な方法で探していました。
秋以降は選考経験を積みたい
(光森)就職活動中はスケジュールに余裕がなかったという発言もありましたが、「理系院生限定の選考会の実施」「説明会参加でエントリーシートを免除」など、スピーディーに選考を進められるような企業に対してはどのような印象をもっていましたか?
(Aさん)いくつもの業界を幅広く検討するのには適していると思います。実際、夏までは参加させていただいていました。
(光森)秋以降は参加されなかったのですね。
(Aさん)はい。本選考が近づくにつれて「選考経験を沢山積みたい」という気持ちが強くなっていたので、選考をスキップしていただくより、選考に参加したいと感じるようになりました。
秋・冬インターンシップに参加する時期には、企業や業界を厳選しながら、選考の経験を積んでいきました。
理系院生ならではの文系就職の進め方
相談先は「寄り添ってくれる社会人」
(光森)Aさんは誰かに就職活動のことを相談されていましたか?
(Aさん)SNSで知り合った社会人の方に、様々なアドバイスをもらっていました。IT業界を検討し始めたのも、その方との面談がきっかけです。
(光森)そうだったんですね!その方とは何度かお話しされていたのですか?
(Aさん)何度も話していました。エントリーシートを書くための壁打ちに3,4時間付き合ってくれたこともあります。
(光森)丁寧にAさんの就職活動に寄り添ってくれる方だったのですね。
(Aさん)はい。OB・OG訪問のアプリや、選考前のカジュアル面談を通じて、他の社会人の方にも色々と相談はしていたのですが、一度きりになりがちでした。
理系院生で時間がないため、どうしても相談先にも優先順位がつきがちで、私の場合は「どれだけ丁寧に寄り添ってくれるか」だったんです。
就活コミュニティにも参加
(光森)文系学部生だと、学部の同期と就職活動のことを話す機会も多かったのですが、Aさんの場合はどうでしたか?
(Aさん)私の場合は、就活コミュニティをWEB上で探し出して所属することで、就職活動の情報共有や選考対策をし合える仲間をつくるようにしていました。
就活コミュニティの存在をたまたま見つけられてラッキーだったと思っています。
研究室の同期はみんな化学系メーカーへの就職を目指していたので、情報を共有し合えるような存在はいませんでした。
新卒採用担当者に伝えたいこと
「オンライン化の継続」が理系院生には必要
(光森)就職活動において、特に大変だったことはありますか?
(Aさん)就職活動の時間の確保です。
私が所属する研究室にはコアタイムがあり、平日の9〜17時はずっと大学にいる生活だったため、就職活動時期はいつもバタバタしていました。
(光森)平日のほとんどを研究に費やしていたのですね!
(Aさん)はい。ただ、オンライン実施の説明会や選考であれば、研究の合間をぬって参加できていましたよ。
(光森)コロナ禍と就職活動の時期がかぶったことで、ある意味就職活動を進めやすくなったのですね。
(Aさん)本選考には30社ほどエントリーしたのですが、これは一次・二次面接をオンラインで実施する企業が多かったからこそできたことですね。オンラインでの説明会・選考なら平日でも参加できるため、ありがたかったです。
(光森)反対にオンラインでの説明会・選考に参加してみて、不満に感じたことはありますか?
(Aさん)企業の雰囲気がわからないことです。
内定後のミスマッチが心配なので、対面での選考も一度くらいは実施してほしいですね。
内定者フォローは「非・強制」で
(光森)Aさんの内定先は、内定者としての研修や課題はありますか?
(Aさん)私の内定先の企業は、必須の内定者研修・課題はありませんでした。
今ちょうど修士論文を進めている時期なので、内定者研修・課題に時間を割くのは、正直難しいです。
(光森)反対に、どんな内定者向けのサポートがあれば良いと思いますか?
(Aさん)「推奨資格や勉強しておくべきことの情報共有」「志望している事業に携わる現場社員との面談の機会」があれば、とてもうれしいです。
(光森)入社後のイメージが湧くような、Aさんに合ったサポートがあるのが理想ということですね。
(Aさん)その通りです。
(光森)なるほど。本日のインタビューは以上になります!ありがとうございました!
まとめ
いかがでしょうか。
本記事では、とある理系院生が自身の専攻とは異なる業界を志望し、内定を得るまでの流れや就職活動事情をまとめました。
将来性や自身の目標との適合性を考え、業界選び・企業選びに反映する理系院生の心理が伝われば幸いです。
また、これは他の学生へのインタビュー内容とも共通しているのですが、学生への接し方で一番大切なのは「学生1人1人のスケジュールや意向に寄り添うこと」のようです。
特に、理系院生は就職活動に割ける時間が少ないため、「優先順位をしっかりと定める」傾向にあることが分かりました。理系院生へのアプローチは早いに越したことはないのかもしれません。
理系院生を採用ターゲットに含めていらっしゃる企業さまは、ダイレクトリクルーティングや大学へのアプローチなど、早期から理系院生に認知してもらう方法を検討してみるのもおすすめです。
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