オンライン就活における地方大学生の動向とは?/学生インタビュー
選考のオンライン化が定着しつつある新卒採用市場。「地方学生と出会いやすくなった」という企業さまも多いのではないでしょうか。
本記事では、地方学生にインタビューを行い、就職活動事情を詳しくまとめました。地元の学生を採用したい方、地方から学生を採用したい方、いずれの方もぜひ、今後の採用戦略に地方学生のインサイトを取り込むための参考情報としてご活用ください。
▼この記事で分かること
- オフラインインターンシップの受け入れにおいて気を付けるべきこと
- 地方の学生の就職活動の動向
- 地方の学生が採用担当者に求めること
- 希望勤務地の決め手の一例
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目次[非表示]
- 1.インタビュー概要
- 2.就職活動の流れについて
- 3.新卒採用担当者に求めることとは
- 3.1.働いている自分が想像できるような情報提供
- 3.2.地方学生だからこそ社員と対面する機会は貴重
- 3.3.「選考中」だからこその気遣い
- 4.地方と東京を比較してみて
- 5.まとめ
インタビュー概要
インタビュアー:dodaキャンパスインターン生 光森(国公立大学 人文系学部 4年)
インタビューを受けてくれた学生:Kさん(国公立大学(北海道) 文系学部 4年)
就職活動の流れについて
就職活動は早めの3年次5月スタート
(光森)本日はよろしくお願いします!
(Kさん)よろしくお願いします!
(光森)早速ですが、Kさんが就職活動を始めたのはいつ頃でしたか?
(Kさん)本格的に始めたのは大学3年次の5月頃です。エントリーシートを書いたり、WEB説明会に参加したりしていました。
(光森)その時期に就職活動を始めるのは、北海道の学生の中では早い方なんでしょうか?
(Kさん)そうですね。私と同時期に始めていた友達もいましたが、北海道の大学生はもう少し遅い人の方が多い印象です。
就活に力を入れたきっかけは地元企業の対面インターンシップ
(光森)夏のインターンシップには参加されましたか?
(Kさん)何社か参加していました!グループで課題に取り組むスタイルのインターンシップが多かったように思います。
(光森)その中で、特に印象に残っているインターンシップを教えてください。
(Kさん)とある地元企業の、オフライン開催のインターンシップです。
「グループでの話し合いを進行できない」「前提のすり合わせができない」といった自身の実力不足に気づいたため、印象に残っています。
(光森)他のインターンシップでは、「自分は実力不足だ」と感じることはなかったのですか?
(Kさん)あまりなかったですね。
オンラインのインターンシップであれば、都心から参加している優秀な学生が中心となってグループワークを進めてくれることが多かったので、自分が積極的にワークに参加しなくても「何となくうまくやれている感」が出せていました。実際、人事の方からもそれなりに良い評価をいただけていました。
(光森)なるほど。オンラインのインターンシップでは、全員が会話に積極参加できる工夫が必要そうですね。
そのオフラインインターンシップのグループワークで取りくんだ課題の難易度はどれくらいでしたか?
(Kさん)課題自体も、少し難しかったです。でも、学生に期待しているからこそ難しい課題を出してくれていると感じたので、企業に対する印象は良かったです。
(光森)ワークが簡単すぎると、むしろ志望度が下がりますよね。
(Kさん)そうですよね。この経験がきっかけで、本選考では「入社後の成長環境」を重視して企業を選ぶようになりました。
(光森)なるほど。ちなみに、その地元企業の本選考には参加しましたか?
(Kさん)いえ、選考には参加しませんでした。
選考時期が6月と遅いため、選考が始まらないうちに他の志望先企業で内定が決まったからです。
「東京で働く」のは今でなくてもいい
(光森)Kさんは入社後、どのエリアで働かれるのですか?
(Kさん)実は、まだ決まっていないんです。東京勤務と道内勤務、どちらの可能性もあります。
(光森)そうなんですね。ちなみに、「東京で働きたい」という思いはあるんですか?
(Kさん)優秀な人が集まっていて、多種多様な経験ができるという理由から、東京で働くことへの興味はとてもあります。
(光森)なるほど。東京勤務が確約されている企業にエントリーを絞って就職活動を進めることもできたと思うのですが、そうされなかった理由はありますか?
(Kさん)勤務地よりも、就職活動の軸とのマッチ度合いをより重視していたことが理由です。
それに「20代のうちに上京したい」とは考えているものの、上京は新卒入社のタイミングでなくてもいいんです。
(光森)転職を視野に入れている、ということでしょうか?
(Kさん)転職も選択肢のひとつではありますが、私自身は、新卒で入った会社を数年で辞めてしまうことに抵抗があります。だからこそ「自分の望むタイミングでエリアを超えた社内異動ができる企業」には好感を持ちました。
新卒採用担当者に求めることとは
働いている自分が想像できるような情報提供
(光森)参加したインターンシップや選考は、オフライン開催とオンライン開催のどちらが多かったですか?
(Kさん)オンライン開催がほとんどでしたね。コロナ禍でオンライン選考が主流だったこともあり、東京まで移動して選考を受けたのは、片手で数える程度で済みました。
(光森)内定先の企業の選考はどうでしたか?
(Kさん)エントリーから内定承諾まで、全てオンラインで完結しました。
(光森)社員の方と一度も対面せずに、内定を承諾するのは不安ではなかったですか?
(Kさん)特に不安には感じていませんでした。選考中も含め、様々な属性の社員の方とお話しできたことが良かったのだと思います。
「マネジメント層の社員」「育休経験のある女性社員」「職種異動を経験した社員」など、私の希望通り、10名程の方にオンラインで面談していただきました。
(光森)個別面談を繰り返して、どんなことがわかりましたか?
(Kさん)「どんな人が働いているのか」「どんな職種・業務があるのか」ということが分かりました。
(光森)なるほど。入社後のイメージが湧くような、具体的な情報提供をしてもらえたのですね。
(Kさん)そうですね。面談を通して、「入社後もやっていけそう」と思えたので、そのまま選考を進めて内定を承諾しました。
(光森)内定先のどんなところを知って「入社後もやっていけそう」と思いましたか?
(Kさん)「副業に挑戦できる」「手上げ制の部署異動がある」など、社員の個性を尊重する制度が浸透している・実際に機能しているところですね。私は新しいことにどんどん挑戦したい方なので、性に合っていると感じました。
地方学生だからこそ社員と対面する機会は貴重
(光森)内定先の社員の方とは、内定承諾後も一度も対面されていないのですか?
(Kさん)一度だけ、北海道でリクルーターの方とお会いしました。
(光森)いいですね。Kさんと会うために来てくださったんですか?
(Kさん)いえ。「他に用事があって北海道に行くんだけど、○日はあいてる?」とお誘いいただいた形です。
(光森)運良く日程が合って良かったですね!
(Kさん)そうですね。ただ、何かのついででも「私のことを気にかけてくれた」事実自体がうれしかったです。
「選考中」だからこその気遣い
(光森)地方学生だからこそ企業に求めていることが他にもあれば、ぜひ教えてください。
(Kさん)リクルーターや社員の方には、選考中から「キャリアについて何でも相談していいよ」と声を掛けていただきたかったです。
(光森)キャリアについて、特にどんなことを相談したかったですか?
(Kさん)色々ありますが、特に「上京するべきか否か」について相談したかったですね。
選考中は合否に影響を与えることを恐れていたので、上京への不安を口に出せませんでした。
(光森)なるほど。今はもう、リクルーターの方に上京のことを相談できたんでしょうか?
(Kさん)そうですね。内定をいただいてから、家賃や住環境、上京したからこそできた経験や仕事について伺うことができました。
(光森)良かったです!採用する企業にとっても、上京について触れるともしかしたら意向が下がってしまうかも、という懸念があるかもしれませんが、「上京に不安がないかどうか」については意思決定にも関わるので、選考中から気にかけていただきたいですよね。
地方と東京を比較してみて
(光森)Kさんは、今後どこかのタイミングで東京で働いてみたいと考えているんですよね。
(Kさん)はい。ただ、北海道で働くことにも魅力を感じています。
(光森)地元での就職と東京での就職、それぞれのメリットがあって迷いますよね。
(Kさん)そうなんですよ。私はどちらで就職するか中々決めきれなかったので、主に3つの項目から両者を比較検討していました。
成長環境
(Kさん)まず、成長環境という観点では東京の方が優れていると感じています。
「就業経験のない学生でさえも、東京の学生と地方学生とでは見識の広さや論理的思考力に差が生まれている」と、就職活動を通して実感しました。
(光森)どうして東京と地方で、そのような実力差が生まれているのでしょうか?
(Kさん)経験の質と幅だと感じています。
「長期インターンシップの機会の多さ」や「人脈の広げやすさ」など、東京の学生をうらやましいと思うことはよくあります。
(光森)なるほど。社会人になっても、東京と地方の成長環境の差は生まれると思いますか?
(Kさん)個人的には「生まれるのではないか」と思っています。
東京から札幌への転勤を経験した社会人と話していると、「東京に比べて札幌の人は良く言えば温厚、悪く言えばおっとりしすぎ」という意見が出てくることがありました。
もちろん地方ならではのやりがいもあるかもしれませんが、私が求めている「スピード感を持って仕事をバリバリ進められる成長環境」は東京の方があるのかなと考えています。
住みやすさ
(Kさん)住みやすさという観点では、北海道の方が優れていますね。
(光森)確かに、就職を機に上京した先輩や友人の話を聞くと、「自然がない」「人が冷たい」など、東京の住みにくさを感じるエピソードが出てくることが多いですよね。
(Kさん)私自身、就職活動で上京した際は空気の汚さに驚きました。
他にも、家賃の高さなど、不安を感じるポイントがいくつかあります。
ライフイベント
(Kさん)「20代のうちに上京したい」とは言ったものの、その後の人生を東京で過ごすイメージがついていないのも事実です。
(光森)どういうことでしょうか?
(Kさん)結婚や出産など、いわば人生のターニングポイントを過ごすには、地元の方が適していると思うんです。
(光森)東京にいながら結婚や出産を経験している女性も沢山いらっしゃるのではないですか?
(Kさん)もちろん、沢山いらっしゃると思います。
ですが、私は東京で結婚や出産を経験している人と接したことがないため、「本当に東京で人生のターニングポイントを乗り越えられるのかな?」と疑問に感じてしまいます。
(光森)なるほど。Kさんの地元のご友人も、同じような考えをお持ちなのでしょうか?
(Kさん)そうですね。「結婚や出産は地元で」という考えの女性が多いように感じます。
(光森)上京していくつかのライフイベントを経験した方からもお話を聞ける機会があるとよさそうですね。やはり自分の近い未来を具体的に想像して不安を払しょくするためには、社員さんとの面談は必須ですね。本日はありがとうございました!
まとめ
いかがでしょうか。
様々な場面でオンライン化が進みつつあるとはいっても、地方学生の勤務地に対する考え方はそれほどコロナ前と変わっていないようです。選考中から学生の意向や不安を汲み取り、寄り添っていくことが大切です。
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